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タカラベルモントの歯科用ユニットの価格・値段は?中古でも買える?おすすめ比較

タカラベルモントの歯科用ユニットの価格・値段は?中古でも買える?おすすめ比較

最終更新日

患者の診療中に歯科用ユニット(チェア)が突然動かなくなり、冷や汗をかいた経験はないだろうか。あるいは、開業準備でユニットの価格を知りその高さに途方に暮れたことはないだろうか。タカラベルモントの歯科用ユニットは国内でも人気が高いが、新品価格は決して安くはなく、予算に限りがある中で「中古で安く手に入らないか」と考える歯科医師もいるだろう。臨床現場の要であるユニット選びは、患者の安全・快適性から医院の収益性まで影響する重要な意思決定である。

本記事では、タカラベルモント製ユニット各モデルの特徴と価格を客観的データに基づき比較し、さらに臨床的ヒントと経営的戦略の両面から選択のポイントを解説する。高額な設備投資の効果を最大化するために、新品と中古の選択肢も含め、先生方の診療スタイルと医院経営に最適なユニットを見極める手助けとなる情報を提供する。

タカラベルモント歯科ユニット主要モデル比較

モデル名(発売順)価格目安(税別)主な特徴(臨床面)経営面でのポイント
ベルキュール(Belcure)約330万円~必要機能に限定したシンプル設計で基本性能は十分導入コストが低く初期投資を抑制。堅実な機能で高頻度使用にも安定
ベルヴィータ(Belvita)約320万円~コンパクトながら幅広い診療姿勢と快適性に対応。バランスアーム搭載限られた空間でも効率的なレイアウトが可能。多彩な機能搭載ながらコストパフォーマンス良好
シェルト(CIERTO)約450万円~患者の快適性と先進機能を追求したスタンダードユニット。無駄のない洗練デザイン患者満足度向上による信頼獲得に寄与。高機能により自費診療で付加価値を提供
ラポール i(Rapport i)約530万円~円卓カウンセリング対応の特殊コンセプト。チェア回転で家族同席可能差別化効果が高く、コミュニケーション重視で自費治療の成約率向上に期待

※価格目安は定価ベース(税別)であり、機種や構成により変動。別途設置工事費などが発生する場合がある。

比較のポイント

患者の快適性とデザイン性

患者が診療チェアに座った瞬間の快適さは、その後の治療全体のスムーズさに直結する。タカラベルモントのユニットは総じて患者の安心感に配慮した設計となっているが、中でもシェルトやラポール iは特筆すべき工夫が見られる。例えばシェルトは足元のステップを廃し、電動スライド式のレッグレストを採用している。これにより患者が椅子に腰掛ける動作が格段に容易になり、高齢の患者や体の不自由な患者でも移乗しやすい。シートを倒した際にはレッグレストが足先までしっかり支えるため、長時間の診療でも足が宙ぶらりんにならず安定した姿勢を保てる。ラポール iも同様にスライド式フットレストを備え、内側傾斜の形状で乗降を優しくサポートしている。さらにラポール iではフットレスト両端に安全スイッチがあり、万一物や人の足を挟みそうになると自動停止する仕組みで、安全面にも配慮されている。

快適性はクッションやシート形状にも表れる。ベルヴィータはあらゆる年齢層に快適に感じられるよう、身体を包み込むバケット形状のシートを採用している。オプションでアームレストが回転するタイプも用意され、患者の乗り降りを更に助ける工夫もある。また各モデルともシートカラーのバリエーションが豊富で、シェルトでは標準カラー13色に加え高級感あるラグジュアリーカラーや布張り仕様など計27色から選択できる。医院の内装コンセプトに合わせてチェアをコーディネートできるため、患者に与える視覚的印象も良く、不安感の軽減につながる。実際、ユニット周りの清潔感やデザイン性は患者の医院評価に直結し、リピート率向上にも影響しうる。快適で洗練されたユニットは「この医院なら安心だ」という信頼感を醸成し、特に自費治療中心のクリニックでは治療単価に見合う上質な体験として患者満足度を高めてくれるだろう。

術者の操作性と機能性

ユニットは術者にとっての「手足」であり、その操作性如何で治療効率や精度が左右される。タカラベルモントのユニット各機種は、それぞれ術者の使い勝手を高める工夫が凝らされている。例えばベルヴィータに搭載されたバランスアームは、軽い力でスムーズに可動し、かつハンドピースホルダーが1本ずつ独立した形状で配置されている。これにより術者が立位でも座位でも無理なく器具を取れるため、診療姿勢を頻繁に変えるような場面でもストレスが少ない。実際、ベルヴィータは最小幅1,800mm程度の診療スペースでも十分に機能を発揮し、2ハンド(アシスタントなし)の診療から4ハンド体制まで柔軟に対応できるコンパクト設計である。限られた空間でも器具トレイやアームを自在に動かせる操作性は、チェアサイドの動線を滑らかにしチェアタイムの短縮に貢献する。

また、直感的な操作パネルや足元のコントローラー配置も重要だ。シェルトやベルヴィータでは視認性の高い有機ELディスプレイを採用し、必要な情報が一目で確認できるよう工夫されている。ボタン類も厳選され配置されており、複雑な操作をできるだけシンプルにしている。足元操作についても、ヘッドレストやチェア昇降をフットスイッチで行えるため手指を汚染させず衛生的かつスピーディーである。ベルヴィータでは従来型の独立スイッチ式フットペダルに加え、設置場所の自由度が高いワイヤレスフットペダルも選択可能で(オプション)、クリニックのレイアウトに応じた柔軟な運用ができる。

ただし、操作性の向上を目指して多機能・高性能化が進む一方で、その機能を使いこなせなければ宝の持ち腐れになる点には注意が必要だ。特に開業当初からフルオプションを盛り込みすぎると、スタッフが十分に扱えない機能が出たり、オーバースペックで価格だけが嵩む恐れもある。必要な機能と不要な機能を見極め、使いこなせる範囲で導入することが重要である。例えば「将来的に矯正もやるかもしれないから…」と高価な機能を付けるより、実際に必要になってから追加可能なオプションも多い。ユニット選定ではシンプルさと拡張性のバランスを考え、現場で真に役立つ機能に投資することが、結果的に経営効率にもつながる。

診療空間への適合とレイアウト

ユニットは診療室の物理的な占有率が大きいため、その設置レイアウトは院内動線や診療効率に直結する。導入前にまず自院の診療スペースを正確に測り、適切なサイズのユニットを選ぶことが前提条件となる。ベルヴィータが最小1.8m幅で設置可能なコンパクト設計であるように、ユニットによって要求されるスペースは異なる。もし気に入ったモデルがあっても、スペースに収まらなければ意味がないし、ギリギリ収まるサイズだとしてもスタッフや患者の動線を妨げてしまう恐れもある。

タカラベルモントのユニットは、概ね床固定型(据え置き型)でユニット周囲に必要なスペースが決まっている。ベルキュールやベルヴィータはサイドユニット一体型の標準的なレイアウトで、複数台を配置する場合も各ユニット間の距離を適切に取れば小規模クリニックでも2台以上設置が可能だ。一方、ラポール iは円形テーブルを含む独特の構成ゆえ、一般的なユニットよりレイアウトに工夫が必要になる。患者用チェアとサイドチェア、オペレーティングスツール(ドクターチェア)を1セットとして円卓状に配置するため、1台あたりの占有スペースは大きめといえる。しかしその設計意図は「診療空間をカウンセリング空間に変える」ことにあり、広めのスペースを活用して患者・家族と向き合うコミュニケーション重視の診療スタイルを実現する。もし診療室に十分な広さがあるなら、ラポール iのようなユニットを導入して差別化を図るのも一つの戦略だ。逆にスペースに余裕がない場合は、ベルヴィータのようなコンパクト機種や、ユニットとチェアを分離して設置できるカート型ユニット(タカラベルモントではラインナップなし、他社製)も検討しよう。

レイアウト面で見落とせないのはユニット設置後の配管や電源位置である。スピットンへの給排水やエアーコンプレッサー配管、床下ユニットの場合は床工事など、設置には技術的要件がある。これは主に施工業者とメーカーが調整する部分だが、診療室のどこに配管スペースや機械室が必要か把握しておくと良い。特に増設やレイアウト変更を見据えるなら、将来の動線を妨げない位置に据え付けるなど計画性が求められる。ユニット自体のサイズとともに周辺機器の配置まで含めた空間設計が、結果的に患者・スタッフ双方の快適性と効率アップにつながる。

導入コストと投資対効果

歯科用ユニットは医院設備の中でも高額な部類であり、導入台数によっては数千万円規模の投資となる。タカラベルモント製品に限らず一般的な相場でも1台あたり200万〜500万円前後とされ、近年は海外製の廉価モデルなら100万円程度で購入できる例もある。実際の販売価格は定価からメーカーや販売店との交渉次第で決まることが多く、複数台まとめ買いや他の機器と同時購入時には値引き交渉が前提ともいわれる。例えばタカラベルモントの営業担当に相談すれば、開業パッケージとしてユニットとレントゲン機器をセット価格にする提案を受けられるかもしれない。まずは複数メーカーから相見積もりを取り、価格と条件を比較検討するのが賢明である。

導入コストを抑える方法として中古ユニットの購入も選択肢に挙がる。中古であれば新品の半額以下で購入できる場合もあり、初期費用の節減効果は大きい。しかし、中古品は前使用者での消耗や経年劣化の度合いが様々で、購入後のメンテナンスに注意が必要である。信頼できる中古機器業者を慎重に選ばないと、導入後に頻繁なトラブルでかえって患者に迷惑をかけるリスクもある。メーカーによる公式な保守サポートも、基本的には新品納入から一定年数内(例えば納入後8年以内など)に限られるため、中古導入の場合はその点も考慮しなければならない。中古購入は初期投資を抑えつつ設備を整えたい開業直後などには有効な策となりうるが、その場合でも整備履歴や保証の有無を確認し、可能なら導入前に動作チェックをしておくべきである。

一方、高額な新品ユニットを導入する場合でも、その投資を回収し利益に繋げる道筋を描いておく必要がある。投資対効果(ROI)を考える上では、ユニットが収益にどう貢献するかを多角的に捉えることが重要だ。例えば、患者の快適性が向上し治療への抵抗感が減れば、治療受諾率が上がったり自費メニュー(ホワイトニングやインプラント等)の成約率が上がる可能性がある。また、操作性向上により1人あたりの診療時間が短縮できれば、1日の診療可能人数を増やすこともできる。仮にチェアタイムを毎回5分短縮できれば、積み重ねで1日数人分の枠が生まれる計算となり、これは年間では相当な売上増となり得る。もちろん診療時間を詰めすぎて患者対応が慌ただしくなっては本末転倒なので、効率化によって生まれた余裕時間をカウンセリングに充てて治療説明を充実させるなど、質の向上にも活かせるだろう。

ROIの観点でもう一つ見逃せないのはユニットの耐久性と維持費である。高価なユニットでも故障が多ければ修理費や休診による機会損失がかさみ、結局コスト高になる。タカラベルモントは全国に20拠点以上の営業所・サービスネットワークを持ち、万一のトラブル時も迅速な対応が期待できる強みがある。ユニット購入時には、メーカーの標準保証期間や保守契約内容(消耗部品の無償交換期間、定期点検の有無など)を確認し、ランニングコストを見積もっておこう。例えばモーターやバルブ類の交換費用、ライトの寿命と交換コスト、給水ラインの清掃システムの有無によるメンテ費などである。初期費用だけでなく、耐用年数まで踏まえた総コストで判断することが、結果的に医院の収益を守ることにつながる。

製品別レビュー

ベルキュールは機能を絞ったコスト重視の基本モデルである

ベルキュール(Belcure)は、タカラベルモントのユニットラインナップの中でもベーシックな位置付けの製品である。定価は約333万円~とシリーズ中では最も手頃な価格設定となっている。メーカーの紹介文にも「機能とコストを追求したベーシックユニット。機能はシンプルに徹し、効率的オペレーションを提供します」とある通り、診療に必要最低限の基本性能にフォーカスしたモデルである。具体的には、歯科用チェアとしての堅牢性と患者の安全性は確保しつつ、華美なデザインや先進的な電子機能を抑えている。そのためシェルトやベルヴィータに搭載されているような高度な快適機能(無段階調光ライトやタッチパネル表示、電動ヘッドレスト等)は備えていない。一方で、ユニット本体の構造がシンプルで故障リスクが低く、取り扱いも直感的に行える点はメリットである。

ベルキュールは保険診療中心でとにかく台数を揃えたい場合や、開業当初で予算を抑えつつまず1台導入したいケースに適している。価格が抑えられている分、複数台購入時の総額も軽減でき、特にユニットを複数設置して短時間で多数の患者を回すスタイルの医院には心強い。診療機能として不足する点はほとんどなく、チェアの昇降やリクライニング、各種ハンドピース類(タービン・モーター)と3ウェイシリンジ、ライト、スピットンといった標準装備は一通り揃っている。むしろ機能を限定している分だけスタッフ全員が扱いやすく研修コストも小さいため、新人アシスタントでも戸惑わずに使える利点がある。ただしデザイン面・快適面では上位モデルに劣るため、自費診療の患者に「最新設備による高級感」を演出したい場合にはやや物足りないかもしれない。全体としてベルキュールは堅実な機能と低コストを両立したモデルであり、「まずは初期投資を抑えて開業したい」「シンプルで壊れにくいユニットが良い」という歯科医師にとって心強い選択肢である。

ベルヴィータは省スペースで多機能、汎用性の高い最新モデルである

ベルヴィータ(Belvita)は、ベルキュールの上位に位置するミッドレンジモデルであり、術者の使い勝手と患者の快適性を高い次元で両立することを目指して開発されたユニットである。定価はタイプによりおよそ324万~334万円程で、先進機能を備えつつもコストパフォーマンスに優れる点が特徴だ。ベルヴィータ最大の特長はコンパクトな設計にある。ユニット全体が最小幅1,800mmの空間に収まるよう設計されており、都市部の限られた診療室でも無理なく設置が可能である。それでいてチェア周りの作業域は十分に確保されており、2ハンドの単独診療からアシスタント付き4ハンド診療まで難なく対応できる柔軟性を持つ。実際、チェアサイドでの動きもスムーズで、狭いスペースでありがちな「術者とアシスタントがぶつかる」「器具が壁に当たる」といったストレスを感じにくい。

ベルヴィータはまた、術者アシスト機能も充実している。軽い力で動かせるバランスアームと独立ホルダーにより、立位・座位問わず器具の受け渡しがしやすく、長時間の処置でも術者の疲労を軽減する設計だ。ユニット操作パネルにはタッチパネル式ディスプレイを採用し、チェアポジションやコップ給水など各種操作を直感的に行える。照明もLEDライトで無影灯としての性能が高く、明るさ調整やレジン硬化を遅らせるモード(レジンモード)への切替も非接触センサーで可能となっている。これらの機能は上位機種シェルトにも通じる最新仕様であり、日々の臨床を細部で支えてくれる。

価格帯として中価格ながら、ベルヴィータは総合力が高く、幅広い診療科目・診療スタイルの医院にマッチする汎用性が魅力である。例えば一般歯科で予防から補綴までオールラウンドにこなしつつ、将来は矯正やインプラントにも手を広げたいと考える開業医にとって、ベルヴィータは良き相棒となるだろう。実際、根管長測定器やう蝕検知器などの小型機器をユニット上に置けるスペースも確保されており、必要な機器をすぐ手元に置いて効率よく診療できるよう配慮されている。コンパクトゆえの診療室レイアウト自由度と、最新機能による作業効率向上のバランスが取れたベルヴィータは、「限られた空間で質の高い歯科医療を提供したい」という開業医の願いに応えてくれる製品である。

シェルトは機能美と快適性を追求したスタンダードユニットである

シェルト(CIERTO)は、タカラベルモントが考える“これからのスタンダード”に位置付けられるフラッグシップ的ユニットである。価格は標準構成で約456万円(税別)前後と高価だが、それに見合う先進的なデザインと機能を備えている。シェルト最大の特徴は、メーカー自身が「機能美」と表現する洗練されたデザインと患者・術者双方の快適性への徹底した配慮だ。無駄を省いたスマートなフォルムは診療空間に上質な雰囲気をもたらしつつ、そのデザイン自体が機能向上に直結している。例えば、足元のステップを無くし前方から患者が座れる構造や、足先まで支えるスライド式レッグレストの採用によって、患者の乗降が劇的にスムーズになっている。これは体格の大きな患者や高齢者でも恐怖や不安を感じにくい安心設計であり、結果として治療前の緊張緩和にも繋がっている。

術者側にとってもシェルトの恩恵は大きい。ユニットの器具テーブル(ドクターユニット)は作業スペースが広く取られ、最大荷重1kgfまで機器を載せても安定する設計である。例えばタブレット端末やレーザー機器などを手元に置いたままでも治療を行え、治療効率の向上に寄与する。また、洗口器(ボウル)は回転機構により患者の口元まで近づくため、うがい動作の際に水が飛び散りにくく衛生的である。このように細部まで練られた機能は、日々の診療の所作を一つひとつ快適にし、積み重なれば大きな時間短縮とストレス軽減となる。もちろん、電動ヘッドレストによる頭部支持や有機ELパネルによる情報表示、センサースイッチによる非接触操作など、最新ユニットに期待される機能は一通り網羅されている。

シェルトは自費治療比率が高いクリニックや、最新設備をアピールポイントにしたい医院にとって最適な選択肢と言える。高額ではあるが、その存在感自体が医院のブランディングにつながり、患者から見れば「最新の良い治療が受けられそうだ」という安心感を与える。例えばインプラントや審美歯科に力を入れる医院では、シェルトの快適性が治療中の患者負担を和らげ、治療価値の高さを体感してもらう一助となるだろう。ただし、宝の持ち腐れを防ぐためにも搭載機能を十分に活用することが大切である。購入前にメーカーのデモ機で操作性を確認し、自院のスタッフ全員が扱えるかイメージしておくと良い。総じてシェルトは投資対効果が高いユニットだが、それを引き出すにはクリニック側の活用次第とも言える。

ラポール i は対話重視の新コンセプトユニットである

ラポール i(Rapport i)は、従来の「患者と術者」という二者関係に家族(保護者)も加えた三者コミュニケーションを可能にする、ユニークなコンセプトの歯科用ユニットである。定価は約532万円~とシリーズ最高値だが、その設計思想は他のユニットとは一線を画する。最大の特徴は、患者用チェアと保護者向けサイドチェア、そしてドクタースツール(術者用椅子)が一組の円卓を囲むように配置される点にある。患者が座った椅子ごとカウンセリングテーブル方向へ回転できる構造になっており、術者・患者・付き添いの保護者の三者が顔を合わせて会話できるスタイルを実現している。このため、小児歯科において子供と親御さんに同時に説明を行う場合や、インプラント治療前の同意説明にご家族を交える場合などに非常に効果を発揮する。実際、治療計画の説明や口腔内写真の共有を患者と家族に同時に行えることで、インフォームド・コンセントがより円滑に進み、患者本人だけでなく家族の理解・納得も得やすくなるというメリットがある。

ラポール iのチェアは左右に約180度回転可能で、診療時には通常のチェア同様に術者の6時方向(患者の足元側)での治療体勢に移行できる。治療時以外は対面カウンセリング、その後すぐ治療体制へとチェアを回転させるだけでモード切替できる点は、時間効率の面でも優れている。また、前述の通りスライド式フットレストによる乗降性の良さや安全装置も備えており、機能面でも抜かりはない。ドクターユニット(器具テーブル)は小ぶりながら機能的な配置で、ホルダー角度を調整できるなど柔軟性がある。一方で、ユニット全体としては特殊な構成ゆえ、他機種と比べ導入には慎重な検討が必要だ。まずスペース面では、カウンセリング用テーブルと保護者椅子を置く分、一台あたりの占有面積は大きくなる。診療ユニットとカウンセリングコーナー双方の役割を兼ねるため、広めの個室診療室などが望ましいだろう。また価格面も最も高額であるため、このユニットの強みである「三者対話」を活かせる診療スタイルかどうかを見極める必要がある。

ラポール iの導入が特に効果的なのは、小児歯科や予防歯科などで親子のコミュニケーションを重視するケースである。例えば、小児歯科クリニックで親子一緒にブラッシング指導を行えば、親が子の口腔ケア方法をその場で学べる。これは家庭でのケア向上にも繋がり、結果として患者満足度や継続受診率の向上が期待できる。また、治療に不安を持つ患者(小児だけでなく成人でも)に付き添いが隣に座れる安心感を与えられる点も大きい。ラポール iはその名の通り「ラポール(rapport=信頼関係)」を築くことにフォーカスしたユニットであり、患者との対話時間を大切にしたい歯科医師にとって唯一無二の選択肢となるだろう。ただし、高価な設備投資であるため、導入にあたっては実際の診療フローでどれだけ活用できるか十分なシミュレーションが必要だ。言い換えれば、このユニットの価値は「患者とじっくり向き合う時間をどれだけ取れるか」にかかっている。もし忙しさに追われて結局カウンセリングを省略してしまうようでは宝の持ち腐れになるため、導入後の運用計画まで考慮して判断したい。

よくある質問(FAQ)

Q. 中古の歯科用ユニットを購入しても大丈夫だろうか?
A. 中古ユニット自体は市場に出回っており、初期費用を抑える手段として有効である。ただし、信頼できる業者から購入しないと故障リスクによる診療中断で結果的に損をしかねない。またメーカーの保守契約対象外になる場合が多く、故障時の対応はその業者任せになる。購入前に整備状況や保証の有無を確認し、可能なら納入前に作動チェックを行うことが望ましい。中古品はあくまで「安価だがリスクもある」という前提で検討し、開業後しばらく使って資金に余裕ができたら新品に置き換えるといった長期計画も視野に入れると良い。

Q. 歯科ユニットの平均的な寿命や買い替え時期は?
A. 一般的に歯科ユニットは10年前後で主要部品の劣化やモデルチェンジによる部品供給の問題が出始めることが多い。実際には使用頻度やメンテナンス次第で15年以上故障なく動いている例もあるが、メーカー標準保証や保守契約は5〜7年程度が一区切りとなる場合が多い(例えばA社では一律5年保証など)。8年を過ぎる頃からユニット内部の配管劣化や駆動部品の摩耗が進み、故障の兆候が増える傾向がある。患者の安全を考えると大きな故障が起きる前に計画的に買い替えを検討すべきで、遅くとも部品供給が困難になる10〜15年程度が目安と言えるだろう。メーカーによって保守対応年数が異なるため、自院のユニットの製造年やサポート状況を定期的に確認しておくことも大切である。

Q. 他社の安価なユニットと迷っている。タカラベルモント製を選ぶメリットは?
A. タカラベルモントの強みは、国内老舗メーカーならではの信頼性とサポート力にある。まず製品の信頼性については、長年の実績があり国内で多数の導入例があるため、使用中に不具合が生じてもノウハウの蓄積がある。また、全国に広がるサービス拠点網により、トラブル時の対応速度が速い。部品在庫も潤沢で、古い機種でも部品供給が比較的長期間続く傾向がある。安価な海外製ユニットは初期投資こそ低いものの、故障時にパーツ取り寄せに時間がかかったり、数年でメーカーが撤退してサポート不在になるリスクも考えられる。その点、タカラベルモントは理美容業界も含めた大手メーカーで企業体力があり、アフターサービスの安心感が違う。さらにユーザーコミュニティや講習会なども充実しており、導入後の情報交換や技術サポートを得やすい。総合すると「長く安全に使えるユニットを選びたい」「トラブル時にすぐ駆け付けてほしい」というニーズには、多少高額でもタカラベルモント製を選ぶ価値があるだろう。

Q. ユニット導入で失敗しないためには何に気を付けるべきか?
A. まず診療スタイルと必要機能の洗い出しが重要だ。自院で提供する治療に本当に必要な機能は何か、逆に不要なオプションは何かを明確にする。メーカーの説明を受ける際も、言われるがままに高機能機種を選ぶのではなく、自分の経験から本当に活用できるかを判断しよう。また、診療室のレイアウトや他の機器との兼ね合いも確認する。設置スペースを測り、ユニットを置いた後のスタッフ・患者の動線をシミュレーションすることで、後から「思ったより動きづらい」といった失敗を防げる。さらに、導入プロセスでは複数の見積もり比較と価格交渉を怠らないこと。ユニットの定価には交渉余地がある場合が多く、同時に他機器も購入するなら割引が得られることもある。最後に、導入前にはスタッフへの操作トレーニング計画も立てておくと良い。新しいユニットを宝の持ち腐れにしないために、全員が使いこなせる体制を準備して迎えよう。