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歯科用ユニット・歯科用チェアとは?おすすめのメーカー12選を価格や特徴、比較のポイント、ランキングまで徹底解説!

歯科用ユニット・歯科用チェアとは?おすすめのメーカー12選を価格や特徴、比較のポイント、ランキングまで徹底解説!

最終更新日

歯科医院の開業やユニット(診療用チェア)の入れ替えを検討する際、どのメーカーの歯科ユニットを選ぶかは重要なポイントです。ユニットは診療効率や患者様の快適性、クリニックの雰囲気にも大きく影響する高価な設備です。本記事では、「歯科ユニット メーカー」「歯科 チェア メーカー」を検索するユーザーの意図を網羅し、国内外の代表的なメーカーを紹介・比較します。それぞれの製品特徴や価格帯、保証期間、耐用年数、修理サポート体制、導入実績、デザイン性、機能性、衛生面などに着目し、メーカー選びの判断基準や視点について解説します。開業予定の歯科医師やユニット更新を検討中の医院経営者の方に向けて、用途別のおすすめ機種、メーカー選定のポイント、そしてよくある質問(FAQ)への回答やチェックリストも用意しました。専門的な内容をできるだけ分かりやすくまとめていますので、歯科ユニット選びの参考にしてください。

目次

そもそも歯科ユニット(診療用チェア)とは?

歯科ユニット(診療用チェア)とは、歯科治療に必要な各種器具と患者が座る診療用椅子が統合された歯科機器のことです。 口元を照らす照明、うがい用のスピットン(水鉢)、歯を削るためのタービンなど、歯科治療に必要な設備が備わっています。

歯科ユニットメーカーを選ぶポイント

歯科用ユニットを選定する際には、以下のような視点・判断基準を押さえておきましょう。

価格とコスト

ユニット本体の価格は一般的に1台あたり約200万〜500万円が相場です。高機能モデルになるほど高額になりますが、近年は海外メーカー製の低価格モデル(100万円台)も登場しています。価格交渉や複数社見積もりも有効です。購入時は本体価格だけでなく、付属機器・オプション込みの総額を確認し、複数メーカーで同条件の見積もり比較がおすすめです。またリースや中古導入などで初期費用を抑える方法も検討できますが、中古は保証や寿命面のリスクに注意が必要です。

耐久性と耐用年数

歯科ユニットは一度導入すると長期間使用する設備です。法定耐用年数は7年と定められていますが、メーカーでは適切なメンテナンスを行った場合の耐用期間は約10年とすることが多いです。実際には10年以上使い続ける医院もありますが、10年を過ぎると部品劣化や動作不良のリスクが高まります。耐久試験や実績で評価の高いメーカー(例:モリタのユニットは「10年使用でもシリンダー交換のみ」という報告もあり、修理費用が平均より低い傾向があります)や、長期保証を提供しているメーカーを選ぶと安心です。

メーカー保証とサポート

保証期間やサポート体制も重要です。メーカーごとに標準保証は1〜3年程度が一般的ですが、ヨシダは主要部品5年保証、A-dec(アーデック)は5年間の長期保証を標榜するなど、手厚い保証を持つメーカーもあります。保証延長プランや保守契約により10年程度まで延長できる場合もあります。トラブル時の対応も確認しましょう。国内大手メーカーは全国にサービス網があり迅速な修理対応(部品在庫豊富で数日以内対応)が期待できます。一部メーカーでは24時間対応のホットライン(ヨシダ等)や代替機の貸出サービス(モリタ等)が用意されていることもあります。海外メーカーの場合、正規代理店による日本国内サポートがありますが、部品在庫が海外中心だと交換に数週間かかるケースや、問い合わせ対応が英語になる場合もあります。購入前にサポート窓口が日本語対応か、修理時の体制を確認しておきましょう。

診療スタイルへの適合

ユニットの設置方式や構造が自院の診療スタイルに合っているかもポイントです。例えば、ユニットのテーブル配置には据え置き型(ベースマウント)やオーバーアーム型、カート型などがあり、診療の流れやクリニックのレイアウトに応じて使い勝手が異なります。またチェアの形状も、日本で一般的なステップ(足折れ)タイプと海外で多いカンター(脚まっすぐ)タイプがあります。高齢者や足腰が不自由な患者にはステップ無しで低い位置まで下がるカンタータイプが乗り降りしやすい一方、ステップタイプは足をしっかり支え安定感があります。自院の患者層(小児が多い、高齢者が多い等)や提供する診療内容(予防メインか、手術を行うか等)に合わせて、ユニットのタイプやオプション機能を選びましょう。例えば小児歯科中心なら小児用サイズのユニットやキャラクターデザインも検討できますし、予防専用ユニットやカウンセリング重視シートなど特殊用途向けもあります。

デザインと快適性

ユニットのデザイン性もクリニックの雰囲気作りや患者満足度に影響します。カラーや外観のバリエーションが豊富なメーカーも多く、内装コンセプトに合わせて選べます。たとえばヨシダのユニットはキャビネットやシートの組み合わせが1000通り以上から選択可能、モリタの高級機種ではポルシェデザインスタジオ監修の洗練された外観モデルもあります。高級感のあるユニットは自費診療メインのクリニックで患者のリラックス効果や医院のブランディングにもつながります。また椅子のクッション性や形状、人間工学に基づくフォルムも重要です。長時間横になっても負担の少ないクッションや自然な姿勢を保てる背もたれを採用したモデルだと、患者さんの快適性が向上し治療への不安やストレス軽減につながります。デザインと機能の両立したユニットを選ぶことで、「居心地の良い歯科医院」づくりに貢献します。

機能性・拡張性

ユニットに搭載できる機能やオプションも比較ポイントです。基本的なタービン・ハンドピース・スケーラー・シリンジに加え、モニターや口腔内カメラを取り付けたり、マイクロモーターや外科用器具を内蔵できるかどうかはメーカー・機種によって異なります。例えばGCの「和(なごみ)」はエアタービンやマイクロモーター、超音波スケーラーなど必要な器具を自由に組み合わせて内蔵可能ですし、Sirona(シロナ)の上位モデルではインプラント手術支援機能(生理食塩水ポンプ)や根管長測定機能付きのエンドモード、治療情報を表示するモニターなどがビルトインされています。治療のデジタル化が進む中で、CAD/CAMや口腔スキャナーとの連携がしやすいユニット(USBポートや専用台付きなど)もあります。またメモリーポジション機能(複数の椅子位置を記憶)や患者用エンターテイメント機能(タブレット設置、音楽再生)など付加機能も各社特徴があります。自院が重視する治療分野に必要な機能が搭載できるか、将来の拡張性も考慮しましょう。

衛生管理・メンテナンス性

歯科ユニットは水や空気を扱うため、衛生対策機能の有無も重要です。ユニット内部の給水ラインの自動洗浄システムや吸引管路の洗浄プログラムが標準搭載されているメーカー(Sironaの一部機種など)は、治療ごとの衛生管理が容易です。また最近のユニットでは口ゆすぎ用の水を温水にする機能(患者に優しい)や、水回り配管の除菌装置、使い捨ての汚染防止カバーなど衛生性を高める工夫が見られます。さらに、表面材質もチェックポイントです。スムーズで継ぎ目の少ない表面や取り外して滅菌できるパーツ(シリンダーカバーやスピットン受け皿など)があると清掃がしやすく感染予防に役立ちます。日々の清掃・メンテナンスの手間を減らし、清潔な状態を保てるユニットを選ぶことは、院内感染防止と機器寿命の延長につながります。

以上のポイントを踏まえ、次章では具体的なメーカーごとの特徴を見ていきます。まずは主要メーカーの概要を比較した一覧表を示し、その後に国内メーカー、海外メーカー各社の詳細を解説します。

歯科ユニット主要メーカー比較表

代表的な国内・海外メーカーの特徴をまとめました。価格帯はあくまで目安(標準的な新規購入時の想定額)で、機種や構成により変動します。

メーカー (ブランド)本社所在価格帯 (目安)保証期間 (目安)特徴・強みの概要
モリタ (MORITA)日本中~高価帯 (300万〜800万円程度)約3年 (延長プランあり)国内最大手。高品質で耐久性◎。人間工学設計に優れ患者の快適性が高い。導入実績多数で信頼性とサポート網も万全。
ヨシダ (YOSHIDA)日本中価帯 (200万〜600万円程度)部品保証5年 (標準)国内大手。空間に合わせ柔軟に設計できる一体型キャビネットタイプなど独自性。24時間サポートや全国対応でアフターも安心。
タカラベルモント (Belmont)日本中~高価帯 (250万〜700万円程度)約2〜3年 (延長プランあり)老舗メーカー。スタイリッシュなデザインと機能美が特色。無駄を削ぎ落とした洗練デザインと信頼の国内サポートを両立。
ジーシー (GC)日本中価帯 (250万〜600万円程度)約2年 (延長サポート契約可)歯科材料大手。広い可動域や多彩な内蔵機能を持つ「和-なごみ」などコスパ良好なユニットを提供。サポートパック加入で長期保証も可能。
ナカニシ (NSK)日本低~中価帯 (※製品により異なる)約1〜3年 (製品により異なる)ハンドピース世界大手。訪問診療用のポータブルユニット「VIVAシリーズ」が有名。軽量コンパクトで外来同等の治療環境を提供。
A-dec (アーデック)アメリカ高価帯 (300万〜800万円程度)5年 (定期点検条件付き)世界的トップブランド。耐久性・信頼性抜群で5年包括保証を提供。静音で動作が滑らか、長期間故障が少なく維持費も低め。
KaVo (カボ)ドイツ高価帯 (300万〜700万円程度)約2年 (製品により異なる)ドイツの老舗。精巧な作りと高性能で定評。強力な吸引や幅広い昇降範囲など機能充実。自社ハンドピース等との連携もしやすい。
Planmeca (プランメカ)フィンランド中~高価帯 (250万〜700万円程度)約2年 (製品により異なる)北欧発の先進メーカー。デザイン性が高くカラーバリエ豊富。デジタル機器連携やソフトウェア対応に優れ、技術革新に積極的。
Sirona (シロナ)ドイツ (米国)高価帯 (300万〜800万円程度)約2〜3年 (延長プランあり)グローバル大手(デンツプライシロナ)。ハイエンド機種は高度なデジタル機能搭載で治療効率◎。衛生管理機能も充実しプレミアム感。
FONA (フォナ)欧州 (スロバキア他)中価帯 (200万〜400万円程度)約1〜2年元シロナ傘下の国際ブランド。シンプルで扱いやすいモデルを提供。基本性能を押さえつつ価格が比較的手頃で、海外製として導入しやすい。
Runyes (ランイエス)中国低~中価帯 (100万〜300万円程度)約1年 (販売代理店による)中国の新興メーカー。低価格帯で必要十分な機能を備える。コスト重視の開業や増設に採用例あり。サポートは代理店体制要確認。
Fimet (フィメット)フィンランド中価帯 (200万〜500万円程度)約2年フィンランドのメーカー。モダンなデザインとデジタル対応を低コストで提供。サイズや仕様のカスタマイズ性も高くコストパフォーマンス良好。

※上記の価格帯・保証期間は代表的な目安です。実際の製品や契約内容により異なりますので、詳細は各メーカーや販売代理店に確認してください。

国内の主要な歯科ユニットメーカー

まず、日本国内メーカーの特徴と代表的な製品を紹介します。国内メーカーは日本のクリニック事情を熟知しており、きめ細かなサポートと安定した品質が強みです。

モリタ (株式会社モリタ)

モリタは日本を代表する歯科機器メーカーで、ユニットの国内シェアが高く導入実績もトップクラスです。高品質な製品づくりに定評があり、多くの歯科医院で「モリタのユニットなら間違いない」と信頼を集めています。価格帯はやや高めですが、それに見合う耐久性とサポートの充実度があります。

製品特徴

モリタの最新フラッグシップモデルとして知られる「シグノ T500」は、人間工学に基づいた設計で患者が治療中も自然で安定した姿勢を保てるのが特徴です。背もたれを倒しても体圧が分散され違和感なく支えられる独自構造のシートを採用し、昇降時の衝撃を抑える「ショックレス機構」も搭載しています。チェアの最低位が約400mmと低く設定できるため、小児や高齢の患者でも乗り降りがしやすい点もポイントです。また動作音や振動が静かでスムーズなため、患者さんに安心感を与えます。カラーバリエーションも複数用意され、クリニックの内装に合わせて選べます。

サポート・保証

モリタは全国にサービス拠点と技術スタッフを抱えており、故障時の対応が迅速です。部品在庫も豊富で、万一トラブルがあっても72時間以内に必要部品を供給できる体制と言われています。標準保証は数年程度ですが、長期保守契約のプランもあります。長く使える堅牢さにも定評があり、「10年以上稼働しても主要部品交換はシリンダー程度」というケースもあるほどです。国内最多の導入実績に裏打ちされた信頼性・安心感がモリタの大きな魅力です。患者の快適性を最重視しつつ、クリニックとしても長期的に運用コストを抑えたい場合に最有力候補となるメーカーです。

ヨシダ (株式会社ヨシダ)

ヨシダもモリタと並ぶ国内大手の歯科機器メーカーです。全国の歯科ディーラー網と24時間体制のサポートデスクを持ち、ユーザーサポートの手厚さに定評があります。製品はミドルクラスの価格帯が中心で、開業時にも導入しやすいメーカーです。

製品特徴

ヨシダが提供するユニットの代表に「ユニット Type C」があります。これはキャビネット一体型デザインを特徴としており、ユニット本体と収納キャビネットが一体化することで診療空間を自由にレイアウトできる点が魅力です。モニターやパソコン、タブレットなどのデジタル機器を配置しやすい設計になっており、必要な器具類をユニット上に効率よく配置できます。パーテーション(仕切り)の高さや収納棚も複数のバリエーションから選択でき、クリニックのスペースや動線に合わせてオーダーメイド感覚で組み合わせ可能です。またシート・クッションやカバーのカラーも非常に豊富で、組み合わせは1000通り以上になるため、院内デザインにこだわる医院にも好評です。コンパクトに見えますが基本機能は充実しており、限られたスペースを有効活用したいクリニックにとって最適なユニットと言えます。

サポート・保証

ヨシダは主要パーツに5年保証を付与しており、耐久性にも自信を示しています。日常点検やメンテナンス面では、ユーザー向けにチェックリストを公開して安全に長く使えるよう呼びかけています。実際、ヨシダでは歯科用ユニットの耐用期間を「製造から10年間(適切な保守点検実施が条件)」と明示し、10年以上経過したユニットは部品供給の終了や思わぬ故障のリスクがあるため注意喚起をしています。こうした情報公開からもメーカーとしてユーザー安全を重視している姿勢がうかがえます。サポート体制は国内トップクラスで、24時間電話相談や全国どこでも迅速な修理を受けられる安心感があります。初めてユニットを導入する開業医にもわかりやすく手厚いフォローをしてくれるため、サポート重視で選ぶならヨシダと言われるほどです。

タカラベルモント (タカラベルモント株式会社)

タカラベルモント(Belmont)は美容業界でも有名な老舗メーカーで、理美容椅子の技術を生かした歯科ユニットでも知られています。海外展開も積極的で、グローバルに見ても評価の高い日本ブランドの一つです。製品は中〜高価格帯ですが、その分デザイン性と品質に優れています。

製品特徴

タカラベルモントの代表的なユニット「CIERTO(シエルト)」は、「高い機能性と美しさ(CIERTOはスペイン語で“真実・本物”の意)」をコンセプトに、無駄のないスタイリッシュなデザインと使い勝手を追求したモデルです。大きな特徴の一つはフットステップ(足置き段差)が無い構造で、患者さんが椅子に乗り降りしやすいよう配慮されています。チェアを倒した際には、自動で足先まで支えるレッグレストがせり出し、患者さんの脚をしっかり支えるので安定した姿勢で治療を受けられます。また、洗口用のボウル(スピットン)は回転可動式で患者の口元近くまで動かせるため、無理なくうがいができ水はねも少なく衛生的です。医師の使う器械テーブル(デリバリー)周りも工夫されており、必要な機材を手元に置いたまま治療が進められる設計です(機材トレイは最大荷重1kgfに対応し、ある程度重い機器も載せられる)。こうした患者・術者双方に優しい設計により、治療効率と患者の快適性を高いレベルで両立しているユニットです。加えて、洗練された曲線美のあるデザインはクリニックに高級感を与えます。

サポート・保証

タカラベルモントも国内メーカーらしく、販売店経由の現地訪問サポートや電話相談などサポート体制はしっかりしています。保証期間は標準的ですが、定期点検契約や延長保証にも対応しています。同社のユニットは美容・理容椅子で培った技術から耐久性や可動部の滑らかさにも定評があります。海外にも多数導入実績があり、国外含めた豊富なフィードバックを製品改良に活かしている点も強みです。デザインと実用性のバランスが良く、「見た目にもこだわりたいが機能も妥協したくない」という医院にとって有力な選択肢となるメーカーです。

ジーシー (株式会社ジーシー)

GC(ジーシー)は歯科材料メーカーとして世界的にも有名ですが、歯科用ユニット事業にも参入しています。同社のユニットは「EOM(イーオーエム)」シリーズと称され、比較的新しいながら注目されています。価格帯は中程度で、多機能ながらコストパフォーマンスに優れる点を打ち出しています。

製品特徴

GCの代表ユニット「EOM 和 - なごみ」は、その名のとおり和やかさ・調和を意識したコンセプトで、幅広い可動域と多彩なツール統合が特徴です。チェアのアームが大きく動く設計で、12時位(患者頭側正面)から9時位(側方)まであらゆるポジションでの診療や説明に対応できます。患者さんの乗り降りもしやすく、ユニット側から器具を大きく遠ざけることができるため患者の視界に器具が入らないように配慮することも可能です。搭載できる器具類も豊富で、エアタービン、マイクロモーター、超音波スケーラーなど用途に応じて選択して取り付けられます。さらには歯面清掃用のエアフロー装置(エアパウダー噴射によるクリーニング)も初めから内蔵されています。必要に応じて1台で様々な診療スタイルに使い回せる柔軟性があり、予防から治療、説明までこれ1台でこなせる高機能ユニットです。可動域が広い分、省スペース設計というよりはゆとりのある空間で威力を発揮しますが、複数ユニットを置けない小規模院で1台に多機能を求める場合にも適しています。

サポート・保証

GCは全国の営業所・代理店がサポートを担います。電話・メール相談はもちろん、必要に応じ現地訪問での対応も行っています。さらに有償ですが「安心サポートパック」という保守プランに加入することで、定期点検やトラブル対応をパッケージ化し長期の保証延長も可能です。まだユニット事業の歴史は浅いものの、歯科業界での信頼が厚いGCブランドだけにアフターサービスにも力を入れているようです。製品も耐久試験などしっかり行われており、重量約150kgと大型ながら堅牢な作りです。多様な診療に対応できる「オールインワン性能」と国産メーカーの安心感を兼ね備え、導入クリニックからは「機能の割に価格が抑えめで良い」という評価も聞かれます。

ナカニシ (株式会社ナカニシ NSK)

ナカニシは高速回転のハンドピースやモーター等で世界トップシェアを持つ日本企業ですが、歯科ユニット本体においては訪問診療用ポータブルユニットで知られています。固定式の診療チェアは製造していませんが、高齢化社会に伴う在宅・施設への歯科診療ニーズ増加を背景に、ナカニシのポータブルユニットは多くの歯科医が活用しています。

製品特徴

ナカニシの「VIVA ace(ビバエース)」シリーズは、スーツケース型のケースに歯科治療に必要な機器を詰め込んだ訪問歯科診療ユニットです。コンパクトなボディにマイクロモーター、超音波スケーラー、3ウェイシリンジ、バキューム(吸引)などを内蔵し、電源さえ確保すれば診療室とほぼ同じ環境で治療が行えます。吸引力も強化されており、従来の往診用機器では難しかった吸引・注水も安心して行えます。本体は軽量設計で女性でも持ち運びやすいよう工夫され、訪問先での設置も簡単です。まさに「患者さんのいる場所がそのまま診療室になる」を体現した製品で、通院困難な高齢者や障がい者への歯科医療提供に不可欠な存在です。新モデルのVIVA ace 2ではさらなる機能強化が図られ、ハイパワーモーターでの処置や吸引性能向上によりほとんど医院内と変わらない治療が可能となっています。

サポート・保証

ナカニシの製品保証は種類によりますが、一般に1〜3年程度です。訪問診療機器についても定期メンテナンスやオーバーホールが必要になるため、購入時にしっかり説明を受けておくと良いでしょう。全国に販売代理店やサービス拠点があり、修理やオーバーホール時にはメーカー送り対応になりますが、代替機貸出等も相談できます。固定ユニットとは性質が異なりますが、訪問診療を視野に入れる医院にはナカニシのVIVAシリーズは事実上の標準と言えるほど広く普及しています。なお、ナカニシは動物病院向けの小型ユニットも開発しており、技術力の高さが伺えます。往診用ユニットをお探しの場合は真っ先に検討すべきメーカーでしょう。

※国内メーカーではこの他に長田電機工業(オサダ)やササキ、ヨシダと資本提携する吉田精工などもユニットを製造していますが、本記事では主要5社に絞って紹介しました。

海外の主要な歯科ユニットメーカー

続いて、海外メーカーの歯科ユニットについてです。海外製品は最新の技術や独自のデザインを持つ一方、日本国内でのサポート体制や価格変動に注意が必要です。ここでは代表的な海外ブランドとその特徴を見ていきます。

A-dec (アーデック)

A-decはアメリカ・オレゴン州に本社を置く世界最大級の歯科ユニットメーカーです。創業以来「シンプルで信頼性の高い歯科機材」を追求し、多くの国でトップシェアを誇っています。日本国内ではIvoclar Vivadent社が総代理店となり販売・サポートを行っています。価格帯は高めですが、とにかく壊れにくく長持ちすることで知られ、設備を長期投資と考える医院から選ばれています。

製品特徴

A-decユニットの特筆すべき点はその優れた耐久性と信頼性です。「航空母艦内でも使用されるほど頑丈」とも言われ、過酷な環境下でも動作するタフさがあります。具体的には故障の少なさ・高耐久性にフォーカスして開発されており、日常診療で酷使しても頻繁な修理が不要になるよう設計されています。加えて、人間工学に基づくデザインで長時間の治療でも術者・患者双方に負担がかかりにくい作りです。例えばA-decのハイエンドモデル「A-dec 500」チェアはシートの形状やアームの動きが滑らかで、患者の体を優しく包み込むような座り心地と評判です。また動作音・振動も極めて抑えられており、小児歯科などで子供が怖がりにくい静かなユニットとしても好まれます。基本性能に加え、ライトやアームの動線も洗練されていて治療効率を高める工夫が随所にあります。

サポート・保証

A-decのもう一つの大きな特徴は一律5年保証という長期保証制度です。所定の定期点検を受けることを条件に、設置日から5年間はA-dec社製チェア・ユニット本体(※ハンドピース等消耗品は除く)の不具合について無償修理が保証されます。加えて、日本国内では東京駅から半径100km圏内であれば部品代・技術料・出張費すべて無料(それ以外の地域でも2年目以降5年目までは出張費のみ請求)という手厚いサポートを展開しています。このように導入後のランニングコストを極力抑える体制が整っているため、「初期費用は高くても長く安心して使いたい」「頻繁なダウンタイムは困る」という医院には最適な選択肢です。なおサポート窓口は基本英語となる場合もありますが、代理店経由で日本語対応が可能です。総じてA-decは耐久性とアフターサポート重視のクリニックにおすすめの海外メーカーです。

KaVo (カボ)

KaVoはドイツに本拠を置く老舗歯科メーカーで、ハンドピースやユニット、レイザー機器など幅広く製品展開しています。近年は経営統合により「カボデンタルシステムズジャパン」として日本法人があります。カボのユニットはドイツらしい精巧な造りと先進技術の採用で、高品質志向の歯科医から支持されています。

製品特徴

カボの代表モデルには「エステチカ E30」などがあります。特徴として、各機能の性能が一つ一つ高い水準であることが挙げられます。例えばユニット付属のバキューム(吸引装置)の吸引力が非常に強力で、唾液や水滴の飛散を最小限に抑え感染リスク軽減に役立ちます。またチェアの昇降範囲が最低位350mm〜最高位830mmと非常に広く、小柄な患者から長身の患者まで、さらには立位での処置にも対応できる柔軟性を持ちます。チェア可動の滑らかさやポジション微調整の精密さもカボならではです。オプション機能も多彩で、表面を滑らか加工にして清掃性を高めるオプションや、注水スプレー・うがい水を温水化して患者の刺激を和らげる機能などがあります。さらに、カボ製のハンドピースや器械を使用している場合、ユニットとの親和性が高く統合コントロールがしやすいというメリットもあります(タービンの光のON/OFF連動など細かな制御が可能)。全体として妥協のない技術力と精度の高さが感じられるユニットであり、「使っていて気持ちが良い」「細部まで作りがしっかりして長年狂いが生じにくい」という評価があります。

サポート・保証

カボは日本法人があるため、基本的なサポートは国内で受けられます。保証は機種にもよりますが標準2年程度で、延長保証サービスも用意されています。ドイツ製ということで部品は輸入になりますが、日本倉庫に主要パーツをストックしているため通常の修理対応はスムーズです。ただ最新機能については日本人スタッフへの引き継ぎが十分でないケースもあり、導入時にはしっかりトレーニングを受けることが推奨されます。とはいえ、カボは古くから日本市場に入り込んでおり、歯科大学や大型病院などでの導入実績も豊富です。精密な機器を長く大事に使いたいというドクターには満足度の高いメーカーでしょう。なお現在カボは一部製品でフィンランドのPlanmeca社と提携し販売しているため、「カボ・プランメカ ジャパン」として両ブランド製品を扱う場合もあります(次項参照)。

Planmeca (プランメカ)

Planmecaはフィンランドの歯科機器メーカーで、ヨーロッパを中心に高い人気を誇ります。特にデジタル歯科機器(3DスキャナーやCAD/CAM)との統合やソフトウェア開発に強みがあり、近未来的な歯科ユニットを作るメーカーという印象です。日本ではKaVo社が代理店的に販売協力している関係で、「KaVoプランメカ」として紹介されることもあります。

製品特徴

プランメカのユニットはまずデザイン性の高さが目を引きます。シンプルかつ洗練された北欧デザインで、豊富なカラーリングから選択できます。クリニックのイメージカラーに合わせてピンクやグリーン、ブルーなど大胆な色を採用している医院も海外では多く、待合室から治療室まで一貫したおしゃれな空間を演出できます。代表的な機種には「Planmeca Compact i5」や上位の「Planmeca Sovereign」などがあります。機能面ではデジタル技術との親和性が素晴らしく、例えばユニットに接続したタブレットやPCで患者情報や画像を管理・表示したり、チェアの動きやライトをプログラム制御する、といったことが可能です。Planmeca Sovereignの場合、ユニットに内蔵コンピュータが搭載されており、ユニット全体を診療のデジタルハブとして活用できます。また衛生面でも自動洗浄機構「Planmeca Waterline Maintenance」や、タンク内の水を常にクリーンに保つシステムなど最先端です。さらにチェアそのものにもユニークな特徴があり、眼科検査の椅子のように回転・傾斜する独自チェアを持つモデルもあります。これは患者を座らせたまま真横に90度回転させて下顎位の手術をしやすくする等、専門分野向けの機能です。総じてプランメカは「未来志向のハイテクユニット」と言える存在で、デジタル歯科や効率化に関心の高いクリニックに適しています。

サポート・保証

プランメカは日本での専任代理店がカボ社となっているため、サポートもカボの窓口を通す形になります。保証期間は2年前後で、延長や保守契約オプションがあります。ソフトウェア面のアップデートなどIT要素が多い分、導入後のサポートはやや専門的になりますが、日本語マニュアルや講習も用意されています。部品調達はEUからになるため、大型部品の交換には時間がかかるケースもありますが、計画的なメンテでカバーできる範囲です。Planmecaのような尖った技術のユニットは、クリニックの先進性をPRするのにも有用で、「最新の設備を使っている」という安心感を患者に与えるメリットもあるでしょう。

Sirona (シロナ, デンツプライシロナ)

Sironaはドイツ発祥の歯科機器メーカーで、現在はアメリカの歯科材料大手デンツプライ社と合併しデンツプライシロナとなっています。世界初のデジタル印象システム「CEREC」を開発したり、CTやレーザーなど幅広く手掛ける総合メーカーです。ユニット(治療用チェア)に関してもプレミアムクラスの「トリートメントセンター」と呼ばれる製品群を展開し、高価格帯ながら卓越した性能で知られます。

製品特徴

Sironaの歯科ユニットは「快適性と先進技術の結集」と言える存在です。代表例として「TENEO (テネオ)」や「SINIUS (シニアス)」などが挙げられます。TENEOは同社の最上位モデルで、患者体格に合わせ自動調整する電動ヘッドレスト、治療ポジションをワンタッチで呼び出すプログラム機能、チェアに座ったままカウンセリングが可能なマルチメディアシステムなど、あらゆる面で最高級を追求したユニットです。またマッサージ機能付きシートヒーターやエアー駆動ヘッドレストなど患者サービスの面でもトップレベルの装備を持っています。SINIUSは次世代の標準モデルという位置付けで、効率と患者快適性を両立する設計です。例えばチェア側方のドクターユニット(器具台)が240度回転して最適位置に調整できたり、2人掛かり治療・1人治療のどちらにも対応できるようアシスタント側の設計自由度が高かったりします。さらに衛生面でも自動給水ライン洗浄や常時除菌システムを備えており、治療終了後にボタン一つで内部配管の洗浄が完了するなど画期的です。シロナのユニットは先端デジタル機器との統合も念頭に置いて作られており、例えばCERECなどの機器とシームレスに連携して治療を進めることもできます。まさに「高価だがその価値は十分ある」ユニットと言えるでしょう。

サポート・保証

Sirona(デンツプライシロナ)の場合、日本法人が直接販売・サポートを行っています。保証は基本2年ほどですが、保守契約次第で延長可能です。特徴的なのは24時間対応のコールセンターを設けている点で、急なトラブルにもまずは電話で専門スタッフが対応してくれます。また全国主要都市にサービス拠点があり、必要な場合は当日〜翌日中にエンジニアが駆けつける体制をとっています。部品についても高頻度交換が予想される消耗パーツは日本に在庫を持っているため、プレミアム機種ながらダウンタイムを短く抑える工夫がされています。ただし最新機能になるほど精密で修理に時間がかかるケースもあるため、診療計画には余裕を持たせておくと安心です。シロナのユニットは費用対効果で見ると簡単に元が取れるものではありませんが、患者体験の向上や医院の差別化という観点では大きなリターンを期待できます。特にインプラントや高度自費治療を提供するクリニックが導入すれば、設備力をアピールできるでしょう。

FONA (フォナ)

FONAはヨーロッパ発の歯科ブランドで、一時期Sironaグループの傘下にあったことからSironaのテクノロジーを継承した製品も展開していました。現在は独立し、主にイタリアやスロバキアを拠点に活動しています。FONAは「グローバルに手の届く歯科機器」を掲げ、東欧やアジアを中心に比較的安価なユニットでシェアを伸ばしています。

製品特徴

FONAのユニットは必要十分な機能をコストパフォーマンス良く提供することを主眼としています。例えば「FONA 1000シリーズ」は標準的な歯科用チェアに求められる基本機能(チェア昇降・リクライニング、LEDライト、3ウェイシリンジ、タービン&モーター用配管、簡易操作パネルなど)をしっかり備えながら、上位ブランドに比べシンプルな構造にすることで価格を抑えています。外観デザインも奇をてらわずオーソドックスで、多くのクリニックに馴染むスタイルです。ただし上位機種に見られるような特殊機能(例えば自動洗浄や複雑なプログラムポジション、タッチパネル制御など)は省かれていることが多いです。しかし堅実な機械構造を持っており、日常診療では大きな不満なく使えるでしょう。ある意味、「高級車ではなく大衆車的」な位置付けのユニットといえます。FONAはまたエックス線撮影装置やセンサーなどイメージング機器も製造しており、クリニック全体の機材をトータルに揃えるパッケージ提案も得意としています。

サポート・保証

FONAは世界100ヶ国以上にディーラー網がありますが、日本ではまだ導入例が少ないためサポート体制は代理店次第の面があります。保証期間は標準で1〜2年程度です。ヨーロッパ製ですが組み立てはスロバキア工場などで行っており、品質管理もISO準拠でしっかりしています。部品供給も本社経由で比較的スムーズとの報告があります。Sirona譲りの技術も随所に使われているため、信頼性は価格以上との声もあります。日本市場では知名度が低いため、導入の際はサポート窓口やメンテナンス方法について事前によく確認する必要があります。ただ、予算を抑えつつ欧州系のユニットを使ってみたいという医院には、FONAは穴場的な選択肢になるでしょう。

Runyes (ランイエス)

Runyesは中国の寧波市に本社を置く歯科医療機器メーカーです。中国国内はもとより海外輸出も盛んに行っており、ユニットだけでなく滅菌器やデジタルスキャナーまで開発する総合メーカーです。低価格帯で世界市場を攻略しつつあり、日本でも一部の医院が導入し始めています。

製品特徴

Runyesの歯科用ユニットは価格の割に充実した機能が売りです。例えば「Runyes Care-11」というユニットはモニターアームやLEDライト、タービン・モーター用ホース、セラミック製スピットン、大気圧水質浄化システムなどを標準装備しながら、価格は中国国内向け基準で非常に抑えられています。全体的なデザインは欧米メーカーを参考にしており、ぱっと見で中国製と分からない洗練さも出てきています。また、電装系に日本や台湾メーカーの部品を使用するなど品質向上の工夫も見られます。基本性能は十分確保しつつ付加機能を簡略化することで、初期導入コストを大幅に下げる戦略です。特に新興国市場では「必要最低限で良いから安いユニットを」というニーズが高く、Runyesはそうした層に支持されています。一方、日本の開業医が注目する点として、例えば100万円台で新品ユニットが手に入る可能性があることです。国内メーカーの新品が難しい予算の場合、Runyes製なら新品導入できるケースもあります。

サポート・保証

Runyes製品を日本で導入する場合、信頼できる販売代理店から購入することが不可欠です。保証やアフターサービスは代理店経由となりますが、近年日本国内にも代理店ができ始めています。保証期間自体は1年程度と短めなので、初期不良対応以降は有償修理を見込んでおく必要があります。また部品調達も中国からになりますが、グローバルに展開しているだけに比較的迅速という話もあります(もちろん代理店の在庫状況によります)。Runyesはとにかく導入コストを抑えたいクリニックやサブユニットとして安価な台数増設をしたい場合に検討されることが増えています。品質面では一昔前の「安かろう悪かろう」とは異なり、実用充分との評価もあります。ただ長期耐久性や細かな仕上げでは一流メーカーに及ばない面もあるため、価格とリスクを理解した上で導入することが重要です。

Fimet (フィメット)

Fimetはフィンランドの歯科ユニットメーカーです。1970年代創業と比較的歴史があり、北欧や欧州でコストパフォーマンスに優れたユニットとして知られています。規模は大きくありませんが、独自のデザインと柔軟な製品構成で根強い人気があります。

製品特徴

Fimetのユニットは必要な機能をカスタムで選び取れる柔軟性が特徴です。同社の代表モデル「Fimet F1」はモジュール式の設計となっており、クリニックの要望に応じてユニットの構成を細かく調整できます。例えば、天井からライトを吊り下げるかユニット一体型ライトにするか、モニターアームを付けるか否か、フットコントローラーをワイヤレスにするか有線にするか、といったオプションを自由に組み合わせ可能です。こうしたセミオーダーメイド感覚で設計できる点がユーザー受けしています。機能面でも最新の潮流を取り入れており、タブレットでユニットを制御するシステムや、治療ポジションをプログラム登録する機能、消毒・衛生プログラムの搭載など上位機種に迫るものがあります。一方で価格は大手メーカーより低めに設定されており、「質実剛健で手頃な北欧ユニット」という立ち位置です。デザインも北欧らしくシンプルで、診療チェアも背もたれからフットレストまで連動して滑らかに動く機構を持ちつつ、極端に重厚ではないスリムな印象を与えます。

サポート・保証

Fimetは日本での正式代理店が限られているため、購入時にはサポート契約についてしっかり取り決めることが大切です。保証期間は2年前後が一般的です。同社は製品のシンプルさをアピールしており、構造が複雑すぎないためメンテナンスもしやすいという利点があります。汎用部品も活用しているため、ある程度の故障なら現地技術者で対応可能とも言われます。もっとも、特殊なパーツは本国取り寄せになるので、国外メーカー共通のリスクは残ります。日本国内での知名度は低めですが、既に導入したクリニックからは「コストの割にしっかり使えている」との声もあります。「大手ブランドにこだわらず、自分の診療に合う機能だけ揃えば良い」という合理的な考えの先生にはFimetはフィットするかもしれません。

以上、国内外の主要メーカーについて概要と特徴を解説しました。それぞれ価格やサポート、機能の違いがあることがお分かりいただけたと思います。続いては、具体的な利用シーン(用途)ごとに、どのようなユニットやメーカーが適しているかを考えてみましょう。

歯科ユニットのランキング形式での総合評価トップ5

第1位:モリタ Signo T500

臨床効果

患者の姿勢が自然に保てる設計で、治療時の動揺を低減。

使いやすさ

ショックレス機構で昇降時の衝撃を軽減し、8色以上のカラバリで操作性は高い。

導入性

国内最多の導入実績と全国的なサービス網でサポート体制が充実。

コスパ

価格帯はやや高めながら耐久性もトップクラス(10年経過後もシリンダー交換程度)で長期的にコストを抑制。

患者満足

低位座面(約400mm)で高齢者・小児も楽に乗り降り可能。

自費貢献

高級感のあるポルシェデザイン監修モデルなどブランディング効果が高く、訴求力に優れる。

総合

あらゆる面でバランスが良く、自費診療強化型クリニックに最適。

第2位:タカラベルモント CIERTO

臨床効果

フットステップ無し設計で患者乗降が容易、治療中は自動レッグレストが脚を支え安定感向上。

使いやすさ

薄型背もたれで術者が寄りやすく、器具トレイは1kgまで対応。

導入性

国内生産の安心感と全国サポート網あり、海外での実績も豊富。

コスパ

価格は中~高域(約420万円~)だが、高級志向で患者単価向上に寄与。

患者満足

無駄を排したスタイリッシュなデザインで医院のブランド価値を高める。

自費貢献

27色の張り革展開や機能美で自費患者への訴求力が高い。

総合

デザインと機能性の両立が特徴で「見た目と効率を両立したい医院」向け。

第3位:ヨシダ type C

臨床効果

キャビネット一体型で診療空間を有効活用し、器具・機器配置の自由度が高い。

使いやすさ

1000通りのカラバリで院内に最適化でき、チェックリスト公開によるメンテ呼びかけで長期使用にも安心。

導入性

主要パーツ5年保証と国内トップクラスの24hサポート体制。

コスパ

ミドルレンジ価格(約380万円~)ながら保証内容が手厚く、修理リスクを大幅に削減。

患者満足

シンプルながら洗練されたデザインで、快適性とブランディング効果を両立。

自費貢献

配色・形状の柔軟性によりカウンセリング空間との親和性も高く、患者へのアピール材料となる。

総合

サポート重視の医院に特におすすめ。

第4位:GC EOM 和-なごみ

臨床効果

広範可動域と多機能オールインワン設計で、予防~治療まで幅広い診療に対応。

使いやすさ

チェアアームが大きく可動し、患者の視界に器具が入らない配慮あり。

導入性

全国営業所によるサポート体制と有償保守パックでメンテ対応可能。

コスパ

中程度価格(約480万円~)で、多機能内蔵によりオプション費用を抑制。

患者満足

和の落ち着いたカラーバリエと和モダン設計で高級感があり、患者安心感を醸成。

自費貢献

3年間保証と内蔵機能でランニングコスト低減、予防~治療一台化による効率UPで収益貢献。

総合

機能充実型で小~中規模院の多様なニーズを1台で満たす。

第5位:A-dec 500

臨床効果

米国トップシェアの高耐久設計で、非常に故障が少ない。静音設計のため小児・高齢者も恐怖感が少ない。

使いやすさ

人間工学デザインで術者・患者両者の負担を軽減。

導入性

一律5年保証(定期点検受診でチェア本体無償修理)と、輸入メーカーながら日本国内で部品・技術料無料サポート(半径100km以内)を提供。

コスパ

初期費用は高いが長期利用で投資回収しやすく、故障率の低さがランニングコスト軽減に直結。

患者満足

座り心地が評判で、チェアが身体を包み込む形状が特徴。

自費貢献

信頼性の高さは患者への安心感にもつながり、特に自費治療を重視する医院に好評。

総合

耐久性重視の医院に最適で、自費増・収益改善を長期的にサポートする。

用途別おすすめ歯科ユニット

歯科ユニット選定においては、医院の状況や目的によって最適解が異なります。ここでは、「新規開業」「ユニット増設」「自費診療強化」「訪問診療」の各シーンに焦点を当て、どのような点に注意して機種・メーカーを選ぶべきか、おすすめの考え方を紹介します。

開業・新規開院に適したユニット

新しく歯科医院を開業する場合、限られた予算で必要な機器一式を揃える必要があります。ユニットは開業時の大きな投資項目ですが、診療の要となるため安易に質を落とすのも避けたいところです。

コストバランスを重視

開業時は資金繰りがシビアなため、ユニットもなるべくコストを抑えたいところです。国産大手メーカーの最新上位機種は魅力的ですが高額になりやすいため、中級モデルや廉価ブランドを検討するのも一手です。例えばモリタやヨシダのエントリーモデル、もしくはRF929のような新興メーカーの低価格ユニットは、基本性能を備えつつ価格を抑えています。また前述のFONAやRunyesなど海外のコスト重視ブランドも候補に入ります。ただし海外製格安機の場合はサポート面の不安もあるため、実績を確認しましょう。

必要な機能の見極め

開業当初から高度な特殊診療を行う予定がない限り、必要最低限の機能に絞ったモデルで十分です。例えば、「モニターは後で予算ができたら追加する」「ハンドピースは既存で持っているものを流用する」など工夫次第で初期費用を抑えられます。ユニットの拡張性も確認ポイントで、後からオプション追加しやすいメーカーを選ぶと将来的に助かります。

交渉とセット購入

開業時にはユニット以外にもレントゲン、滅菌器、チェア数台などまとめて購入する場合が多いです。同じメーカーで複数機器をまとめ買いすると値引きやサービスを受けやすくなります。特にユニットを2台以上導入するなら、一括見積りで競合入札を取ると価格が下がりやすいです。また、5年保守込みパックなど長期コスト含めた提案を受け、後々の出費を平準化するのも検討しましょう。

おすすめの考え方

開業時に無理をして超高級ユニットを入れる必要はありません。それより信頼できるメーカーのミドルクラス機を選び、十分なサポートを受けられる方が安心です。例えばヨシダの普及モデルやタカラベルモントの標準モデルは、多くの開業医院で実績があり故障も少なく扱いやすいでしょう。逆に「とにかく初期費用最優先」で中古ユニットを選ぶケースもありますが、耐用年数が短かったり保証が切れていたりするため、3〜4年後に再投資となるリスクもあります。新品でも手の届く価格帯のユニットがありますので、長期のランニングコストも考慮した賢い初期投資を心がけましょう。

ユニット増設・買い替えに適したユニット

すでに歯科医院を運営していて、ユニットを増台したり古いユニットを入れ替えたりするケースです。この場合、開業時とはまた違った視点が必要です。

既存ユニットとの統一性

増設の場合、今使っているユニットと同じメーカー・同シリーズを選ぶと、使い勝手や院内の見た目が統一できるメリットがあります。操作方法が共通でスタッフの戸惑いが少ない、消耗品や付属品が共有できる、修理依頼も同じ窓口で済む等、同一メーカーで揃えるメリットは大きいです。ただし、あえて異なる特徴のユニットを入れて差別化する考えもあります。例えば現行ユニットがベースマウント式なら、2台目はオーバーアーム式にしてみる、など診療スタイルに応じて変えることも検討材料です。

省スペース・特殊用途

増設の場合、既存の院内スペースを有効活用する必要があります。レイアウト上狭い場所に設置するなら、コンパクトなカートタイプユニットやチェア単体で場所を取らないデザインの機種が良いでしょう。例えばヨシダType Cのように収納と一体化して無駄を省いたタイプや、据え置きライトを壁付けにする等の工夫で省スペース化できます。また新たなユニットに役割を持たせるのもおすすめです。例えば「増設ユニットは予防専用チェアにする」「新ユニットは手術もできる仕様にする」等です。予防専用ならシンプルで良いですし、手術用なら拡大鏡や麻酔機を置けるよう広めのスペースを確保するなど選定基準が変わります。

既存ユニットの入れ替え

老朽化したユニットの買い替えでは、現在不便に感じている点を解消できる機種を選ぶことが重要です。たとえば「古いユニットはライトが暗い、位置調整も不自由だった」というなら、LEDライトで可動域の広いものにする、「以前はフットペダルが有線で邪魔だった」というなら無線ペダルの機種にする、など具体的に改善点を書き出して機種比較すると良いでしょう。また入替時は撤去と設置工事が発生するため、クリニックの休診日やスペース確保も考慮が必要です。メーカーによって作業日数が異なるので、工事期間の短い機種・業者もポイントになります。

おすすめの考え方

増設や入替の場合、運用中の医院に馴染むかが大切です。多くの医院では、メインユニット(第1ユニット)で慣れていると、増設ユニットも同じ操作性であることを望まれます。そのためメインと同じメーカーの後継機を採用するケースがよくあります。それによりスタッフ教育も不要でスムーズに使い始められます。一方で、新機能を試すチャンスでもあるので、異なるメーカーにチャレンジして比較してみるのもありです。例えば「ずっと国産だったが増設は思い切って外国製にしてみた」という医院もあります。ただしその場合、前述の統一性の問題も出るため、別ユニットでは別用途(例えば自費専用チェアなど)と割り切ることが大切です。ユニット入替なら、以前の反省点をカバーしつつ最新の利点を取り入れることで、院内環境のアップデートにつながります。

自費診療強化に適したユニット

自費率を高めたい、あるいは高額治療で差別化したいクリニックでは、ユニットそのものを付加価値として活用する戦略があります。つまり「患者に選ばれる快適な椅子」を提供することで医院のブランドイメージを向上させる狙いです。

ラグジュアリーな快適性

自費治療(例えば審美やインプラント、矯正など)を強化するには、患者満足度が重要です。高額な治療を受ける患者さんには、一般的な保険診療とは一味違う特別感を感じてもらうことが信頼や満足につながります。その点で、高級感のあるユニットやチェアは大きな武器になります。例えばモリタのSigno T500やSironaのTeneoは、デザイン性・快適性ともにハイエンドで、座るだけで「おっ」と思わせる存在感があります。革張り調の上質なシート、包み込まれるクッション、低反発素材による身体へのフィット感、こうしたプレミアムチェアは患者の緊張を和らげリラックス効果を生みます。さらにマッサージ機能やシートヒーターがあれば、長時間の治療でも快適に過ごせ、治療への満足度向上につながります。

高機能・高効率

自費治療を積極的に行う場合、ユニットにも高度な診療機能が求められます。例えばインプラント手術では生理食塩水を使った冷却やオペ用ライトがあると便利ですし、根管治療では電動モーターと長さ測定機能が役立ちます。先進ユニットではこうした専用機器を内蔵できるものもありますので、外付けで機材を増やすよりスマートに治療が行えます。また、患者説明にタブレットやモニターを活用する場合、ユニット周りに配線レスで設置できる機種だと見栄えも良いです。デジタル連携が容易なユニットは、例えばその場で撮影したレントゲンや口腔内カメラ映像をユニットの画面に出して説明、といった高度なプレゼンテーションも可能です。これにより患者理解が深まり、高額治療への納得感を得やすくなるでしょう。

医院のブランディング

「設備=サービス品質」という見方をする患者さんも少なくありません。最新で立派な設備があれば、「ここは良い治療が受けられそう」と思ってもらえる効果があります。特に自由診療メインの場合、ホテルのような空間演出やVIP気分を味わってもらう工夫が欠かせません。ユニットは診療室の主役ですから、そこに投資することは医院のコンセプトを体現することにもつながります。例えば矯正専門であれば白やピンクで明るく清潔感のあるユニット、審美歯科ならシャンパンゴールドの高級チェアでエレガントに、インプラント中心なら手術用照明付きの機能的なチェアでプロフェッショナル感を、といったようにターゲット患者層に響く演出を考えましょう。

おすすめの考え方

自費強化には思い切った設備投資も有効です。一台数百万円超のユニットも、患者獲得と治療単価アップに寄与すれば十分回収可能です。前述のSironaやMoritaの他、PlanmecaやKaVoの上位モデルも検討に値します。例えばPlanmecaのカラフルなユニットであれば「最新のヨーロッパ製チェアで治療します」とアピールできますし、SironaのTeneoなら「世界最高峰の治療ユニット導入」として信頼感を高められます。ユニット自体を広告材料にするくらいの発想で、他院との差別化を図ると良いでしょう。また、自費中心の医院ではユニット台数も多すぎず個室診療にすることもあるため、各ユニットを贅沢にスペースを取って配置し、患者プライバシーに配慮するのもポイントです。総合的に、自費路線ではユニットは「患者満足への投資」と考え、できるだけ上質なものを選ぶことをおすすめします。

訪問診療向けユニット

高齢化に伴い、訪問歯科診療(往診)を行うクリニックも増えています。訪問診療では院内の固定ユニットではなく、ポータブルユニットや簡易チェアを用いて出先で治療を行います。

ポータブルユニットの活用

前述したナカニシのVIVA aceなど、スーツケース型に収まるポータブルユニットは訪問診療の必需品です。これはユニットというより持ち運び可能な歯科機材セットですが、用途としては「出張用ユニット」と呼べるものです。訪問診療では患者宅や介護施設で治療を行うため、水道や電源事情も考慮しなければなりません。ポータブルユニットには給水タンク・排水ボトルが内蔵され、バキューム(吸引)やタービン駆動用コンプレッサーも搭載されています。つまりこれ一台で最低限の治療行為が完結します。持ち運びやすさを重視するなら重量やサイズが小さいモデルを、機能充実を求めるならマイクロモーターや光照射器まで付属したモデルを選びます。ナカニシ以外にもNSK以外のメーカー(例:モリタの訪問診療セット、アメリカAseptico社のポータブルユニットなど)もありますので、予算と必要機能に応じて選択しましょう。

訪問専用チェア

ポータブルユニットと併せて、患者さんが座る簡易チェアも必要です。ベッド上で治療する場合もありますが、可能であれば折りたたみ式の携行チェアを持参すると治療姿勢が安定します。最近では電動で高さ調節できる訪問診療チェアも販売されています(ただし重量があるため車での運搬前提)。人力で運ぶならアルミ製の軽量リクライニングチェアが現実的です。チェアが難しい場合は車椅子や介護用リクライニング車椅子を代用することもあります。訪問診療のユニット選びとしては、「いかに短時間で設置でき、撤収できるか」がポイントです。準備に手間取ると訪問スケジュールに支障をきたすため、シンプルな構成が望ましいです。

在宅診療との両立

普段は院内診療がメインだが、時折訪問診療もするというスタイルの場合、院内ユニット+訪問用ポータブルの両方を持つことになります。この際、ポータブルユニットは必要なときだけ取り出す形で良いですが、コンプレッサーの騒音などに注意です。施設内や患者宅でコンプレッサー音が大きいと迷惑になる場合がありますので、防音ケースを使ったり静音モデルを選ぶと良いでしょう。また電源が取れない場面ではバッテリー駆動の機種が便利です。事前に充電しておけば電源無しでも一定時間使用できます。

おすすめの考え方

訪問診療向けには、何と言ってもナカニシ(NSK)のポータブルユニットが信頼性・機能性で抜きん出ています。多少価格は張りますが(数十万円程度)、吸引力やモーター性能が高く、訪問先でも院内と遜色ない治療が可能です。予算が厳しければもう少し簡易な国内メーカー製や、中国製の携行ユニットもありますが、耐久性や安全面では実績ある製品をおすすめします。訪問診療を本格的に展開するなら、ポータブルユニットは2セット以上用意しておくと安心です(万一の故障時や複数スタッフで同時訪問時に対応できるため)。ユニットと合わせ、携行品(ミラーやバキュームチップ等)の在庫管理や消毒体制も整えておきましょう。医院の中だけでなく、患者さんの元へ“ユニットごと出向く”という発想で、機材を準備することが大切です。

以上、シーン別に適したユニット選定のポイントを見てきました。それでは最後に、歯科ユニット選びに関してよくある質問と、選定時にチェックすべき事項をまとめます。

歯科ユニット選定チェックリスト

最後に、歯科ユニットを選ぶ際に確認・検討しておきたいポイントをチェックリスト形式でまとめます。複数の候補を比較する際などにお役立てください。

診療方針との適合

自院の診療科目や将来展望を踏まえ、ユニットに求める機能を書き出しましたか?(例:外科処置が多い→外科用機能重視、予防中心→シンプルでOK 等)

レイアウトとサイズ

診療室のスペースに対してユニットの寸法・設置方式は適切ですか?複数台配置する場合に作業導線を確保できますか?

価格と見積もり

希望のユニット一式の価格(本体+付属品+工事費)は予算内に収まっていますか?複数メーカーで総額見積もりを比較し、コスト交渉は行いましたか?

保証内容

標準保証期間と範囲(どの部品が何年保証か)を確認しましたか?延長保証や保守契約のオプションがある場合、その費用対効果も検討しましたか?

アフターサポート

故障時の連絡先や対応手順を把握しましたか?メーカー/代理店のサービス拠点が近隣にありますか?代替機の用意や修理期間の目安も確認しましたか?

耐久性・信頼性

候補ユニットの口コミや導入事例を調べ、故障しやすい箇所やトラブル例を把握しましたか?耐久テストやメーカーの信頼度も考慮しましたか?

操作性

実機またはデモ機に触れ、チェア操作パネルやフットペダル、アーム可動範囲など操作性を確認しましたか?スタッフ全員が扱いやすいと感じるか意見を聞きましたか?

患者の視点

ユニットに座った際の患者目線で、快適性や圧迫感、恐怖感の有無をチェックしましたか?(実際にスタッフ同士で座り心地を試すなど)

デザインと清掃

ユニットの色・デザインは院内の雰囲気にマッチしていますか?表面の材質やクッションの質感は高級感があるか、清掃しやすい形状かも確認しましたか?

衛生対策

給水ラインや吸引ラインの洗浄システムは搭載されていますか?取り外して洗えるパーツ(スピットンボウル等)はありますか?衛生面で不安は無いかチェックしましたか?

拡張性

将来的に増設予定の機器(モニター、カメラ、周辺機器)があれば、そのユニットに取り付け可能か、スペースは足りるかを確認しましたか?

納期と工事

注文から納品までの期間は許容範囲ですか?開業日やリニューアル日に間に合うスケジュールをメーカーと共有しましたか?工事当日の院内準備も検討しましたか?

訪問診療対応

(訪問診療を行う場合)ポータブルユニットや簡易チェアの準備は万全ですか?車への積載や機材の運搬方法まで具体的にイメージできていますか?

以上のポイントを一つ一つチェックしながら、最適な歯科ユニットを選定してください。焦らず比較検討することで、納得のいく設備投資ができるはずです。

ユニット選びに関するよくある質問(FAQ)

Q: 歯科ユニットの新品価格はいくらくらいしますか?

A: 一般的な新品の歯科用ユニットは、標準的な仕様で200万〜500万円前後が相場です。ただし機種のグレードやオプション追加によって価格は増減します。シンプルな低価格モデルなら100万円台で買えるものもありますし、ハイエンドのフルオプションモデルでは800万〜1000万円に達するケースもあります。価格交渉の余地もあり、一括購入や複数台導入なら割引されることもあります。また据付工事費や古いユニットの撤去費も発生しますので、見積もり時にトータルで確認することが大切です。

Q: ユニットは何年くらい使えるものですか?耐用年数は?

A: 法律上の減価償却目安である法定耐用年数は7年と定められています。しかし実際の使用可能期間はメンテナンス次第で10年以上になることも珍しくありません。多くのメーカーが「製造から10年程度」を耐用期間としています。適切に保守点検を行い消耗部品を交換していけば、15年近く使われている例もあります。ただし経年劣化で思わぬトラブル(部品脱落や油圧漏れ等)が生じるリスクも高まるため、10年を超えたあたりで買い替えを検討する医院が多いようです。またメーカー側も販売終了から一定期間(例えば7〜10年)を過ぎると修理部品の在庫がなくなりサポート終了となる場合があります。安全面・経済面を考慮し、ユニット導入後は7〜10年を一つの目安としておくと良いでしょう。

Q: 国産ユニットと海外製ユニット、どちらが良いのでしょうか?

A: 一長一短あります。国産メーカーの利点は、国内にサービス網や部品在庫があり、故障時の対応が迅速であること、言語の問題がないこと、そして日本の診療スタイルに合った細かな配慮(狭い診療室にも置けるサイズ設計や、日本人患者の体格に合わせた寸法など)があることです。品質も高く安定しています。ただ、価格が海外製に比べて割高になりがちな点がデメリットです(同等スペックなら1〜2割ほど高いとも言われます)。一方、海外製ユニットの利点は、最新のデザイン・テクノロジーを取り入れていること、独創的な機能やデジタル連携など先進的な装備が多いこと、そして場合によっては国産より安価に導入できるモデルもあることです。デメリットとしては、故障時に部品取り寄せに時間がかかったり、サポートが代理店経由でワンテンポ遅れたりする可能性があること、製品によっては取扱説明が全て英語だったりすることが挙げられます。ただ、大手海外メーカー(A-decやSirona等)は日本法人や総代理店が手厚い対応をしているので、大きな不自由は感じないという声もあります。まとめると、安全・安心の国産か、個性と先進性の海外製かで迷ったら、予算と欲しい機能で比べてみると良いでしょう。サポート重視なら国産、尖った機能やデザイン重視なら海外製、といった選び方も一つです。

Q: 中古のユニットを導入するのはアリですか?

A: コスト面では中古ユニットの導入は大きな節約になりますが、いくつか注意点があります。まず中古の場合、メーカー保証がすでに切れているため基本的に故障時は自己負担になります。また耐用年数が残り少ない可能性もあり、短期間で再度買い替えとなれば結果的に割高になることも。さらに、中古品は前の医院での使用状況が不明なため、内部が劣化していたり不具合を抱えているリスクもあります。中古を扱う業者により、購入前にオーバーホール整備してくれる場合もありますが、その費用も考慮すべきです。中古導入するなら、信頼できる医療機器リセール業者から比較的新しいモデルを選び、なおかつ設置後すぐに有償でも点検を受けてリスク部分を潰しておくことをおすすめします。予算が本当に無い場合の最終手段と思ったほうがよく、可能であれば新品かリースなどで新品同様品を使う方が安心ではあります。

Q: ユニットの修理やメンテナンスはどう行われますか?

A: ユニットの修理や定期メンテは、基本的にメーカーまたは販売店のサービスマンが来院して対応します。歯科医院側でできるのは日常の清掃・簡易点検(ネジの緩みチェック等)程度で、内部の機械部分は専門技術者でないと扱えません。故障かな?と思ったら、まずメーカーサポートに連絡し、電話で状況確認・アドバイスを受けます。それで解決しなければエンジニア訪問の日程調整となります。保証期間内なら無償、過ぎていれば見積もりの上有償修理となります。メンテナンスとしては、年1回〜数回の定期点検を契約しておくと安心です。プロがバルブの交換やグリスアップ、各部校正などを行ってくれるため、故障の予防になります。また吸引パイプの内部洗浄やフィルター清掃など衛生面のメンテもその際に実施してもらえます。ユニットは精密機器でありながら水回り要素もあるため、放置すると劣化が早まります。長く安全に使うには、メーカー推奨の点検頻度を守りましょう。

Q: 歯科ユニット選びで他に知っておくべきことはありますか?

A: いくつか補足します。チェアのタイプ(ステップかカンターか)やテーブルの配置(右側アームか左側か、可動か固定か)は診療効率に影響するので、一度歯科ショールームなどで実機に座って操作感を確かめると良いでしょう。メーカー各社、主要都市に展示ショールームがあります。また空気圧か電動かという駆動方式の違いもありますが、近年は静音性から電動油圧式が主流です。一部の海外製はエアー駆動も残っていますが、特にこだわりがなければ静かな電動式を選ぶと患者さんにも優しいです。さらに、ユニットとは別ですがコンプレッサーの性能も重要です。複数ユニットを稼働させるなら、静音でパワフルな歯科用コンプレッサーを準備しましょう(台数1〜2台なら小型でOKですが、3台以上なら大容量タイプ推奨)。チェア周りのレイアウト(ユニットの足元スペースやスタッフ導線)も事前にプランニングし、選んだユニットが診療室のスペースに収まるか、動線を妨げないかも確認が必要です。総合すると、メーカーのカタログスペックだけでなく実際の使い勝手や設置環境も考慮して選定することが大切でしょう。