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ヨシダの歯科用マイクロスコープ「ネクストビジョン」の価格・値段や評判は?

ヨシダの歯科用マイクロスコープ「ネクストビジョン」の価格・値段や評判は?

最終更新日

日々の診療で「もっと細部まで見えたら」と感じたことはないだろうか。例えば、う蝕の取り残しや微細な破折線に気づけず再治療となった経験、あるいは患者に治療部位を説明しようとしても肉眼では限界がありもどかしく思った経験があるかもしれない。マイクロスコープを使えば解決できると知りつつも、高額な投資や操作の難しさから導入をためらっている先生も多い。そんな悩みを持つ歯科医師に向けて、本稿ではヨシダのデジタルマイクロスコープ「ネクストビジョン」を臨床面と経営面の両方から客観的に分析する。臨床現場の視認性向上と医院経営の利益拡大を両立させるヒントを探っていきたい。

ネクストビジョンの製品概要

「ネクストビジョン」は株式会社ヨシダが2019年に発売した次世代型の歯科用マイクロスコープである。正式な販売名はそのままネクストビジョンで、一般医療機器に分類される(特定保守管理医療機器、医療機器届出番号13B1X00133000079)。この製品はデジタルマイクロスコープと称され、従来の実体顕微鏡とは異なり接眼レンズが存在しない。代わりに高性能4Kカメラで捉えた術野をモニターにリアルタイム表示し、術者はその映像を見ながら治療を行う方式である。顕微鏡としての拡大機能と口腔内カメラとしての記録・説明機能を兼ね備えており、マイクロスコープ初心者でも扱いやすいよう工夫されている。販売形態はクリニックの設備に応じて選択可能で、可動式のフロアスタンド型(キャスター付き)やユニット据え付け型、天井懸吊型などが用意されている。ヨシダ製の歯科ユニット(例えばSEIGAやエクシードシリーズ)には専用マウントで直付けすることも可能であり、スペースを有効活用できる。なお「手術用顕微鏡」として保険請求も可能な機器であり、所定の施設基準を満たせば大臼歯の根管治療等で手術用顕微鏡加算を算定できる(後述)。発売以来このネクストビジョンは急速に普及し、現在では国内マイクロスコープ市場でトップクラスのシェアを占める製品となっている。

ネクストビジョンの主要スペックと臨床上のポイント

ネクストビジョン最大の特徴は、4K対応の高解像度カメラと高倍率ズームによる精細な視野拡大である。光学系とデジタルズームの組み合わせにより、拡大率は8倍から最大80倍までカバーしている。これは一般的な拡大鏡(2.5~8倍程度)や従来型マイクロスコープ(約20~40倍が多い)を大きく上回る倍率であり、肉眼では見えない微小な歯面のヒビや根管内部の状態まで鮮明に捉えることが可能である。ただし最高倍率80倍は4K解像度出力時にデジタル拡大を併用した値であり、実用上は画質とのバランスから30倍程度までの利用が中心になるだろう。それでも必要に応じて細部を極大に表示できるメリットは大きく、根管の分岐や根尖部の肉眼では識別困難な病変まで確認できる点は臨床的な安心材料である。

画像センサーには約851万画素のCMOSが搭載されており、4K(3840×2160)の高精細映像をリアルタイムに出力する。加えて高出力のLED照明を内蔵しており、深部の根管内や暗所でも十分な明るさで観察できる。LED光源は長寿命で発熱や経年劣化も少なく、ランニングコストやメンテナンスの面でも有利である。術野全体をムラなく照らす照明と高解像度カメラの組み合わせにより、拡大率を上げても暗くならずクリアな視界が得られるのはネクストビジョンの強みである。

操作面では3軸式のフレキシブルアームを採用し、カメラ部(鏡筒に相当)を自由な角度にポジショニングできる。上顎・下顎の様々な部位に対して術者が無理な姿勢を取らずとも適切な角度からアプローチ可能であり、従来の顕微鏡では難しかった体勢の負担軽減に寄与する。例えば上顎臼歯遠心側のう蝕除去など、肉眼では見づらい箇所でもカメラアングルを変えてモニターに拡大映像を表示できるため、術者の姿勢は常に楽で視認性も高い。筆者自身も導入前は「マイクロスコープは姿勢が大変で腰痛のもと」と懸念していたが、ネクストビジョンではむしろ姿勢が改善し疲労が減ったと感じている。

さらに特筆すべきは高速オートフォーカス機能である。デジタル映像機器ではピント合わせに時間がかかるのではとの不安もあるが、本機はカメラが自動で素早く焦点を調整してくれるため、術中にいちいちピントノブを回す煩わしさがない。術者は手元の処置に集中でき、ピント調節のトレーニングもほぼ不要である。このオートフォーカスのおかげで初めてマイクロスコープを使う歯科医師でも戸惑いなく実践投入できるだろう。またオプションのフットスイッチを用いることで、手を離さずに足元でズームやフォーカスの微調整を行うことも可能である。術野から目を離さずに倍率変更やピント合わせができるため、処置の流れを止めずスムーズだ。これらのユーザビリティの高さは「マイクロは操作が煩雑」と敬遠していた層にも好評で、実際に多くの一般開業医が初めてのマイクロスコープとしてネクストビジョンを選ぶ要因となっている。

デジタル機器ならではの機能として画像反転表示も備えている。これは撮影映像を左右反転させることで、患者説明の際に実際の鏡像と同じ向きで見せることができる便利な機能である。例えば患者自身の右左が画面上でも直感的に分かるようになり、説明用ツールとして有用である。さらに動画撮影・静止画保存の機能も充実している。付属の録画ソフトウェア「MultiCapture」を用いれば、治療中の4K動画をパソコンに録画したり、フットペダルで必要な瞬間に高解像度の静止画を撮影したりできる。撮影された画像・映像は電子カルテや患者説明用資料に転用可能で、治療経過を記録・共有するのに役立つ。口腔内カメラとしての役割も果たすため、患者に「見える化」した治療を提供できる点は本機の臨床価値を高めるポイントである。

以上のように、ネクストビジョンは高画質・高倍率と使い勝手を両立した意欲的な製品である。その結果、市場での評価も総じて高く、「誰でも簡単に拡大視野が得られる」として急速に支持を集めている。特に従来マイクロスコープ導入を躊躇していた一般歯科医からは「価格が比較的手頃で操作習熟が容易」と評判で、国内販売数は発売から数年でトップクラスとなった。一方で、マイクロスコープを駆使した高度な歯内療法や外科処置を専門とする一部の歯科医からは、「2Dモニター越しの操作では深度感覚が得られにくく、精密な手技には従来型ほど向かない」との指摘もある。しかしそれも裏を返せば、本機が説明用ツールや日常診療レベルの精密治療には十分すぎる性能を発揮する一方、特殊なニーズには専用機器と使い分けるべきという専門的観点に過ぎない。総合的に見てネクストビジョンのスペックは、一般歯科医院が日常診療の質を底上げするには十二分なものであり、その手軽さと相まって導入価値は極めて高いと言える。

導入と運用:互換性・設置条件・院内フロー

ネクストビジョンを効果的に導入・運用するためのポイントを整理する。まず設置面については、院内のレイアウトやユニット機種に応じて最適な据え付け方法を選択できる柔軟性がある。既存の診療室に追加する場合、床置き型(フロアスタンド型)が一般的だ。キャスター付きの大型台座にアームが取り付けられており、必要なユニットへ転がして移動させることができる。台座の占有面積は約0.55m×0.55m、高さ1.78m程度で重量は110kgほどあるため、使用時には患者頭部近くに安定して設置する必要がある。診療チェア周囲の動線を確保しつつ、未使用時は邪魔にならない位置へ退避させる工夫が求められるだろう。床面固定型(ボルトダウン)にすれば安定性は増すが、設置場所が固定されるため導入時に配置を慎重に検討したい。新規開業やユニット入替のタイミングであれば、ユニットマウント型や天井懸吊型も選択肢となる。ユニットマウント型は対応するヨシダ製チェアへの取り付けが前提だが、アームをユニットに直付けできるため床スペースを取らず見た目もスマートである。天井懸吊型は天井の強度と工事が必要になるが、診療空間を広く使え、配線類も天井裏に隠せるメリットがある。いずれのタイプでも電源は標準的なAC100Vコンセントがあれば動作し、特別な電気工事は不要である(最大消費電力は約60VAと小さく、通常の医療機器と同程度)。

システムの互換性については、デジタル機器ゆえに他の院内ITシステムとの連携がポイントになる。ネクストビジョン本体には映像出力端子(HDMIなど)があり、4K対応モニターに接続して使う形だ。モニターはオプション扱いで、推奨の32インチ前後の4K医療用ディスプレイを購入するか、市販の4Kテレビを流用することも可能である。またUSB接続によりパソコンと連携し、前述のMultiCaptureソフトで映像を取り込むことができる。録画用PCには高解像度動画を扱える性能が必要だが、一度環境を整えればボタン一つで動画・静止画の保存が可能である。さらにヨシダが提供する院内ネットワークソフト(ActionGateやOneSystemなど)と組み合わせれば、患者ごとのフォルダに自動で画像を紐付けることもでき、データ管理がスムーズになる。もちろんソフトを使わずとも撮影データは汎用フォーマット(JPEG画像やMP4動画など)で保存できるため、他社の電子カルテや画像管理システムに手動で取り込むことも難しくない。要するにネクストビジョンはスタンドアロンの拡大鏡としても、院内ITと接続した情報共有ツールとしても柔軟に機能する。導入に当たっては、記録データの保存先や運用フローをあらかじめ決めておくと現場で混乱せずに済むだろう。例えば「患者説明用に毎回一枚静止画を保存する」「動画は必要な処置のみ録画する」などルールを決め、スタッフにも共有しておけば、撮影データを有効活用できる。

院内運用の面では、スタッフ教育とルール作りが肝心である。幸いネクストビジョンは操作が簡便なため、担当医だけでなく歯科衛生士や助手でも基本的な使用方法を習得しやすい。例えばクリーニング時に衛生士が歯石の付着部位を拡大表示して患者に見せる、といった用途にも活用できるだろう。そのため導入時には院内で時間をとって操作説明会を行い、全員が触れてみることを推奨する。ヨシダからデモ機の貸出や担当者の指導を受けることも可能なので、購入前に実際のユニットで試用させてもらうのも良い。導入初期のハードルとしては、術者がモニターを見ながら手を動かすことに慣れるまで若干の練習が必要な点が挙げられる。最初は手元と画面の感覚が掴めず戸惑うこともあるが、数症例こなせば違和感は減り、むしろモニター越しの方が楽になると言われている。院内で練習する際は、簡単なう蝕充填や補綴物チェックなどリスクの低い処置で徐々に使い、感覚を養うと良い。ネクストビジョンはオートフォーカスのおかげでピントずれによるストレスが少なく、新人の先生でも数回の使用で手に馴染むケースが多い。

感染対策については、ネクストビジョン自体は患者の体液に触れるものではないが、手指で触れるハンドル部の衛生管理が重要になる。ヨシダからは専用のディスポーザブルハンドルカバー(使い捨てカバー、500枚入りが別売)も用意されており、患者ごとにハンドルに覆いをかけることで交差感染リスクを下げられる。カバーを使わない場合でも、術者はグローブ越しに触れることになるため、使用後はアルコールワイプ等でハンドルを清拭し清潔を保つよう徹底したい。またレンズ先端も唾液や水滴で汚れやすい部分なので、適宜アルコール清拭して光学系をクリアに保つと良い。防塵キャップ等は不要だが、日常的にカメラ部へ衝撃を与えないよう注意し、使用後は所定の位置に静置することで故障リスクを減らせる。電子機器とはいえ頑丈に作られているが、光学部品の寿命を延ばすには日々のちょっとした気配りが大切である。

導入による経営上の効果と採算性

次にネクストビジョン導入が歯科医院経営にもたらす効果について考えてみよう。価格に関して、メーカー公表の標準価格は約248万円(税別)とされている(4Kモニター等の付属品は別売)。実際の販売価格はディーラー経由で交渉次第だが、概ね250~300万円前後を初期投資の目安と考えるべきだろう。これには基本セット(本体アーム一式・カメラ・LED照明・制御ユニット)が含まれるが、高解像度モニター(数十万円)や録画用PC、フットスイッチ(数万円程度)などを加えるとトータルでは300万円をやや超える可能性もある。一般開業医にとって数百万の設備投資は決して小さくないが、他社の歯科用顕微鏡が軒並み400万~800万円程度することを考えると、ネクストビジョンは同カテゴリでは比較的導入しやすい価格設定と言える。実際「手が届きやすい価格なので導入しやすい」という声がユーザーから上がっている。

では投資に見合うリターン(投資対効果)はどの程度期待できるのだろうか。まず直接的な収益としては、前述した手術用顕微鏡加算(保険算定)がある。例えば根管治療において、厚生労働省の定める施設基準を満たし届出を行った医療機関であれば、ラバーダム防湿下で歯科用CTとマイクロスコープを併用した根管充填時に400点の加算を算定できる(※2020年診療報酬改定時点)。400点は患者負担無しでも保険請求で約4,000円の収入増となる計算だ。仮に年間100歯の大臼歯根管治療でこの加算を算定すれば40万円の増収となり、単純計算で6~7年程度で装置代が回収できることになる。実際には加算算定にはCT撮影の併用も要件になるためハードルはあるが、ネクストビジョン導入を機に歯科用CTも含めた診療高度化を図れば、さらなる診療単価アップが見込めるだろう。

直接の保険収入以外にも、マイクロスコープ導入は間接的な経営効果を様々にもたらす。第一に再治療率の低下が期待できる。拡大視野で精密な治療を行うことで、う蝕の取り残しや根管充填の不備といったミスが減り、結果として補綴の二次う蝕や根管治療の再発が抑えられる。これは患者の信頼獲得にも繋がり、長期的には医院の評判向上と新患紹介の増加といった形で利益に反映されるだろう。特に自費補綴やインプラント治療では「精密治療」を掲げ高単価設定するケースが多いが、マイクロスコープ画像を提示しながら治療精度を説明すれば患者の納得感が違う。実際にネクストビジョン導入後、「治療内容を理解した患者さんが自費治療を前向きに選択してくれるようになった」という声も聞かれる。つまり患者満足度と治療単価の向上にひと役買っているわけだ。

第二にチェアタイムや人件費の効率化にも貢献し得る。拡大視野での治療は一見手間が増えるようだが、例えば根管口の探索に肉眼で時間をかけるよりも、最初から高倍率で臨めば短時間で確実に見つけられる場合がある。また処置中に逐一ルーペや肉眼に付け替えて確認するといった手戻りが減り、「一発で決める」精度が上がれば結果的に時間短縮に繋がる。さらに診療後に行っていた説明・指導の一部を治療中にモニターで見せながら済ませてしまえば、患者説明に割く追加時間も減らせる。実際にモニター越しに処置を見せることで患者からの質問がその場で解消され、会計時のフォローがスムーズになったとの報告もある。これらの積み重ねが診療回転率の向上やスタッフの業務負担軽減につながれば、経営効率の改善として利益に直結するだろう。

資産としての減価償却を考えても、本機は医療機器として耐用年数がおおむね5~6年程度に設定される。仮に初期導入300万円、6年償却とすれば年間50万円の費用計上となるが、前述のように保険加算や自費率向上で年間数十万円以上の増収が見込めれば、帳簿上も導入の採算は合いやすい。もちろん机上の計算通りにいくかは医院の活用度次第だ。せっかく導入しても宝の持ち腐れでは意味がない。重要なのは、ネクストビジョンが稼働し続けて利益を生む仕組みを医院側で作ることである。例えば「根管治療では必ず使用する」「初診時に口腔内チェックで活用する」など、使用シーンをルール化してフル稼働させれば、それだけ回収も早まるだろう。逆に導入したものの操作が難しく使わなくなった…という失敗例も耳にするだけに、前述したようにスタッフ含めて使いこなせる環境づくりが経営的にも鍵となる。

総じてネクストビジョンは、競合製品と比べ投資ハードルが低めで回収の道筋を描きやすい歯科用マイクロスコープである。保険と自費のバランスを問わず活用機会が広く、患者満足度向上による中長期的なリターンも期待できる。導入費用ばかりに目を奪われず、その後の活用によるリターンを最大化する視点で捉えることが大切である。

ネクストビジョンを使いこなすためのポイント

ネクストビジョンの性能を十分に引き出すには、導入初期の工夫と日々の心がけが重要である。まず導入直後のステップとして、院内でのトレーニング期間を設けたい。幸い基本操作は簡単なので、取扱説明書を読むだけでも概略は掴めるが、実際の臨床シーンでスムーズに使えるようになるには多少の慣れが必要だ。具体的には、最初の数症例は治療の流れにネクストビジョン操作を組み込む練習だと思って取り組むと良い。例えば、CR充填の際にいきなり高倍率で削合するのは難しいので、肉眼~8倍で大まかに処置し、仕上げ段階で16倍に上げて細部を確認するといった手順を試してみる。徐々に高倍率でも手元を安定して動かせるようになってきたら、本格的に各種治療へ応用していくと安全だ。「無理に最初から80倍を狙わない」のがポイントである。人間の目と手の協調動作は段階的に慣れるものなので、まずは低~中倍率で映像視野に手を映しつつ操作感覚を掴み、そこから倍率を上げていけば戸惑うことは少ない。

またモニター配置と姿勢の最適化も使いこなしの大切なポイントだ。せっかく頭を上げてモニターを見るスタイルになるので、視線移動が最小になるようモニター位置を調整したい。一般的には術者の正面やや斜め上方にディスプレイを設置し、術中は首を自然な角度で正対できるようにする。左右どちらのユニットでも見やすい位置にアームを伸ばせるか、実際のオペレーションを想定してレイアウトを決めると良い。姿勢が安定すれば手元の操作も安定するため、結果的に精密な治療がしやすくなる。逆にモニターが見づらいと結局無理な体勢をとってしまい、本末転倒なので注意したい。必要ならディスプレイアームを追加して可動域を広げたり、サブモニターを助手側にも置いて情報共有しやすくするのも一案だ。助手や衛生士が画面を見られるようにしておくと、チーム医療としての連携が取りやすくなる。例えば根管治療で「今どこの根の処置をしているか」をスタッフもリアルタイムで把握でき、器具受け渡しやバキューム操作のタイミングが合わせやすくなる。筆者の医院では導入当初からスタッフにもモニターを見る習慣を付けてもらった結果、言葉で指示を出さなくても的確にサポートしてもらえるようになった。

患者説明への活用術もぜひ磨いてほしい点である。ネクストビジョンは治療中だけでなく、治療前後の説明ツールとしても威力を発揮する。例えば、処置前に患部を8倍程度で映し出し「ここにこれだけ大きなう蝕があります」と示す。患者自身は鏡では見えなかった病変をモニターで確認し、治療の必要性を実感するだろう。処置中も、痛みが出ず落ち着いている患者には適宜「今、こういう状態で治療していますよ」と中間経過をお見せすると安心につながる。筆者の場合、根管治療で感染物を除去したタイミングや、クラウンを装着する直前の削合面などを静止画撮影し、治療後に「このように綺麗に処置できました」とモニターに映して説明している。患者からは「こんな細かいところまで見えるんですね」「丁寧に治療してもらえたのがよく分かりました」と好評で、治療への満足度が明らかに上がったと感じる。「見せる治療」で信頼を得ることは医院のファンづくりにも繋がるだろう。ただし、あまりにグロテスクな術野映像(出血が多い場面など)は患者によっては不安を与えかねないため、見せるタイミングや画像は選別する配慮も必要だ。説明に用いる際は、撮影画像を一旦確認し、分かりやすく有益なシーンのみを提示するように心がけたい。

故障やトラブルへの備えも頭に入れておきたい。電子機器である以上、何らかの不具合が起きるリスクはゼロではない。例えばカメラ映像が出なくなった、オートフォーカスが効かない、といった場合に備え、まず自院でチェックすべき項目(配線接続の確認やソフト再起動等)をスタッフと共有しておく。また、メーカーやディーラーのサポート窓口を把握し、すぐ相談できるようにしておけば安心である。ヨシダ製品は全国に営業所や代理店網があり、故障時の修理体制も整っている。万一長期間使用不能となった場合でも、代替機の貸出支援などが受けられるケースもあるため、導入前にアフターサービス内容を確認しておくと良いだろう。これらの準備をしておけば、導入後に想定外のトラブルが起きても診療への影響を最小限に抑えつつ長く使い続けることができる。

適応症例と適さないケース

ネクストビジョンは汎用性が高く、一般歯科の多くのシチュエーションで活躍するが、得意なケースと不得意なケースを整理しておこう。適応として真っ先に挙がるのは歯内療法(エンド治療)である。大臼歯の根管探索や洗浄、根管充填の精度向上には顕微鏡はほぼ必須と言える時代だ。ネクストビジョンであれば、根管の入口を大きく鮮明に映し出し、側枝や破折ファイルといった肉眼では見逃しやすい要因もしっかり視認できる。歯内療法専門医が用いるような高級実体顕微鏡と比べても、画質面では4K映像が遜色なく根尖まで捉えるため、一般的な根管治療の成功率向上に大いに貢献するだろう。ただし後述するように、実体顕微鏡が持つステレオ視(立体視)能力はデジタルでは得られないため、極細ファイルを用いた繊細な手作業や外科的処置では注意が必要だ。根管治療に関して言えば、例えば側方加圧充填でガッタパーチャを加熱圧接する場面など、高倍率かつ深さのコントロールが要る操作では、2D映像下では距離感が掴みにくい局面もある。それでもオートフォーカスの助けで深度が合っているかどうかは分かりやすく表示されるため、適宜ピントを確認しながら進めれば十分対応可能である。

次にう蝕処置や補綴治療も適応範囲だ。例えばコンポジットレジン修復では、マージン部の削合や充填の際に10~20倍で観察すれば、肉眼では見落とすような染色残りや気泡もすぐに分かる。支台歯形成においても、形成後に高倍率でチェックすれば、エッジの処理や削り残しを確実に評価でき、間接修復物の適合精度向上につながる。クラウンやインレーの適合試適時にも、噛み合わせの確認だけでなく辺縁封鎖性を拡大視野で確認できるのは再治療予防に有用だ。実際、マイクロスコープ下で補綴物をセットすると、セメント除去の漏れや咬合調整の微妙な差も把握しやすく、術後トラブルが減ったと感じる。審美歯科の分野では、ラミネートベニアの適合やシェード確認にも活用でき、エステティックケースの品質向上に寄与するだろう。

歯周外科や口腔外科領域でも活用の幅はある。たとえば歯周組織再生療法でフラップ手術を行う際、患部を拡大して見ることで肉芽の除去や縫合が緻密に行える。再生材の充填量や膜のポジショニングも確認しやすくなるだろう。マイクロサージェリーとして位置づけられる歯根端切除術(アペキソ)では、根尖部の直視下手術にマイクロスコープは必須に近い。ネクストビジョンでも根尖を80倍まで拡大すれば、亀裂の有無や逆根管充填材の充填状態を明瞭に把握できる。特に外科用ルーペでは困難な根尖部の微小なヒビや歯根嚢胞被膜の残存なども確認しやすく、術後予後の向上につながる。ただし外科手術時は術野に血液が滲出し視界が悪化しがちである。デジタル映像は肉眼よりコントラストが高く鮮明に映るものの、血液による遮蔽そのものは避けられないため、適宜吸引と洗浄でクリアな視界を維持する工夫が必要だ。これは実体顕微鏡でも同様で、要はマイクロスコープ下での手技に習熟しているかがカギとなる。ネクストビジョン自体は十分な性能を持つが、術者が拡大視野下での器具操作に慣れていなければその性能を活かしきれない。歯根端切除のようなハイレベルな処置に使うには、事前の練習と段階的な経験積みが前提となるだろう。

逆に適さないケースとして考えられるのは、顕微鏡下での高度な手術操作を求められる状況だ。前述のように、ネクストビジョンは映像を2次元で捉えるため、従来型の双眼実体顕微鏡のような立体視覚(ステレオ視)は得られない。したがって深さ方向の繊細なコントロールが要求される処置では、術者の経験や勘に頼る部分が残る。具体例を挙げると、マイクロスコープを用いたマイクロエンド(顕微鏡下歯内療法)で、解剖学的に複雑な根管内の隔壁除去やパーフォレーションリペアなどを行う場合、触覚と画面上の微小なズレから立体感を補完する必要がある。熟練すればモニター越しでも可能だが、初めから難症例に臨むのは避けたほうがよいだろう。もし医院で専門的なマイクロサージェリーやマイクロエンドを積極的に売りにするのであれば、予算が許す限り光学式のハイエンド顕微鏡(接眼レンズタイプ)を検討するのも一理ある。坂詰歯科医院の坂詰医師のように「本格的な顕微鏡歯科治療には鏡筒付きの他機種を推奨」との意見もあるため、用途と目指す診療レベルに応じて機材を選ぶことが肝心だ。

もう一点、視野確保が難しい症例ではそもそもマイクロスコープ自体が力を発揮できないことにも留意したい。例えば開口量が極端に少ない患者や、親知らず(智歯)の埋伏抜歯のように解剖学的死角が大きい処置では、顕微鏡の直線的な視軸では限界がある。そうした場合は無理にマイクロスコープに固執せず、従来通り直視や触診、あるいは内視鏡など別の手段を組み合わせる柔軟性も必要だろう。適材適所で使い分けることで、初めて診療効率と精度の両立が図れる。ネクストビジョンは多用途に使えるものの万能ではないことを肝に銘じ、ケースによってはルーペ程度の倍率で十分な場面もあると心得よう。実際筆者も、全部の症例でマイクロを覗くわけではなく、「ここぞ」という局面で使うようにしている。その取捨選択の勘所は経験で磨かれるが、導入初期にはむしろ積極的に色々な症例で試し、「使えるところ・使えないところ」を見極めることが大切だ。

歯科医院のタイプ別に見た導入の向き・不向き

最後に、医院の診療スタイルや経営方針によってネクストビジョン導入が向くケース・向かないケースを整理する。読者自身の医院タイプに照らし、判断材料にしていただきたい。

保険診療中心で効率重視の医院の場合

日々多数の患者を診療し、保険診療が売上の大半を占めるクリニックでは、「マイクロスコープ導入で診療効率が落ちないか」「元を取れるか」が最大の関心事だろう。ネクストビジョンはそうした効率重視型の医院にも比較的マッチしやすいツールである。まず価格帯が他社製より低く抑えられているため、投資回収のハードルが低めだ。前述したように保険の加算を活用すれば、根管治療でポイント加算による収入増が見込める。保険収入内でリース料や減価償却費を賄える可能性も十分あり、経営を圧迫しにくい投資と言える。また操作が簡便で治療時間が極端に延びる心配が少ない点も大きい。オートフォーカスとモニター治療によって、むしろ術者の負担は軽減され効率は上がるとの報告もあるほどだ。忙しい保険診療の中でマイクロスコープを活用するコツは、「使う場面を定型化する」ことである。例えば「大臼歯の抜髄と感染根管処置には必ず使用する」「CR充填の仕上げチェックに使う」といったルールを決めてしまえば、毎回迷わず活用できる。特に根管治療の質向上と再治療予防は保険診療に直結する重要事項であり、マイクロスコープ導入効果を実感しやすい領域だろう。一方で、保険メインの医院では患者説明の時間をあまり取れない傾向もある。ネクストビジョンでリアルタイムに見せながら処置すれば、追加の説明時間が不要になる面もあるため、トータルではチェアタイム増加を抑えられるという利点も覚えておきたい。総じて、効率最優先の医院でも導入メリットは大きいが、機器に振り回されず自院流の運用ルールを作ることが成功の鍵となる。

高付加価値の自費診療を志向する医院の場合

自費率が高く、質の高い歯科医療を提供することを理念に掲げる医院にとって、マイクロスコープはもはや必須ツールと言ってよい。そうしたハイエンド志向のクリニックでは、ネクストビジョン導入は患者への約束としての設備投資という意味合いを持つ。精密根管治療や審美修復、インプラントなど、自費メニューのクオリティをさらに引き上げる武器として、ネクストビジョンは大いに活用できるだろう。患者側も高額な治療費を支払う以上、「最新設備で丁寧な治療を受けたい」という期待がある。治療前後に高精細な画像を提示し、ここまで細部にこだわって治療したという説明を受ければ、患者の満足感と納得度は格段に高まる。これは口コミやリピートにも直結し、医院のブランド力向上にも資するところだ。

また自費診療主体の医院では、歯科医師だけでなくスタッフも高いプロ意識を持っている場合が多い。ネクストビジョンの映像共有機能は院内教育ツールとしても優秀で、若手Drや衛生士が先輩の治療テクニックをリアルタイムで学ぶことができる。院内セミナーで症例動画を皆で検討するといった使い方も、自費メニュー充実を図る医院ならではの展開だろう。チームで切磋琢磨する文化のある医院ほど、この機器を使い倒して得られるものは多いはずだ。

ただし一点留意すべきは、医院の診療レベルが高度になるほどネクストビジョンの性能的限界に直面しやすいということだ。もし読者がマイクロスコープを駆使した難易度の高い処置(マイクロサージェリー、マイクロエンドの専門治療など)を日常的に行っている、あるいは将来的に目指すのであれば、ネクストビジョンでどこまで対応できるか見極めが必要になる。2Dデジタル映像での手技は、例えばMTAセメントの逆根管充填やマイクロクラウンレングスなどでシビアな挑戦になるかもしれない。このようなケースでは無理せず、最初から実体顕微鏡を併用することも視野に入れよう。とはいえ、そうしたトップエンドの症例以外はネクストビジョン一台でほぼ網羅できるのも事実である。多くの自費専門医院が実際に本機を導入し、十分満足できる結果を出している。「医院のウリ」に合わせた使い分けを意識しつつ、患者への付加価値提供という面ではネクストビジョンは強力な武器になるだろう。

外科処置・インプラント中心の医院の場合

口腔外科系の手術やインプラント治療がメインの医院では、マイクロスコープ導入の優先度は症例によって分かれる。インプラント埋入手術そのものは比較的大きな術野を扱うため、ルーペとヘッドライトで十分という考えも多い。実際、インプラントオペで顕微鏡を覗きながらドリリングする術者はほとんどいないだろう。しかしインプラント周囲の精密検査やメンテナンスにはネクストビジョンが役立つ場面がある。たとえばインプラント周囲炎の治療でネジの緩みや微小なプラーク付着をチェックする際、高倍率映像で視認すればより確実な処置が可能だ。メンテナンス時に衛生士がインプラント周囲の清掃状態を患者に見せ、口腔清掃指導に活かすという応用も考えられる。外科処置全般について言えば、前述の歯根端切除術や歯周組織再生術など特に精密さを要する手術でこそ力を発揮する。逆に言うと、埋伏歯抜歯や骨造成のように、視野の大きさと力仕事が主体の外科では機器の恩恵は限定的かもしれない。

外科系の医院が導入を検討する際は、自院の症例のうちどのくらいがマイクロスコープ恩恵を受けるかをシビアに見極める必要がある。他方で、他院との差別化という観点では「当院ではすべての処置をマイクロスコープで精密に行います」と謳うこと自体がアピールポイントになりうる。特にインプラントなど高額治療では、「精密で安全な手術」を強調することで患者の安心感につながる。実際に手術中に常時使わなくとも、術前術後の説明や経過観察にマイクロの映像を取り入れるだけでも先進的なイメージを与えることができるだろう。また、将来的に歯科医師の新規採用を考える際にも、最新機器が揃っている医院は優秀な人材の目に留まりやすい。特に外科志向の若手歯科医師はマイクロサージェリーへの興味も高い傾向があるため、教育設備の一環としてネクストビジョンを備えておくメリットもある。総合的に見れば、外科中心の医院にとって必須の機器ではないものの、症例拡大や付加価値向上に資する先行投資として検討する価値はあるだろう。導入後に活かせる場面をどれだけ作れるかが鍵となる。

結論:ネクストビジョンがもたらすもの

ヨシダのデジタルマイクロスコープ「ネクストビジョン」は、歯科診療に新たな視界と可能性をもたらすツールである。肉眼やルーペでは得られなかった鮮明な拡大視野によって、私たち歯科医師は今まで以上に確信を持って「見える」治療ができるようになる。臨床的には、う蝕除去一つを取っても取り残しの不安が減り、根管治療では細かな分岐にまで対応しうる。補綴治療では適合精度の追求に役立ち、歯周治療では微小なプラークすら見逃さない丁寧さを患者に提供できる。つまり診療の質を底上げし、患者の歯の予後をより良いものにできる可能性が広がるのだ。

経営的にも、ネクストビジョン導入は医院の価値向上への投資と言える。精密治療という付加価値を武器にできれば、自費診療の成約率アップや紹介患者の増加といった効果が期待できる。保険診療内でも、治療精度向上による再治療削減は無駄なコストを省き、生産性を高めることにつながる。実際に本機を導入した歯科医院では「患者の満足度が上がり、治療説明のストレスが減った」「スタッフと治療ビジョンを共有でき、院内のチームワークが向上した」といった声も多い。これは単なる設備投資以上に、医院の診療コンセプトを次のステージに引き上げる転機になりうることを示している。

もちろん高価な医療機器である以上、慎重な判断は必要だ。しかし、本記事で述べてきたようにネクストビジョンは従来のマイクロスコープ導入で問題となっていた価格・操作性・活用範囲のハードルを大きく下げている。20年以上臨床を経験してきた目から見ても、「もっと早くあれば良かった」と感じるほど日常診療への相性は良い。まだ肉眼主体の診療に不安を感じている先生にとって、今が拡大視野の世界に踏み出す好機かもしれない。導入によって具体的に何が変わるか──それはぜひ実際に手にとって確かめてみてほしい。きっと、初めて見える口腔内の新世界に驚くと同時に、明日からの診療に自信と余裕が生まれるはずである。

明日からできる次の一手: もしネクストビジョンに興味を持ったなら、まずはヨシダの営業担当や取引ディーラーに問い合わせてみよう。現在デモ機の貸し出しやショールームでの見学が可能であり、実機に触れて確かめる絶好のチャンスだ。忙しい診療の合間でも、実際に自分のクリニックで試用すれば設置イメージや活用場面が具体的に掴めるだろう。また導入医院の見学会や使用経験者の話を聞く機会があれば積極的に参加し、生の声を参考にすると良い。導入に際して不安な点(費用やトレーニング方法等)は事前にリストアップし、メーカーに確認して解消しておくことも大切だ。最後に、購入を決断したならスタッフ全員で使い方の共通認識を持つ場を設け、導入日からフル活用できる体制を整えよう。機械は使ってこそ価値が出る。ネクストビジョンを味方につけて、精密歯科医療への第一歩を踏み出していただきたい。

よくある質問

Q. ネクストビジョンの価格はいくらですか?
A. メーカー公表の標準価格は約248万円(税別)です。ただしこれは医院向けの定価であり、実際の購入価格は歯科ディーラーとの交渉によって前後します。また4Kモニターや録画用PC、フットスイッチなどは別売である点に留意してください。フルセットで導入すると総額で300万円程度になるケースが多いです。リース利用も可能で、月々の支払いにすれば負担を平準化できます。

Q. マイクロスコープを使った治療は保険算定できますか?
A. 一部の処置で算定可能です。歯科用顕微鏡(手術用顕微鏡)を用いた根管治療等では「手術用顕微鏡加算」を保険請求できます。ただし算定には施設基準の届出が必要で、例えば歯科用CTの保有やラバーダム使用など条件があります。具体的には大臼歯の抜髄・感染根管処置で根管充填時に400点を算定できるケースが代表的です。ネクストビジョン自体は医療機器届出済みで保険適用上問題ないため、要件を満たせば導入後すぐに算定可能です。

Q. 従来型の実体顕微鏡との違いは何ですか?
A. 最大の違いは、ネクストビジョンには接眼レンズがなくデジタル映像をモニターで見る方式である点です。これにより術者以外も映像を共有でき、姿勢も楽になりますが、一方で映像が2次元なので立体感(奥行きの感覚)は実体顕微鏡より得にくいです。また光学系の性能差もあります。従来の高級顕微鏡(カールツァイスやライカ等)は光学倍率やステレオ視に優れ、長時間覗いても解像度の劣化がほぼありません。ネクストビジョンは4Kとはいえデジタル拡大では若干解像感が落ちる部分もあります。しかし実用上はほぼ遜色ない鮮明さを備えており、多くの一般診療では違いを意識せず使えるレベルです。価格や操作性ではネクストビジョンの方が優れますので、用途に応じて選択するとよいでしょう。

Q. 初めてでも使いこなせますか?
A. はい、ネクストビジョンはマイクロスコープ未経験の歯科医師でも扱いやすいよう設計されています。オートフォーカス機能によりピント調整の手間がなく、モニターを見るスタイルなのでルーペ感覚で導入できます。実際、多くの先生が導入当日から臨床で使用し始めています。ただし細かな器具操作を拡大視野下で行うには多少の慣れは必要です。最初は低倍率で練習し、徐々に倍率を上げていけば無理なく適応できます。メーカーや販売店による講習やサポートも活用し、自信を持って臨床に取り入れてください。

Q. メンテナンスやランニングコストはどの程度かかりますか?
A. ネクストビジョンはLED光源採用でランプ交換が不要なため、日常的な維持費はほとんどかかりません。主なランニングコストはディスポーザブルのハンドルカバーなど衛生用品くらいで、1症例あたり数十円以下です。耐久性も高く、故障がなければ長年使用できます。メーカー保証は通常1年間ついており、以降の故障時もヨシダのサービス網で修理対応してもらえます。念のため精密機器ですので、年1回程度は点検調整を依頼すると安心です。総じて他の大型機器(ユニットやCT等)に比べ維持費はごく僅かで、導入後のコスト負担は心配いらないでしょう。

Q. 歯科衛生士やスタッフも活用できますか?
A. もちろん可能です。ネクストビジョンは操作がシンプルなので、歯科衛生士が患者指導やメンテナンスで活用する例も増えています。たとえば、スケーリング後に歯石の取り残しがないか拡大画面でチェックし、そのまま患者さんに口腔内の状態を説明するといった使い方が考えられます。スタッフが使う場合は、術者とは逆にカメラを手に持って口腔内を映す形になるため、最初はコツが要りますがすぐに慣れるでしょう。むしろ衛生士の方が器用に操作して患者さんに褒められる場面もあるほどです。院内で誰もが使えるツールにしてしまうことで、有効活用の幅が広がり投資効果も最大化します。ぜひドクター以外のスタッフとも共有し、チームでネクストビジョンを活かしてください。