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【歯科医師向け】ドクターズファイルとは?掲載料金・月額費用や評判、効果や予約システムを解説

【歯科医師向け】ドクターズファイルとは?掲載料金・月額費用や評判、効果や予約システムを解説

最終更新日

日々の診療に全力を注ぐ一方で、集患や医院の認知度向上に頭を悩ませている歯科医師も多い。患者がクリニックを探す手段は今やインターネットが主流であり、ホームページや口コミサイトへの対応は欠かせない。しかし、効果的なWebマーケティングの手法は多岐にわたり、何から始めるべきか迷うこともあるのではないだろうか。そうした中、医療情報ポータルの「ドクターズ・ファイル」の存在を耳にする機会が増えている。第三者目線の取材記事で医院の魅力を発信し、新患の増加やスタッフ採用にも役立つとされるが、果たしてその実態はどうであろうか。本稿では、歯科医療の臨床現場と医院経営の両視点からドクターズ・ファイルの特徴と活用法を分析し、掲載料金や月額費用に見合った効果が得られるのか、評判や予約システムの実際も含めて考察する。開業医が抱える「広告にコストをかけても本当に患者は増えるのか」「営業担当がしつこいが契約すべきか」といった隠れた不安にも目を向け、導入判断の一助となる情報を提供する。本稿が読者諸氏の導入判断の一助となれば幸いである。

ドクターズ・ファイルのサービス概要

ドクターズ・ファイル(Doctors File)は、株式会社ギミックが2006年に開始した医療機関検索・情報サイトである。内科から歯科まで全国の病院・クリニック約15万件の情報を掲載し、約2万7千人以上のドクターに対する独自取材記事を提供している(2025年時点)。患者が医療機関を探す際に、医院の基本情報のみならず医師本人の診療哲学や人柄まで伝えるコンテンツがある点が特徴である。サイト上では診療科目や地域、症状などから医院を検索でき、各院のページには住所・診療時間などの基本データに加え、院長へのインタビュー記事や院内写真が掲載される。歯科もその例外ではなく、歯科医院カテゴリには全国の頼れる歯科医師たちが多数紹介されている。

ドクターズ・ファイルの最大の特徴は、記者が各クリニックに直接赴き、第三者の視点で院長や医院の魅力を文章化した取材記事にある。医療広告ガイドラインを順守した表現で、治療方針や得意分野、開業に至る経緯や医療にかける思いまでを掘り下げて紹介しており、患者にとって信頼性の高い情報提供を目指している。実際、「ドクターズ・ファイル」の記事を読んだ患者のアンケートでは、「医師の人柄を知って安心した」と感じた人が約70%にも上り、記事が来院の決め手になったケースも60%以上にのぼるとの報告がある。このように、単なる設備や治療メニューの羅列ではなく人間性や理念を伝える情報が患者の安心感につながり、クリニック選びに大きく影響することが示唆されている。

主要な特徴とサービス内容

では、ドクターズ・ファイルが具体的に提供するサービス内容と、その臨床・経営上の意味を見ていく。

医院の魅力を引き出す取材記事

前述のとおり、サイトの核となるのはプロのライターとカメラマンによる院長インタビュー記事である。治療理念や専門分野、患者に伝えたいメッセージを第三者の言葉でまとめてもらえるため、自院の強みを客観的かつ効果的にアピールできる。記事はインタビュー形式で読みやすく構成され、院内や治療風景の写真も豊富に盛り込まれるため、患者は受診前に院長の人柄や医院の雰囲気を具体的にイメージしやすい。特に歯科診療は患者にとって治療内容がわかりにくく不安を感じやすい分野であり、事前にどんな先生なのか知ることで心理的ハードルが下がる効果が期待できる。記事中の表現は医療広告ガイドラインを専門部署がチェックし、効能効果の誇大な表現や比較優良広告にならないよう細心の注意を払って作成される。そのため、自院で独自にPR文章を作成するよりも安全面で安心できる。

もっとも、これらの取材記事は基本的にクリニック側から依頼して掲載される広報コンテンツである。編集部が完全な中立取材で優れた医院を選別しているわけではなく、あくまで契約医院のPR記事という位置づけだ。そのため「雑誌の取材記事のように見えるが、実際には広告ではないか?」という疑問、いわゆる「やらせではないか」との声も聞かれる。しかし取材自体は実際に行われ、記事内容も事実に基づいている。ただし掲載には無料枠と有料契約が存在し、契約を継続しなければ記事が一定期間で非公開になる仕組みである。つまり初回の取材掲載自体は無料であっても、長期にわたり掲載を維持するためには月額費用の支払いが必要になる点は理解しておくべきだ。これは広告モデルとして当然の仕組みであり、決して「やらせ」といった不正なものではないが、純粋な医療ジャーナリズムによる記事とは性質が異なることは念頭に置きたい。

検診・治療レポートやQ&A形式コンテンツ

ドクターズ・ファイルでは、基本のインタビュー記事に加えてオプション企画として「検診・治療レポート」や「トピックス(Q&A記事)」といったコンテンツも提供している。例えば歯科領域で言えば、インプラント治療の流れを写真付きで5つのSTEPに整理して紹介する記事や、歯周病治療について患者が疑問に思うポイントをQ&A形式で解説する記事などが考えられる。専門性が高く患者に説明が難しい内容でも、図解や平易な言葉で噛み砕いて紹介することで患者の理解を助け、受診のモチベーション向上につなげる狙いがある。歯科医院にとっても、自費治療の魅力や予防歯科の重要性などを啓発できる場となり、自院の医療コンセプトに共感する患者層を獲得しやすくなるだろう。

ただし、これらの特別企画は基本プランには含まれずオプション(追加料金)扱いとなっている。記事分量も増え制作コストがかかるためだが、その分、読み応えのある専門記事がサイト上に残ることで、医院ページの内容が充実し検索エンジンからの評価(SEO)向上にも寄与する可能性がある。例えば「親知らず 抜歯 流れ」のような具体的な検索にもヒットしやすくなれば、該当処置を求める新患が流入することが期待できる。オプション活用の判断は費用対効果を見極める必要があるが、自院の強みとなる分野であれば検討する価値はある。

歯科医院向け求人・予約・ホームページ連携サービス

ドクターズ・ファイルは単なる集患ツールに留まらず、医院経営を総合的に支援するワンストップサービスを標榜している。歯科医院にとって有り難いのは、スタッフ求人やWEB予約システム、ホームページ制作といった機能を一括して提供している点である。

まず求人支援については、「ドクターズ・ファイル ジョブズ」と称する医療従事者向け求人サイトに院長インタビュー記事と連動した求人情報を掲載できる。歯科衛生士や受付スタッフなどを募集する際、単に求人票を出すだけでなく、院長の人となりや職場の雰囲気に共感した人材を集めやすい仕組みだ。オプションでスタッフへのインタビュー記事(働く先輩の声)を掲載することも可能で、ミスマッチの少ない採用につながる工夫がなされている。求人情報の掲載自体は追加費用不要で常時掲載可能であり、募集開始時にはサイト会員ユーザーへのプッシュ通知が送られる仕組みも用意されている。人手不足が深刻な歯科業界において、このような採用効率化のサービスがセットになっているのは大きな魅力である。

次にWEB予約システム「ドクターズ・ファイル アポ」だが、これは患者が24時間オンラインで予約を取れるようにするクラウド型の受付システムである。時間予約(日時を指定した予約)にも順番予約(当日順番待ち予約)にも対応しており、既存の電話受付を補完するツールとして活用できる。初期導入費用がかからず、1件あたりの予約ごとの課金もないため、追加コストを気にせず導入しやすいのが特徴といえる。実際に有料契約を結ぶと、ドクターズ・ファイルの医院ページ上に「予約ボタン」が設置され、閲覧者がそのまま予約まで完結できるようになる。また、自院の公式ホームページを持っている場合でも、そちらに同じ予約システムを埋め込んで一元管理できるため、複数経路からの予約をまとめて処理できるメリットがある。患者側にとってもスマートフォンから簡単に予約可能で利便性が高く、電話が苦手な若年層の取りこぼし防止につながるだろう。

さらにホームページ制作サービス「ドクターズ・ファイル リンク」も提供されている。これは、先述の取材記事や写真素材をベースに、クリニックの公式サイトをプロの手で構築・運用してくれるサービスである。レスポンシブデザインでスマートフォン表示にも最適化された現代的なサイトを短期間で立ち上げられるため、開業時にサイト制作業者選定に悩む手間が省ける。ドクターズ・ファイル上の情報と自動連携し更新も容易なため、一度情報を整理して載せれば複数の媒体で常に最新情報を発信できるのも強みである。ただし、既に凝った自前のホームページを運用している場合には必ずしも必要ないサービスかもしれない。新規開業でWEBに詳しいスタッフもおらず時間も割けないといったケースでは、こうしたワンストップのHP制作代行は非常に心強いだろう。

他システムとの連携と運用方法

ドクターズ・ファイルの導入にあたって留意すべきは、現在使用中のシステムやツールとの互換性・運用フローである。幸い、先述の予約システムや求人機能は基本的に単体で完結するクラウドサービスであり、特別なソフトウェアのインストールや医療機器との接続といった煩雑さはない。予約受付はWebブラウザ上で管理画面にログインして行い、既存の受付業務と二重にならないよう院内で役割分担を決めておけばよいだろう。スタッフにはスマートフォンやPCから予約状況を確認する手順を周知し、メールやSMSで予約通知を受け取る設定にしておくと、電話とネット双方の予約を見落とさずに対応できる。

自院サイトへの埋め込みも、リンクボタンを設置する程度であれば難しくない。ドクターズ・ファイル契約医院には、自院のホームページに「当院がドクターズ・ファイルに掲載されました」といったバナーを設置することも許可されており、それを機にサイト訪問者をドクターズ・ファイルの記事ページへ誘導することも可能である。記事ページにはそのまま予約ボタンが付随するため、新患獲得の動線がスムーズになる。ただし、既にGoogleマイビジネスや他の予約システム(例えばEPARKなど)を利用している場合、それらとの重複や競合に注意したい。患者が複数の予約経路を混在させるとダブルブッキングのリスクが高まるため、どの経路をメインにするか方針を決め、一元管理できる体制を整えることが重要である。

情報更新の面では、契約後に提供される医院専用のスマホアプリを活用すると便利である。このアプリを使えば、掲載中のクリニック紹介文や診療時間などの基本情報を自身で修正・更新できるほか、自院ページの閲覧数データなども確認できる。さらに期間限定機能として、アプリから「医院からのお知らせ」を投稿し、患者への情報発信に使うことも可能となっている。日々の診療の合間に手軽に情報発信や更新が行えるため、いったん掲載したまま内容が古くなってしまうリスクを減らせる。歯科医院の場合、スタッフ異動や診療曜日変更、新しい設備導入など細かなニュースが多いが、そうした情報もこまめに発信することで患者との接点強化につながるだろう。

一方、運用上気をつけたいのは営業担当者との付き合い方である。ドクターズ・ファイルはサービス拡充のために新規機能や上位プランの提案など営業アプローチも活発だ。そのため、契約検討の問い合わせをすると熱心な営業電話が頻繁にかかってくるケースが報告されている。実際に「断ってもしつこく電話が来る」「訪問で契約を迫られた」といった口コミもあり、押しに弱いタイプの院長には負担に感じられるかもしれない。必要ない提案はきっぱり断る、連絡手段をメールに限定するよう依頼する、といった自己防衛策も有効である。逆に導入を前向きに検討しているなら、営業担当者から最新のキャンペーン情報や事例を積極的に引き出し、疑問点を遠慮なく質問すると良い。担当者は各医院の成功・失敗パターンを豊富に知っているため、うまく活用すれば心強いパートナーとなるだろう。

費用と経営へのインパクト

肝心の掲載料金・月額費用であるが、公式には「月額3.5万円~」という情報が公開されている。プランによって変動があり詳細は要問い合わせとなっているが、基本的な取材記事掲載と求人・予約・HP作成といった主要サービスがセットになったパッケージで概ね月額3.5万~5万円程度が相場と考えられる。初期費用については、取材自体の費用は無料プランでも可能なためゼロに近く、契約開始後も予約システム導入費などは発生しない。したがって主なコストは月々の利用料となる。

月額数万円という出費が高いか安いかは、得られるリターン次第で評価が分かれる。例えば保険診療中心で客単価5,000円ほどの一般歯科の場合、新患10人程度の来院増がなければ元が取れない計算になる。一方、自費率の高い審美歯科やインプラント中心のクリニックであれば、1~2件の大型治療契約が取れれば十分ペイする額である。ドクターズ・ファイル経由の新患数を正確に把握するには、受付時に「当院をどこで知りましたか?」と質問するなどの工夫が必要だ。感覚的には、掲載初期には記念にページを見た既存患者からの反応(「先生の記事読みました」など)がある程度で、新患急増とはいかないかもしれない。しかし半年〜1年と掲載を続け、検索エンジン経由で記事ページへの流入が増えてくると、じわじわと効果を実感し始める医院もあるようだ。

重要なのは、単に掲載するだけでなく他の集患施策と相乗効果を狙うことである。例えば自院のGoogleビジネスプロフィールやSNSで「ドクターズ・ファイルに紹介されました」と告知して記事ページへ誘導すれば、口コミサイトとは異なる切り口で医院の魅力を伝えることができる。また、折込チラシや看板広告には載せきれない詳細情報を補完する媒体として活用することもできるだろう。ドクターズ・ファイル単独でも一定の集患効果は見込めるが、他媒体と組み合わせることで投資対効果(ROI)は飛躍的に向上する。逆に、他のWeb対策を全く行わずドクターズ・ファイルだけに頼る形では、地域や競合状況によっては思うような成果が得られない可能性もある。

費用対効果を判断するもう一つの観点は無形の価値である。掲載記事は単なる広告ではなく、院長の想いを文章として残す一種のアーカイブでもある。開業の理念や診療哲学を整理し発信する作業自体が、その後の医院経営の軸を再確認する良い機会になったとの声もある。また、患者だけでなく求職者や取引先に対する信用力向上の効果も見逃せない。実際、ドクターズ・ファイル掲載医院という肩書は業界内でも一定のブランドイメージがあり、「あの先生も載っているサイトに載っている」という安心感を与える面もある。もちろん過信は禁物だが、Web上で情報過多の時代において、プロがまとめた信頼性の高いコンテンツが自院について存在することは、長期的に見れば確かな資産となるだろう。

使いこなしのポイント

ドクターズ・ファイルを最大限に活用するためのポイントをいくつか挙げる。まず導入初期の準備として、取材前に自院の強みや伝えたいメッセージを整理しておくことが重要である。取材当日は1時間程度で限られた質問項目に答える形になるため、アピールしたいポイントがぼやけていると平凡な内容の記事になりかねない。例えば「なぜ歯科医師を志したのか」「医院を開業した地域への思い」「特に力を入れている治療とその理由」など、核となるストーリーをあらかじめ言語化しておくと良い。インタビューでは緊張して話し損ねることもあるため、予め箇条書きでもメモを用意し、記者に渡して参考にしてもらうくらいの積極性があってもよいだろう。

記事公開後は、ぜひ院内外で積極的に活用したい。待合室に記事を印刷して掲示したり、医院紹介パンフレットに「ドクターズ・ファイル掲載」の一文を加えたりするだけでも、患者の安心感は違ってくる。特に自費治療を検討中の患者には、取材記事を勧めて読んでもらうことで、医師の人柄や治療に対する信念を知ってもらうきっかけになる。実際、カウンセリングの際に記事内容を引用して説明すると患者が深く頷いてくれたという声も聞かれる。掲載ページのURLは長くなりがちなので、QRコードを作成して診察券やリーフレットに載せておくのも手だ。

また、予約システムを導入した場合は患者周知とスタッフ教育が鍵となる。ネット予約が可能になったことをホームページや院内ポスターで周知し、電話受付時にも次回からWeb予約が可能な旨を伝えれば、利用率が高まる。スタッフにも予約システムの管理画面の使い方を訓練し、予約が入った際のメール通知を見逃さないよう業務フローに組み込む必要がある。紙の予約台帳と併用するなら毎日突合せを行うなど、二重管理によるミスを防ぐ工夫をしよう。システムに不慣れな高齢患者には無理に勧めず従来通り電話で対応するなど、患者層に応じた柔軟な運用も求められる。

最後に、効果検証とフォローアップも忘れてはならない。掲載後3ヶ月、6ヶ月と節目ごとに新患数や問い合わせ件数の推移を確認し、明らかな増減があれば原因を分析する。もし期待した効果が得られていなければ、記事内容のアップデートや写真追加などをドクターズ・ファイル編集部に相談してみる価値がある。契約期間中であれば基本情報の修正はもちろん、要望に応じて軽微なリライトにも応じてくれる場合がある。「載せっぱなし」にせず、編集部と二人三脚でページを育てていく意識が、中長期的な成功につながるだろう。

適応と適さないケース

すべての歯科医院にドクターズ・ファイルが絶対必要かと言えば、もちろんそんなことはない。導入に向いているケースと、そうでないケースとがある。

1. 保険診療中心で効率重視の医院

毎日多くの患者を回し地域医療を支えるスタイルのクリニックでは、広告予算にもシビアだ。ドクターズ・ファイル掲載によって劇的な利益増が見込めるわけではないため、費用対効果の見極めが重要になる。このタイプの医院が導入する場合は、月数万円の費用をブランディング投資と割り切れるかがポイントだ。記事による信頼性向上で既存患者の定着や紹介増につながる可能性はあるものの、新患数自体はそこまで大きく伸びない可能性もある。まずは無料掲載で様子を見たり、最低限のプランで開始して反応を測り、反応が薄ければ無理に拡充しない柔軟さが必要である。

2. 自費診療・高付加価値路線の医院

インプラントや矯正、審美など一人あたり単価の高い治療を提供し、付加価値で勝負するクリニックにはドクターズ・ファイルはうってつけと言える。高額な治療を任せる際、患者は医師の経歴や人柄を慎重に見極めたいものだ。丁寧な取材記事や治療レポートは、そうした患者の背中を押す強力な後押しとなる。事実、掲載医院の患者から「先生の記事を読んでここなら安心と思い決めました」という声が寄せられるケースもある。このタイプでは多少費用がかさんでもオプション企画を活用し、専門分野でのリーダーシップをアピールする価値があるだろう。ROIも一件の自費成約で数ヶ月分が回収できる計算となり、投資対効果は高い。

3. 口腔外科・特殊領域に強い医院

一般歯科とは一線を画し、難症例や入院設備を伴う口腔外科手術などを扱うクリニックの場合、患者紹介は大学病院や他院からが主となるケースも多い。このような医院では、直接一般患者にアピールするドクターズ・ファイルの必要性は相対的に低いかもしれない。しかし、地域の歯科医院から「ここなら難しい親知らず抜歯も任せられる」と紹介元として選ばれるためには、広く情報発信しておくことも無駄ではない。実際にドクターズ・ファイルにはそうした高度医療を担う専門クリニックの掲載もあり、症例数や専門性を数値で示すことで患者のみならず同業の目にも留まりやすくなっている。紹介ネットワーク拡大も視野に入れるならば、一考の余地があるだろう。ただし費用対効果は測りにくいため、イメージ戦略として割り切れるかが鍵となる。

以上のように、自院の規模・方針・患者層によって、ドクターズ・ファイル導入のメリットは変わってくる。自院が何を目指し、何に課題を感じているかを整理した上で、このサービスがその解決に資するかを検討するとよい。

結論

ドクターズ・ファイルは、歯科医院にとって患者との新たな接点を創出し、医院のストーリーを伝える場となり得るツールである。導入によって即座に患者数が倍増するような魔法ではないが、インターネット上に蓄積された質の高い情報は時間とともに効力を増し、信頼に足る医院としての評価をじわじわと高めてくれるだろう。とりわけ、これから医院を成長させたいと考える先生にとって、取材を受け自らの診療理念と言葉を世に出す経験は大きな転機となるかもしれない。

本稿で述べたように、メリット・デメリットの双方を理解した上で賢く活用すれば、ドクターズ・ファイルは単なる広告費ではなく将来への投資と位置づけられる。もちろん最終的な判断は経営状況や目標次第だが、「自院の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」「患者との信頼関係を築くきっかけが欲しい」と願うのであれば、検討する価値は十分あるだろう。

明日からできる一手: もし興味を持たれたなら、まずは公式サイトの問い合わせフォームから資料請求をしてみてはいかがだろうか。営業電話が来るのが心配なら、問い合わせ時にメールでの連絡を希望する旨を書き添えると良い。あるいは既に掲載している知り合いの先生がいれば、率直な感想を聞いてみるのも有用だ。また、無料の医院情報管理アプリを先に利用開始し、基本情報を登録・更新してみるのも一つの手だ。小さな一歩からでも、自院の情報発信を強化することで未来の患者との縁を育んでいきたい。

よくある質問(FAQ)

Q1. 集患効果はどの程度期待できるか?
A1. 一般論として、ドクターズ・ファイル掲載によりWeb経由の新患が徐々に増加する傾向は見られるが、その幅は地域の競合状況や診療内容によって異なる。前述のように患者アンケートでは記事が来院の決め手になった例も多く報告されており、特に自費治療や専門性の高い診療では信頼醸成による効果が大きい。ただし過度な期待は禁物で、掲載だけで患者が押し寄せるわけではない。あくまで医院の魅力を伝える一手段と捉え、他のSEO対策や紹介促進策と組み合わせて総合的に集患力を高めることが望ましい。

Q2. 掲載料金や契約期間はどうなっているか?
A2. 基本プランの料金は月額3.5万円前後からで、契約内容に応じて変動する。多くの場合、年間契約や半年契約といった単位での継続利用が前提となるようだ。公式には詳細を公開しておらず個別見積もりとなるため、興味があれば直接問い合わせて自院の規模・ニーズに合ったプランを提案してもらうとよい。なお、無料プランでも基本情報や取材記事の掲載自体は可能だが、有料プランでは求人や予約システムなど付加サービスが使える点が異なる。契約期間中は記事内容の更新やシステム利用料も料金に含まれるため、導入後は積極的に活用して元を取る意識が大切である。

Q3. 取材記事は“やらせ”ではないのか?
A3. 記事自体は実際の取材に基づきプロが執筆する本格的な内容であり、虚偽の演出をするような「やらせ」ではない。ただし掲載にはクリニック側の契約が伴うため、広義には広告コンテンツに分類される。そのため、一般の雑誌記事のように編集部が独自に取材先を選んでいるわけではなく、あくまで契約した医院が対象となる点に留意が必要だ。「やらせでは?」という疑問の背景には、読者から見ると純粋な記事なのか広告なのか判然としないことがあるだろう。しかしドクターズ・ファイル側もその点は配慮しており、ステルスマーケティングにならないようサイト全体で医療広告ガイドラインを遵守した表現に統一している。要は広告であることを理解した上で、記事という形式を好意的に活用することが大切である。

Q4. 既に他の予約システムを使っているが、ドクターズ・ファイルの予約システムも併用すべきか?
A4. すでにEPARKやデンタマップなど別のネット予約サービスを導入済みの場合、二重で運用するメリットはあまりない。ドクターズ・ファイルの予約ボタンは、同社システムを使わないと機能しないため、自院ページからの予約導線を活かすなら乗り換えや併用を検討することになる。ただし併用は管理が煩雑になるため、おすすめしない。機能面ではドクターズ・ファイル アポは初期費無料・予約毎の課金無しでコスト面の負担は少なく、またドクターズ・ファイル経由の患者獲得も期待できる利点がある。一方ですでに浸透したシステムを変える手間も考慮すると、現状に不満がなければ無理に切り替える必要はないだろう。導入する場合は一本化し、スタッフ教育と患者告知をしっかり行うことが重要である。

Q5. 解約したら記事はどうなるのか? A5. 有料契約を終了した場合、ドクターズ・ファイル上の取材記事ページは非公開または削除となる可能性が高い。実際に「無料期間だけ掲載され、その後消えてしまった」という声もある。このため、一度掲載した記事を長く残したい場合は契約を継続する必要がある点に注意が必要だ。無料プランで基本情報のみ登録している場合は掲載自体は維持されるが、取材記事がある程度経過後に公開終了となれば患者から見えなくなる。契約終了時には、記事本文のデータや掲載写真を自院で保存しておくことをおすすめする。将来的に再契約して記事を復活させることも不可能ではないが、過去の掲載履歴は患者にも察知される可能性があるため、「最近掲載をやめた=何か問題があったのか」と勘繰られないよう配慮したい。継続が難しい場合は、自院ブログなど別媒体で情報発信を続けフォローアップすることが望まれる。