
歯科予約システム「DentNet(デントネット)」の費用や評判、連携を分かりやすく解説
歯科医院の予約管理で悩んでいる先生は少なくない。例えば、治療の重複予約や予約漏れが発生して患者を待たせてしまった経験はないだろうか。予約の電話対応に追われ、本来の診療に集中できないと感じることもある。患者との信頼関係を維持するためには、スムーズな予約管理と的確なリマインドが欠かせない。一方で、新しいシステム導入には費用や運用面で不安もつきまとう。本稿では、歯科医院向け予約管理・経営支援システム「DentNet(デントネット)」について、その特徴と費用、評判、他システムとの連携まで、臨床と医院経営の双方の視点から客観的に解説する。診療現場の煩わしさを軽減しつつ、医院経営の効率化と患者満足度向上を両立させたい先生にとって、DentNetがその一助となるかを検証する。
製品の概要
DentNet(デントネット)は、株式会社ジェニシス(Genesis社)が開発・販売するクラウド型の歯科医院向け予約管理・経営支援システムである。2003年のリリース以来改良を重ねており、全国で約1000医院(2022年時点)に導入された実績がある。単なる予約受付ソフトに留まらず、24時間対応のWeb予約や自動リマインド機能、受付業務の効率化と経営分析まで幅広くサポートする点が特徴である。DentNet自体はレセコン(レセプトコンピュータ)や電子カルテのような診療記録システムではなく、歯科診療に特化した高度な予約・患者管理システムとして位置付けられる。ソフトウェア製品なので医療機器のクラス分類は存在しないが、個人情報を扱うクラウドサービスとして高水準のセキュリティ対策が施されている。
DentNet導入時には、同社から専用の受付用パソコンが1台提供される。このパソコンにDentNetのクライアントソフトウェアがセットアップされ、インターネット経由でジェニシス社のデータセンター上のDentNetサーバーに接続する仕組みである。院内にサーバー機を置く必要がないため、日々のバックアップ作業やサーバーメンテナンスの負担が医院側に生じないのも利点である。利用可能な端末数に制限はなく、院内の複数のPCやiPadから同じ予約データベースにアクセスできる(スマートフォンはスタッフ用端末としては非対応)。複数の診療ユニットやスタッフを抱える医院から、小規模医院まで幅広く利用できる柔軟性を備えている。
主要スペック
DentNetの主要な特徴を、歯科医院の予約管理システムとしてのスペック面から見ていく。まず予約スケジュール管理の柔軟性が挙げられる。DentNetでは、各医院の運用に合わせて初期設定89項目、サーバー側設定389項目にも及ぶ詳細なカスタマイズ項目が用意されている。これにより、治療内容ごとの必要時間や担当スタッフ数、チェア(ユニット)台数、技工物の納期など、歯科医院固有の予約ルールを細かく反映したスケジュール管理が可能である。予約枠の単位時間も5分から30分まで選択でき、担当医やユニットごとの列表示も自由に切り替えられるため、小規模医院から担当医制の大型医院まで対応できる設計である。従来の紙のアポイント帳では難しかった複雑な制約下での自動予約制御(例えば「長時間の処置が複数同時に入らないようにする」など)も実現している。
クラウドサービスであるため、データはジェニシス社の専用データセンターに安全に保管される。サーバは耐震・非常電源完備の施設に設置され、院内端末との通信は高度な暗号化が施されている。専門スタッフによる24時間監視や定期的なセキュリティ解析が行われており、個人情報保護の観点でもプライバシーマーク取得や保険加入など万全の対策が取られている。これにより、院内にサーバを置かずとも安心して患者データを管理できる。万一データセンター側で障害が発生した場合でも、DentNetにログインする度に6時間おきに自動バックアップを取得する仕組みがあり、万が一のデータ消失リスクを低減している(※ただしリアルタイムでの閲覧・入力は回線復旧までできないため、障害発生中に新規予約は取れない点には注意が必要である)。
24時間WEB予約機能もDentNetの大きな強みである。患者がインターネット経由でパソコンやスマートフォンから、診療時間外でもリアルタイムに自分の予約を確認・登録・変更できる仕組みが整っている。医院ごとのルールに沿って「新患は特定の時間帯のみ受付可能」「キャンセルは来院○日前まで許可」など細かな条件設定も可能なので、オンライン予約の利便性と医院側の運用ルール遵守を両立できる。空き枠検索機能も充実しており、受付スタッフが画面をめくりながら探さなくても条件に合う空き時間を即座にピックアップできるため、電話応対のスピードも向上する。
多彩なリマインド機能もスペック上の注目点である。DentNetは予約日時の通知やリコール(定期検診)案内をメール・SMS・自動音声電話・LINEで自動送信する機能を備えている。例えば、予約前日に自動メールを送り、未達の場合はSMSを再送するといった細やかな設定も可能だ。これらの機能により無断キャンセル抑制に寄与し、患者へのサービス向上と医院側のキャンセル空き枠発生リスク低減が期待できる。近年主流のコミュニケーション手段であるLINEにも対応しており、患者は医院のLINE公式アカウント(専用アプリ「歯医者さん」)から予約確認やリコール通知を受け取れる。LINEは患者の目に留まりやすく反応率も高いことから、多忙な患者へのリマインド効果が高い。
CTI機能(電話の発信者情報表示)も備えている。受付電話に着信があるとDentNetの画面上に患者情報がポップアップ表示され、誰からの電話か一目で分かる。さらに次回予約の有無や過去の来院履歴まで即座に確認できるため、電話に出る前に必要な情報を把握して対応できる。顔写真の表示にも対応しており、患者にとっても「自分のことを覚えてくれている」という安心感につながるだろう。
患者情報管理と経営分析の機能も充実している。DentNet上で患者の来院履歴や処置内容をメモとして蓄積できるため、電話問い合わせ時にカルテを引っ張り出さなくても要点を回答できる。また、患者ごとに会話内容や注意点を記録する「コミュニケーションシート」を活用すれば、スタッフ間で患者対応の引継ぎもスムーズになる。患者属性に応じたアイコン表示機能もユニークで、「VIP」「要注意(既往症あり)」「小児(非協力的)」など最大50種類のカスタムアイコンを設定可能だ。予約画面から患者の特徴が直感的に把握でき、適切な対応に役立つ。
歯科医院経営支援という名前に相応しく、統計・分析機能も備える。日報・月報として来院数やキャンセル率、新患率、リコール率などを自動集計し、CSV形式で出力することができる。市販の表計算ソフトで加工・分析することで、予約の空き時間推移や患者リピート動向を詳細に把握し、経営改善に活用できるだろう。また、紹介患者の追跡機能もあり、「誰が誰を紹介してくれたか」をツリー表示で可視化できる。多くの紹介をしてくれる患者をリストアップし、お礼やフォローに活かすといったマーケティング施策にもつながる。
その他、技工物管理機能では技工所への作業依頼と連動して予約を管理できる。例えば補綴物が納品される前には次回予約を入れられない制限を自動で掛けたり、技工物の納品一覧を出力してチェックリストにすることも可能だ。これにより技工物遅延による予約の無駄や患者への迷惑を防ぐ。一方、金銭会計の管理については、DentNetはあくまで予約と患者情報に特化しているためレセコン上の収支データとの連携は行わない。日別の売上集計(日計表)機能は備えているが、会計ソフトやレセコンでの入金情報とは統合されない点には留意が必要である。
以上のように、DentNetは単なる予約帳の電子化を超えた総合的な予約・患者管理プラットフォームと言える。操作性も考慮されており、画面は直感的なインターフェースでほとんどマウスクリック中心に操作できる。普段インターネット閲覧やPC操作に慣れているスタッフであれば抵抗なく使い始められるデザインである。実際、紙の予約帳と並行利用することなくDentNetだけで予約管理を完結している医院が大半であり、それだけ信頼性と使い勝手が確立されたシステムであることを裏付けている。
互換性や運用方法
DentNetは他システムとの連携・互換性にも配慮されている。まず、多くの歯科医院で使用しているレセコン(レセプトコンピュータ)とのデータ連携が可能である。主要なレセコン各社とは実績が豊富で、レセコンに登録された患者基本情報(氏名、連絡先、生年月日など)をDentNet側へ自動取り込みできる仕組みが提供されている。新規導入時にも、既存患者データを一件ずつ手入力し直す必要はなく、数千件に及ぶ患者情報を一括移行できるので安心である。これにより受付はレセコン、予約はDentNetという使い分けでも患者情報の一貫性が保たれ、二重入力の手間が省ける。ただし前述の通り、会計金額などの詳細な診療報酬データは連携しないため、売上管理は引き続きレセコンや会計ソフト側で行う必要がある。
近年はさらなる他システムとの連携強化が進められている。ジェニシス社は2022年、DentNetとデジタル問診票アプリや電子カルテとの連携構想を発表した。具体的には、電子ノートアプリ「Dental eNote(デンタルイーノート)」(MetaMoJi社製)とのシステム連携を開発し、2023年春に機能提供を開始している。DentNetの画面上からボタン一つでDental eNote内の該当患者の記録を呼び出せるようになり、予約情報とデジタルカルテ情報のスムーズな紐づけが実現した。これは今後の電子カルテ本体やデジタルレントゲンシステム等との連携に向けた第一歩とされており、診療情報のシームレスな共有によって業務効率を一層高めることが期待される。また、2023年秋にはDentNetにWeb問診票機能が追加リリースされた。患者が来院前にウェブ上で問診フォームに記入し、その内容をDentNetを通じて院内で共有できる機能である。これにより、初診患者の紙の問診票記入にかかる手間や時間を削減し、受付から診療への流れを円滑にするデジタル化が進んでいる。
スマートフォンアプリとの連携もDentNetの魅力である。ジェニシス社は2021年に患者向け公式アプリ「Dent AI(デントエーアイ)」を公開した。このアプリはDentNet導入医院に通院している患者が利用できるもので、スマートフォンをデジタル診察券として活用する仕組みが特徴だ。来院時に患者が自分のスマホでQRコードをかざすことで受付チェックインが完了し、カードレスかつ非接触で受付手続きを済ませられる。医院によっては、Dent AIアプリ上から次回予約を取得したり、自動精算機と連動して会計処理を行うことも可能である。若い世代や非接触サービスを好む患者にも対応できる環境を提供し、患者利便性と医院の業務効率化(受付処理の分散化)に寄与する連携施策として注目される。
DentNetの運用面については、導入時の支援体制が充実していることが挙げられる。ジェニシス社のスタッフが初期設定や院内ネットワーク工事、操作指導まで一貫してサポートするため、ITに不慣れなスタッフがいる医院でも心配はいらない。導入当日の診療開始直後からスタッフが戸惑わず操作できるよう、通常1日程度の立ち会い運用で基本操作を習得できるという。さらに導入後も、専用コールセンターによるサポートが平日だけでなく土曜まで用意されている。電話問い合わせで操作やトラブルに即座に対応できる体制が整っており、遠隔からDentNetの専門スタッフが医院のPCにリモートアクセスして設定変更やトラブルシューティングを行うことも可能である。日本全国、離島の医院であってもこのリモートサポートによって迅速に対応しており、実際に北海道の知床半島近くの医院でも問題なくDentNetを運用できているという報告がある。万一ハードウェア的な問題など現地での対応が必要な場合には、別途費用とはなるが駆け付け対応も相談できる。
DentNetを院内で効果的に運用するポイントとしては、スタッフ間で情報を共有するための端末活用が挙げられる。受付だけでなく各診療ユニットに設置したPCやタブレットからDentNetにアクセスし、リアルタイムの予約状況や待ち患者情報を全員で把握することで診療フローの最適化につながる。たとえば、治療の進行に伴い急なスケジュール変更が発生しても、チェアサイドの画面で最新の予約状況を確認しつつその場で予約変更の操作も可能である。これにより、院長や担当医も治療の合間に自分で次回予約を入れることができ、受付スタッフへの口頭伝達ミスを防ぐことができるだろう。また、患者の待ち時間を管理する表示機能も備わっており、「予定時刻を過ぎても診療開始できていない患者」がいる場合にその超過時間が分かるようになっている。スタッフ全員で遅れを認識し、他の処置との兼ね合いで順番を調整したり、受付からひと言お声掛けするなど迅速な対応が取れる。こうした運用上の工夫によって、DentNetを単なる予約台帳ではなく医院全体の業務ハブとして活用することができる。
経営インパクト
DentNet導入にかかる費用と、それが医院経営に与える効果を考察する。まず費用面だが、DentNetの初期導入費用は約175万円(税抜)である。内訳として、基本ソフトウェアライセンス料がおよそ125万円、医院ごとのシステム調整や導入支援に約35万円、受付用パソコン1台が約10万円、その他周辺備品が約5万円となっている(地域によっては設置出張費が追加で数万円発生する)。この初期費用は一括購入だけでなくリース契約(ビジネスクレジット)も可能で、その場合6年(72回)分割で月額約2万7000円の支払いモデルとなる。初期費用の分割支払いが完了すれば、その後は追加のソフト更新料金などは発生せず、月額のサービス利用料のみで継続利用できる。
月額サービス利用料は医院の使用端末台数(≒ユニット数)に応じて設定されており、例えば7台までの利用なら月額14,500円(税抜)である。8~12台では2万円、13~18台は3万円、19~24台は4万円と段階的に料金が上がり、25台以上の規模は個別相談となっている。多くの一般的な歯科医院ではユニット数が5~10程度であるため、月1.5万~2万円前後のランニングコストと考えてよい(消費税を含めると約1.65万~2.2万円)。この料金にはクラウドサーバの利用料、データバックアップ、システム監視、年次バージョンアップ費用、サポートセンター利用料といった維持運用に必要なすべてのサービスが含まれている。つまり、DentNetの月額費用は単なるソフト利用料ではなく、システムを安全に動かし続けるための包括サービス費と位置付けられる。他社製の簡易な予約システムに比べると月額費用は高めではあるが、院内サーバー不要によるIT管理コスト削減や、頻繁な機能追加アップデートが無償で提供される点を加味すると、費用に見合ったサービスが提供されているといえる。
DentNetの導入効果を投資対効果(ROI)の観点で捉えてみよう。初期費用約175万円と月額費用を合わせると、導入1年目は概算で200万円超のコストとなるケースが多い。この金額だけ見ると決して小さくはないが、その分を医院の生産性向上や患者増加で回収できるかがポイントである。DentNetがもたらす経営上のメリットとしてまず考えられるのは、キャンセル・無断キャンセルの減少による収益ロス低減である。自動リマインド機能で患者への事前通知徹底や、直前キャンセル発生時のキャンセル待ち機能によるリカバリーで、空き枠を極力減らすことができる。仮にDentNetの導入で月に2~3枠のキャンセルが埋まり新たな患者が来院するとすれば、それだけで月額費用程度の売上増加につながる可能性がある。例えば1枠あたり5,000円の保険点数収入(もしくは自費処置収入)が得られるとすれば、3枠埋まれば15,000円となりDentNetの月額料金を回収できる計算である。実際の効果は医院の診療内容や患者層に左右されるが、1ヶ月にわずか1件でもキャンセル穴埋めできれば元が取れるともいえる金額設定である。
次に業務効率化によるコスト削減効果を考える。DentNet導入により、受付スタッフの電話応対時間の短縮や、煩雑な予約帳の管理ミス訂正作業の減少が期待できる。スタッフが患者対応や診療補助など他の業務に充てられる時間が増えれば、人件費当たりの生産性向上につながる。仮にDentNetによって1日あたり30分のスタッフ業務が効率化できたとする。1ヶ月(20日診療)で10時間の節約となり、時給換算でスタッフ1人当たりの人件費1,000円とすると月1万円の労務コスト削減効果となる。これも月額費用の一部相殺となるだろう。また、紙の予約帳を廃止することで紙代や印刷コストがわずかでも削減でき、さらに予約ミスによる二重予約や空振りの解消は、院長やスタッフの残業対応や患者クレーム対応といった無形コストの削減につながる。DentNet上で各患者の情報や注意点を共有できることは、スタッフ間の伝達ミスによるやり直しやトラブル防止にも有効であり、結果的に再診・再治療率の低下や患者満足度向上からの増患効果も期待できる。
DentNetの活用によって新たな収益機会が生まれる可能性もある。例えば、24時間対応のWeb予約を導入すれば、これまで診療時間外に予約機会を逃していた新患を獲得できるかもしれない。特に若年層やビジネスパーソンは営業時間中に電話するのが難しく、オンラインで予約可能な歯科医院を選ぶ傾向がある。DentNet導入医院では自院のホームページ上に予約フォームを設置し、新患が夜間でもネット予約できるようになるため、他院との差別化による集患効果が期待できる。また、LINEやスマホアプリDent AIによる利便性向上は、患者の定着率アップにつながる。予防歯科中心の医院でリコール間隔を遵守してもらうには、患者との接点を増やし忘れさせない工夫が重要だが、DentNetはまさにその仕組みを提供する。長期的に見れば、定期メンテナンス患者の継続来院による安定収益を支える基盤となり、紹介患者増にもプラスに働くだろう。
このようにDentNetの導入コストは決して安くはないものの、その対価として医院経営の効率化とサービス向上によるリターンが見込める。特に、自費診療の比率が高い医院であれば1件あたりの売上が大きく、予約漏れ防止の効果はダイレクトに利益増に結びつく。保険診療中心であっても大量の患者をスムーズに捌けることで回転率が上がり、収益底上げにつながりやすい。なお、DentNetは2023年度のIT導入補助金(A類型)の対象ツールにも認定されており、条件を満たせば初期導入費用の1/2が補助される制度を利用できる(補助上限150万円まで)。こうした公的支援を活用すれば実質的な投資額を抑えることもできるため、高額なシステム投資に二の足を踏んでいる場合はぜひ検討したいポイントである。
使いこなしのポイント
DentNetは高機能なシステムであるが、真価を発揮させるには医院ごとの使いこなしが重要である。導入直後から効果を最大化するためのポイントをいくつか挙げる。
まず、初期設定とカスタマイズを綿密に行うことが肝要である。DentNetは設定項目が非常に多岐にわたるため、導入時に医院の運用ルールや方針を明確に反映させることが大切だ。例えば「〇〇の処置は同じ時間帯に2件以上入れない」「担当衛生士ごとにチェアを固定する」「新患は初診枠にのみオンライン受付可にする」など、現在スタッフが頭の中や紙で運用しているルールを洗い出し、システムに落とし込む。ジェニシス社のスタッフがヒアリングして設定を詰めてくれるが、医院側も主体的に要望を伝えることで自院にフィットした予約システムが出来上がる。逆に、この擦り合わせが不十分だと「システムに医院を合わせる」形となり、スタッフが使いにくさを感じる原因にもなる。カスタマイズ性がDentNetの利点であるだけに、遠慮せず希望の運用を相談するとよい。
次に、スタッフ教育と役割分担である。DentNetは基本操作は簡単とはいえ、多彩な機能を十分活用するにはスタッフ全員の理解が必要だ。ジェニシス社ではDentNetユーザー向けに月1回の操作説明会(ベーシックコース・アドバンスコース)を無料開催しており、新人スタッフの研修や機能アップデート時の勉強に役立てることができる。これらを積極的に利用し、スタッフが常に最新機能まで含めて習熟するよう努めたい。院内では、受付担当者を中心にDentNetの管理権限を持つシステム責任者的なポジションを決めておくと良い。この担当者が設定変更やマスタ登録(例えば祝日や休診日の登録、ドクターの勤務シフト調整など)を一括管理し、他のスタッフからの要望も取りまとめてジェニシス社サポートに相談する窓口になるとスムーズだ。もちろん院長自身が詳しく理解しておくことも重要だが、多忙な院長業務の中では実務操作はスタッフに任せる場面も多いため、院長+キーパーソン数名でしっかり操作スキルを身につけておくのがおすすめである。
DentNet導入当初は、紙の予約帳からの移行に戸惑うこともあるだろう。しかし紙台帳との併用期間は可能な限り短くし、早期にDentNet一本に切り替える方が最終的には定着が早い。併用していると入力の二度手間や転記ミスが発生しやすく、システムへの不信感にもつながりかねない。初期の不慣れな時期こそ、敢えて紙を手放してDentNet上で全予約を管理することで、スタッフも真剣に操作習得に取り組むようになる。ジェニシス社の導入支援スタッフによれば、多くの医院が初日から紙を廃止し、1日のレクチャーと運用立ち会いで十分にDentNetへ移行できているとのことである。どうしても不安な場合は、前日分までの予約状況を印刷して控えておくなど最低限のバックアップ策を講じつつ、実運用はシステムに任せるのが望ましい。
DentNetの高度な機能を活用する工夫も大切だ。例えばリマインドメールやSMSを送信するには、患者のメールアドレスや携帯番号の収集が不可欠である。初診時や定期検診予約時に積極的に患者情報をアップデートし、連絡先をDentNetに登録しておくことで自動連絡機能がフルに活きる。また、LINE連携を利用するなら来院時に「当院のLINE登録はこちら」と案内し、患者自身にQRコードを読み取ってもらうなど、患者側の協力を得る仕組みも整えると良いだろう。スマホアプリDent AIの利用も、告知しなければ患者には伝わらない。受付や院内掲示で「スマホで受付・予約できます」と周知し、希望者にはアプリをインストールしてもらうことで、結果的に医院の業務効率も上がる。せっかくの機能も使われなければ宝の持ち腐れなので、患者への周知とスタッフからの働きかけも含めて運用設計すると効果的である。
さらに、DentNetを経営管理ツールとして活かす視点も忘れずに持ちたい。毎月DentNetから出力される統計データ(日報・月報)は、単なる記録ではなく経営改善のヒントが詰まっている。例えば「先月のキャンセル率が◯%に増えているが原因は何か」「新患の紹介経路で◯◯さんからの紹介が多いのでフォローしよう」「ユニット稼働率が低い曜日があるが診療時間の見直しは必要か」といった分析が可能になる。院長がこれらデータを定期的にチェックし、朝礼やミーティングで共有することで、スタッフ全員が数字を意識した医院運営に参画できる。DentNet導入はゴールではなく、そこからPDCAを回して医院運営を改善していくスタートと捉えるべきだろう。その意味でも、導入直後から経営指標を確認する習慣をつけ、DentNetを経営会議の話題に上らせることが望ましい。
最後に、困ったときはサポートを積極的に活用することも重要だ。DentNetの月額費には手厚いサポートが含まれている。操作上分からないことや「こういう運用はできないか?」という相談があれば、遠慮なくコールセンターに問い合わせるべきである。同社はユーザーからの要望に基づいて機能改良も継続して行っており、問い合わせが多い事項はアップデートで改善されるケースもある。事実、DentNetは発売から20年の間に何度もバージョンアップを重ね、当初想定していなかったような新機能(LINE対応や他社システム連携など)も次々と実装されている。ユーザーの生の声を届けることが、DentNetをさらに使いやすく進化させ、自院にとってもメリットとなって返ってくるだろう。
適応と適さないケース
高度な予約管理を実現するDentNetだが、どんな歯科医院にも無条件で適しているわけではない。ここではDentNetの導入が特に向いているケースと、逆に慎重な検討が必要なケースを整理する。
DentNetが適しているケースとしてまず挙げられるのは、予約や患者数が多く複雑な運用を要する医院である。ユニット数が多く担当医やスタッフが複数いるような中~大型規模の医院では、手作業での予約管理に限界がある。DentNetの柔軟なカスタマイズ機能は、例えば「〇曜日の午後は小児専門のDrだけ診療」「技工物の戻り日を考慮して予約可否を自動制限」「手術日は他の一般診療を軽めに設定」といった複雑条件の運用を自動化するのに真価を発揮する。院長一人で全予約をコントロールしきれないような体制でも、システムがミス無く制御してくれるため、大所帯の医院ほどメリットが大きい。また、新患・急患が多く飛び込みの対応が頻繁な医院にも適している。空き枠検索やキャンセル待ち機能によって常に最適な枠を提案してくれるため、受付スタッフが混乱することなく急な予約変更にも即応できる。患者にも「この医院は予約管理がしっかりしていて待たされない」という印象を与えられるだろう。
予防歯科に力を入れている医院にもDentNetはマッチする。定期健診のリコールを体系立てて管理し、長期にわたる患者フォローを重視する医院では、リコール対象者の抽出や自動通知ができるDentNetは強い味方となる。一定期間来院が無い患者をリストアップしてハガキやメールでお知らせする、いわゆる休眠患者掘り起こしも容易である。これにより、予防中心の経営で鍵となる定着率(リテンション)向上が期待できる。また、紹介者関係の可視化も、患者との関係性を重視する医院経営において有益である。誰が多くの紹介をもたらしてくれているか把握できれば、その患者への謝礼やケアを強化するなどのマーケティング施策にもつながる。DentNetは単なる効率ツールに留まらず、患者との関係構築を支援するプラットフォームとして、予防型経営を志向する医院と相性が良い。
一方、DentNetの導入で注意すべきケースもある。まず規模がごく小さい医院、例えばユニットが1台か2台で院長+スタッフ数名といった家庭的なクリニックでは、DentNetの高機能ぶりがオーバースペックになる可能性がある。患者数や予約の変更頻度が少なく、現状でも紙ノートやレセコン付属の簡易予約機能で十分に捌けている場合、あえて高額なDentNetを導入しても投資対効果が見合わない恐れがある。特に開業まもない医院で患者数がこれからという段階では、まず低コストの予約システムや手作業で様子を見て、患者増加に伴いDentNet導入を検討するのも一策だ。もっとも、将来的な成長を見込んで初期段階から本格システムを入れる判断も否定はできない。補助金の活用などで初期費用負担が軽減できるなら、早めに整備して患者サービスを差別化する戦略もあるだろう。いずれにせよクリニックの発展段階や予算に応じて、タイミングを見極めることが重要である。
また、インターネット環境が不安定な地域では注意が必要だ。DentNetはクラウド型ゆえ、ネット回線が長時間ダウンすると予約表が閲覧・入力できなくなるリスクがある。都市部ではあまり心配ないが、もし通信障害が頻発するような場所では、オフラインでも使えるオンプレミス型システムの方が安心感があるかもしれない。ただし現在のところ、歯科向け予約システムでDentNetほどの機能を持つオンプレ型ソフトは稀であり、通信回線の冗長化(予備回線やモバイルルーターを準備しておく等)で対応可能ならDentNetを検討する価値はある。
さらに、既に別の総合システムを導入しているケースも悩ましい。例えば電子カルテや大手レセコンに予約機能が付随していて一元管理している場合、DentNetを新たに導入するとシステムが二重になる。DentNetは予約専用に特化している分機能豊富だが、カルテ一体型のシステムと比較してどちらを優先すべきかは医院の運用方針次第だ。既存システムの予約機能に不満があり改善したいならDentNetを追加導入する意義はあるが、現状問題なく回っているなら無理に変える必要はないかもしれない。DentNetは他の多くのシステムと共存可能だが、使いこなすシステムが増えることでスタッフの負担が増えないよう、トレーニング計画を立てることが重要となる。
総じて、DentNetは「予約管理に課題を抱えており、患者サービスと運営効率を本気で高めたい医院」に適したソリューションである。逆に言えば、現状で大きな不満がなくコストもかけたくないという医院には無理に勧めるものではない。導入の可否は、自院の課題とDentNetの解決策がマッチするか、投資に見合うリターンが期待できるかを見極めて判断すべきである。
導入判断の指針(読者タイプ別)
歯科医院にも様々な経営方針・診療スタイルがあり、それによってDentNet導入のメリット・デメリットの感じ方も変わってくるだろう。いくつかのタイプ別に、導入判断のポイントを考えてみる。
保険診療が中心で効率最優先の医院
保険診療主体で日々多くの患者を回転させている医院にとって、DentNetは業務効率の切り札となり得る。待合室に患者が溢れがちでスタッフも常にバタバタしているような状況では、予約の最適化とミス防止は喫緊の課題である。DentNetの導入によって、二重予約の防止や空き時間の有効活用が進み、限られたチェアと時間を最大限に活かすことができるだろう。例えばキャンセル待ち機能で直前のキャンセル枠をすぐ他の患者に振り替えたり、担当者ごとに予約列を分けて表示することでスタッフ同士の連携が取りやすくなる効果がある。チェアタイムの短縮やユニット稼働率向上は、そのまま収益増に直結するため、忙しい保険診療中心の医院ほどDentNetの導入効果は数値で実感しやすい。
ただし、こうした医院は往々にして費用面にシビアでもある。保険点数収入は単価が低いため、大きなシステム投資の回収に不安を抱くのはもっともだ。先述の通りDentNetの月額費は保険診療の売上数件分に相当するため、「本当に元が取れるのか?」という疑問が出るだろう。これについては、上で計算したように一部のキャンセル防止や患者増で十分ペイできる可能性を説明し、費用対効果を丁寧に見積もることが大切だ。加えて、効率化によって残業や人員増を避けられるメリットも強調したい。例えばDentNetがなければもう一人受付パートを雇わねばならなかったかもしれないところ、システム導入で現スタッフ内で回せるなら、人件費節約につながる。保険中心型の医院では、このように削減できるコストも踏まえて総合的に判断するとよいだろう。
高付加価値の自費診療を強化したい医院
矯正歯科や審美歯科、インプラント、先進予防プログラムなど自費診療中心で高い付加価値を提供している医院の場合、DentNet導入の主目的は単なる効率よりも患者満足度の向上に置かれることが多い。このタイプの医院では、患者一人あたりにかける時間は長くても、サービス品質の高さが口コミやリピートに直結するため、きめ細かな対応が経営の肝となる。DentNetは予約管理に留まらず、患者ごとの対応履歴や注意点を残せるコミュニケーションシート、VIPや特記事項を示すアイコン表示など、パーソナルな接遇に役立つ機能が豊富である。例えば前回来院時に恐怖心を訴えていた患者には事前に笑気麻酔の準備をしておく、といった配慮をカルテを開かずとも予約画面から把握できる。こうした心配りは患者にとって大きな安心材料であり、DentNetはスタッフ全員でその情報を共有する基盤を提供する。
また、高額な自費治療では予約の厳守が一層重要になる。1時間以上ブロックした手術枠が無断キャンセルになれば損失は大きく、逆に患者を待たせ過ぎればクレームにもつながる。DentNetのリマインド機能や待ち時間表示機能で、約束を確実に守り、仮に遅れが出てもフォローできる体制は高級志向の患者にも響くだろう。Web予約についても、自費診療を検討する新規患者にとって24時間いつでも問い合わせ・予約できる便利さは訴求点となる。特に仕事で忙しいビジネス層や遠方から通う患者には、電話に頼らない予約チャネルは歓迎されるはずだ。
費用面では、自費診療型の医院は比較的投資に前向きなケースが多い。1件の治療収入が大きいため、DentNet導入で患者が1人増えればすぐ元が取れる計算になることも珍しくない。例えばインプラント1本の治療費が数十万円とすれば、キャンセル穴埋めで1件施術が増えれば初期投資すら回収できかねない。したがってROIの不安は小さく、むしろ「本当に自院にフィットするか」「スタッフが使いこなせるか」を重視して導入判断するとよいだろう。その点DentNetは多数の高額自費を扱う医院で導入実績があり、トップクラスのクリニックの院長の声を反映して作られた経緯もある。自費率の高いクリニックであれば、DentNet導入は患者サービスをワンランク上げるための設備投資と位置付けて検討する価値が十分にある。
口腔外科・インプラント中心の医院
外科処置やインプラント手術を主体とする医院では、予約管理上の課題がまた異なる。手術日は長時間の処置や全身管理が必要なケースが多く、スタッフや設備のリソースを集中的に割くため、他の患者予約との両立に細心の注意が必要だ。DentNetは治療内容の重複制御が可能であり、「手術枠中は他の予約を入れない」などのルール設定ができるため、オペ日と一般診療のバランス管理をシステム任せにできるのは大きなメリットだ。加えて技工物管理機能も、外科後の補綴処置がタイムリーに進められるようサポートしてくれる。インプラント上部構造の装着日は技工所からの補綴物が届いてからでなければ設定できないが、DentNetなら補綴物の納期を入力しておけば自動的に適切な日以降でしか予約が入らないよう制限できる。これにより、スタッフの思い違いや患者との日程調整ミスを防ぎ、スムーズな治療計画の遂行につながる。
口腔外科系の医院では、紹介患者や医科との連携も多い。DentNetの紹介者ツリー表示は、どの歯科医院・医科クリニックからどれだけ紹介が来ているかを可視化できるので、紹介元への報告・御礼などの対応にも役立つ。また、全身疾患を持つ患者も多いため、注意すべき患者にはアイコン表示でチーム全体に共有する機能が安全管理上有用である。「要薬剤管理」や「感染症注意」といった情報を一目で認識できれば、院長不在時に別のスタッフが対応してもヒヤリハットを減らせるだろう。
経営面では、外科・インプラント中心の医院は高額な自費診療が主であるため、高付加価値型のケース同様にDentNet導入の費用対効果は得やすい傾向にある。それよりも、オペ中心の特殊なスケジュール管理にソフトが耐えられるかが懸念となりやすい。しかしDentNetは元々、口腔外科・インプラント専門医からのフィードバックも得て開発されており、大規模インプラントセンターなどでの導入実績もある。そのため、複雑な術前後の通院スケジュール(例えばインプラント埋入→経過観察→2次オペ→補綴装着と半年以上先まで予約を押さえるケース)にも対応可能だ。長期にわたる予約管理では、患者の希望日変更などによるズレも生じがちだが、DentNetの患者検索機能で「◯月に手術予定の患者リスト」をすぐ抽出できるため、変更時も見落としなく対応できる。トータルで見れば、煩雑な口腔外科系の予約管理にこそDentNetの機能がフィットし、人的ミスをカバーしてくれる存在と言える。
結論
歯科予約システム「DentNet(デントネット)」は、20年以上にわたり磨き上げられてきた歯科医院向けの総合予約・患者管理プラットフォームである。その導入によって得られるものは、予約業務の抜本的な効率化と患者サービス品質の向上だ。具体的には、煩雑だった予約調整がシステム化されることでスタッフの負担が減り、ダブルブッキングや予約漏れといったヒューマンエラーが激減する。患者にとっても、待ち時間の短縮やスムーズな予約変更、行き届いた事前連絡により、医院への信頼感と満足度が増すだろう。結果として医院側は限られたリソースでより多くの患者を適切に診療でき、キャンセルや未予約時間を減らして生産性と利益率を向上させることができる。
DentNetの導入は決して小さな投資ではないが、その対価として得られる効果の範囲は広い。単なる受付業務効率化だけでなく、医院経営の質的向上(データに基づく経営判断、患者リレーション強化)にまで影響を及ぼす点が、このシステムの真の価値といえる。もちろん、魔法の箱ではないので、導入すれば自動的に全てが改善するわけではない。システムを使いこなすスタッフ教育と、DentNetが提供する情報を経営に活かす院長のマネジメントがあってこそ、最大のリターンが得られる。しかし、そこまで視野に入れてDentNetを導入すれば、医院運営の次元を一段上げるツールとなってくれる可能性は十分にある。
もしDentNetに興味を持ったなら、まずは情報収集と他院の事例確認をお勧めする。ジェニシス社の公式サイトでは製品パンフレットの請求やオンラインデモの相談ができる。またDentNetを導入済みの医院を見学させてもらうことも可能である。同社に問い合わせれば、自院と規模や診療内容が近い導入医院を紹介してもらえる場合もある。実際の現場でDentNetがどのように使われ、スタッフや患者にどんな変化をもたらしているかを肌で感じるのは大きな参考になるだろう。加えて、自院で使っているレセコンとの具体的な連携方法や、導入スケジュール(準備期間)についても事前に確認しておくと安心だ。場合によってはIT導入補助金の申請準備も必要になるため、余裕を持った計画が望ましい。
本稿で述べたように、DentNetは臨床と経営の両面で医院に新たな可能性をもたらすツールである。煩雑な予約管理に悩まされてきたなら、そしてこれからの歯科医院経営を効率化と患者中心主義の両立で発展させたいと願うなら、DentNetの導入は明日からできる医院改革の一手となるかもしれない。一度検討リストに加えてみてはいかがだろうか。
よくある質問(FAQ)
Q1. DentNetの初期費用と月額費用が他社より高いようだが、本当に投資する価値があるのか?
A1. 確かにDentNetは安価な汎用予約ソフトに比べ初期費用・ランニングコストとも高めである。しかし、その費用には専用データセンターの利用や日々のバックアップ、年次バージョンアップ、手厚いサポートなどがすべて含まれている。医院側でサーバ管理やセキュリティ対策、人力でのリマインド業務等を行うことを考えれば、DentNetに任せることで得られる効率化効果は費用を上回り得る。実際、多くの導入医院でキャンセル減少や患者増加、スタッフ残業削減といった明確な成果が報告されている。さらに2023年現在はIT導入補助金を活用して初期費用の半額補助を受けることも可能であり、そうした制度を使えば投資負担は軽減できる。重要なのは、自院の課題に対してDentNetが具体的な解決策を提供し、その結果として得られる増収やコスト削減効果を数字で試算することだ。費用だけを見るのではなく、投資対効果を総合的に見極めることが大切である。
Q2. 現在使用中のレセコンや電子カルテとDentNetは併用できる? データ連携は可能か?
A2. DentNetは多くの主要レセコンとの間で患者基本情報の連携が可能である。レセコンに登録した患者氏名や連絡先などをDentNetに自動取り込みできるため、二重入力の手間はかからない。逆にDentNet側で登録した新患情報をレセコンに渡すこともでき、運用上ほぼシームレスに扱える。電子カルテとの直接連携機能は現在開発が進められている段階だが、2023年にはMetaMoJi社のデジタルノート「Dental eNote」との連携機能が実装された。DentNetからボタン一つでDental eNote上の患者記録を呼び出せるため、カルテと予約の参照を行き来する手間が軽減されている。将来的には電子カルテ本体やデジタルレントゲンシステムとの連携も視野に入れているとのことで、順次アップデートで対応範囲が広がる見込みだ。なお、EPARKなど外部のネット予約サービスとの直接的なデータ連携は公式には発表されていないが、DentNet自体が24時間Web予約機能を備えているため、基本的にはDentNetの枠組み内でオンライン予約を完結させる形となる。
Q3. スタッフがパソコン操作に慣れておらず不安だが、DentNetを使いこなせるだろうか?
A3. DentNetは直感的な操作性を重視して設計されており、特別なITスキルがなくても扱えるようになっている。操作の主体はマウスでのクリックと入力程度で、インターネット閲覧やメール送受信ができるレベルであれば問題ない。導入時にはジェニシス社のスタッフが現地で操作トレーニングを行い、通常1日で受付スタッフは基本操作を習得できるケースがほとんどである。導入後も、月1回の無料オンライン説明会(基礎・応用コース)が用意されており、新人スタッフやPCが苦手な方も反復して学べる環境がある。また、困ったときは電話サポートで即座に質問できるため、分からないことを抱え込まずに解決できる体制が整っている。実際「レセコン付属の予約ソフトは使いこなせなかったがDentNetなら使えた」という声もあるほどで、操作性について過度に心配する必要はない。
Q4. クラウド型とのことだが、万一インターネットやDentNetのサーバーがダウンした場合、診療に支障が出ないか?
A4. インターネット回線やクラウドサーバーの障害時には、一時的にDentNetの予約表が閲覧・編集できなくなる可能性がある。この場合、その間の新規予約受付や変更は原則できず、回線復旧後に患者に連絡して対応する形となる。ただしDentNetにはログイン時に定期バックアップを取得する機能があり、万一サーバートラブルがあっても最新予約データは保全されている。また、障害発生時はジェニシス社のサポートセンターに連絡すれば、問題が院内回線かサーバ側かを切り分けた上で適切な対処方法を案内してくれる。障害そのものはごく稀だが、心配であれば日々の予約一覧を紙に印刷して控えるなどの簡易対策を取っておくこともできる。DentNetのサーバーは信頼性の高いデータセンターに設置されており、電源・回線の二重化や防災設備も完備されているため、大規模障害のリスクは極めて低いと考えられる。万が一の際もバックアップとサポート体制がありますので、大きな支障なく運用できるよう工夫されている。
Q5. まずは試してみたいが、DentNetのデモやトライアルは可能か?
A5. はい、DentNetに関心がある場合はデモンストレーションや導入医院の見学を手配することが可能である。ジェニシス社に問い合わせれば、担当者が医院を訪問して実機を用いたデモを行ってくれる。また、各地のデンタルショーや展示会に出展していることもあり、その場で操作体験や質問をすることもできる。実際の運用イメージを掴みたい場合は、DentNetを利用中の歯科医院を紹介してもらい、見学に行くことも相談に乗ってもらえる。残念ながら一般向けのフリーで使えるトライアル版提供は行っていないが、デモ環境でシミュレーションしてもらうことで操作感や機能を確認できるだろう。契約前に不明点があれば、遠慮なく営業担当に質問しておくことを勧める。特に自院のレセコンやネット環境との相性、導入スケジュール、補助金申請サポートの有無など、細かな点も含めて確認しておけば安心だ。DentNetは高額なシステムだけに、納得いくまで情報収集し、スタッフとも相談の上で導入判断されると良い。