
歯科予約システム「Dentry byGMO(デントリー)」の費用や評判、連携を解説
開業以来、予約の電話対応に追われて診療に集中できない、自費のカウンセリングに時間を割きたいのに保険診療の予約で埋まってしまう――そのような歯科医院の悩みは珍しくない。本稿では、こうした課題を解決する歯科予約システム Dentry byGMO(デントリー) に焦点を当てる。費用や評判、他システムとの連携機能まで客観的に分析する。読者である歯科医師が自身の診療スタイルに照らし、このシステム導入によって得られる将来像を具体的に描けるよう、専門的な視点で解説していく。
歯科予約システムDentry byGMOの概要
Dentry byGMO(デントリー)は、GMOグループ傘下のGMO医療予約技術研究所株式会社が提供するクラウド型の歯科医院専用予約管理システムである。2016年頃にサービスが開始され、主に自由診療を重視するクリニックのニーズを意識して設計されている。患者のWeb予約やLINE予約、電話自動応答(IVR)予約まで幅広く対応し、予約の受付から院内のリソース管理まで一貫して行える点が特徴である。
このシステムは医療機器ではなく業務支援ソフトウェアであり、薬機法のクラス分類対象ではない。したがって導入にあたり特別な認証手続きは不要である。基本的にはインターネット経由で利用するクラウドサービスであり、歯科医院内のPCやタブレットのWebブラウザからアクセスして使用する。専用アプリケーションのインストールは不要で、ブラウザさえあれば院内外問わず予約状況の確認・操作が可能である。
提供元のGMO医療予約技術研究所は、歯科向けの「Dentry」のほか、医科向け予約システム「メディカル革命 byGMO」も開発している企業である。大手IT企業グループがバックボーンにあることから、システムのセキュリティ対策や安定性、サポート体制において一定の信頼感があると言える。
Dentry byGMOの主要な機能とスペック
Dentry byGMOが備える代表的な機能を、臨床現場への影響とともに解説する。
まずマルチチャネル対応の予約受付が挙げられる。患者はクリニック専用のWeb予約ページから24時間いつでも予約可能であり、スマートフォンからの操作にも対応している。さらにLINEを用いた予約にも対応しており、一度クリニックの公式LINEアカウントと連携登録すれば、患者は次回以降ログインなしで15秒程度で予約を取ることもできると言われている。電話予約についても、オプションの自動音声応答システム(IVR)により自動受付が可能だ。高齢の患者でスマートフォンやインターネットが苦手な層でも、電話の音声案内に沿って予約日時の確認・変更・キャンセルができるため、幅広い年齢層の患者に対応できる。これら複数チャネルからの予約情報は全てリアルタイムに一元管理され、常に最新の予約状況が院内の誰からでも把握できる。
予約管理の柔軟性もDentryの大きな特徴である。診療内容ごとに標準の所要時間を設定し、担当する歯科医師や歯科衛生士ごとに予約可能な処置内容や時間枠を細かく制御できる。例えば、「この処置は特定の資格を持つスタッフのみ対応可能」「技工物が届く前に予約が入ることを防ぐ」といった細かなルールをシステムに組み込める。実際に、Dentryでは予約間隔制御によって技工物の納品前に次回予約が入らないようにすることができ、補綴物待ちによる空振りの来院を防止している。また連鎖予約機能を使えば、ある処置の予約が入った際に自動的に関連する別の予約枠(例えば治療後のクリーニングや検診の枠)を確保することも可能である。これにより、患者の再来院をスムーズに促しつつ、院内のチェアやスタッフの空き時間を有効活用できる。
ダブルブッキング防止とリソースの最適活用もDentry導入によって期待できる点である。Dentryでは予約時にドクター(歯科医師)や歯科衛生士、ユニット(診療チェア)、必要機器などをセットで管理できる。ある患者の予約を入れると同時に、担当するスタッフや使用するユニット枠も自動で押さえられるため、二重予約や人為ミスによるダブルブッキングを防止できる。特に複数ユニット・スタッフ体制の医院では、受付担当者が頭で考えて調整するには限界があるリソース配分も、システムが自動的に調整してくれるため、空き枠の有効活用と院内の効率化につながる。
患者とのコミュニケーション面では、リマインド機能やキャンセル対策の充実が光る。予約前日には自動で患者にLINEメッセージを送信し来院を促すことができ、うっかり忘れによる当日キャンセルの発生率を下げる効果が期待できる。定期検診の時期が来た患者リストを基に、自動でメールやSMSを配信し再来院を促すリコール(定期検診案内)機能も備えており、多忙な患者にも継続受診を働きかけることができる。実際、ある導入医院ではDentryでリコール業務を効率化し、適切な媒体(ダイレクトメール・電話・メール)で個別フォローすることで定期検診の来院率が向上したという報告もある。さらにDentryはキャンセル待ち登録にも対応しており、予約枠が急に空いた場合に別の患者をリストから案内して充当する運用が可能である。こうした機能により、予約キャンセル率の低下と空き枠の有効活用が両立でき、患者の治療機会損失と医院の収益機会損失の双方を減らすことができる。
特筆すべきなのは、人工知能(AI)を活用したキャンセル予測機能である。Dentryではオプション機能として、各患者のキャンセル発生リスクを数値表示する仕組みが用意されている。天候不良時や自宅からの距離といったデータを考慮し、人間には直感しきれない「キャンセルしやすさ」を見える化する試みである。これにより、例えばキャンセルリスクが高いと予測された患者には事前に電話で確認を取る、逆に安定して来院する患者には自動リマインドに任せる、といったメリハリのある対応が可能となる。AIの活用はまだ新しい取り組みであり、効果の程度は医院の患者層によっても異なるが、少なくとも経営者がリスクマネジメントを考える材料として有用な指標を提供してくれる。
統計・分析機能も経営改善に資するスペックである。蓄積された予約データを基に、ユニットごとの稼働率、ドクター別・衛生士別の担当患者数、新患数やリピート率、キャンセル件数などを自動集計することができる。これらの指標はCSV形式で出力することも可能で、Excel等で加工・分析することで、診療の傾向や課題を可視化できる。例えば、「どの曜日・時間帯にキャンセルが集中しやすいか」「担当者ごとのアポイント偏りはないか」「ユニット稼働のピーク時間はどこか」といった点をデータから把握できれば、人員配置の見直しや予約ルール変更など具体的な改善策を講じやすくなるだろう。
その他のスペックとして、オンライン問診票の機能がある。患者がWeb予約を完了した直後に、そのまま医院オリジナルの問診フォーム画面へ誘導することができる。患者は来院前にデジタル問診票に回答でき、その結果は医院側の管理画面で確認できるため、初診時の紙の問診票記入にかかる時間を短縮し、問診内容の見落としも防ぎやすくなる。コロナ禍以降ニーズが高まったオンライン診療(遠隔診療)への対応も行われており、予約からオンラインでのビデオ通話、クレジットカード決済に至るまで一貫してDentry上で管理することも可能である。歯科領域では限定的な活用に留まるかもしれないが、矯正歯科の経過観察やカウンセリングなど一部オンライン診療を取り入れるケースでは有用と言える。
セキュリティ面では、クラウドサービスならではの堅牢性を備えている。DentryのデータサーバーはISO27001やプライバシーマークを取得した国内のデータセンターで管理されており、診療情報を扱う上で必要な情報セキュリティ水準を満たしている。また管理画面へのアクセス端末をIPアドレスで制限する機能も提供されており、院内ネットワークからのみ操作可能にすることで不正アクセスリスクを低減できる。さらに、患者向け予約ページは英語・中国語など多言語表示に対応しており、外国人患者の受け入れにも配慮されている。クラウド型のためデータの自動バックアップがなされており、院内のPCが故障しても予約情報が失われる心配がないのも安心材料である。
他システムとの連携・導入における運用方法
Dentry byGMOは他の院内システムやデバイスとの広範な連携が可能であり、その柔軟性が医院ごとの運用にフィットしやすい利点となっている。
まず、電子カルテやレセコン(レセプトコンピュータ)との連携に対応している。具体的な連携内容はシステムによって異なるが、連携オプションを利用すれば患者基本情報や受付情報の自動連係が可能である。例えば、新患がWeb予約をした際に自動で電子カルテ側にも患者情報を登録したり、受付完了時にカルテに情報が送られるといった仕組みである。これにより、受付スタッフが予約システムとカルテに二重入力する手間が省け、入力ミスも減らすことができる。日常的に数多くの患者を捌く医院では、わずかな手作業の軽減でも積み重ねれば大きな効率化につながるだろう。
電話システムとの連携では、CTI(Computer Telephony Integration)の仕組みに対応している。患者から電話がかかってきた際、着信番号から該当患者の情報をポップアップ表示させ、直近の予約状況やカルテ情報を見ながら応対できる。これにより受付が患者対応中でもスムーズに次回予約を案内できるようになり、電話応対におけるサービス品質向上が期待できる。実際、「電話が鳴ると同時に患者情報が画面に出るので受付の段取りが良くなった」という声もある。IVRについても前述のように対応しており、予約取得や変更を自動化できるだけでなく、音声案内の途中で「クリニックの所在地をSMSで送る」といった分岐動作も設定可能である。これにより、高齢者には電話、若年層にはLINEというように患者の嗜好に合わせた情報提供を自動化でき、スタッフの負担軽減につながる。
受付業務関連の周辺機器とも多彩に連携可能だ。例えばQRコード付き診察券の発行に対応したラベルプリンタ、来院受付票や予約票を印刷するレシートプリンタ、磁気式リライトカードによる診察券発行機、自動チェックインのためのタッチパネル式端末や院内モニターの順番待ち表示ディスプレイなどである。Dentryはこれら機器連携を正式オプションとしてラインナップしており、必要に応じて組み合わせて導入できる。例えば、再来患者が入り口のタブレットに診察券のQRコードをかざせば自動で来院受付が完了し、同時に番号票を発行、その番号が待合室のモニターに表示される――といったスマートな受付フローも実現可能である。これらをフル活用すれば、受付スタッフが患者対応に追われて電話や会計処理との両立に苦慮する、といった事態も緩和されるだろう。
また、キャッシュレス決済端末との統合も特徴的である。三井住友カード株式会社の提供する決済プラットフォーム「stera terminal」にDentryをインストールすることで、1台の端末でクレジットカード決済とWeb予約システムを同時に利用できるようになる。stera上でDentryを設定すると、医院専用のWeb予約ページを即座に開設し、そのQRコードを発行することが可能である。会計時のレシートにそのQRコードを印刷して患者に渡せば、「次回予約はこちらからできます」と案内でき、患者はスマホで読み取ってすぐ予約ページにアクセスできる。こうした導線整備により、再来院率の向上や患者の利便性向上が期待できる。stera連携はクリニックにとって専用機器への追加投資となるが、既にキャッシュレス対応を進めている医院であれば、その延長で予約機能も取り込めるメリットがある。
クラウド型システムゆえの多店舗展開への対応も容易である。Dentryはインターネット経由でどこからでもアクセスできるため、複数の分院を持つ医療法人でも一括して予約管理を行うことができる。ただし拠点ごとにライセンス契約が必要であり、院ごとのデータは基本的に分かれる(患者情報の共有についてはカスタマイズが要相談となる)。逆に言えば、一つの医院内であればPCでもiPadでも好きな端末から同じ予約表にアクセスでき、院長室や自宅からでもブラウザで予約状況を確認するといった運用も可能になる。紙の台帳では不可能だった同時多地点からの情報共有ができることは、特にスタッフ数の多い医院では恩恵が大きい。
導入にあたっての運用上の配慮点としては、まず十分な院内ネットワーク環境の整備が挙げられる。クラウドサービスである以上、インターネット接続が不安定だと予約情報の閲覧や入力に支障が出てしまう。幸いDentry自体はWebブラウザで動作し軽快に設計されているが、通信断が起これば閲覧できないため、有線・無線ともバックアップ回線を用意するか、万一の通信障害時にはスマートフォンのテザリング等で一時的に運用するなどの準備が望ましい。とはいえオンプレミス型と違い、サーバー機の設置やメンテナンスは不要であり、ソフトウェアのアップデートも自動でクラウド側が実施するため、院内ITインフラの手間は最小限で済む。
スタッフ教育については、Dentryはシンプルな管理画面を志向して作られており、ITに不慣れなスタッフでも直感的に使いやすいよう配慮されている。実際、「誰でも分かりやすく操作でき、新人スタッフにも教えやすい」という評価が導入医院から聞かれるほどである。それでも新システム導入時には戸惑いがつきものだが、メーカー側がZoom等で操作方法のレクチャーを行うなど手厚いサポートを提供している。導入前に1か月のデモ利用期間が設けられるため、その間にスタッフ全員で試用しシミュレーションしておくことで、本番稼働への移行をスムーズにできる。メーカー担当者との事前ヒアリングで医院の運用に合わせた初期設定やプラン選定をしてくれるため、「いきなり使いこなせるか不安」という場合でも安心感がある。実際、導入事例では「営業やサポート担当者と一緒にシステムを作り上げていけるスタイルが魅力」という声も挙がっており、単なるソフト提供に留まらない伴走型の支援が評価されている。
導入コストと医院経営にもたらす効果
費用面について、Dentry byGMOの公式サイトには具体的な料金プランが公開されておらず、「初期費用・月額費用は医院の運用に合わせて個別見積もり」とされている。実際の費用は医院の規模(ユニット数や患者数)、求める機能オプション(IVRや機器連携など)によって変動するようだ。しかし、第三者の調査サイトによれば、Dentryにはスタータープランと標準プランの2種類があり、スタータープランでは初期費用が約3.3万円、月額利用料が約5.5千円、標準プランでは初期費用約8.8万円、月額利用料約2.2万円という一例が紹介されている。この情報が事実だとすれば、スタータープランは機能とサポートが限定された低価格コース、標準プランはリコール機能やキャンセル対策機能、充実したサポートが含まれるフル機能コースという位置づけになる。実際に自院に導入する際には最新情報をメーカーに問い合わせて確認する必要があるが、概算の目安として頭に入れておくとよいだろう。
では、この費用は医院経営に見合う投資と言えるだろうか。投資対効果を検討するため、いくつかの視点から経営インパクトを試算してみる。まず1件あたりの予約管理コストを考えると、仮に標準プランで月額2.2万円とすると、月間の予約件数が例えば500件のクリニックでは1予約あたり約44円のシステムコストになる。1件44円であれば、保険診療の1処置の単価(数千円)に比してごくわずかな割合であり、その予約1件が無断キャンセルになって空振りに終わる損失(スタッフの空き時間や機会費用)を考えれば十分許容できる範囲に感じられるだろう。さらに、Dentryの導入でキャンセル率が20%低下したというクリニックの例がある。仮に従来キャンセルが毎月20件発生していた医院であれば4件減少する計算になる。4件分の診療が埋まれば、それだけで失われていた収入が戻り、システム費用の大半を回収できる可能性が高い。
また、新患獲得やリコール率向上による収益増も見逃せない効果である。DentryはGoogleマップ連携やLINE予約といった新しい集患経路を提供し、Webでの予約導線最適化によって離脱を防ぐことで新患の取りこぼしを減らす効果が期待できる。実際に大規模な自由診療クリニックであるきぬた歯科では、予約システムをDentryに切り替えた結果初診予約数が30%増加したという報告もある。新患が増えれば治療の機会が増し売上が向上するのはもちろん、患者数増加に伴って口コミや紹介が広がる可能性もある。さらにリコール機能によって定期メンテナンス患者の来院が習慣化すれば、長期的な患者一人当たり生涯価値(LTV)の向上にもつながる。クリーニング等で定期来院している患者は、何かトラブルが起きた際にも真っ先に当該クリニックを受診してくれる可能性が高く、継続的な関係構築は安定経営の礎となる。
Dentry導入による人的コストの削減効果も考慮すべきだ。予約電話の自動化や受付業務の効率化によって、スタッフが本来の業務(患者対応やアシスタント業務)に専念できるようになる。例えば、受付担当者が毎日1時間費やしていた予約確認電話やリマインド作業が不要になれば、その時間を院内のサービス向上や別業務に充てられる。人件費換算すれば、1日1時間×20日=月20時間分の人件費を有効活用できるとも言える。仮に時給1,200円のスタッフの場合であれば月2.4万円相当の価値が生まれる計算で、先述のシステム月額費用と同等以上になる。もちろん実際には完全にその分の人件費が浮くわけではないが、スタッフの残業削減や離職防止といった定性的効果も含めれば、費用対効果は十分に見込めるだろう。
設備投資の視点では、Dentryは基本ソフトウェアであるため初期費用は抑えめだ。ただしオプション機器や追加サービスをフル導入するとまとまった費用になる可能性がある。例えば、前述のような自動受付ディスプレイやレシートプリンタ、CTI電話機器など一式を揃えた場合、メーカー発表によると初年度合計で150万円以内で導入できた例もあるという。従来であれば数百万円規模と見積もられたシステム構築をクラウドサービス活用で約3割のコストに抑えられたとのことで、これは複数ユニット・ドクターを抱える中規模以上の医院向けのケースだ。150万円というと一見大きな額だが、5年程度運用することを考えれば月額2.5万円の投資であり、先の試算の通り十分回収可能なラインだと言える。特に自費診療の単価が高い医院では、インプラント1症例でも利益でペイできてしまう金額であるため、設備としての費用は必要経費と割り切れる水準だろう。
総じて、Dentry byGMOの導入は収益機会の拡大とコスト削減の双方に寄与する可能性が高い。もちろん最終的なROI(投資対効果)は各医院の活用度によって変わる。システムの豊富な機能を積極的に使いこなせば、数ヶ月から1年程度で十分元が取れるだろう。一方で導入しても活用しきれなければ宝の持ち腐れになりかねない。投資対効果を最大化するには、単にシステムを入れるだけでなく、次項で述べるような運用上の工夫や院内の意識改革とセットで取り組むことが肝要である。
Dentryを使いこなすためのポイント
高機能な予約システムとはいえ、その効果を最大限引き出すには適切な運用と工夫が必要である。ここではDentryを導入後に「使いこなす」ためのポイントをいくつか挙げる。
初期設定とカスタマイズの徹底がまず重要だ。Dentryは細かな予約ルール設定が可能な反面、それを医院ごとの状況に合わせて最適化しておかなければ機能が十分発揮できない。導入時にはスタッフ全員で現在の予約フローや院内ルールを洗い出し、システムに反映すべき項目を整理すると良い。例えば、「〇〇の処置は新人ドクターでは対応不可」「外科手術日はベテラン衛生士をアシストにつける必要がある」「このコース治療は連続で3回来院が必要」等、紙や頭の中で管理していたルールをDentry上に再現することで、人によるばらつきを排除した標準化が図れる。メーカー担当者との打ち合わせ時に、こうした自院の特徴や課題を遠慮なく伝えれば、設定方法の提案や最適なプラン選定につなげてくれる。現場の細かな経験値をシステムに落とし込む作業は骨が折れるが、一度設定してしまえば日々のオペレーションが格段に楽になるため、導入初期に時間をかけてでも取り組む価値がある。
患者への周知と利用促進も欠かせないポイントだ。どんなに優れたオンライン予約システムを導入しても、患者が使ってくれなければ効果は出ない。Dentry導入時には、来院患者に対して積極的にWeb予約やLINE予約の存在を案内すると良いだろう。受付で次回予約を取る際に「次からはLINEから24時間予約できますのでぜひご利用ください」と声掛けしたり、診察券にQRコードシールを貼って「こちらから予約サイトにアクセスできます」と渡すなど、きっかけ作りが重要である。また、高齢者などWebに不慣れな患者には無理にオンライン移行を求めず、電話予約の場合でもDentryによりスタッフ側で迅速に予約処理できる利点を活かして、従来通り受付がフォローすればよい。患者層に合わせて使いやすいチャネルを提供することがリピート率向上につながるため、「若い方にはLINE、シニアには電話とハガキ」というように並行活用する戦略も現実的である。
データに基づく継続的な改善もDentryを活かす鍵だ。導入後は統計機能で得られる各種レポートを定期的に確認し、院内ミーティングで共有する習慣をつけると良い。例えば、月次の予約数やキャンセル率、曜日別の傾向、新患・再初診の推移などをチェックする。数値に異変があれば原因を考察し、必要なら予約ルールを微調整したり、スタッフ配置を変えるなど改善策を講じる。Dentryは単なる予約ツールではなく経営分析ツールでもあるため、院長自身がそれを「経営のダッシュボード」として活用する意識を持つことが望ましい。忙しい臨床の合間にデータを見るのは手間だが、そこから得られる気付きが将来の経営戦略に直結する。逆に導入して安心してしまい放置すると、宝の山であるデータを活かせずじまいになってしまう。
スタッフ間の役割分担とモチベーション管理も見落とせない。新しいシステム導入時には「システム係」のような担当スタッフを決め、運用上の困りごとや改善案を吸い上げる窓口にすると良い。Dentryに関する問い合わせやトラブル対応は担当者が中心となってベンダーとやり取りし、他のスタッフへ使い方を指導するなど、院内のITリーダー的役割を担ってもらう。適任者がいない場合は、外部のITコンサルタントにスポットで入ってもらう手もある。また、システム活用がスタッフの業務負荷軽減に直結することを周知し、使いこなしによって自分たちの業務が楽になる点を強調すると、前向きに取り組んでもらいやすい。Dentryはスタッフの労働環境改善にも寄与し得るツールであり、それが結果的に患者サービス向上と医院利益につながるという好循環を全員で共有することが大切だ。
最後に、患者目線でのサービス向上も忘れてはならない。システム任せにする部分と、人間ならではの気配りを発揮する部分とのバランスを取ることが肝要である。例えば、リマインドをシステムで自動化しても、長期来院のない患者にはスタッフから個別に電話を入れて状況を確認するなど、人のフォローを組み合わせると良い。Dentryは患者一人ひとりのステータス管理(治療中断者や優良患者の抽出など)も可能なので、その情報を活かして「機械+人間」のハイブリッドなフォロー体制を構築すれば、患者満足度と信頼感は一層高まるだろう。
適応するケース・適さないケース
Dentry byGMOは万能ではないが、適応するケースでは大きな効果を発揮しうる。一方で医院の状況次第では導入しても真価を発揮できない場合もある。ここではどのようなケースに本システムが向いているか、また逆に適さないかについて整理する。
Dentryの導入が適しているケースとしてまず挙げられるのは、予約枠の管理に課題を抱えている医院である。具体的には、「キャンセルや無断キャンセルが多く予約枠に穴が空きがち」「予約の電話対応が捌ききれず機会損失が発生している」「複数のドクター・衛生士のスケジュール調整が煩雑でミスが起きる」といった悩みがある場合、Dentryの機能はその解決に直結するだろう。また、自由診療の割合を増やしたい医院にも向いている。自由診療では一人ひとりに時間をかけた丁寧な対応が求められ、予約の時点からスムーズでストレスのない体験を提供することが重要だ。DentryならWebやLINEから患者が好きなタイミングで予約でき、待ち時間を減らすリソース管理やリマインドも充実しているため、「他院とは違うおもてなし」を実現する武器となる。さらに、ユニット数が多い中規模以上のクリニックでは、紙や汎用ソフトでの予約管理に比べ生産性の飛躍的向上が見込める。チェア稼働率やスタッフ稼働を最大化する仕組みが備わっているため、多数の患者を抱える医院ほどROIが高くなる傾向にある。
特殊診療や長時間の処置を扱うケースもDentryの恩恵が大きい。インプラントオペや麻酔科との連携が必要な外科処置、矯正治療のように定期的な来院が続くケースでは、予約の連続性と厳密な管理が求められる。Dentryの連鎖予約・間隔制御機能を使えば、インプラント一次手術後に適切な治癒期間をあけて二次オペを自動で予約したり、矯正の調整を一定間隔で確実にブロックしていくことが容易になる。手作業では煩雑なスケジュール管理もシステム任せにでき、患者にも一貫した治療計画をその場で提示できるため、安心感と治療の質向上につながる。また、多忙な院長と複数の非常勤医師が在籍するような医院でも、担当医ごとに予約可能枠を細かく設定できるため、非常勤日以外に予約を入れてしまうミスを防止できる。以上のように、高度な予約調整が要求される環境ほどDentryは頼れるアシスタントとなる。
一方、Dentryの導入が必ずしも適さないケースもある。まず、ごく小規模で患者数も少ないクリニックでは、導入コストに見合う恩恵が得られない可能性がある。例えば院長一人で診療し1日の患者数が数名程度であれば、紙の予約帳や汎用カレンダーアプリでもさほど困らないかもしれない。そうした規模でDentryを導入すると、機能の大半が宝の持ち腐れになり、月々のランニングコストだけが負担になる恐れがある。その場合はもっと低価格のシンプルな予約システムや、無料で使えるカレンダー連携ツールで十分という判断もあり得るだろう。また、院内ITリテラシーが著しく低い環境も懸念が残る。スタッフ全員がパソコン操作に慣れておらず紙文化が根強い場合、どんなに使いやすいシステムでも抵抗感が先に立ってしまうかもしれない。Dentry自体のUIは平易だが、操作端末の扱い方や基本的なIT用語に不慣れすぎる場合は、習熟に時間がかかりストレスになる可能性がある。このようなケースでは段階的にIT化を進め、まずは簡易な電子予約から始めてみるか、スタッフ教育に十分な時間を確保するなどの対策が必要である。
さらに、外部の患者紹介・予約サービスを主力にしている場合も検討が必要だ。例えばEPARK歯科のようなポータルサイト経由で新患の大半を獲得している医院では、自院独自のWeb予約ページへ誘導するDentryの強みを十分活かしきれないかもしれない。もちろんEPARK等と併用すること自体は可能だが、両方から予約を受け付けると管理が二重になりミスの温床にもなる。基本的には自院サイトやLINEで患者を囲い込む戦略を取りたい医院に向いたシステムであり、外部サイト任せの集患から脱却したいと考えている医院には好適だが、逆に既存で外部サービスに満足している場合は乗り換えコストがメリットに見合うか慎重な判断が求められる。
最後に、システム導入による業務フローの変革を受け入れられない場合も導入効果は限定的になる。Dentryは様々な自動化・効率化を実現する半面、従来のやり方を変える柔軟性が院内にないと十分使われずに終わるリスクがある。例えば、「予約の最終確認は必ず院長が紙のカルテで行う習慣がある」「患者には必ず電話でフォローするのが信条だ」といった強いポリシーがある場合、システムの提案する運用との間にギャップが生じる可能性がある。それ自体は悪いことではないが、システムに合わせる部分と従来の良さを残す部分の折り合いを付けないと、結局従来フローに引きずられてシステムを十分に使えない事態になりかねない。したがって、新しいツールを入れる以上は院内のルールもアップデートするという意識改革が必要であり、それに前向きでない状況では導入タイミングを見極めた方が良いだろう。
どんな歯科医師に向いているか(導入判断の指針)
医院の方針や診療スタイルによって、Dentry byGMOがもたらす価値の感じ方は異なる。本節では読者像をいくつか想定し、それぞれのタイプにとって本製品が向いているかどうかを臨床と経営両面から考察する。
保険診療中心で効率最優先のクリニックの場合
保険診療が主体で、毎日多くの患者を短時間で回すような高回転型のクリニックでは、Dentryは業務効率アップの切り札となり得る。電話予約対応の削減、チェアタイムの最大活用、スタッフの負荷軽減といった効果がダイレクトに日々の診療数増加につながるからだ。実際、保険中心の医院では受付が常に電話対応に追われ、待合で患者を待たせてしまうといった問題が起きやすいが、Dentry導入により予約経路をWebやLINEに分散できれば電話の鳴りっぱなし状態は緩和される。また、重複予約防止や細かな時間設定によって無駄な空き時間を埋められるため、例えば1日あたり1枠でも余計に患者を診療できるようになれば年間の延べ患者数は大きく増える。保険診療は一人当たりの利益が限られるため、数を捌いてナンボの世界である。Dentryはその数を確保するバックヤードとして大いに役立つだろう。
ただし、保険中心型クリニックでは費用対効果のシビアな検討も必要だ。保険点数主体の収入ではシステムコストの割合が相対的に重くなるため、前述したスタータープランのような手頃なコースから始めるのも一つの手である。スタータープランであれば最低限の予約管理機能に絞ることでコストを抑えつつ、チェアサイド予約やオンライン予約だけでも活用する、といった段階導入が可能かもしれない。また患者層的に高齢者が多くLINE予約の利用率が伸びない場合、無理に全員をオンラインに誘導せず電話とWebのハイブリッド対応を続ける柔軟さも求められる。Dentry自体はそのような運用も十分許容する設計なので、患者に合わせて使い分けながら「裏では予約台帳が電子化されている」状態を作り、スタッフの生産性を上げるツールとして割り切るのも賢い選択である。
総じて、効率最優先の医院にとってDentryは攻めと守りの両面で貢献する。攻めの面では無駄時間削減による診療数アップ、守りの面ではスタッフ負荷軽減によるサービス維持と離職防止である。忙しすぎて改善策を検討する暇もない――という医院ほど、一度導入を検討してみる価値があるだろう。
高付加価値の自費診療を強化したいクリニックの場合
インプラントや審美、矯正、予防歯科など自費診療に力を入れて客単価を高めたいクリニックにとって、Dentry byGMOは患者満足度と収益性を同時に向上させるプラットフォームとなる。
まず患者体験の面では、Web予約やLINE予約によって利便性の高さをアピールできる。忙しいビジネスパーソンや若年層の患者は、電話の営業時間を気にせず夜間でも予約変更ができることを歓迎するだろう。予約の取りやすさは医院選択の重要な要素であり、競合クリニックとの差別化につながる。また、自由診療では初診カウンセリングから治療開始までに複数回来院を要することも多いが、Dentryの連鎖予約機能で先の予定まで一括で確保し提示できれば、患者は先の見通しに安心し治療を開始しやすくなる。加えて、治療コースやオプションメニューをシステム上で管理しておけば、患者ごとに最適な提案を漏れなく行えるメリットもある。例えばホワイトニングを希望した患者に対し、セットでクリーニングコースも提案し次回予約に組み込むなど、売上拡大のチャンスを逃さない仕組み作りが可能だ。
経営面では、自由診療専門ないし高付加価値診療中心の医院は1人当たり収益が高いため、Dentryの費用は投資対効果のハードルが低い。一件キャンセルが減るだけで数万円の損失防止になったり、一人リコールで来院すれば自費クリーニングや検診で売上が上がることを考えれば、システム導入による収益インパクトは大きい。また、Dentryを活用して「患者管理の徹底」を図ることで、一人ひとりの患者から得られる信頼と満足度を蓄積し、それが紹介やリピートの増加につながるという好循環が期待できる。自由診療は口コミや評判が命と言っても過言ではない。予約の段階からスムーズでストレスのない体験を提供し、さらに定期フォローまで怠りなく実施することで、「あの歯科医院はサービスが行き届いている」という評価を築きやすくなる。
さらに、経営者にとって見逃せないのはデータに基づく戦略立案ができる点だ。Dentryの統計情報から、自費カウンセリングから成約までのコンバージョン率やキャンセル発生パターンを分析すれば、自院の弱点が数字で見えてくる。例えば「矯正相談から治療開始までの移行率が低い」と気づけば、相談後のフォロー体制(リマインドメールやLINE相談窓口)を強化する、といった打ち手が考えられる。自由診療は保険に比べ不確実性が高いため、このようにデータドリブンでPDCAを回すことが収益拡大の鍵となる。Dentryはそのための土台を提供してくれるわけだ。
総合すると、自費強化型のクリニックにはDentry byGMOは極めて相性が良い。患者に対しては先進的で便利な印象を与え、院内では高度なサービス管理とデータ経営を可能にする。導入コストも十分回収できる範囲であることから、すでにある程度自費患者がいて次の成長ステージを目指したい医院には、積極的に検討する価値があると言える。
外科処置・インプラント中心のクリニックの場合
親知らずの抜歯やインプラント手術、歯周外科、難症例の根管治療など、口腔外科系の処置を多く扱うクリニックや、インプラント専門の自費クリニックにとってもDentryは有力なツールとなる。
このようなクリニックでは、1件の処置に長時間(場合によっては数時間)のユニット占有が発生し、かつ事前事後の準備や経過観察が重要となる。Dentryの予約制御機能を用いれば、長時間の枠を予めブロックして一般診療の予約とバッティングしないようにしたり、手術日は特定スタッフと器材をセットで確保しておくといった管理が容易だ。例えば、「毎週水曜午後はインプラントオペ専用枠にする」という院長方針をシステム上に設定しておけば、受付が誤ってその枠に一般患者を入れる心配もなくなる。術前検査やCT撮影の予約も連動させて取り、手術当日までの段取りを一括管理できるため、患者にも「このクリニックは手配がスムーズで安心だ」という印象を与えられる。
インプラントなどでは高額なため、キャンセルやドタキャンは大きな痛手となる。Dentryのキャンセルリマインドや待機リスト機能は、特に手術枠の空振りを避ける上で心強い。前日確認を自動化し、もしキャンセルになるにしても早期に察知できれば、他の手術待ち患者を繰り上げたり、スタッフのシフトを調整するといった対策が取りやすくなる。また、術後の定期検診などもシステムが自動でリコール通知してくれるため、患者がフォローを忘れてトラブルを放置してしまうリスクも減らせる。長期的に見れば、術後経過のフォロー徹底は再治療やクレーム防止にもつながり、クリニックの信頼向上に寄与するだろう。
一方で、外科中心クリニックならではの留意点もある。患者層が高齢であったり遠方からの紹介患者が多い場合、全員がLINE予約に馴染むとは限らない。しかしその点Dentryは電話にも対応できるため、無理にオンライン化する必要はない。受付スタッフが電話で予約を受け付けつつ、その内容はDentryに即座に反映させて院長・スタッフ全員で共有する、といった使い方でも十分価値がある。実際、大型手術を控えた患者にはスタッフから丁寧に電話フォローを行い、それ以外の日程調整はWeb予約に任せるという運用をしているケースもある。人による安心感とシステムの効率をうまく両立させることがポイントとなろう。
結論として、外科・インプラント系のクリニックにはDentryは手術室の管制塔のような役割を果たす。煩雑なスケジュール管理を自動化し、患者フォローも怠りなく行えるため、専門性の高い治療に専念できる環境を整えてくれる。ただしシステムに全て任せきるのではなく、重要な局面では従来通り人間の目配り・気配りを組み合わせることで、患者満足と業務効率のベストバランスを実現できるだろう。
結論
歯科予約システム「Dentry byGMO」は、単なる予約管理の効率化ツールに留まらず、歯科医院の診療スタイルと経営戦略に変革をもたらし得る総合システムである。導入によって得られる変化を総括すると、以下のような点が挙げられる。
まず、院内オペレーションの効率化が実現する。予約受付から当日の来院受付、リコールまで一連の流れがシステムで統合管理され、人為的なミスや二度手間が減る。スタッフは煩雑な電話応対や確認作業から解放され、目の前の患者対応により集中できるようになる。結果として、院内に余裕が生まれ、患者への接遇改善が実現する好循環が生まれるだろう。
次に、患者満足度と来院率の向上が期待できる。患者側から見れば、24時間好きな時に予約でき、都合が悪くなってもオンラインで変更可能で、前日には優しくリマインドも来るという手厚いサービスである。予定を忘れてしまうミスが減り、「通いやすい歯医者さんだ」という評価につながる。加えて、LINE等で定期的に検診のお知らせが届けば、「そろそろ行かなければ」という意識を刺激し、結果的に患者自身の口腔健康にも寄与する。その裏にある医院側の経営メリットは言うまでもなく、固定患者層の厚みが増すことで安定収益が築かれる点である。
また、データに基づく経営判断が平易になる。どの治療にどれだけ時間がかかっているか、キャンセルはいつ・誰に発生しがちか、新患はどの経路から来ているか、こうした情報を経営者が即座に把握できる意義は大きい。勘と経験にデータの裏付けが加われば、設備投資の判断や広告戦略の見直し、人員配置の適正化など、あらゆる決定に説得力と再現性が伴う。Dentryは医院経営を勘頼みからデータ駆動型へシフトさせる素地を提供してくれる。
もちろん、導入すれば全て魔法のように解決するわけではない。システムはあくまで道具であり、使いこなす主体は人間である。Dentry導入を機に院内の業務プロセスを見直し、スタッフと役割分担や患者対応方針を再確認するといった伴走努力があってこそ、真の効果が発揮される。しかし裏を返せば、その努力を支える強力な武器としてDentryは非常に頼もしい存在だ。煩雑さから解放された時間と労力を、よりクリエイティブな問題解決や患者サービス向上に振り向けることで、医院全体の価値が底上げされるだろう。
もし本稿を読んでDentry byGMOに興味を持たれたなら、まずは一歩踏み出してみることをおすすめする。具体的には、公式サイトから資料請求や問い合わせをして無料デモアカウントを試してみるとよい。30日間のトライアル期間で実際に操作し、自院のデータを仮に入れてシミュレーションすれば、スタッフからの評判や患者からの反応も見えてくるだろう。また可能であれば既にDentryを導入している医院を見学したり、使用感を聞いてみるのも有益だ。導入前に抱きがちな不安や疑問点(費用、他システムとの相性、運用負荷など)は、実際に使っている同業の先生の声が一番参考になる。幸いDentryは全国のさまざまな歯科医院で導入が進んでおり、その評判は概ね良好である。最終判断に至るまで十分検討を重ねつつも、「次の一手」として動き出す行動力こそが医院改善の第一歩となる。ITを味方につけて、診療の質と経営効率を両立させる未来図をぜひ描いていただきたい。
よくある質問(FAQ)
電子カルテやレセコンと本当に連携できるのか?
はい、Dentry byGMOは主要な電子カルテ・レセコンとの連携実績がある。具体的な連携内容はシステムによって異なるが、患者情報(氏名・連絡先など)の自動登録や、予約日時に応じた診療予定の連絡、会計終了連絡の共有などが可能だ。導入時にクリニックが使用している電子カルテの種類をメーカーに伝えれば、対応可否や必要なオプションについて案内してもらえる。仮に標準で連携機能がなくても、CSVデータのインポート/エクスポートで情報を移行することもできるため、完全に手作業に頼るケースは少なくなる。連携設定には多少の初期調整が必要だが、一度つなげてしまえばカルテと予約で二重入力する無駄が省け、長期的には大きな効率化となるだろう。
スタッフがシステムを使いこなせるか不安ではないか?
その心配は多くの医院が導入前に抱えるが、Dentryのユーザーからは「思ったより簡単に使えた」という声が多く聞かれる。管理画面の操作は直感的で、予約の入れ方・変え方も紙の台帳と同じ感覚でドラッグ&ドロップするだけだ。メーカーも導入時に研修サポートを提供しており、操作マニュアルやオンライン講習でスタッフ全員が慣れるまでフォローしてくれる。実際、パソコンに不慣れだった年配スタッフが数日で問題なく使えるようになった例もある。また、デモ期間中に実際の診療フローを模して練習することで、現場で起こり得るケースにも対応できる自信がつくだろう。万一使い方で不明点が出ても、サポート窓口に問い合わせれば迅速に回答が得られる体制が整っている。システム自体は人に優しく設計されている。したがって、あまり肩肘張らずに実際に触れてみることが上達への近道だ。
患者データのセキュリティは安全なのか?
Dentry byGMOはGMOグループが運営するサービスであり、セキュリティには万全を期している。データセンターは高い安全基準を満たし、通信もSSL暗号化によって保護されている。日々のデータは自動バックアップされており、万一クリニック側のPCが壊れたり災害が発生しても、クラウド上にデータが残っているため情報消失のリスクはきわめて低い。また、管理者用のパスワード設定やアクセス権限の細分化も可能で、スタッフごとに閲覧・編集できる範囲を制限できる。IPアドレス制限をかければ院内ネットワーク以外からは管理画面に入れないようにも設定でき、不正アクセス対策も強化できる。メーカーは個人情報保護にも厳格に対応しており、プライバシーポリシーに基づいて患者情報を適切に管理している。外部へのデータ持ち出しや漏洩さえ防げば、クラウド環境だから危険ということはなく、むしろオンプレミス管理より安全性が高いと言えるだろう。
導入すれば本当にキャンセルや未収が減るのだろうか?
Dentryの導入そのものはあくまで手段だが、多くの医院でキャンセル率の低下やリコール率の上昇が報告されている。例えば、とあるクリニックではDentry導入後に予約キャンセル率が20%改善したとされている。これは前日LINEリマインドやキャンセル待ち運用を徹底した効果と考えられる。また別の医院では、システムを使って治療中断患者に個別フォローを行った結果、定期検診への来院が増加したとのことだ。未収金についても、事前決済機能を活用して自費治療費をクレジットカードで前納してもらう仕組みにしたところ、治療中断による未収が解消したというケースがある。ただし、結果を出すには医院側で積極的に機能を活かす工夫が必要だ。自動送信される通知文を院の雰囲気に合わせてカスタマイズしたり、キャンセル予測の高い患者にはスタッフからフォローコールを入れるなど、システムと人の対応を組み合わせることで最大の効果が出る。Dentryは問題解決の強力なツールだが、それをどう運用するか次第で成果も変わるという点は念頭に置いておく必要がある。
導入に伴うリスクや注意点はあるか?
新しいシステム導入にはいくつかのリスクや注意点がある。しかし、あらかじめ対策しておけば大きな問題は避けられる。まず、導入初期にはスタッフの負担が一時的に増える点だ。設定作業や習熟訓練で通常業務にプラスの労力がかかるため、可能であれば患者数を調整する期間を設けたり、休診日を利用して研修を行うとよいだろう。次に、運用ルールの周知徹底も重要である。システム導入後しばらくは紙の台帳と併用したい気持ちになるかもしれないが、二重管理はミスのもとだ。思い切って全予約をDentryに一本化し、紙や旧システムは参照用に留めるなど、早期に切り替える方が混乱が少なくなる。また、患者へのアナウンス不足によるトラブルにも注意を要する。例えば、Web予約を始めたものの従来通り電話で予約してくる患者に案内せず放置すると、「ネットでは空いていたのに予約できなかった」といった不満が出るかもしれない。受付での説明や院内掲示、ホームページでの告知などを通じて、新しい予約方法や運用変更点を丁寧に伝えることが大切だ。最後に、通信障害などシステム依存のリスクもゼロではない。万一本番稼働中にクラウド接続できない事態が起こった際のバックアップ策(直近の予約リストを印刷しておく等)は用意しておくと安心だ。もっとも、Dentryのサービス稼働率は非常に高く、これまで大きな障害報告はないため過度に心配する必要はないだろう。要は、人とシステムの両面で「もしも」を考えた準備をしておけば、導入リスクは最小化できる。そしてその先に得られる効率化メリットの方が遥かに大きいことは、多くの導入医院が証明している。