
Ciの歯科予約システム「ci easy apo2」の評判や価格は?分かりやすく解説
はじめに
誰しも診療現場で、一度は予約管理に関する悩みを抱えたことがあるのではないだろうか。たとえば、予約時間になっても患者が現れず、貴重な診療時間が空白になってしまうケースがある。あるいは、受付スタッフが紙のアポイント帳を確認している間、診療中の医師が次の患者の予約状況をすぐに把握できずにもどかしい経験をすることも珍しくない。また、電話での予約対応に追われて受付業務が滞り、スタッフの負担が増えていると感じる医院も多いであろう。
このような予約管理の課題に対し、近年はクラウド型の歯科予約システムが解決策として注目されている。その中でも株式会社歯愛メディカル(Ciメディカル)が提供する「Ci Easy Apo2(シーアイ・イージーアポツー)」は、必要十分な機能に絞り込み、低コストで導入できる点で話題になっている。本記事では、このCi Easy Apo2の概要や機能、導入による効果を、歯科医師としての臨床的視点と歯科医院経営の視点の両面から詳しく解説する。開業医が気になる「評判」や「価格」を中心に、実際に導入した場合の成功イメージを具体的に想起できるよう、筆者の経験も踏まえて客観的に分析していく。
製品の概要
Ci Easy Apo2は、歯愛メディカルが2021年にリリースした歯科医院向けクラウド型予約管理システムである。名称の「Easy Apo」は“簡単なアポイント管理”を意味し、その名の通りシンプルさと使いやすさを追求したサービスになっている。パソコンやタブレットのブラウザから利用でき、24時間365日、患者自身がインターネット経由で予約を取れるオンライン予約機能を備える。一般的な歯科診療所を想定した仕様で、院内の予約台帳(アポイント帳)のデジタル化と、患者への自動通知を中心に設計されている。
このシステムの適応範囲は、日常的に予約診療を行うほぼ全ての歯科クリニックである。一般歯科はもちろん、定期検診主体の予防型クリニックや、自費診療中心で予約枠の長いインプラント・矯正専門クリニックまで幅広く利用できる。クラウドサービスであるため、院内に専用サーバーや特別なソフトウェアを設置する必要はない。必要なのはインターネット環境と閲覧用の端末のみで、複数のスタッフや診療ユニットがあっても同時に同じ予約表を閲覧・編集できる。なお、医療機器としての薬機法上の規制対象ではなく、一般業務用ソフトウェアとして提供されている(従って広告規制の「効能効果」には直接該当しない)。
Ci Easy Apo2の特徴は、「本当に必要とされる機能」に絞り込んでいる点にある。開発元のCiメディカル自身、「もしこんな商品がこの価格であったらいいな」という歯科医院の目線に立ち、必要十分な機能を持った商品を適正価格で提供することを理念として掲げている。その理念のもと、Ci Easy Apo2は前身の初代イージーアポから機能を取捨選択して生まれ変わった経緯がある。言い換えれば、歯科医院からの要望が多い機能だけを標準搭載し、ニーズが分かれる高度な機能は後述するようにオプションとして用意することで、システムを軽量化しコストダウンを図っているのである。
主要スペックと機能
Ci Easy Apo2の基本機能は、歯科診療の現場で頻繁に使われる予約・通知機能に特化している。具体的には、初診患者の予約受付、再来患者の次回予約の登録、予約変更やキャンセル処理、そして定期健診(リコール)患者へのフォローアップといった、一連の予約管理サイクルを網羅する。予約状況は院内の複数ユニット分を一括で管理でき、視覚的には一般的なデジタルカレンダーに近いレイアウトで表示される。曜日や時間帯ごとの枠が色分けされた見やすい画面であり、コンピュータ操作が苦手なスタッフでも直感的に扱えるよう配慮されている。紙のアポ帳と異なり、同じ予約表を同時に別の端末から参照・編集できるため、受付と診療室で予約状況をリアルタイムに共有可能である。例えば院長が診療チェアサイドのタブレットから次回予約を直接入力し、同時に受付でスタッフが確認するといった運用もスムーズに行える。実際、ほとんどの歯科予約システムが診療後すぐに次回予約を取るチェアサイド予約に対応しており、Ci Easy Apo2でもこの点は例外ではない。
患者向けの機能としては、Webからの24時間予約受付と、自動の予約確認・リマインド通知が挙げられる。患者は診療時間外でもクリニックの専用予約ページから希望の日時で予約を入れることができる。受付用の電話回線が混み合っていても機会損失なく予約を獲得できる仕組みである。予約前日にはシステムから自動でメールまたはSMS(ショートメッセージ)によるリマインド通知が送信され、患者がうっかり予約を忘れるのを防ぐことができる。特に数か月先のメインテナンス予約では患者側の失念が多いため、こうした事前通知の効果は大きい。一般的に歯科医院のキャンセル率は対策しない場合で10~15%程度とされるが、リマインドなど積極的な対策を行う医院では3~5%程度まで低下させることが多いようである。Ci Easy Apo2はこれらの通知機能を標準搭載しており、無断キャンセル率の低減が期待できる。
さらに、本システムは定期検診の時期が近づいた患者に自動で連絡するリコール通知機能も備えている。前回の来院から所定の月数が経過した患者をリストアップし、一括でメールやSMSによる健診案内を送付することが可能である。これにより、従来は受付担当者が手作業で電話やハガキ送付をしていたリコール業務を効率化できる。患者にとっても、タイミングよく通知を受け取ることで定期受診の動機付けとなり、結果的にリコール率向上による医院の収益増加にもつながると考えられる。Ci Easy Apo2はこのように、シンプルな予約表機能と充実した自動通知機能によって、予約漏れやキャンセルを減らし患者の来院継続を支援することに主眼が置かれている。
互換性・他システムとの連携
システムの互換性や外部連携も、Ci Easy Apo2の実用上のポイントである。まず、歯科用レセコン(レセプトコンピュータ)とのデータ連携が可能だ。オプション設定ではあるが、レセコンと接続することで初診患者の情報を二重入力する手間を省くことができる。具体的には、患者が初めて来院してレセコンに個人情報を登録すると、自動的にその患者データがCi Easy Apo2側にも同期され、予約台帳に反映される。これにより、受付スタッフが患者基本情報を予約システムに改めて入力し直す必要がなくなり、入力ミスの防止にもつながる。同様に、診療後に次回予約をCi Easy Apo2上で登録すれば、その情報を基にリコール管理が容易になるため、レセコン側でのリマインド管理が不要になるというメリットもある。
また、Ci Easy Apo2は外部のコミュニケーションツールとの連携も充実させている。その代表がLINE連携オプションである。2022年にリリースされたこの機能を利用すると、クリニックの公式LINEアカウント上で患者が予約の取得や変更確認を行えるようになる。従来のメールやSMSに比べて、患者が日常的に使い慣れたLINEでやりとりできる利点は大きい。LINEから予約日時のリマインドや定期検診のお知らせを送れば開封率が高まるだけでなく、一度連携した患者はログイン不要で簡便に操作できるため、特に若年層の患者の反応率向上が期待できる。実際、このLINE連携オプションは多くの医院が利用し好評を博していると報告されている。なお、LINE連携を利用するにはクリニックごとにLINE公式アカウント(ビジネス用)が必要であるが、Ciメディカル側でその取得代行も導入時オプションとして用意されている。
そのほかの運用面での互換性としては、院内のハードウェアや他ソフトとの調和が挙げられる。Ci Easy Apo2はクラウドサービスなのでWindowsでもMacでも、タブレットやスマートフォンからでもウェブブラウザ経由でアクセスできる。専用アプリは不要で、ChromeやSafariといった主要ブラウザに対応している。画面デザインはPCとタブレットでの利用に最適化されており、例えば受付カウンターのデスクトップPCと、診療ユニット側のiPadで同じ予約表にログインして操作する、といった使い方が可能である。ネットワーク経由でデータが常に同期されるため、ある端末で予約内容を変更すれば即座に他の端末にも反映される。紙の予約帳では難しかった「院内どこからでも予約状況を確認・入力できる環境」が実現できるわけである。
一方で、クラウド型ならではの注意点もある。インターネット接続が障害でダウンした場合、一時的に予約表にアクセスできなくなるリスクは否めない。対策として、万一に備え当日の予約一覧を朝に印刷しておく、あるいはスマートフォンのテザリングで代替回線を用意しておくなどの工夫が考えられる。また、システム障害時に迅速にサポートを受けられるよう、Ciメディカルのサポート窓口(平日9時〜18時)を把握しておくと安心である。ちなみに公式サイトにはサポート体制の詳細な記載はないものの、ユーザーの声として「問い合わせればいつでも操作説明してもらえた」という事例も報告されており、サポートの手厚さに定評がある。
最後にセキュリティ面について触れておく。患者の個人情報を扱う予約システムである以上、データの保護は最重要事項である。Ci Easy Apo2の提供元であるCiメディカルは情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001を取得しており、クラウド上のデータ管理についても一定の安全性が担保されていると考えられる(Ciメディカル公式サイトに同認証の取得が明示されている)。クラウドサーバー上のデータバックアップや通信の暗号化など、細かな実装は公開されていないが、少なくとも紙台帳や院内PCに保存したExcelファイルで管理するより、災害時や盗難時のデータ消失リスクは低減できるであろう。もっとも、院内での端末操作時には画面を他の患者に覗き見されないよう配慮する、初期パスワードを強固なものに変更しておく、といった基本的なセキュリティ対策は従来通り必要である。
経営インパクト
歯科医院が新たに予約システムを導入する際、懸念されるのは費用対効果である。Ci Easy Apo2は低価格を謳う製品だが、具体的なコストとそのリターンを数字で見てみよう。同システムの料金プランは月額制で、基本的な「ベーシックプラン」が月額2,980円(税別)となっている。これは歯科専用予約システムとしては格安な部類であり、他社の多機能システムが月1〜2万円台であるのと比べても経済的である。機能を限定した「ライトプラン」も用意されており、こちらは新規Web予約の受付に特化したプランで月額1,980円(税別)とさらに低価格だ。ライトプランでは院内のアポイント帳機能が利用できないため、実質的にはWeb予約の入力フォームとしての位置付けである。一方、ベーシックプランでは院内のデジタル予約帳機能と各種オプション機能が利用でき、ほとんどの医院はこちらを選択するだろう。
オプション機能には、先述のLINE連携やレセコン連携、スタッフシフト管理機能などがあるが、これらはいずれも月額数百円〜千円程度の追加費用で利用できる。例えば、LINE連携を導入する場合は基本プラン2,980円にプラス1,000円が月額料金に加算され、合計3,980円(税別)となる。SMSによる通知を利用した場合は送信1通あたり15円の従量課金が別途発生する。初期費用については、システム利用開始時に50,000円(税別)の導入費用が設定されている。この初期費には、アカウント発行や操作研修、データ移行支援などのサポートが含まれていると考えられる(公式には内訳は公表されていない)。なお、政府のIT導入補助金の対象サービスに該当すれば、導入費用の一部に補助金が利用できる可能性もある。Ci Easy Apo2自体が補助金対象リストに登録されているかは要確認だが、近年は多くのクラウドサービスが対象となっており、導入検討時にはチェックしておきたい。
では、このコストに見合う効果(リターン)がどの程度望めるのかを試算する。まず、無断キャンセル削減による収益改善効果を考える。仮に1日に1件の予約キャンセル(しかも当日連絡なし)が発生していたとすると、その損失は年間で約100万円に達するとの試算もある。Ci Easy Apo2の導入でリマインド通知を徹底し、キャンセル率がわずかでも減少すれば、その分だけ収益の損失を防げることになる。例えば、1日あたりの無断キャンセルが平均で1件減少すれば、先の試算に基づけば年間100万円の増収に等しい効果がある。月額数千円の投資で得られるメリットとしては非常に大きい。
さらに、Web予約の導入効果として新患数の増加も期待できる。診療時間外でもネットから予約できる利便性により、「電話がつながらないから他院へ」という機会損失を減らすことができるからだ。特に若い世代の患者は、電話よりオンライン予約を好む傾向があるため、Web予約対応によって他院との差別化にもつながる。また、予約の埋まり具合を可視化してスタッフ全員で共有できるようになることで、診療ユニットの稼働効率も上げやすくなる。例えば、アポイントの隙間時間に急患やデンタルグッズ販売の時間を充てるなど、チェアタイムの有効活用につながるだろう。これらの積み重ねが最終的には医院全体の売上向上とコスト削減(効率化による残業代削減等)につながり、投資対効果の高い導入と言える。
もちろん、具体的な数字の効果は医院の規模や患者構成によって異なるため、一概に断定はできない。だが、Ci Easy Apo2の価格帯であれば、仮に月に自費の補綴治療(クラウン等)1本分のキャンセルが防げればそれだけで元が取れる計算である。実際のところ、月額3,000円台というコストは、歯科医院の販管費の中ではごくわずかな割合だ。院内の雑誌購読やウォーターサーバー維持にかかる費用と同程度とも言える額であり、その範囲で予約管理の質が向上するのであれば安い投資であると考えられる。
使いこなしのポイント
新しい予約システムを最大限に活用するには、導入段階でいくつか押さえておきたいポイントがある。まず、スタッフ全員で操作方法と運用ルールを共有することが重要だ。Ci Easy Apo2は直感的に操作できるとはいえ、紙の予約帳から移行する場合は「どの情報をどこに入力するか」「予約時に聞き取った内容(治療内容や担当者希望など)をどのようにメモするか」といった運用ルールを決め、統一する必要がある。幸い、Ci Easy Apo2では無料の体験版が提供されており、本導入前にスタッフが実際の画面を触って練習することができる。公式サイトから申し込めばアカウントが発行され、そのアカウントは本契約後も引き続き使用できるため、最短1日で本番運用に移行できる。導入前にスタッフ間で十分なトライアル期間を設け、不明点や懸念点を洗い出しておくと良いだろう。
次に、患者への周知と啓蒙も欠かせない。いくら便利なWeb予約機能を導入しても、患者がそれを認識・利用してくれなければ意味がない。そこで、導入時には院内掲示やホームページ上で「24時間オンライン予約受付中」「LINEでも予約できます」といった案内を積極的に打ち出すと良い。特に高齢の患者にはスタッフから直接声かけをして、新しい予約方法を丁寧に説明することで抵抗感を減らす工夫が求められる。また、「予約確認のメールが届くのでご安心ください」「前日にSMSでお知らせします」といったメリットも伝えることで、患者側も安心してシステムを受け入れてくれるであろう。実際、無断キャンセルの多くは悪意ではなく単なる失念によるものと報告されており、患者もリマインダーを歓迎する傾向がある。Ci Easy Apo2の各種通知機能を活用することで、患者との信頼関係構築にも一役買うはずだ。
運用上のコツとしては、予約テンプレートの活用とスタッフ間の情報共有が挙げられる。Ci Easy Apo2では診療内容に応じて予約枠の時間設定や担当者をメモしておくことが可能である。たとえば「CR充填(30分)」「○○先生指名(60分)」といったテンプレートをあらかじめ用意しておけば、予約受付時にスムーズに所要時間と内容を登録できる。スタッフシフト管理オプションを導入していれば、特定の歯科医師や衛生士の出勤日でない日にその人宛ての予約が入らないよう自動制御できるため、予約ミス防止に役立つ。こうした機能を活かし、医院の診療パターンに沿った予約の取り方をシステム上に定義しておくことで、誰が予約対応しても一定のクオリティでスケジューリングできるようになる。結果として、「新人スタッフが受付で予約を取ったら治療内容と枠が合っておらず後で困った」という失敗も減るだろう。
さらに、導入後しばらくは定期的に運用状況を振り返ることも大切だ。月末ごとにキャンセル率や予約枠の空き具合をCi Easy Apo2上のデータから確認し、想定通りに効果が出ているかを検証する。もしリマインドメールの送信タイミングを変更した方が良いと感じれば設定を見直す、あるいは予約が埋まりにくい時間帯があればその時間に割引キャンペーンを検討するといったマーケティング施策も考えられる。Ci Easy Apo2自体には高度な分析レポート機能はないが、エクセル等に予約データをエクスポートして簡単な分析を行うことは可能である。システム導入を機に、医院の予約状況を定量的に把握し、継続的な改善サイクルを回すことが、投資対効果を最大化する秘訣である。
適応と適さないケース
どんなに優れたシステムでも、すべての歯科医院に万能ではない。Ci Easy Apo2が特に力を発揮するケースと、逆に導入しても効果が出にくいケースについて整理しよう。
まず適応が高いのは、予約中心で患者数の多い一般的な歯科クリニックである。保険診療主体で1日あたりの来院患者が多い医院では、無断キャンセルや予約のダブルブッキング防止が経営上の死活問題となる。Ci Easy Apo2のようなシステムを導入することで、予約管理を「人頼み」から「仕組み頼み」に変えることができ、忙しいピーク時でも予約漏れが格段に減るだろう。実際、筆者が知るある都内の保険診療メインのクリニックでは、システム導入後に受付スタッフが電話対応に追われる時間が減り、窓口業務全般の効率が20%以上向上したという。低コストで現場の負担軽減と患者満足度向上を両立できる点で、このようなタイプの医院にはCi Easy Apo2は好相性である。
また、自費診療に力を入れている医院にとっても、患者サービス向上の観点から導入するメリットは大きい。高額なインプラントや審美治療を提供するクリニックでは、患者一人あたりの予約枠が長く、1件のキャンセルによる機会損失が非常に大きい。そのため、確実なリマインドやスケジュール調整が欠かせない。Ci Easy Apo2はメール・SMSに加えLINEでのリマインド送信にも対応しており、忙しいビジネスパーソン層の患者でも見落としなく通知を受け取れる可能性が高まる。さらに、Web予約対応により、診療後の夜間などにも患者が次回予約を自主的に取れるため、例えばホワイトニングのコース施術などで複数回の予約を患者のペースで確保してもらいやすくなる。高付加価値診療を掲げる医院において、「ITを活用した先進的で便利な医院」というイメージを打ち出せることもマーケティング上の利点であり、Ci Easy Apo2の導入はその一助となるだろう。
一方で、Ci Easy Apo2の導入効果が出にくいケースも考えられる。その一つが、患者の大半が飛び込みで来院し事実上予約を取らないような特殊な診療形態の場合である。例えば急患対応専門で完全に順番制で回しているような施設では、時間予約システム自体が馴染まない。当然ながらこうした現場ではCi Easy Apo2の出番はないであろう。また、既に他の大型システム(電子カルテ一体型の予約管理など)を導入している場合も無理にCi Easy Apo2に乗り換える必要はない。特に、歯科チェーンで各院の予約が統合管理されていたり、医院独自の高度なカスタマイズを施した予約システムを使っているケースでは、Ci Easy Apo2の標準機能では物足りない可能性がある。その場合は、本システムをサブ的に利用するよりも現行システムの機能拡張や別サービスの検討を行ったほうが現実的である。
Ci Easy Apo2が不得意とするのは分析系や複雑な院内連携が必要な場面である。同システムは予約管理と通知に特化している分、売上分析や顧客関係管理(CRM)的な機能は持たない。例えば、「キャンセル率を自動集計して経営指標として監視したい」「キャンセル待ちリストから効率よく繰り上げ予約を埋めたい」といった高度なニーズには、より上位の統合システムや専門サービスの併用が必要になるだろう。幸い、Ci Easy Apo2で出力した予約情報をCSVファイル経由で他のシステムに取り込むことも技術的には可能と思われるため、使い分けることもできなくはない。しかし、もし将来的に患者情報や治療履歴まで一元管理したいという展望があるのであれば、最初から電子カルテ一体型のシステム(例:DentisやApotool & Boxなど)の導入を検討した方が二度手間にならない場合もある。
総じて、Ci Easy Apo2は「必要十分な機能を安価に提供する」というコンセプト通り、基本的な予約管理ニーズが中心の医院にマッチする。一方、特殊な運用や高度な機能を求める場合にはオーバーフィット(機能不足)となる可能性があり、導入前に自院の課題と照らし合わせた吟味が必要である。
導入判断の指針(読者タイプ別)
ここでは、歯科医院のタイプ別にCi Easy Apo2の導入適性を考えてみる。読者自身の医院がどのパターンに近いかを想像しながら参照してほしい。
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保険診療メインで効率重視の医院: 患者回転率を上げつつ人件費を抑えたい保険中心のクリニックには、Ci Easy Apo2は非常に適している。低コストで導入でき、予約のデジタル化により受付業務の効率化が図れるからである。特に、一日に数十人規模の患者を診ている場合、電話予約対応に割いていた時間を削減し、スタッフが他の業務(会計や診療補助など)に専念できるようになる効果は大きい。無断キャンセル削減による空き枠減少は、そのまま保険点数の積み上げ増加につながる。チェアタイムの有効活用が経営の鍵を握るこのタイプの医院では、Ci Easy Apo2の投資対効果は極めて高いと言えるだろう。
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自費率が高く付加価値サービスを重視する医院: ラグジュアリーな雰囲気や手厚いサービスを売りにする自費中心のクリニックでも、Ci Easy Apo2は患者満足度向上の武器となる。24時間予約受付や自動リマインドは、忙しい患者に「この医院はサービスが行き届いている」という印象を与える。待合室で次回予約を取らずとも後からスマホで予約できる利便性は、富裕層やビジネスパーソンにも喜ばれるだろう。ただし、このタイプの医院では独自のコンシェルジュ的な対応を重視するケースも多い。例えば担当スタッフが個別に予約フォローをするような運用と比べると、汎用システムであるCi Easy Apo2ではパーソナライズの余地が限られる点には留意が必要である。高級路線の医院では、システム任せではなく、システムを補助的に使いつつも最後は人の目と手を通したきめ細かなフォローを組み合わせることが望ましい。
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口腔外科・インプラントなど専門治療中心の医院: 手術や高度医療を行うクリニックでは、予約管理ミスのコストが特に高い。手術枠が空転すれば数十万円規模の売上損失になりかねず、逆に予約ダブルブッキングは院内業務に致命的な混乱を招く。このタイプの医院にもCi Easy Apo2は有用である。スタッフシフト管理オプションを使えば執刀医が不在の日に手術予約が入るのを防げるし、手術前後の複数回来院が必要な場合も次回未定者リストでフォロー漏れを防止できる。ただし、複雑な治療計画に合わせた予約調整(例:術前検査→手術→経過観察→補綴装着といった一連のアポイント管理)をシステム上で一括に管理する機能はCi Easy Apo2にはない。そのため、インプラントプロセス管理などは従来通り担当スタッフの手でスケジュールを組む必要がある。一方、患者への説明時には「この日にLINEでリマインドが届きますので安心してください」といった案内ができ、患者も複数回の通院計画を把握しやすくなる利点がある。専門治療中心の医院においては、Ci Easy Apo2はあくまで基本的な予約の取り違え防止・リマインド徹底のツールとして活用し、専門領域固有の細かな調整は従来通り人が管理するという棲み分けが現実的であろう。
以上のように、医院の診療形態や方針によってCi Easy Apo2の効果の出やすさは異なる。自院が抱える課題が「予約漏れ」「キャンセル対応」「受付負担」といった領域にあるなら導入メリットは大いにあるが、「分析業務の高度化」「特定患者への特別対応」といった課題には直接応えられない可能性がある。導入判断にあたっては、自院のニーズとシステムの提供価値がマッチしているかを上記のタイプ別の視点で見極めることが重要である。
結論
紙のアポイント帳と電話予約が当たり前だった歯科業界において、Ci Easy Apo2のようなクラウド予約システムは、診療スタイルと医院経営の双方に変革をもたらす可能性がある。本稿で見てきたように、必要最低限の機能に絞ったシンプルな設計ながら、臨床現場の課題である「予約の抜け」「ダブルブッキング」「無断キャンセル」といった問題への具体策を提供してくれる。事実、適切に活用すればキャンセル率の低下やリコール率の向上によって収益に貢献し、スタッフの業務負荷軽減によって院内のサービス品質向上にも寄与するだろう。Ci Easy Apo2の導入によって得られる最大の変化は、「人に依存した予約管理」から「仕組みに支えられた予約管理」へのシフトである。これにより、院長やスタッフは本来注力すべき診療や患者対応により専念でき、結果として患者満足度と医院の生産性が同時に高まる効果が期待できる。
もっとも、システムはあくまで道具であり、導入すれば自動的に成果が出るものではない。重要なのは、その道具を医院ごとの文脈に合わせてどう使いこなすかである。本記事で取り上げたポイントを踏まえて、ぜひ明日から具体的な一歩を踏み出してほしい。例えば、Ci Easy Apo2に興味を持ったなら、まずは無料体験版を取り寄せ実際の画面を確認してみるとよいだろう。30日間まで試用できるため、院内で模擬運用してスタッフの意見を集めることも可能である。また、Ciメディカルの営業担当に問い合わせれば、オンラインもしくは訪問でのデモンストレーションを実施してもらえる。他院の導入事例が気になる場合は、歯科系の勉強会やSNSで同製品を使っている同業の声を探してみるのも有益である。予約システム導入は決して派手な投資ではないが、その効果は診療の根幹を支える土台として長期にわたり現れる。少しでも現在の予約管理に課題を感じているなら、Ci Easy Apo2の導入検討は、将来への賢明な一手と言えるのではないだろうか。
よくある質問(FAQ)
最後に、Ci Easy Apo2に関して歯科医師から寄せられがちな質問とその回答を示す。
Q1. 長期的な効果は本当にあるのか?キャンセル率が劇的に下がる根拠は?
A. 効果の度合いは運用次第である。確かにCi Easy Apo2を入れただけで魔法のように無断キャンセルがゼロになるわけではない。しかし、システムを活用することでキャンセル率が下がった事例は複数報告されている。例えば、一般的な歯科医院のキャンセル率は対策しない場合10~15%とされるが、リマインド徹底など対策を講じることで5%前後まで改善した例もある。Ci Easy Apo2自体もメール・SMS・LINEでのリマインド機能を備えており、これらを積極的に使うことでキャンセル「忘れ」を防ぎ、結果的にキャンセル率低下に寄与すると期待できる。長期的には、定期健診のリコール漏れが減ることも患者定着率の向上につながり、医院の安定経営にプラスになるであろう。もちろん、導入後も定期的に効果測定を行い、必要に応じて運用ルールをブラッシュアップすることが肝要である。
Q2. 個人情報の安全性は担保されているか?クラウドに患者データを置くのが不安だが。
A. Ci Easy Apo2は歯科業界最大手の一つであるCiメディカルが運営しており、情報セキュリティにも配慮している。同社はISO27001の認証も取得済みで、データセンターで適切に管理が行われている。通信もHTTPSによる暗号化が採用されており、外部から予約情報が漏洩するリスクは極めて低いと考えられる。むしろ、紙の予約帳が誰でも閲覧できたり、院内PCのエクセルファイルがバックアップなしで保存されていたりする方が危険である。ただし、クラウドの性質上、インターネット経由でアクセスするID・パスワードの管理は医院側の責任となる。強固なパスワード設定と、スタッフ退職時の権限削除など基本的な対策は確実に行うべきである。
Q3. 既存のレセコンや他のシステムとうまく連携できるのか?
A. 主要な歯科用レセコンとのデータ連携が可能である。患者基本情報をレセコンからCi Easy Apo2へ自動連係するオプションが提供されており、二重入力の手間が省ける。具体的な対応レセコン名は公開されていないが、Ciメディカル主催のセミナーではPower5G(デンタルシステムズ社)など複数社の例が紹介されている。また、Ci Easy Apo2から出力した予約CSVを使い、他システムで加工・分析することも技術的には可能である。例えば、受付管理ソフトや患者関係管理システムに予約データを取り込んで活用することも考えられる。ただしリアルタイム双方向連携までは想定されておらず、あくまで「必要な部分だけ連携して使う」スタンスになる。
Q4. スタッフのITリテラシーが低くても使いこなせるか?導入後のサポートは?
A. 基本的な操作は難しくない。画面は一般的なカレンダーアプリに近い構成で直感的に理解でき、マウス操作やタップで予約の追加・変更ができる。実際、「機械が苦手な受付スタッフでもすぐ慣れた」という声もある。Ciメディカルでは最大1か月の無料トライアル期間を用意しているため、本格導入前にスタッフ全員で練習することが可能だ。サポートについても、平日9時〜18時の電話サポート窓口が設置されており、操作説明や技術問い合わせに対応している。公式サイト上には詳細なサポート情報はないが、導入時には担当者が丁寧にフォローしてくれるため、ITに不慣れな医院でも大きな問題なく立ち上げられているのが実情である。
Q5. 導入を決める前に確認すべきことは?失敗しないためのポイントはあるか?
A. いきなり契約する前に、必ず無料体験版で操作感を確かめることを推奨する。自院の患者層や診療内容で問題なく使えそうか、スタッフから意見を集めてフィードバックを得るのがよい。また、料金プランと必要オプションを洗い出し、月額費用の見積もりを事前に把握する。SMS送信料やLINE公式アカウント費用(無料枠超過時)など、ランニングコストも含めて計算しておくと安心である。加えて、自院のレセコンやカルテシステムとの兼ね合いも検討ポイントだ。予約システム単体で完結するか、他システム連携が必須かによって、Ci Easy Apo2が適切かどうか判断する。最後に、導入するからには医院全体で新しい運用を定着させる覚悟が必要である。中途半端に紙と併用してしまうと効果が薄れるため、切り替えると決めたらスタッフ一丸で使い倒す方針を固めてから契約すると良い。