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歯科の予約システムのおすすめランキング!LINE連携はできる?各社を比較してみた

歯科の予約システムのおすすめランキング!LINE連携はできる?各社を比較してみた

最終更新日

診療の合間にひっきりなしに電話が鳴り続け、受付スタッフが予約対応に追われてしまう。患者の無断キャンセルでぽっかり空いたチェアタイムに頭を抱えた経験はないだろうか。あるいは昼休憩中に電話予約を逃してしまい、新患の来院機会を取りこぼしたこともあるかもしれない。紙の予約台帳ではスタッフ間の情報共有ミスで二重予約が発生し、診療当日に慌てて調整した。こうした予約管理の悩みは、歯科医院を経営する多くの先生に共通する課題である。

本記事では、これらの悩みを解決する一手として注目される「歯科予約システム」に焦点を当てる。予約システム導入がもたらす臨床面でのヒントと医院経営戦略としてのメリットを両面から分析する。予約管理は単なる事務作業ではない。キャンセル率の低減や定期健診リコールの徹底、新患の確保など、医院の収益と患者満足度を左右する戦略業務でもある。本記事を読み進めれば、各製品の特徴を正しく理解し、自院の診療スタイルや患者層に合ったシステムを選ぶ指針が得られるだろう。明日から実践できる具体的なアクションプランも用意したので、予約システム選定の道筋がクリアになるはずである。

歯科予約システム主要10社の比較サマリー

以下に、本記事で取り上げる主要な歯科向け予約管理システム10社の特徴を一覧表にまとめる。各システムの主な機能や強みに加え、LINE連携の有無や他システムとの連携、導入費用の目安など経営判断に直結する項目も比較した。忙しい先生もまずは早見表で概観してほしい。

システム名(提供企業)特徴的な機能・強みLINE連携他システム連携・備考導入費用 (初期/月額)
EPARK歯科 予約管理 (エンパワーヘルスケア)日本最大級の歯科検索ポータルと連携。Web予約から患者集客まで一括支援○(公式LINE導線あり)EPARKサイト掲載、専用「台帳」提供要問い合わせ(プランにより)
デンタマッププラス (USEN)シンプル操作の業界トップクラス導入実績。24時間クラウド予約で安定稼働○(リマインド通知対応)レセコン連携、SMS/メール送信要問い合わせ(利用規模で変動)
DentNet(デントネット) (ジェニシス)豊富なカスタマイズ設定(389項目)と経営分析。スマホ診察券など機能多彩○(公式アカウント連携)レセコン連携(実績多数)、分析CSV出力約200万円 / 月1.45万円~ ※規模別
Apotool & Box (ストランザ)予約~会計まで一元管理の多機能クラウド。画像管理や決済連携も充実△(専用アプリ・メール対応)診察券アプリ・レジ連動等オプション30万円 / 月1.8万円~ ※機能別
ApoDent(アポデント) (ナルコーム)進化を続ける予約管理。キャンセル待ち管理やスタッフシフト管理機能○(オプション対応)専用アプリ「デンタルパス」提供5.98万円 / 月0.8万円 ※LINE等別途
Dentry by GMO (GMO)電話自動応答(IVR)も可能なクラウド予約。自由診療の細かな枠設定に対応○(24時間LINE予約受付)IVR電話予約、自動リマインド要問い合わせ(導入内容により)
ドクターズ・ファイル。 アポ レジタス (ギミック)医療情報サイト「Dr’s File」と連携し集患力◎。LINEで再診予約も簡単○(患者登録・再予約)オンライン決済オプション対応要問い合わせ(サイト掲載料含む)
Ci Easy Apo2 (歯愛メディカル)必要機能に特化した低価格クラウド予約。直感操作で基本を網羅○(有料オプション)SMS/メール標準、LINE予約は任意5万円 / 月2,980円 + LINE千円
Dentis(デンティス) (メドレー)電子カルテ一体型オールインワン。Web問診・オンライン診療・決済まで標準○(リコール通知対応)レセコン・カルテ内包、同社CLINICS連携要問い合わせ(クラウド型)
ジニー & myDental (DentaLight)予防歯科に最適な予約・CRM。専用アプリ「myDental」で診察券&通知○(アプリ経由通知)スマホ予約アプリ提供、PHR対応要問い合わせ(医院規模で変動)

※表中の費用は一部プランや参考価格です(税別表示)。実際の導入費用は各社への問い合わせが必要である。また「LINE連携」は、予約受付やリマインド通知にLINEを利用できる機能の有無を示す(△は公式LINEではなく独自アプリ等による通知対応)。

比較のポイント

歯科予約システムを比較・選定する際には、単に便利そうという印象だけでなく複数の観点から自院に合うかを見極める必要がある。ここでは、特に重要な4つの比較軸を解説する。各軸ごとに製品間の違いが生まれる理由と、それが臨床現場の効率や医院収益にどう影響するかを考えてみよう。

1. 操作性・患者層への適応

予約システム導入の目的は、患者とスタッフ双方の負担軽減である。そのためユーザーインターフェース(UI)の操作性は極めて重要な比較ポイントだ。直感的に使えるシステムであれば、受付スタッフは短期間で操作に習熟でき、患者も迷わず予約を取ることができる。例えばデンタマッププラスやCi Easy Apo2のようにシンプルなカレンダー画面で予約枠を管理できるシステムは、「機械が苦手」というスタッフでも導入ハードルが低い。また、患者側もパソコンやスマートフォンから予約画面にアクセスしやすく、煩雑な入力なしで予約完了できることが理想である。

一方、高齢患者が多い医院ではネット予約への抵抗感も考慮しなければならない。スマホやPCを使い慣れない患者にはオンライン予約はハードルが高く、「結局電話が鳴り続ける」という事態も起こりうる。DentNetやDental Access(デンタルアクセス)のように電話予約も自動受付(IVR)で取り込める仕組みがあると、ネットに不慣れな層にも対応できる。またDr’s File アポ レジタスやジニーのように初回のみ簡単な登録をすれば次回以降はログイン不要で予約できるシステムは、リテラシーを問わずリピートしやすい。患者層にマッチした操作性かどうか、デモ画面等で確認すると良いだろう。操作が複雑すぎるシステムは、トラブル対応に時間を取られ診療が中断するリスクもあり、注意が必要である。

2. 機能の幅と他システム連携

予約システムと言っても製品ごとに機能範囲は様々である。予約管理に特化したシンプル型から、患者情報管理(CRM)や会計機能まで統合した総合型まで幅広い。自院のデジタル化の段階に応じて、必要な機能範囲を見極めよう。

例えばEPARK歯科やApoDentは予約受付とリマインド機能が主眼で、既存のレセコンやカルテはそのまま使いつつ予約部分だけデジタル化したい医院に適している。これらは比較的シンプルで初期費用も抑えめだが、詳細な患者分析や電子カルテ連動といった高度な機能は限定的である。一方、DentisやApotool & Box、DentNetのようなシステムは電子カルテ・レセコン連携や画像管理、経営分析まで含めたオールインワン型だ。例えばDentisはWeb問診やオンライン診療、キャッシュレス決済まで標準搭載し、複数のツールを併用する必要を無くしている。DentNetもユニット稼働率やリピート率、新患率など経営指標を即座に出力する機能を持ち、データに基づく経営改善に直結する。

多機能なシステムは、導入すれば受付〜会計まで業務プロセスの重複入力が削減され、人的ミスの減少や患者待ち時間短縮につながる。例えばApotool & Boxでは患者ごとの口腔内写真や検査結果を予約情報と一元管理でき、診療の質向上にも貢献する。ただしその分初期費用や月額費用が高く、システム習熟にも時間を要する場合がある。逆に予約特化型は費用負担は軽いが、将来的に「やはりカルテ連携も…」となった際に拡張性に限界があることも念頭に置きたい。現在必要な機能に絞るか、将来を見据えて包括的システムを選ぶか、医院の成長計画に沿って判断すべきである。

3. リマインド機能とLINE活用

無断キャンセルの防止は、予約システム導入の直接的なメリットの一つである。人力で前日に電話確認をするのは手間だが、多くのシステムは自動リマインド通知を備えている。メールやSMSで予約前日に通知することで、患者の来院忘れを防ぎ、結果としてキャンセル率の低減が期待できる。特にLINE連携は開封率・既読率が高く効果的だ。あるシステムの導入事例では、電話予約中心だった医院がLINE予約を導入したところ予約率が20%向上したとの報告もある。患者の日常的なコミュニケーション手段に組み込める点で、LINEは強力なツールである。

ほとんどの主要システムが何らかの形でLINEやアプリ通知に対応しているが、そのアプローチは様々だ。V-apo(今回未紹介)やDentNetは医院の公式LINEアカウントを介して予約受付やリコール連絡が可能で、患者は友達登録するだけで簡単に予約や変更ができる。Dr’s File アポ レジタスやDentry by GMOもLINE上でチャット感覚の予約操作を実現しており、一度連携すればログイン不要で再予約できるためリピート率向上に寄与する。一方でジニー&myDentalは専用アプリによるプッシュ通知を採用している。患者にアプリをインストールしてもらう手間はあるが、診察券や検診履歴も管理できる付加価値があり、医院のファンづくり(患者エンゲージメント強化)につながる。

リマインドや通知機能の充実は、「うっかり忘れ」による機会損失を防ぎ、医院の利益率改善に直結する。さらに定期メンテナンスの時期には自動でお知らせを送り、患者の来院を促すリコール機能も重要だ。特に予防歯科に力を入れる医院では、ジニーのようにリコール対象者を管理しタイミングよくアプローチできるシステムが心強い味方となる。反対に、LINE未対応のシステムでは高齢者へのフォローに工夫が必要だったり、別途公式LINE運用コストが発生するケースもある。各製品の通知方法と費用を確認し、自院の患者コミュニケーション戦略にマッチするか評価しよう。

4. コストとタイムパフォーマンス

最後に見逃せないのが費用対効果(ROI)の検討である。予約システムは導入時にまとまった費用が発生し、月々のランニングコストもかかるため、「本当に元が取れるのか?」という点は院長としてシビアに判断すべきだ。そこでコスト面の比較ポイントを整理してみる。

まず導入費用は、クラウド型では比較的低め(無料~数十万円)だが、オンプレミス型や高度なカスタマイズを含むものでは初期費用が数百万円規模になることもある。例えばDentNetは初期約200万円(分割払い可)と大きな投資だが、長期的な保守込みライセンスと考えれば一概に高いとは言い切れない。一方、Ci Easy Apo2の初期5万円・月額2,980円は極めて導入しやすく、小規模医院でも負担になりにくい価格設定だ。ただし低価格ゆえに機能が限定され、別途手作業が残れば結局スタッフ人件費や時間コストがかさむ可能性もある。

ROIを考える上で重要なのは、「システム導入で生まれる利益や削減できるコスト」を数値化することである。例えばキャンセル率の改善により月に何件の穴埋め診療が可能になり、どれだけ売上増が見込めるか。あるいは電話対応件数が減少しスタッフの空き時間が生まれた結果、新たに何名の患者に対応できるか。EPARK歯科やDr’s File連携型であれば、オンラインから新患が月数名増えることで年間の自費治療成約数が増加するかもしれない。Apotool & Boxのような高機能システムは、人為ミスによる再診トラブルを減らしスタッフ残業代の削減や人員配置最適化につながるケースもある。

もう一つ見逃せないのは患者満足度向上による間接的な増患効果だ。24時間いつでも予約でき、待ち時間が少ない医院は口コミ評価も高まりやすい。結果としてリコール率や紹介患者が増え、長期的な収益アップをもたらす。これら定性的なメリットも踏まえ、「初期投資を○年で回収し、その後は純増益」というシナリオを描いてみることが重要である。高額なシステムでも活用次第で大きなリターンを生むことは多々ある。逆に安価でも使いこなせなければ宝の持ち腐れだ。各社の提供するデモや試用期間を活用し、費用に見合う価値を引き出せるかを検証してから契約することを強く推奨する。

主要な歯科予約システム10社の詳細レビュー

上記の比較軸を踏まえつつ、ここからは日本国内で導入が検討される代表的な歯科予約システム10種類について、それぞれの特徴と活用ポイントを解説する。客観的なデータに基づく強み・弱みに加え、「どんな医院・先生に向いているか」という視点でレビューする。自院の状況を思い浮かべながら読み進めてほしい。

EPARK歯科予約管理システムは新患獲得と受付効率化を両立

EPARK歯科の予約管理システムは、日本最大級の歯科ポータルサイト「EPARK歯科」のプラットフォームを活用できる点が最大の特徴である。EPARK歯科メディア上での検索・ネット予約に対応し、医院のホームページを持っていなくてもオンライン予約の導線を確保できる。EPARK掲載ページから予約ボタンを押すと、患者は氏名や連絡先などの入力を省略してLINEから簡単に予約手続きを完了できる仕組みで、ネットに不慣れな患者にも優しい設計だ。また医院側には「EPARK歯科台帳」と呼ばれる専用の予約管理画面が提供され、EPARK経由やLINE経由、他連携サイト経由の予約もすべて一元管理できる。リアルタイムで空き枠状況を共有し、担当スタッフや使用ユニットまで含めた診療スケジュールを可視化することで、受付業務の効率化とヒューマンエラー防止につなげている。

強み

圧倒的な集患力と豊富な導入実績で信頼性が高い。EPARK歯科経由で新患を獲得しやすく、若い世代の患者にもリーチできる。標準搭載のリマインド機能(SMSやLINEメッセージ配信)により無断キャンセル対策も可能だ。大手プラットフォーム運営会社のシステムだけありセキュリティ対策やサポート体制もしっかりしている。

弱み

費用は公開されておらず、問い合わせベースとなる。一般的にポータル掲載料やシステム利用料を合わせるとランニングコストはやや高めと推測される。またEPARKに掲載する以上、患者からの口コミ閲覧や他医院との比較検討も行われる環境下に置かれるため、自院のブランディング戦略によっては合う合わないがある。

おすすめの医院像

「ネットで積極的に新患を増やしたい都市部の医院」に特に向いている。Webマーケティングに力を入れたい開業医にとって、EPARKは強力な集客チャネルとなるだろう。逆に紹介やリコール中心で患者が十分足りている地域密着型の先生には、費用対効果を慎重に見極める必要がある。受付負担軽減という意味ではどの規模の医院にも有益なので、電話予約が常時逼迫している医院は導入で即座にメリットを実感できるはずである。

デンタマッププラス

デンタマッププラスは、USENグループが提供する医療機関向け予約システムで、シンプルな予約管理に特化している。紙のアポ帳から移行する際にも違和感の少ない画面設計で、24時間いつでもどこでもクラウド上で予約確認・変更が可能だ。業界でトップクラスのシェアを誇り、長年多くの歯科医院に使われてきた実績が強みである。ネット環境さえあれば院内外のパソコンやスマートフォンから予約状況を把握でき、院長が往診先や自宅から明日の予約を確認するといった使い方もできる。インターフェースは分かりやすく、同社スタッフによる初期設定サポートも受けられるため、ITに不慣れな医院でも安心だ。標準機能として自動メール・SMS送信のリマインドや、レセコン連携、定期健診対象者リストの出力などを備えており、地味だが実用的な機能が揃っている。

強み

操作が簡単でスタッフ教育が容易な点は現場で大きなメリットだ。導入実績が豊富な分だけトラブル事例のノウハウも蓄積されており、サポート問い合わせにも的確に対応してもらえる安心感がある。LINE連携についても、公式には「リマインド通知に対応」とされており、SMSやメールと組み合わせて99%以上の患者への連絡カバー率を謳っている。クラウド型だが万一インターネット障害時にはオフラインでも予約閲覧できるハイブリッド構成となっており、安定稼働への配慮も行き届いている。

弱み

予約機能に特化したシステムのため、経営分析レポートや詳細な患者管理(CRM)的機能は限定的である。例えば来院履歴に基づく細かなマーケティング分析や、多彩なカスタマイズ表示といった高機能を求める医院には物足りないかもしれない。また費用はプランによって変わるが月額制で中程度のコストと推測される(具体的な金額は要問い合わせ)。広範な機能が必要ない医院にとっては適正価格だが、機能拡張したい時には追加費用が発生する可能性がある。

おすすめの医院像

「初めて予約システムを導入する中小規模の歯科医院」にフィットする。現在紙台帳やExcelで管理しており、とにかく基本機能だけでもデジタル化したいという場合に、デンタマッププラスの安定感は心強い。シンプルゆえにスタッフの入れ替わりがあっても教育しやすく、院長不在時でも誰でも扱えるのは小規模医院のリスク管理にも資する。また、地方開業で地域特化型の経営をしている医院にも向いている。高度なWeb集患よりも、リコール漏れ防止や院内業務効率化を地道に進めたい先生にとって、「まずこれを入れてみる」という入り口として最適なシステムである。

DentNet(デントネット)

DentNetは株式会社ジェニシスが提供する予約・患者管理システムで、歯科医院向けITシステムの草分け的存在とも言える。特徴は何と言っても細かな設定によるカスタマイズ性と、医院経営をサポートする各種データ分析機能だ。初期設定項目が89項目、サーバー側設定が389項目にも及び、診療科目やユニット数、予約ルールなど医院ごとの運用に柔軟に対応できる。例えばチェアのユニットごとに色分け表示したり、担当ドクター・衛生士の組み合わせに応じて予約時間を自動調整するなど、痒い所に手が届く設定が可能である。また患者向けにはスマホ診察券アプリ(DentAIアプリ)を用意し、来院時に受付QRコードをかざすだけでチェックインから次回予約取得まで完了する仕組みもユニークだ。さらにはリライトカード(磁気カード)を発行し、その場で次回予約日時をカードに印字するレトロフィットな機能も備えるなど、アナログとデジタルの融合も意識されている。

強み

経営支援機能の充実がDentNet最大の強みだ。患者のリピート率、新患・紹介患者数、ユニット稼働率、キャンセル率など、多角的な経営指標をシステム内で自動集計できる。すべての指標データはCSVで抽出可能なので、Excelで独自分析したり他のBIツールに取り込むことも容易だ。レセコン連携の実績も豊富で(主要な電子カルテ・レセコンとはオプションで連動可能)、受付から会計まで情報を一元化できる。LINEやSMS、メールによる自動リコール通知・予約確認機能も実装済みで、患者へのフォローアップも抜かりない。長年の開発で蓄積されたノウハウにより、機能面では現在の市場でもトップクラスと言えるだろう。

弱み

高機能ゆえの初期費用・運用コストの高さがネックとなる。導入時には数百万円規模の費用がかかり、公式には初期費用を6年(72回)分割で支払うプランが提示されている(東京・神奈川・千葉・埼玉以外では地域加算あり)。月額利用料もユニット台数に応じて設定され、例えばチェア7台までなら月額14,500円と決して安くはない。また設定項目が多いため、導入時のカスタマイズに労力を要する可能性がある。システムに習熟するまでスタッフ研修も必要で、ITに強い担当者がいない医院だと使いこなすまで時間がかかるかもしれない。つまり小規模医院やITリテラシーに不安がある場合はオーバースペックとなる恐れがある。

おすすめの医院像

「チェア台数やスタッフ数が多く、経営データを駆使して医院運営を最適化したい医院」にマッチする。分院展開を視野に入れている場合や、常時複数Dr/衛生士が並行診療しているような中〜大規模クリニックでは、DentNetの高いカスタマイズ性が威力を発揮する。また経営にPDCAサイクルを導入しており、数値管理・分析による改善を積極的に行いたい院長にとっても心強いツールだ。反面、「なるべく費用をかけず基本の予約管理だけ実現したい」という医院には不向きである。DentNetを導入するなら、豊富な機能を活用しきる運用力が求められる点に留意したい。

Apotool & Box for Dentist

Apotool & Box(アポツール アンド ボックス)は株式会社ストランザが提供するクラウド型システムで、歯科医院のデジタル化(DX)を包括支援するコンセプトの製品だ。予約管理はもちろん、電子問診票のデジタル化、歯周検査や口腔内写真・レントゲン画像の管理、会計システム(レジ)との連携など、診療前後の受付業務全般を効率化する多数の機能が統合されている。特徴的なのはオプション製品の充実で、患者向けスマホ診察券アプリ「私の歯医者さん」や、キャッシュレス決済対応のPOSレジ「お会計さん+ささっとPay」などを組み合わせて利用できる点だ。医院が必要とする機能だけ選んで導入でき、後から追加導入も柔軟に対応している。予約システムとして見ると、定期検診のお知らせメールや予約前日の自動リマインドといった基本機能に加え、QRコードを用いた自動受付や複数デバイスからの情報共有など細かな便利機能が揃う。さらに、患者ごとの口腔内写真に直接描画して説明資料にしたり、過去の検査値をグラフで引き継ぎ比較したりと、診療そのものの質向上に資するツールも含まれている。

強み

歯科医院運営に必要な機能がワンパッケージで揃うオールインワン性が最大の強みである。これ一つで予約台帳、患者情報ファイル、問診票、治療説明ツール、会計処理まで賄えるため、複数のシステムを使い分ける煩雑さが解消される。データはクラウド上に一元管理されるため、二重入力の手間やミスが激減し、スタッフは本来の患者対応に集中できる。またオプションを含め拡張性が高く、医院の成長に合わせて機能追加していける柔軟さも魅力だ。例えば将来的にクレジット決済を導入したい、患者向けアプリでサービス向上を図りたいといったニーズにも後から応えられる。月額費用は基本プランで18,000円程度と高めだが、電子カルテやレセコンを別途用意せずに済むことを考えればコストパフォーマンスは高い。結果として長期的には人件費削減や業務効率化によるROIが大きいと期待できる。

弱み

多機能ゆえに初期導入コストは30万円前後とかかり、経営規模によっては負担に感じる。すべての機能を使いこなすには一定のITリテラシーと院内体制整備も必要だ。また患者向け機能が豊富な反面、患者側にもスマホアプリ利用や事前登録を促す必要があり、全員がすぐには使ってくれない可能性もある。LINEによる直接の予約受付には対応しておらず、リマインドはメール/SMSが主体(診察券アプリでプッシュ通知は可能)なので、「患者はLINEでやり取りしたい」という医院にはやや不向きかもしれない。さらに非常に安定したクラウドとはいえネット依存はあるので、ネット障害時の運用フローを決めておく必要はある。

おすすめの医院像

「デジタルで医院運営を一新し、効率化と患者サービス向上を両立させたいクリニック」にうってつけである。特に分業制でスタッフ間の情報共有が多い大きめの医院や、これから開業して最新のIT活用を標榜したい先生には心強いツールとなるだろう。逆にスタッフ人数が極端に少なく機能を持て余す場合や、患者層がITになじまない場合は、宝の持ち腐れになる可能性がある。導入するなら「医院の業務プロセスを見直す」くらいの構えで、院長主導でDXを推進する覚悟がある医院に最適である。

ApoDent(アポデント)

ApoDentは株式会社ナルコームが開発する歯科予約システムで、近年機能改善を積極的に行っているアップデート頻度の高い製品である。予約枠の埋まり状況をリアルタイムに反映し、キャンセル待ちの管理や患者ごとの注意事項の共有、治療中断者のフォロー状況把握など、院内コミュニケーションを円滑にする工夫が凝らされている。患者への連絡手段は標準ではEメールが使え、オプション追加でLINE・SMS・専用アプリ「デンタルパス」を利用可能だ。例えば前日リマインドをLINEで送り、予約当日朝にはSMSを送信する、といった複数チャネルで念押しする運用も可能で、キャンセル発生時には自動で再予約を促すフォローメールまで出すことができる。またスタッフ用には勤務シフト管理機能や、技工物の納期管理と予約紐付けなどユニークな機能を搭載しており、単なる予約表以上の存在感を放っている。

強み

大手に比べ月額8,000円と利用料が抑えめでありながら、必要十分以上の機能が揃っているコストパフォーマンスの良さが光る。キャンセル待ちリストを管理し、空きが出たらすぐ連絡して埋めるなど、予約枠の稼働率最大化につながる機能は医院収益に直結する。また日々改善が重ねられており、「こんな機能が欲しい」と要望するとバージョンアップで対応してくれたという声もある。中規模ベンダーならではのユーザーの声を反映した柔軟な開発は、現場にありがたい。操作性も癖がなく、電話予約もスタッフがシステム画面から一元的に入力する運用にすることでダブルブッキングの防止や情報共有の徹底が図れる。

弱み

LINE連携やアプリ利用はオプション扱いのため、フル機能を使うには追加費用が必要になる。標準状態ではEメール通知が中心で、若年層にはややリーチしづらいかもしれない。また電子カルテやレセコンとの統合は基本的にないため、予約以外の業務は別システムで行う前提となる。カルテ連携ができない場合、患者情報(氏名やIDなど)の初回登録が重複したり、来院履歴を分析するにも各システムからデータを突合する手間が発生する。つまり予約管理単体としては優秀だが、医院全体のITインフラの一部として見ると独立した島となる点には注意したい。もっとも、他システムと連携する必要がない運用なら問題にはならない。

おすすめの医院像

「必要な機能は一通り欲しいが、予算を抑えつつ使いやすいシステムを導入したい医院」にマッチする。特に電話や対面での予約受付が主体だが、徐々にWeb予約も取り入れたいと考えている医院にとって、ApoDentは過不足ない選択だ。既存のカルテや受付体制を大きく変えずに、まずは予約だけデジタル化してみたいというケースにも適しているだろう。最終的にLINE通知やアプリを追加していけばかなり充実した機能セットになるため、段階的にデジタル活用範囲を広げたい開業医にも勧められる。一方、最初からフルスペックの統合システムが欲しいような高度なDX志向の医院には、物足りない部分が出てくる可能性がある。その場合はApotool & Boxなどより包括的な製品との比較検討が必要だ。

Dentry by GMO

Dentry(デントリー)はGMOグループの医療予約技術研究所が提供するクラウド型システムで、オンラインと電話の両面から予約受付を自動化できる点がユニークだ。Web予約はもちろん24時間対応で、患者はLINEからの予約申請も可能。さらにIVR(自動音声応答)による電話予約受付機能を備えており、営業時間外やスタッフ多忙時でも電話予約の取りこぼしを防げる。電話でかかってきた予約もシステムが自動処理して台帳に反映されるため、「ネット予約を嫌う層も安心して受け入れられる」のが大きな強みだ。予約管理画面自体はシンプルかつ視認性が高く、自由診療の細かなメニューごとに所要時間を設定しておけば、選択時に自動で適切な枠長を割り当ててくれる。担当医や衛生士の指名予約にも対応し、複数チェア・スタッフのリソースを無駄なく活用できる工夫がされている。もちろん定期検診通知や前日リマインドにも対応し、患者の利便性を追求しつつスタッフ負担軽減も図れるバランスの取れたシステムだ。

強み

電話予約の自動化まで実現したシステムは他にほとんどなく、Dentryならではの差別化ポイントだ。特に電話予約が根強い地域やご年配の患者が多い医院では、営業時間外でも予約を受け付けられるメリットは計り知れない。またGMOが開発しているだけあり、クラウドインフラの信頼性やセキュリティ水準は高い。障害時のサポートや今後のバージョンアップにも期待が持てる。必要な機能に対して画面デザインは極力シンプルにまとめられており、新人スタッフでも迷わず予約操作ができるUIも現場フレンドリーだ。加えてLINEによる24時間予約や定期メンテナンス通知など患者フォロー機能も標準搭載しており、予約件数の増加とスタッフ定着率向上(電話負担減)という医院経営への好影響も狙える。

弱み

費用は要問い合わせだが、最新のクラウドサービスかつ付加機能も多いことから導入・月額コストは中〜高価格帯と推測される。また新しいシステムのため、DentNetやDentisのように実際の大規模運用での実績データが少ない点は不安材料かもしれない(サービス開始から年数が浅い)。電話の自動応答も万能ではなく、患者から詳細な問い合わせがあった場合は結局スタッフ対応が必要になるため、完全放置とはいかない。IVRの設定にはシナリオ設計や音声ガイダンスの最適化など工夫も要る。とはいえ弱点が明確に見えるほどの情報はまだ少なく、導入医院の口コミや症例集などを確認しながら慎重に検討する必要がある。

おすすめの医院像

「電話予約対応の負担をどうにか減らしたいと考える医院」にはこれ以上ない選択肢だ。具体的には夕方以降の予約電話が多く受付延長が常態化しているような忙しいクリニックや、スタッフ数が限られ電話対応と窓口業務を両立しにくい小規模医院でも効果を発揮するだろう。ネット予約導入に前向きでない患者層を抱える医院でも、Dentryなら自然な形で24時間受付体制を構築できる。逆に、ほとんど予約電話が鳴らないほど完全にWeb予約移行済みの医院には電話応答の価値は低いので、そうしたケースでは他のシンプルなシステムで十分かもしれない。また新規開業で最新システムを導入したい場合にも候補となるが、地域の患者属性に電話文化が残っているかどうかを見極めて採用すると良いだろう。

ドクターズ・ファイル

ドクターズ・ファイル アポ レジタス(以下アポ レジタス)は、月間3,000万PVを誇る医療情報ポータル「Doctors File」を運営する株式会社ギミックによる予約・患者管理システムである。ポータルサイト連携による集患と受付業務効率化の両面を狙ったサービスで、Doctors File上の医院紹介ページから直接予約を受け付けられるのが特徴だ。同サイトは元々インタビュー記事形式の病院検索で若い世代に人気があり、掲載費用はかかるものの露出を増やしたい医院には魅力的な導線となる。システム自体も患者管理やスケジュール台帳、キャンセル率の統計など基本機能を網羅する。LINE連携機能では、患者がLINE上で簡単なチャット形式の問診回答や情報登録を行え、一度登録すればID・パスワードなしで再来予約が可能となる。さらにオンライン決済(カード決済)にもオプション対応しており、高額な自費治療の事前決済や後払い決済などもシームレスに処理できる。これにより受付での会計待ち時間を減らし、患者満足度向上につなげるとともにスタッフの負担軽減も図っている。

強み

やはりDoctors Fileという集患媒体との連携が最大の売りだ。競合のEPARKと同様、新患の流入経路を増やしたい場合に強力なツールとなる。特に医院の強みや院長の人柄などを記事形式でアピールできるため、自費治療や特徴的な診療で差別化したい医院にとって患者とのマッチング精度が高まる利点がある。システム面でもLINE予約導線の提供により患者の予約ハードルを下げ、リマインド開封率も高められる。オプションのオンライン決済は、例えばホワイトニングやインプラントの内金を予約時に決済するといった使い方が可能で、ドタキャン抑止や治療の成約率向上にも寄与しうる。スタッフにとっては予約〜問診〜会計が一体化することで、紙や別システムへの入力作業が減り受付業務がスマートになるメリットが大きい。

弱み

Doctors Fileへの掲載費用が前提となるため、純粋なシステム利用料以上のコストがかかる点は留意が必要だ。掲載エリアやプランによって異なるが、マーケティング予算を割けない医院にはハードルが高いかもしれない。また同サイト利用者は比較的若年層や情報感度の高い層が多く、地方のご高齢中心の患者構成だと効果が出にくい可能性がある。機能面ではオールインワン型ではないため、レセコンやカルテとの連携は基本的に無しである。患者情報は取り込めても診療記録までは扱えないので、その点は他のクラウド予約と同様の割り切りが必要だ。さらにオンライン決済も万能ではなく、保険診療には使えない(保険点数は現金か請求)ので自費メニュー専用となる。分割払いやデンタルローンとの連携等には非対応で、あくまで単発カード決済に留まる。

おすすめの医院像

「自費診療にも力を入れていて、ブランディング・集患を強化したい都市部医院」が最有力と言える。矯正歯科や審美歯科、小児専門など差別化ポイントを持ち新患獲得に意欲的なクリニックには、ポータル露出と便利な予約ツールの組み合わせが大きな武器になるだろう。またカウンセリング〜契約〜施術という流れがあり、キャンセル防止や事前決済が効果を発揮するケース(例えばインプラント説明後の検討患者フォローなど)では、このシステムの恩恵が大きい。一方で紹介や地域密着で患者が定着している一般開業医にとっては、広告的な付加価値が小さい分、費用に見合わない可能性もある。要するにマーケティング投資と割り切って利点を享受できる医院におすすめだ。既存患者へのサービス向上目的だけなら、同様の機能を持つ他の予約システムでも代替できるため、集患効果まで含めて導入判断すると良い。

Ci Easy Apo2

Ci Easy Apo2(シーアイ イージー アポツー)は歯科ディーラー大手の歯愛メディカル(Ciメディカル)が提供するクラウド予約システムで、その名の通り必要最低限の機能に特化することで高いコストパフォーマンスを実現している。月額利用料2,980円(基本プラン)という破格の安さで、受付予約管理、患者とのメール連絡、予約リマインド配信、キャンセル登録、定期健診リコール一覧の出力、Web予約フォーム設置など、歯科医院が日常的に使うサービスを一通りカバーする。操作画面は一般的なカレンダーアプリに近い感覚で使え、スタッフの研修もほとんど必要ないシンプルさが売りだ。標準ではメールとSMSでのリマインド通知が可能で、LINE連携はオプション(+月1,000円)となっている。LINE連携オプションを付けると、患者はLINEから新規予約や予約確認・変更ができ、医院からは定期検診のお知らせなど個別連絡も送れるようになる。なおSMS送信は従量課金(1通15円)なので頻繁な通知には注意が必要だが、LINEと併用することでコストを抑えつつ高齢者にはSMSでフォローといった柔軟な運用ができる。

強み

圧倒的に安い価格設定は最大の魅力である。初期費用も5万円と導入しやすく、小規模医院でも予算の心配が少ない。Ciメディカルという業界馴染みの企業が提供している安心感もあり、サポート対応も自社スタッフで丁寧に行っている。機能面では「本当に必要とされる機能だけ搭載」と銘打つだけあり、歯科医院の現場目線で厳選された機能がコンパクトにまとまっている。例えば電話で受けた予約もスタッフがシステムに入力しておけばオンライン枠と統合管理でき、紙の台帳と比べ予約ミスや見落としが激減する。UIもシンプルなので、院長自身が空き時間にサッと翌日の予約状況をチェックする、といった使い方もストレスなく可能だ。安価ながら基本的なリマインドやリコール機能も備えているため、手作業でハガキや電話をしていた工数を減らし、患者フォローを自動化できるメリットは十分享受できる。

弱み

機能を絞っている分、高度な拡張性や他システムとの連携は期待できない。たとえば電子カルテや画像管理との連動、経営分析のレポート出力、複雑な予約ルール設定などは搭載されていない。あくまでシンプルな予約表+αとして割り切る必要がある。またLINE連携もオプション扱いで、公式アカウントの利用料(無料枠以上の場合)は医院負担となるので、患者数が多く通知が多発する場合は追加コストが発生する。さらに低価格ゆえにサーバーリソースやサポート人員に限りがある可能性もあり、他の高額システムと比べるとサポート対応スピードや新機能開発の頻度は劣るかもしれない。いわば無駄を省いたエントリーモデルなので、高望みは禁物である。

おすすめの医院像

「とにかく低コストでオンライン予約を始めてみたい医院」にぴったりだ。患者数が限られ予算も潤沢ではない開業医や、まずはお試し感覚でシステム導入したいというケースに向いている。また、パソコンやスマホでの予約確認を院長自身が行いたい場合にも、シンプルなCi Easy Apo2は扱いやすい。既存のカルテや保険請求システムを変えずに予約部分だけデジタル化したい場合にも導入障壁が低い。ただし、将来的により高度な機能が欲しくなる可能性があるなら注意が必要だ。Ci Easy Apo2から別システムへの乗り換えはデータ移行等の課題も出るため、成長過程のクリニックでは先を見据えて検討することを勧める。総じて、明確な課題(電話対応過多や予約ミス)をピンポイントで解決するツールとして、この低価格ソリューションは価値が高いだろう。

Dentis(デンティス)

Dentisは株式会社メドレーが2022年にリリースした比較的新しい歯科向けクラウドシステムで、レセコン・電子カルテから予約・オンライン診療・決済までを一括提供するオールインワンプラットフォームである。コンセプトは「患者と歯科医院をオンラインでつなげ、新しい患者体験と業務効率向上を実現する」とされ、特に予防歯科の推進に力を入れている点が特徴的だ。具体的な機能としては、スタッフやユニットの空き状況を直感的に把握できる予約カレンダー、他サービス不要で患者情報を一元管理できるWeb予約・問診、NTTドコモと提携したオンライン診療(事前カウンセリングやアフターフォローも可能)、キャッシュレス決済、リコール自動通知、サブカルテ(紙書類のデジタル化)など、歯科医院の日常業務をフルカバーしている。電子カルテ・レセプト機能も標準搭載しており、タブレットでも操作しやすいUIや入力補助機能(SOAP形式、定型処置セットなど)でカルテ作成の効率化を支援する。

強み

診療系基幹システムと予約・顧客管理の融合がDentis最大の強みだ。同一ブランドでカルテから予約まで統一できるため、複数システム間のデータ連携に伴うトラブルやタイムラグが発生しない。患者予約情報とカルテがシームレスにつながり、保険証資格確認や診療履歴参照もワンクリック。さらにWeb問診やオンラインカウンセリングを活用することで、症状が出る前から積極的に患者にアプローチする予防型診療へのシフトを後押しする仕組みになっている。予約システム単体の文脈でも、前日リマインドはもちろん治療後のフォロー通知や定期健診のリコールなど患者エンゲージメントを高める機能が充実している。将来的に医科向けクラウド診療支援システム「CLINICS」や薬局システム「Pharms」との連携拡大も予定されており、地域包括ケアでのデータ連携など先進的な取り組みも視野に入っている。要するに、次世代の歯科DXプラットフォームとして位置づけられる製品である。

弱み

新しいシステムゆえに導入事例がまだ少なく未知数な部分がある。機能が幅広い反面、それを自院のワークフローに最適化して活用するには試行錯誤が必要かもしれない。またクラウドサービスのため、月額費用は比較的高額になる可能性が高い(具体的料金は非公開)。初期費用も各種設定や研修込みで相応にかかるだろう。現行のレセコンやカルテからの移行にはデータコンバートやスタッフ再教育が伴うため、稼働中の医院が乗り換えるハードルは決して低くない。さらにオンライン診療やキャッシュレスなど、医院側が制度的・運用的に整備すべき事項も多く、ITだけ導入しても現場が追いつかないと宝の持ち腐れになる危険もある。つまりDentis導入は単なるシステム交換ではなく、医院全体の業務改革プロジェクトになる覚悟が必要である。

おすすめの医院像

「これからの予防歯科を見据えて医院をアップデートしたい意欲的な医院」がベストマッチだ。具体的には、定期メンテナンス中心の診療モデルに転換したい、地域のかかりつけ歯科医として患者の健康管理を徹底したい、といったビジョンを持つ先生に向いている。また、新規開業で最初からクラウド完結のシステムを入れ込みたいケースや、現行システムの老朽化に伴い思い切って最新クラウドに乗り換えたい中規模医院にも良いだろう。逆に「今の保険診療中心の流れを大きく変えるつもりはない」場合は、Dentisのフル機能を持て余す可能性がある。投資対効果を出すには、院長自身がDXの旗振り役となり運用をリードすることが求められる。もしその熱意と計画があるなら、Dentisは将来の医院経営に力強い武器となるだろう。

ジニー & myDental

ジニーは株式会社DentaLight(デンタライト)が提供するクラウド型の歯科予約・患者管理システムで、予防型歯科医院向けに開発された経緯を持つ。患者とのコミュニケーションを密にし、キャンセルや中断を防いでメインテナンスへ繋げることを重視した設計となっている。大きな特徴は患者向けスマートフォンアプリ「myDental(マイデンタル)」との連携である。myDentalは電子診察券アプリとして機能し、患者は次回予約日時の確認や変更、医院からのお知らせ受信などをアプリ上で行える。プッシュ通知でリマインドが届くため、無断キャンセル防止に効果を発揮する。しかもLINEやSMSと異なり送信コストがかからない点も医院に優しい。予約システムとしてはWeb予約24時間受付やリコール管理、予約状況の見える化など基本機能が揃う。さらに電話着信時に患者情報を自動ポップアップ表示して応対をスムーズにする機能や、ユニットごとの予約偏りを見える化する経営支援ダッシュボードなど、痒いところに手が届く機能も搭載されている。システム名の「ジニー(Genie)」が示すように、医院の頼れるマネージャーとして働いてくれる存在だ。

強み

患者の継続来院を促す仕掛けが随所にある点が最大の強みだ。myDentalアプリでは一人の患者が複数の歯科医院の診察券を一括管理できるため、家族ぐるみで同じアプリを使い回すこともでき、ファミリー層の定着にも役立つ。医院からはリコール間隔に応じて自動でメッセージ配信ができ、メインテナンス忘れを防止する効果は高い。無断キャンセルが発生しそうな患者には事前に個別メッセージを送るなど、緻密なフォローアップもアプリを通じて簡単に行える。またジニーは顧客管理(CRM)的な要素も強く、患者ごとの紹介経路や通院間隔、治療履歴等を分析して離脱リスクのある患者を炙り出すこともできる。予防型経営では、どれだけ患者に通い続けてもらうかが収益の肝となるため、このシステムはまさに予防歯科志向の医院にとって心強いパートナーといえる。

弱み

アプリ利用が前提となるため、患者にアプリを入れてもらうハードルが存在する。高齢者やスマホに慣れていない人には従来通り電話やハガキでフォローする必要があり、結局二重運用になる可能性もある。また患者側からすると医院ごとに色々な予約アプリを使うのは煩雑なので、myDental未対応の医院も受診している人には恩恵が限定的だ。機能豊富なぶん月額費用も安価ではないはずで、コスト面で他社システムと競争するタイプではない。導入には予防型診療への理念的な理解が不可欠で、単に予約をデジタル化したいだけの医院にはオーバースペックかもしれない。さらに、予約から先のカルテやレセプトまでは含まれないので、他社レセコンとのデータ連携等では調整が必要になる(公式には自動精算機との連携や一部レセコンとの連動も進めている模様だが、汎用性は個別確認が必要)。

おすすめの医院像

「予防歯科に本気で取り組み、患者との長期的な関係構築を重視する医院」にこそフィットする。リコール率向上が収益につながることを理解し、来院間隔の管理やキャンセルゼロ運動などを実践している医院には最適だ。例えば定期クリーニング中心で予約枠が半年先まで埋まるような予防型クリニックでは、ジニーのフォロー機能がフルに活きてくるだろう。また、自費メンテナンスや家族ぐるみ受診で地域住民を抱え込んでいるような歯科医院では、myDentalアプリが患者サービスの満足度をさらに高め、医院ファンを増やす効果が期待できる。反対に、治療完了したら終わりというスタイルの保険診療中心医院には真価を発揮しにくい。「患者一人ひとりの人生に寄り添う歯科医療」を実現したい先生が、その理想を具現化するツールとして導入を検討すべきシステムである。

よくある質問(FAQ)

Q. 既存のレセコンや電子カルテと予約システムは連携できますか?\

A. 多くの歯科予約システムが主要なレセコン・電子カルテとの連携オプションを用意しているが、製品によって対応状況は異なる。Dentisのように初めからカルテ機能を内包するものや、DentNetのように実績豊富で多数のレセコンとデータ連動できるものもある。一方でCi Easy Apo2やApoDentのように予約管理単体で完結するタイプは、基本的に連携せず別々に運用する形になる。既存システムと連携できれば患者情報の二重登録を避けられ便利である。導入前にメーカーに問い合わせ、自院の使用中レセコンとの連携可否や必要な追加費用を確認するとよい。

Q. 高齢の患者様がネット予約を使わない場合、システム導入の効果はありますか?\

A. 高齢者が多い医院でも、予約システム導入は電話受付業務の効率化に寄与する。高齢の患者にはスタッフがこれまで通り電話や窓口で対応し、その予約をスタッフがシステムに入力すれば、台帳は一元管理されるのでダブルブッキング防止や情報共有のメリットが得られる。さらにシステムによっては電話予約を自動音声で受け付ける機能(Dentryなど)もあり、高齢者でも従来通り電話するだけで予約が完了する。また、高齢者向けには従来型のハガキや電話によるリマインドを併用しつつ、若年層にはLINEやアプリ通知を活用するなどハイブリッド運用も可能だ。ゆくゆくスマホ利用者が増えていくことを考えれば、今のうちからオンライン予約環境を整えておく意義は大きい。

Q. 予約システム導入で本当にキャンセルや無断キャンセルは減るのでしょうか?\

A. 適切に活用すればキャンセル率の低減効果が期待できる。システムの自動リマインド機能により「うっかり忘れ」は確実に減少する。特にLINE通知やアプリ通知は高い確率で患者が確認するため、前日や数時間前のリマインドで来院を促せる。また、患者自身がWeb上で簡単にキャンセル・変更操作できるようになると、無断で来ないより前に予定変更の連絡をしてもらえるケースも増える。ドタキャンそのものをゼロにするのは難しいが、キャンセル発生時にすぐ他の患者を繰り上げ予約できる機能(キャンセル待ち管理など)を使えば、空いた枠の有効活用も可能だ。実際、予約システム導入後に「当日キャンセルが減った」「空き時間を別患者で埋めやすくなった」という声は多い。ただし最終的には医院側の運用次第なので、キャンセルポリシーを明確に伝える、人間的なフォローを併用する、といった工夫と併せて活用すると良い。

Q. 新しい予約システムを導入するとき、現場スタッフの教育や患者対応はどのように進めればスムーズですか?\

A. まずスタッフ教育については、メーカーが実施するデモや研修を活用するのが近道だ。導入時にオンライン説明会や操作練習用のテスト環境を用意してくれる会社も多い。段階的に導入する場合、最初は受付担当数名で試験運用し、慣れたところで全スタッフに展開するといった方法も有効だ。患者への周知については、院内ポスターや配布資料でネット予約を開始する旨と手順を案内すると良い。高齢の患者には来院時や電話で直接ご案内し、希望があればスタッフが代わりに初回登録してあげるくらいの手厚さがあってもよいだろう。また「LINEで予約できます」「24時間受付OK」などメリットを強調し、患者さん自身が便利だと感じて自主的に利用してもらう工夫が大切だ。移行期は電話とネットの二重受付になるが、予約システム上で全て管理するルールを徹底して、スタッフ間でダブル入力やミスが起きないよう注意する。充分な準備期間を取り、余裕を持ってスタートすれば現場はきっとスムーズに適応できる。

Q. どのシステムも良さそうに見えて迷っています。失敗しないための一番のポイントは何でしょうか?\

A. 「自院のゴール」を明確にすることが一番のポイントである。予約システム導入によって何を達成したいのか、医院の将来像をチームで共有しておくと判断を誤りにくい。「◯年後にキャンセル率○%以下にする」「自費率を◯%向上させるため新患を月◯名増やす」など具体的な目標があれば、必要な機能や予算も自ずと見えてくるはずだ。そしてその目標達成に必要十分な機能を持つシステムを選び、費用対効果が合うか吟味する。逆にゴールが曖昧なまま「何となく流行っているから」と導入すると、活用しきれずに終わるケースが多い。製品を比較する際も、派手な宣伝文句より自院のニーズに直結するかどうかで評価しよう。幸い本記事で紹介した各社はどれも一定の実績があり品質面では大きな差はない。最後は先生方の医院にフィットするかどうか、スタッフの意見も聞きながら総合判断すれば、失敗のリスクはぐっと減るだろう。医院の未来像から逆算して最良の一手を選ぶ、それこそが成功への近道である。