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口腔内スキャナー、メーカーごとの価格をリストアップ!安い機種はある?比較の参考にも

口腔内スキャナー、メーカーごとの価格をリストアップ!安い機種はある?比較の参考にも

最終更新日

口腔内スキャナー、メーカーの知っておきたいこと

シリコーン印象で粘膜をよけたつもりが、模型のマージンに段差が出た経験はないだろうか。再印象でチェアが埋まり、技工指示も遅れる。こうした積み重ねは、臨床の精度だけでなく、医院の回転率にも確実に響く。本稿は、口腔内スキャナーの価格と運用コストを一次情報に基づき比較し、導入後に“時間と品質と収益”をどう変えるかを具体的に描くものである。印象採得のデジタル化を、臨床と経営の両面から判断する材料として活用してほしい。 デジタル印象は従来法より総所要時間が短いという臨床研究の報告があり、印象採得と装着調整の合計時間で有意に短縮したとされる。チェアの空き時間は、すなわち可処分の診療枠である。

主要製品の価格・運用費・互換の早見表

メーカー/機種参考価格(税別)主な運用費の公開情報データ形式・互換薬事情報の公開想定の得意領域
デンツプライシロナ Primescan Connect2,400,000円(スキャナー単体)導入時の初期設定・講習など別途記載ありDS Core経由で各種形式に対応、stl表記ありセレック プライムスキャン関連で認証情報の公開あり補綴中心のワークフロー、院内CAD/CAM拡張
デンツプライシロナ DI Primescan6,000,000円CEREC SW 1,900,000円の価格例が公開上記に同じ上記に同じワンビジット補綴
3Shape TRIOS 5本体価格はオープン価格TRIOS Care 年額240,000円、TRIOSライセンス年額72,000円などの情報ありUniteでDCM/STL/PLYエクスポートTRIOS 5の認証番号が公開高度な補綴・矯正連携、外注前提の院外完結
Medit i7002,500,000円Medit Linkの標準クラウドは無料(2GB)。有料10TBプランの案内ありSTL/PLY/OBJにエクスポート可能医療機器届出番号の記載ありオープン運用の補綴・アライナー連携
DEXIS IS 3800(旧CS/IS系)ワイヤレス3,500,000円専用ソフトIS ScanFlow、STL/PLYの保存に対応STL/PLYのオープン保存が公式に記載公開価格ページ上は価格と仕様の掲載補綴・矯正の幅広い外注連携
Shining3D Aoralscan 3公開価格の明記は確認できず国内販売ページに仕様と認証番号の掲載ありオープン運用前提医療機器認証番号の記載ありエントリー〜ミッドレンジの外注運用
Align iTero Element / Lumina 系本体価格の公開情報なしサービスプラン契約が必要、レンタルプランの案内ありSTL出力やクラウド連携の運用が前提承認番号の公開と「特定保守管理医療機器」該当の記載矯正主導の増患戦略、補綴運用も可

表中の価格は、国内販売会社やメーカー資料に掲載された公開情報の抜粋である。価格や構成は時期や販路で変動するため、最終見積は必ず担当者に確認すべきである。

価格比較の前に押さえるべき判断軸

オープン運用か、プラットフォーム運用か

STL/PLYのエクスポート可否は、導入後の自由度に直結する。Meditは標準でSTL/PLY/OBJを書き出せる。3Shape TRIOSはUniteからDCMに加えSTL/PLYをエクスポートできる。DEXIS IS ScanFlowもSTL/PLY保存を明示する。プラットフォーム志向のPrimescanはDS Core上にstlの表記があり、外部連携のハブとして機能する設計である。自院の技工所や外部CADの利用方針に合わせ、将来の“乗り換えコスト”を抑える選定が重要である。

導入価格と運用費の両眼思考

初期費用が近似しても、年額のサービスやライセンスで総コストは乖離する。TRIOSはTRIOS Care年額やライセンス年額が公開されている一方、Meditは無料の標準クラウド(2GB)の案内があり、容量拡張は有料という設計である。iTeroはサービスプラン契約やレンタルプランの情報が公開されるが、機器本体の価格は公開されていない。価格の見え方が異なるため、5年総支出での比較が不可欠である。

感染対策とチップ運用

Primescanはオートクレーブ対応スリーブとディスポーザブルウィンドウの運用情報が公開されている。Medit i700はチップのオートクレーブ対応回数や仕様が明記される。消耗・滅菌の手順は、運用コストだけでなくトラブルダウンタイムにも影響するため、導入前に院内の器材動線と一体で設計しておきたい。

【製品別】主要モデルのレビュー

Primescan Connect

ノートPC運用のConnectは、スキャナー単体での価格が公開され、将来の院内ミリング拡張の導線がメーカー資料で明示される。DS Coreを介したデータ共有と、stlを含むファイル取り回しが設計思想として読み取れる。課題は、院内完結を志向するほどに初期費用が膨らみがちな点であり、まずはConnectで“外注で成果を出す”設計から始めるのが現実的である。

経営の観点では、公開価格に加え、講習やソフト構成の別費用が総支出を押し上げる可能性がある。5年総額の目安式は、初期費用+ソフト更新等+消耗品+保守を合算し、症例数で割って1症例あたりの固定費を算出するとよい。

3Shape TRIOS 5

本体はオープン価格だが、TRIOS Careや年額ライセンスなど運用コストが公開されており、5年のTCO試算がしやすい。UniteからSTL/PLYエクスポートが可能で、外注基盤との親和性が高い。デメリットは年額費用が固定で乗る点であるが、安定稼働と支援を“月額で買う”発想が合う医院には計画が立てやすい。

Medit i700

本体価格の公開と、標準クラウド無料の案内により、導入直後のキャッシュアウトが読みやすい。STL/PLY/OBJのエクスポートとアプリ群は、3Dプリントや外注設計と相性がよい。課題は、設計ソフトやプリンタ側の“院内エコシステム”を自前で組む場合、周辺機器の選定・教育が医院側の責任となる点である。

DEXIS IS 3800 ワイヤレス

公開価格があり、STL/PLY保存の明記で外注ワークの自由度が確保される。ワイヤレスは導線上のストレスが小さく、複数チェアの回遊運用とも相性がよい。一方、無線環境の安定性やバッテリー運用の院内ルール化が成功の鍵である。

Align iTero 系

本体価格は公開されないが、サービスプランの存在とレンタルプログラムの案内が公式にある。矯正の可視化やモニタリング機能を軸に、カウンセリングの転換率向上を狙う医院に適する。一方で、サブスク前提の運用思想を理解し、プラン要件を満たす症例ボリュームがあるかを見極めたい。

Shining3D Aoralscan 3

国内ページで医療機器認証番号が確認できる。価格公開は確認できないが、外注完結のエントリー〜ミッドレンジの選択肢として検討しうる。実配備前に、サポート窓口と教育体制を含めた“総コスト”を見積もるべきである。

経営インパクトを数式で可視化する

1症例あたり固定費の目安は、次の考え方で現実に近づく。 一症例固定費 =〔初期費用(本体+PC+付帯ソフト)+年間費用×年数+消耗品総額〕÷ 5年間の総スキャン症例数。年数は減価償却や更新サイクルに合わせる。TRIOSのように年額費用が公開されている場合は、そのまま代入できる。Primescanは初期費用と構成がカタログで明記されるので、見積の内訳を同じ粒度で5年分積み上げると差が見える。

時間短縮の価値は、〔従来法との差分時間×1時間当たりの自院の人件費総額〕で現金換算する。臨床研究の所要時間差(約3分)を仮置きし、1日8症例で約24分の創出、週5日で約2時間の診療枠が生まれる計算になる。ここに自費カウンセリングや再評価等を充てられるかがROIの分かれ目である。

互換性と運用方法の実務

オープン運用では、スキャンはSTL/PLYで書き出し、3Dプリンターや外注CADに渡す。MeditやTRIOS、DEXISはいずれもSTL/PLYに関する公式情報がある。プラットフォーム運用では、PrimescanはDS Coreに自動アップロードし、必要に応じstlを含むファイルで外部と共有する。ラボ側の受け口と院内ITのセキュリティポリシーを、導入前に擦り合わせておくべきである。

感染対策では、Primescanのオートクレーブ対応スリーブと使い捨てウィンドウの組み合わせ、Meditのチップ滅菌回数の仕様を遵守する。消耗品の在庫計画と滅菌器のキャパシティ管理は、スキャン台数の上限を決める“ボトルネック”になりやすい。

適応と適さないケース

単冠・インレー・アンレー・ベニアはスキャナー各機で標準的に対応できる。辺縁が歯肉縁下深部で出血コントロールが困難な症例は従来印象が現実的なこともある。矯正シミュレーションや経時的モニタリングを戦略に据えるなら、iTeroのプログラムやTRIOSのエコシステムが適合しやすい。院内即日補綴まで内製するなら、Primescanから段階的に拡張するルートが安全である。

読者タイプ別導入判断の指針

効率最優先の保険中心

外注前提で、初期費用と年額負担のバランスが取りやすいMedit i700が合う。STL運用と技工所の受け口を整えれば、撤退コストも小さい。

高付加価値自費を強化

TRIOS 5は外注設計の層が厚く、年額費用はかかるが支援と安定性を“定額で買う”考え方に合致する。プレミアムな椅子上体験を設計する余地が広い。

口腔外科・即日補綴志向

Primescan Connectから始め、症例実績に応じてDI Primescanやミリングへ段階拡張する。初期の資金負担を抑えつつ、院内完結の幹線道路を確保できる。

複数チェアで回遊運用

DEXIS IS 3800のワイヤレスは動線の自由度が高く、STL/PLYで技工所選択の幅も広い。無線設計とバッテリー運用の標準作業を最初に固めるべきである。

よくある質問(FAQ)

STLで出力できるか

Medit、TRIOS、DEXISはいずれも公式情報としてSTLやPLYのエクスポートが確認できる。PrimescanはDS Coreの図示にstlが記載され、外部との共有に対応している。

年額の維持費はどれくらいか

TRIOSはTRIOS Care年額240,000円やライセンス年額72,000円の情報が公開される。Meditは標準の2GBクラウドは無料で、有料大容量プランの案内がある。iTeroはサービスプラン契約が前提とされ、プランの詳細確認が必要である。

感染対策の運用はどうするか

Primescanはオートクレーブ対応スリーブとディスポーザブルウィンドウの組み合わせが案内されている。Meditはチップのオートクレーブ対応回数が仕様に明記される。導入前に滅菌器のサイクルと在庫数を決めておくとダウンタイムを避けられる。

時間短縮は本当に投資回収に効くのか

臨床研究でデジタル印象は従来より総時間が短いことが示された。差分時間に自院の人件費や自費カウンセリングの平均粗利を掛け合わせ、週次の創出枠で回収期間を見積もると、投資の妥当性が見えやすい。

出典 Primescanの構成と価格、DS Coreの運用やstl表記は国内販社資料に基づく。 TRIOSの年額費用とライセンス情報は販社の解説ページに基づく。 Meditの本体価格と届出、クラウドの無料プランおよび拡張案内、エクスポート形式は各公開情報に基づく。 DEXIS IS 3800の価格とSTL/PLY保存は販売ページおよびメーカー情報に基づく。 Aoralscan 3の国内認証情報は国内販売ページに基づく。 iTeroのサービスプランとレンタルは公式サイトの案内に基づく。 時間短縮の根拠は査読誌論文の抄録に基づく。

記事に関する問い合わせ先 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSewq6H2OQE7zI5rfbKxNwH-yY729J3FCTT96g0eQdsf3ZrfsA/viewform