歯科医師にボーナスはある?年代や地域、勤め先の属性別のボーナスの平均額の違いについて解説!
歯科医師にボーナスはあるの?
結論から言うと、勤務する歯科医師にはボーナスが支給される場合がありますが、必ずしも全員ではありません。日本の労働法上、賞与(ボーナス)の支給は企業や医院の任意であり、法的な義務ではありません。そのため、ボーナスの有無や金額は歯科医院ごとの経営方針によって大きく異なります。実際、歯科業界では「隣の医院はボーナスが倍らしい」といった話が珍しくないほど、医院間で差があるのが現状です。
一般的な企業と同様、就業規則や雇用契約で「賞与あり」と定めている場合は支給されます。逆に規定がなければ支給されなくても違法ではなく、最終的には院長(経営者)の裁量次第です。厚生労働省の統計によれば、歯科クリニックで働く常勤スタッフの約1割強はボーナスを受け取っていないというデータもあります。これは歯科医師に限った数字ではありませんが、歯科医院では「業績が出せないと賞与なし」「冬だけ一度だけ支給」といったケースも見られるのです。
もっとも、ボーナスを出すかどうかはスタッフのモチベーションや定着率にも影響します。大手転職サイトの調査では、ボーナスなしの歯科医院はボーナスありの医院に比べて1年以内の離職率が約1.6倍に高まったという結果も報告されています。そのため、多くの歯科医院では人材確保の面からも基本給とは別に年2回程度の賞与を支給する慣行が定着しています。以上のように、歯科医師にボーナスがあるかどうかは職場次第ですが、業界全体で見れば「支給されることが多いが絶対ではない」と言えるでしょう。
ボーナスが出る場合と出ない場合の違い
歯科医師へのボーナス支給の有無は、主に医院の収益状況と方針に左右されます。例えば、保険診療中心で利益率が低いクリニックでは賞与を出せないこともあります。一方、自費診療が多く収益に余裕のある医院では複数ヶ月分のボーナスを出す例もあります。また、給与体系も関係します。ボーナスがない代わりに月々の基本給を高めに設定している医院もあり、この場合スタッフにとっては毎月の収入が安定する一方、業績が上がっても収入が増えにくいという側面もあります。逆に賞与がある医院では業績次第で年収が上下しますが、人件費を業績に合わせて調整できるメリットがあります。つまり、ボーナス支給の有無には一長一短があり、各医院が経営戦略として選択していると言えます。
歯科医師のボーナス平均額はどれくらい?
歯科医師のボーナス平均額は、調査主体や算出方法によって幅がありますが、年間で数十万円から100万円前後と見られています。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和6年版、2024年発表)によると、歯科医師の年間賞与(特別給与)平均額は約44万円(事業所規模10人以上)とのデータがあります。一方、前年の同調査(令和5年版)では約89万円とされており、年によってばらつきが見られる点に注意が必要です。
このように公的統計は年度や標本の影響で変動しますが、長期的には「月給の1~2ヶ月分程度」が歯科医師ボーナスのボリュームゾーンと考えられます。実際、民間の分析では歯科医師の平均年間賞与額を約120万円、平均年収に占める賞与割合は約2ヶ月分と推計するものもあります。この数字は常勤歯科医師の平均月収(約53万円)に対し、年間トータルで2ヶ月分強の賞与が支給される計算です。
ただし、「平均」の捉え方には注意が必要です。平均額にはボーナスが全く出ない人や逆に高額な賞与を得ている人も含まれます。例えば、ある調査ではボーナス支給額が年100万円を超える歯科医師も存在する一方、5%程度の歯科医師は賞与なしという結果も出ています。このようにばらつきが大きいため、自身のボーナスが業界で高いのか低いのか判断する際には、単純な平均値より分布を見ることが大切です。
厚労省データから見る平均賞与額
厚生労働省の統計(2024年発表の賃金構造基本調査)を詳しく見ると、歯科医師の平均年収は約1,135万円で、そのうち賞与が約44万円と報告されています。一見すると賞与割合が年収の数%程度と小さいように感じられます。しかしこの年は月給水準が非常に高く計上された一方、賞与が抑え目になっており、特殊事情が影響した可能性があります。過去の傾向では賞与が年収に占める割合はもう少し大きく、年間50万~100万円程度(年収の1割前後)になる年もありました。このため、「平均○万円」と単年で断言するのは難しいものの、長期平均では上述のように50~100万円前後と見込んでおくのが現実的でしょう。
年代によって歯科医師のボーナスは変わる?
歯科医師のボーナス支給額や有無は、キャリアの段階(年代)によっても変化する傾向があります。若手のうちは賞与が少なかったり出なかったりするケースがある一方、経験を積むと賞与額が増える、あるいは賞与制度そのものが変わることもあります。背景には、勤務形態の変化(研修医→勤務医→院長など)や収入構造の違いがあります。
例えば、新卒~20代前半の歯科医師の場合、大学病院での研修医や勤務医として初任給自体が低めで、賞与もごくわずかという状況が多く見られます。実際、厚労省のデータでも20~24歳の歯科医師の平均賞与額は数千円程度(就職初年度は賞与がほとんど付かないため)という結果が出ています。20代後半でも平均で数万円~十万円程度と、若手のうちは賞与額が小さい傾向が読み取れます。この段階では、賞与よりも日々の診療スキル習得や基本給アップを優先する時期と言えるでしょう。
一方、30代以降の歯科医師になると賞与額は大きく跳ね上がります。統計上、30代前半の歯科医師では平均賞与額が50万円前後に達し、40代半ばでは平均で90~100万円近い賞与を受け取っているデータもあります。例えばある調査では、45~49歳男性歯科医師の平均賞与額が約95万円と報告されました。このピーク年代には、分院長やベテラン勤務医として成果に応じたボーナスを得ている人が多いことが推察されます。また、この頃には開業して自ら経営者となる人も増えますが、その場合「賞与」という形ではなく事業収益が自身の所得(役員賞与など)に反映されるため、統計上は大きな金額が計上されることもあります。実際、歯科医師の年齢別年収は40代後半で飛躍的に高くなる調査結果があり、この年代がキャリアの収入ピークであることを示唆しています。
若手歯科医師のボーナス事情(20~30代)
20代の歯科医師の多くは、賞与があっても小額か1回のみなど限定的です。新人のうちは試用期間や研修期間があり、夏季の賞与を受け取れないケースもあります。また、勤務先によっては「初年度は賞与なし」という契約も珍しくありません。例えば厚労省のデータ(令和6年調査)で経験年数0年の平均賞与は約7万円と報告されています。これは初年度に冬のボーナスを一部もらえた程度の水準であり、多くの新人には本格的な賞与は期待しにくい現状を反映しています。
30代になると状況は好転します。30代前半では賞与2回支給が定着し始め、金額も数十万円規模になるのが一般的です。例えば、歯科医師の平均データでは30~34歳で年約50万円の賞与が確認できます。この頃には勤続年数も伸び、勤務医として成果を出し始めるため、医院側も評価に応じた賞与を支給しやすくなるのです。また分院長クラスになる人も現れ、成果に対してインセンティブ(歩合給や特別手当)が加算されることで賞与が増えるケースもあります。
ベテラン歯科医師のボーナス事情(40代以降)
40代以降の歯科医師は、賞与の面でもキャリアの集大成と言える段階です。前述の通り、40代半ばの平均賞与額はピークを迎え、おおむね年100万円前後に達します。この年代では医院の中心人物として高い業績を上げ、その一部が賞与に反映されていると考えられます。例えば、自費診療の売上が大きいクリニックでは、担当医に数百万円規模のボーナスを支給するケースもごく稀ながら存在します(ただし上位5%程度の特殊な例です)。
50代以降になると、賞与の扱いは人によって分かれてきます。自ら開業している場合、形式的な賞与はなく経営利益が収入源となるため、統計上は賞与ゼロとカウントされることがあります。他方、勤務医を続けている場合は引き続き賞与を得ますが、役職定年や勤務形態の変更で賞与額が減少することもあるでしょう。実際データ上も、50代前半では平均賞与額が一時的に低下し、その後60代で再びまとまった支給(退職金的な賞与を含む)があるような変動も見られます。このように高年代層では一律の傾向は言いにくいものの、現役でバリバリ働いている限りは賞与が支給され、引退や勤務縮小のタイミングで途切れるという流れになります。
地域によって歯科医師のボーナスに差はある?
歯科医師の収入・ボーナスには、都市部と地方で差があることが知られています。これはボーナス単体の比較データこそ少ないものの、年収全体の地域差から推測できます。一般に都市部(特に首都圏)の歯科医師ほど年収が高く、地方ほど低い傾向があります。当然、年収が高い地域では賞与も支給しやすく、逆に年収水準の低い地域では賞与も少なめになると考えられます。
具体的な数字で見ると、歯科医師の平均年収は東京都が約870万円と全国で最も高く、次いで神奈川県(約830万円)、愛知県(約810万円)など都市圏が上位を占めます。一方、下位の地域では600万円台~700万円前後にとどまる県もあり、地域間で200~300万円程度の年収差が存在します。ある統計では東京と青森では平均年収に142万円の差があると報じられており、その背景には人口あたり歯科医院数の多寡や、自費診療ニーズの差が指摘されています。
これらの年収差はそのまま賞与差にもつながります。都市部の医院は患者数や自費治療が多く経営に余裕があるため、賞与も厚め(2~3ヶ月分支給など)になりやすい傾向があります。一方、地方の小規模クリニックでは患者数が伸び悩み、年間賞与が0~1ヶ月分程度にとどまるケースもあります。実際、自費診療比率が高い都市型の歯科医院では年間賞与額が地方より20万円以上高くなる傾向があり、上位層では100万円を超える賞与が出ることもあります。逆に保険診療中心の地域では、「月給は全国水準でも賞与は出ない」という話も耳にします。これは経営資源を基本給に振り向け、賞与は諦めることで人材を確保している戦略とも言えます。
地域差が生まれる原因
なぜ地域で収入や賞与に差が出るかというと、いくつか要因があります。第一に患者ニーズと競争環境です。都市部では人口が多く、高度な審美歯科やインプラントなど利益率の高い治療ニーズが旺盛です。そのため医院も利益を上げやすく、その一部を賞与として還元できる余地があります。逆に地方では人口減少や過当競争で患者一人当たりの売上が伸び悩み、利益自体が限られることがあります。こうした地域では賞与よりも基本給を払うのが精一杯で、業績に応じた余剰を出しにくいのです。
第二に公的補助や勤務形態の違いもあります。地方自治体では医療過疎地域への歯科医師確保のため、高い地域手当や住宅補助を用意しているケースがあります。例えば北海道では地域勤務手当を上乗せすることで、平均年収水準を全国平均に近づけている例があります。しかし、これらは基本給を底上げする施策であり、賞与として一時金で支給されるわけではありません。つまり、地方では給与体系が「基本給厚め・賞与薄め」になりやすく、都市部は「基本給標準・賞与も支給」という違いが生じるのです。
勤務先規模がボーナスに与える影響は?
歯科医師のボーナス額は、勤務先の組織規模(スタッフ数や医院規模)によっても違いが見られます。大きな組織ほど経営基盤が安定しやすく、賞与も一定額が支給される傾向があります。一方、小規模な歯科医院では賞与が出ても少額だったり、業績次第で変動しやすいようです。
厚生労働省の調査(賃金構造基本統計調査)では、従業員数別に歯科医師の平均賞与額が算出されています。それによると、従業員5~9人規模の歯科医院では年間賞与が平均約45万円、10~99人規模で約67万円、100~999人規模で約47万円、そして1,000人以上の大規模組織では約119万円という結果が出ています。このデータからは、極めて大きな組織(大学病院や大病院など)に所属する歯科医師は賞与が突出して高い一方、中規模の組織ではやや低め、小規模クリニックはそれなりに賞与があるものの高額ではない、と読み取れます。
なぜこのような差が生まれるのでしょうか。まず大規模組織(1,000人以上)の場合、これは主に大学の附属病院や大手医療法人グループなどが該当します。これらの組織では給与テーブルが明確で賞与も年2回きっちり支給される傾向があります。そのため、歯科医師といえど組織の一員としてまとまった賞与を得られるわけです。実際、大規模病院勤務の歯科医師は賞与だけで平均100万円以上に及ぶデータがあるのは前述の通りです。
一方、中小規模の歯科医院(従業員数数十名以下)では、賞与の水準は院長の方針に左右されます。中規模(10~99人)では平均67万円と比較的高い数字が出ていますが、これは社会保険完備でスタッフにも賞与を出すようなしっかりした医院が多い反面、院長一人で利益を管理しているため賞与額が抑えられがちという事情もあります。逆に小規模(5~9人)医院では平均33~45万円程度との報告もあり、少人数ゆえに一人当たりの賞与額も小さめになっています。小規模院では「賞与より月々の給料を多めに払うから固定費として計上する」という考えも強く、賞与は最低限(例えば年1ヶ月分程度)にとどめるケースが多いようです。
規模別の賞与傾向と注意点
組織規模による賞与の違いを見る際には、数値の裏にある構造を理解することが重要です。大病院では確かに賞与額は多いですが、その分基本給や手当が抑えられている可能性があります。逆に小規模医院では賞与は少なくても日々の歩合給や役職手当で収入を補っている場合があります。つまり、規模が大きいほど「安定した賞与」、小さいほど「柔軟な給与体系」になりやすいと言えます。求人情報を見る際も、「賞与◯ヶ月分」と書かれていても、それが基本給ベースなのか手当込みなのかを確認することが重要です。基本給部分が低いと、たとえ賞与2ヶ月分でも金額は小さいことがあります。反対に基本給が高ければ、支給月数が少なくてもまとまった額になるでしょう。
開業医と勤務医でボーナスはどう違う?
歯科医師の場合、自ら開業しているか、他院に勤務しているかで賞与の扱いが根本的に異なります。開業医(院長)は自分が経営者ですから、一般的な「賞与」という概念はあまり当てはまりません。一方、勤務医(雇われて働く歯科医師)は雇用主からの給与として賞与を受け取る立場にあります。この違いにより、開業医は賞与ゼロでも高収入を得られる一方、勤務医は賞与を含めて収入を伸ばしていくという図式になることが多いです。
まず開業医について説明します。歯科医院を開業している歯科医師は、医院の売上から経費を引いた残りが自身の取り分(所得)になります。法人化している場合、院長として役員給与や役員賞与という形で収入を得ますが、それも自分で配分を決められるので、極端に言えば「賞与が欲しければ自分に支給し、なければゼロにもできる」わけです。実態として、開業医は賞与を固定的には設定せず、年度末の利益状況に応じて役員報酬を増減したり、退職金的な積立を行ったりします。そのため公的な統計でも、個人経営の歯科医師の賞与額は「-(データなし)」と扱われている場合が少なくありません。一方、開業医の年間所得は平均して1,200~1,400万円程度と報告されており、これは賞与込みとされています。つまり、開業医にとって賞与とは「経営者として得る利益そのもの」と言えるでしょう。
次に勤務医の場合ですが、こちらは雇用契約に基づき賞与が支給される立場です。勤務医の平均年収はおおむね500~600万円台とされ、これには賞与も含まれます。多くの勤務医は、基本給+歩合給+賞与という形で収入を得ますが、その賞与は院長(経営者)から見ると人件費の一部です。したがって、勤務医の賞与額は医院の業績や院長の評価によって決まることになります。例えば医療法人に勤める歯科医師の平均年収は1,200万円前後(賞与込み)とされ、同じ歯科医師でも勤務先によって大きな差があります。この差は、開業医か勤務医かという身分の違いだけでなく、勤務先の経営状況や給与体系にもよります。
開業医は「賞与」という概念がない?
先述の通り、開業歯科医師には従業員としての賞与は存在しません。経営者である院長が自身に支給する賞与(役員賞与)は、税法上も制約が多く(定期同額でないと損金算入不可など)、実際はあまり用いられません。その代わり、クリニックの利益を設備投資や貯蓄に回したり、必要に応じて臨時的に役員報酬を増やすなどして調整しています。結果として、開業医の“賞与”は経営の成功報酬そのものであり、毎月の収入に上乗せされるというよりは、期末の利益分配に近い形になります。公的な医療経済実態調査でも、医療法人院長と個人開業歯科医師の収入データが別々に示されており、賞与の概念が直接適用しづらいことが読み取れます。
勤務医の賞与はどう決まる?
勤務歯科医師の賞与は、その医院の就業規則や契約で決められた算定方法に従って支給されます。多くの場合、「基本給○ヶ月分」をベースに、勤務実績や医院業績に応じた評価係数を乗じて計算されます。例えば「年2回、基本給の各1ヶ月分を支給」という医院もあれば、「年2回で合計基本給の3ヶ月分まで支給(業績により変動)」というように支給月数を業績連動で決める医院もあります。また、勤務医自身の頑張りを反映するため、人事評価による係数(評価点に応じて1.0倍~1.5倍など)を掛ける例もあります。このように計算された賞与額が、夏季・冬季にそれぞれ支給されるのが一般的です。
勤務医にとって賞与は収入アップの重要な要素ですが、同時に自院の経営状態を映す鏡でもあります。賞与が増えない場合、それは医院全体の診療収入が伸び悩んでいるか、評価制度上の課題があるかもしれません。一方で、賞与を安易に増やすことは院長にとっては固定費増につながるため慎重です。勤務医の立場としては、賞与額が業界平均より低いと感じた場合、直接交渉だけでなく転職も視野に入れることが現実的な解決策になることもあります。それほどまでに、勤務医の賞与額は勤務先の方針に依存する部分が大きいと言えるでしょう。
病院勤務とクリニック勤務でボーナスに差はある?
歯科医師が「病院」で働くか「歯科クリニック(開業医の医院)」で働くかでも、ボーナスの出方や額には違いがあります。ここで言う「病院勤務」とは、大学病院の歯科や総合病院の歯科口腔外科など、大規模医療機関の職員として働くケースを指します。一方「クリニック勤務」とは、民間の歯科医院(個人または医療法人経営)に勤務医として勤めるケースです。それぞれ組織の性質が異なるため、給与体系や賞与にも特徴が現れます。
病院勤務の歯科医師は、公的医療機関や大学の一員としての待遇になることが多く、給与は国家公務員や地方公務員の医療職給料表に準じた水準になります。その場合、賞与(期末・勤勉手当)は年2回計4ヶ月分程度が支給されるのが一般的で、収入は安定しているものの、民間の開業医に比べると総額は低めです。実際、大学病院勤務の歯科医師の平均年収は550~650万円程度とされ、これは同年代のクリニック勤務医より低い傾向があります。しかしその中には賞与として夏冬合わせて数ヶ月分が確実に支給される安定性が含まれています。たとえば地方公務員として保健所や障害者施設で働く歯科医師の場合、地域手当や扶養手当等も含めた平均月収が約56.7万円(地域差あり)で、さらに年間4ヶ月相当のボーナスが保障されています。このように病院・公的機関勤務の歯科医師は、賞与面では安定性が高い代わりに金額は控えめと言えるでしょう。
一方、民間の歯科クリニック勤務医は、医院ごとの経営状況や方針により賞与が大きく異なります。クリニック勤務医の平均年収は750~850万円程度とされ、病院勤務より高収入ですが、そのぶん賞与が出ないリスクや金額変動の幅も大きいです。自費診療中心のクリニックでは高額な賞与が期待できる場合もあり、先述のように年間100万円超のボーナスが支給される例もトップ層では見られます。逆に保険診療メインのクリニックでは賞与は年1ヶ月分以下に抑えられることもしばしばです。特に個人経営の小規模クリニックでは、賞与無しでその分を歩合給に回すケースもあり、実際それによってスタッフが定着しにくくなる例も報告されています。つまり、クリニック勤務の場合、賞与は「医院次第」で千差万別なのです。
病院歯科で働くメリット・デメリット(賞与面)
病院や大学で働く歯科医師の賞与面でのメリットは、何と言っても確実にもらえる安心感でしょう。公的病院なら年間4.5ヶ月分程度(夏冬合計)の賞与が制度として保障されており、景気に左右されにくい安定収入です。また医師や看護師と同じ給与体系になるため、一定の勤続で自動昇給し賞与も増えていくという公務員的な恩恵もあります。一方、デメリットは賞与額の上限が決まっている点です。どんなに頑張っても公的ルール以上のボーナスは支給されにくく、「成果を上げて大幅収入アップ」という望みは薄いでしょう。実際、病院勤務を続ける歯科医師は研究職志向や安定志向の方が多く、収入面は割り切っているケースが多いようです。
クリニック勤務で働く場合の賞与の特徴
民間クリニックに勤務する歯科医師の賞与は、病院勤務に比べてハイリスク・ハイリターンと言えます。経営状況が良い医院では若手でもボーナスをしっかり出すところがあり、例えば自費治療に力を入れる都市部の医院では平均年収が850万円前後(賞与込)と病院勤めよりかなり高水準です。このような医院では賞与も年2回合計で基本給2~3ヶ月分(場合によってはそれ以上)が支給され、頑張りがいがあるでしょう。しかし反面、賞与支給の基準が明確でない医院も存在します。院長の裁量で突然カットされたり、業績悪化で「今年は冬の賞与無し」となるリスクもゼロではありません。実際に賞与カットが続き勤務医が一斉に退職した例も報じられており、給与の透明性や安定性という点では病院勤務に劣る部分があります。
クリニック勤務で重要なのは、賞与の金額だけでなく支給条件や計算方法が明示されているかです。「賞与年2回あり」と求人に書かれていても、実際は業績次第で変則的だったり、支給基準が曖昧では不安材料になります。面接時や契約前に賞与の算定ルール(基本給何ヶ月分か、評価項目は何か)を確認することが望ましいでしょう。もし現職で賞与が少ない・不透明と感じる場合、歯科医師として自費診療のスキルを磨きつつ、賞与制度の整った職場を探すのもキャリア戦略の一つです。
歩合制や非常勤だとボーナスはどうなる?
歯科医師の働き方として、歩合制(出来高制)や非常勤・アルバイトという形態がありますが、これらの場合ボーナスの扱いも通常と異なります。結論から言えば、歩合制で働く歯科医師や非常勤歯科医師には、ボーナスが支給されないか、ごく限定的になることが多いです。
歩合制の歯科医師とは、治療売上に応じて報酬が決まる給与体系のことです。例えば「保険診療は〇%、自費診療は△%を歩合給として支給」などの取り決めがあり、月々の給与にインセンティブが組み込まれているのが特徴です。こうした歩合給が充実している場合、別途ボーナスを支給しない医院も多く見受けられます。これは、毎月の歩合で収入が完結するため、改めて賞与を払う必要性が低いからです。実際、経験豊富な勤務医に歩合給を上乗せする代わりに賞与がほとんど出ないという話は珍しくありません。ある歯科医師のケースでは「自分はボーナスがないが、知り合いの勤務医は150万~200万円の賞与をもらっている」という声もありました。このように、歩合制は収入の即時反映が魅力ですが、その分賞与という形での蓄積がない点に留意が必要です。
非常勤・アルバイトの歯科医師については、一般的に賞与は支給されないのが普通です。非常勤は週数日だけ勤務する形態が多く、給与は時給や日給計算で支払われます。この場合、賞与は契約に含まれないことがほとんどで、仮に出たとしても「寸志」程度の少額に限られます。実際、歯科衛生士の調査データではパート職員で賞与を受け取っている割合は8%前後に過ぎず、歯科医師でも非常勤なら同様かそれ以下でしょう。非常勤歯科医師は他院との掛け持ちや開業準備の合間に働くケースも多いため、最初から賞与は期待せずその分時給を高めに設定する雇用契約になっていることが一般的です。
歩合制で働く際のポイント
歩合制歯科医師にとって重要なのは、賞与が無い分、月々の歩合率や条件を十分に把握することです。歩合率が適正なら、賞与なしでも年収ベースで納得のいく額になるでしょう。逆に歩合率が低めなのに賞与も無いとなると、トータルの待遇は見劣りします。歩合制を採用する医院では、売上目標の達成度や自費率など数値化できる実績を評価するのが一般的で、年次より実力重視なのが特徴です。そのため、自分の実績がダイレクトに収入へ反映される反面、安定性は低いと考えておきましょう。なお、歩合制でボーナスを支給する医院もゼロではありませんが、その場合歩合給部分とは別枠で評価項目が設けられるなど複雑になります。多くの医院では割り切って「歩合=成果報酬、賞与なし」という形を取っています。
非常勤歯科医師の賞与と留意点
非常勤やスポットで勤務する歯科医師は、賞与が基本的に無い代わりに高めの時給・日給が設定されることが多いです。例えば、常勤なら月給制+賞与のところを、非常勤なら日給〇万円(賞与・福利厚生なし)といった契約になります。従って非常勤勤務を選ぶ場合は、賞与を含めた年収換算で見合う報酬かどうかを確認する必要があります。賞与が無い分、自分で収入の年間計画を立て、必要なら複数の勤務先を組み合わせるなど調整すると良いでしょう。また、非常勤から常勤登用された場合に賞与が出るようになるケースもありますので、将来的にどの働き方を選ぶかで賞与の有無も変わってくる点を覚えておいてください。
最後に、歯科医師の賞与事情は多岐にわたりますが、自身のキャリアに照らして「何を優先するか」を考えることが大切です。安定した賞与と福利厚生を求めるなら公的機関や大手法人、収入最大化を狙うなら歩合制や自費中心の職場など、方向性によって選ぶべき環境も変わります。いずれにせよ、賞与は歯科医院の経営状況と方針を映す指標です。求人情報を見る際も現在の職場を見直す際も、賞与の額だけでなくその背景にある仕組みや数字に目を向け、納得のいく働き方を選んでいきましょう。