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歯科衛生士が海外求人を探す国選びと免許確認応募準備の進め方

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この記事で分かること

この記事の要点

この節では、歯科衛生士が海外求人を考えるときに最初に押さえるべき論点を短く整理する。検索してすぐ知りたいのは、海外で働く道があるかではなく、自分にとって現実的な入口がどれかという点だからだ。

実際には、海外就業の道は一つではない。現地の歯科衛生士登録を取りにいく道、海外の日系クリニックなど日本語圏の求人を使う道、臨床以外の周辺職から入る道で必要条件がかなり違う。米国、カナダ、豪州、ニュージーランド、英国の公的情報を見ると、歯科衛生士として臨床に入るには国や州ごとの登録制度と英語要件、さらに就労資格の確認が必要だと分かる。

この表は、いま何を整理すれば前に進みやすいかを見つけるための表だ。上から全部読むより、自分が詰まっている行から見るほうが使いやすい。迷っている人は、今からできることの列だけ先に実行するとよい。

項目要点根拠の種類注意点今からできること
入口の選び方現地ライセンス職か日系クリニックか周辺職かを先に分ける各国の登録制度と現地求人例入口が違うと準備が変わる三つのうち今の本命を一つ決める
国選び国より先に一つの地域と制度を調べる規制当局と移民当局の案内英語圏でも要件は同じではない豪州かNZか英国か北米かを一つ選ぶ
免許確認日本の免許だけで即臨床とは考えない規制当局の登録案内国名だけで進めると失敗しやすい規制当局の登録ページを保存する
語学会話力だけでなく試験要件がある国がある英語要件の公式案内試験の有効期間にも注意するIELTSかOETが必要か確認する
ビザ登録と就労資格は別に確認する移民当局の公式案内免許が取れても働けるとは限らない求人より先に就労資格を確認する
書類卒業証明や成績証明や good standing を早めに集める登録申請の必要書類翻訳や発行に時間がかかる取得に時間がかかる書類を洗い出す
求人の探し方規制当局と公的求人と医療求人サイトを併用する公式情報と求人掲載例一つの媒体だけだと偏る検索窓口を三つに固定する
面接確認職務範囲と教育とビザ支援を事実で聞く面接実務と制度差肩書きだけで判断しない質問を五つ作る

この表の読み方は単純で、自分にとって外せない行を三つ選ぶだけでよい。とくに免許確認とビザ確認を同じものだと思うと、準備が二重に崩れやすい。

まずやることは、上の表から最優先の三項目を選び、紙かメモに一行ずつ写すことだ。

海外求人で最初に決めること

この節では、海外求人を探し始める前に何を先に決めると迷いが減るかを整理する。結論から言うと、国名より先に、自分が目指す働き方の入口を決めるほうが早い。

海外で歯科衛生士として働く道は、国ごとの登録制度に直接進む道と、現地の日系クリニックや周辺職に入る道で難しさが違う。たとえば英国は海外資格の dental care professional を個別審査し、豪州は海外資格者向け登録案内と recognised qualification の確認経路を示し、ニュージーランドは prescribed qualification か個別審査か試験の経路を分けている。

現場で役立つコツは、国名、入口、時期の三つを一枚に書くことだ。たとえば、豪州で現地ライセンス職を目指すのか、まずは日系クリニックの海外勤務を探すのかで、必要な英語と書類と時間が変わる。

ここを曖昧にしたまま求人を見始めると、条件が良さそうな募集に気持ちが引っ張られやすい。結果として、免許が必要なのに求人だけに応募して止まる、またはビザの確認が後ろにずれて苦しくなることがある。

まずは、行きたい国ではなく、現地ライセンス職か日系クリニックか周辺職かを一つだけ決めるとよい。

歯科衛生士が海外求人を考える基本と誤解しやすい点

国ごとに免許制度が違う

この節では、海外求人でいちばん誤解しやすい前提をそろえる。海外で働くと言っても、歯科衛生士の登録制度は国ごとにかなり違う。

米国では ADHA が、歯科衛生士として働くにはライセンスが必要で、米国の認定 dental hygiene program 卒業と National Board Dental Hygiene Examination と州または地域の clinical licensure exam が必要だとしている。カナダの Ontario 規制当局は、国外の non accredited program でも同等性審査の対象にはなるが、NDHCE や clinical exam が必要になる場合を示している。豪州、ニュージーランド、英国も、それぞれ recognised qualification や prescribed qualification、個別審査の経路を設けている。

下の表は、海外求人を読むときによく出る言葉をそろえるためのものだ。言葉の意味が分かるだけで、求人票や規制当局のページの読み方がかなり楽になる。とくに registration と sponsor と scope of practice は早めに押さえておくとよい。

用語かんたんな意味よくある誤解困る例確認ポイント
Registration現地で歯科衛生士として働くための登録日本の免許があれば不要だと思う求人はあるのに応募後に止まるその国で登録必須かを最初に見る
Accredited program規制当局が認める教育課程日本の学校なら自動で同じ扱いと思う書類を出しても進まない認定校要件か同等性審査かを確認する
Prescribed qualificationその国が指定する資格の枠海外卒全員が対象と思う実は個別審査や試験が必要になる自分の学歴が該当するかを見る
Individual assessment学歴と経験を個別に審査する経路面接のような簡単な確認と思う書類不足で長引く必要書類と審査期間を確認する
Scope of practice現地で許される業務範囲日本でできた処置をそのままできると思う面接で言った業務が違法になる国ごとの業務範囲を確認する
Sponsor就労ビザを支える雇用主採用内定イコール sponsor と思うビザ段階で止まるsponsor の有無を先に確認する
Good standing免許に問題がない証明退職証明と同じと思う申請直前に足りないと気づく発行先と有効期間を確認する

表は、単語を覚えるためではなく、何を聞けばよいかを作るために使うとよい。意味が曖昧なままページを読むと、必要なのに不要と思い込む逆転が起きやすい。

まずは表の中から知らなかった言葉を三つ選び、その国の規制当局ページで同じ単語を探してみるとよい。

日本の資格だけで働けると思い込まない

この節では、海外求人を見たときに起きやすい最大の誤解を整理する。日本の歯科衛生士免許は強い土台になるが、それだけで海外の臨床にそのまま入れる前提にはしないほうが安全だ。

米国では州ごとのライセンスが前提で、ADHA は認定プログラム卒業と NBDHE と州または地域の臨床試験を示している。カナダ Ontario の CDHO は、国外プログラムの同等性審査と NDHCE などの試験経路を示し、豪州は recognised qualification の確認か ADC の試験経路や limited registration の可能性を案内している。ニュージーランドは prescribed qualification か NZDHREX か個別審査、英国は DCP として海外資格の個別審査を行う。

下の表は、主要な国や地域で最初に見る入口を横並びにしたものだ。細かい制度を暗記するより、どの窓口から確認を始めるかを決めるために使う。表を見れば、日本の免許だけで一気に進む国は少なく、規制当局と移民当局を分けて見る必要があることが分かる。

国や地域主な規制当局免許の入口語学の扱い就労面で見る点初手で確認すること
米国州 board と JCNDE 関連情報州ごとの licensure と試験英語での教育と試験が前提になりやすい州ごとの差が大きいまず州を一つに絞る
カナダ州 regulator たとえば CDHO同等性審査と NDHCE など英語かフランス語の運用力を見る州免許と就労資格を分ける行きたい州の regulator を決める
豪州Dental Board of Australia と Ahprarecognised qualification か試験経路英語基準がある登録と就労資格が別だrecognised qualification を確認する
ニュージーランドDCNZprescribed qualification か NZDHREX か個別審査IELTS か OET などの基準がある原則 work visa の確認が要るonline assessment tool を使う
英国GDCoverseas qualified DCP の個別審査英語力審査があるapproved employer と就労ビザ確認が要るGDC と sponsor を同時に確認する
海外の日系クリニック求人サイトと現地法現地契約と役割確認日本語中心でも現地語が必要なことがあるlocal law と職務範囲確認が要る雇用契約と行為範囲を必ず確認する

この表は入口を比べるための早見表であり、米国とカナダは州や州ごとの差が大きい点に注意したい。実際に日本の医療求人サイトでもベトナム勤務の歯科衛生士求人掲載例はあるが、これは日系クリニックの現地採用という入口の話であり、現地ライセンス職の制度と同じではない。

海外求人を急いで探し始めるより、まず一つの国と一つの入口を決めるほうが結果的に早い。最初の一歩は、行きたい国を一つだけ選び、その国の規制当局ページをブックマークすることだ。

海外で働く前に歯科衛生士が確認したい条件

免許と語学とビザを分けて考える

この節では、海外就業で混ざりやすい三つの条件を切り分ける。免許、語学、ビザは全部大事だが、同じ窓口で完了するものではない。

豪州の Dental Board of Australia は overseas qualified practitioner 向けに registration route を示し、英語能力の registration standard も別に設けている。ニュージーランドの DCNZ は英語要件として IELTS や OET を示し、NZDHREX 後の登録申請では English test result や certificate of good standing などの有効期限も管理している。英国は GDC が overseas dental professionals の English language controls を示し、就労自体は gov.uk の Skilled Worker visa で approved employer と certificate of sponsorship を求めている。

現場で役立つコツは、確認表を三列にすることだ。左に規制当局、中に語学試験、右に移民当局を書き、それぞれ何が終わって何が未着手かを見える化すると進みやすい。

よくある失敗は、occupation list に載っていることを見て安心し、登録制度の確認を後回しにすることだ。豪州は Core Skills Occupation List に Dental Hygienist が載るが、それで registration が不要になるわけではない。

まずは、狙う国について規制当局のページと移民当局のページを同時に開き、必要な条件を三列で書き出すとよい。

家計と空白期間を先に見る

この節では、お金の不安で判断が崩れないように、海外就業前の見通しを作る。海外求人は年収の見え方に目が向きやすいが、最初に出る費用のほうが実際には重い。

国によっては、登録申請の前後で good standing、英語試験、書類翻訳、成績証明、血液検査や免疫情報などが必要になる。ニュージーランドの登録申請では certificate of good standing、英語試験結果、Hepatitis や HIV の laboratory report の有効性が明示され、カナダ Ontario の CDHO も NDHCE や必要に応じた clinical competency evaluation、police record check、authorization to work in Canada、professional liability insurance などを挙げている。米国の NBDHE Candidate Guide でも international candidate 向け processing fee や ECE evaluation が必要になることが示されている。

現場で役立つコツは、生活費ではなく準備費の表を先に作ることだ。語学試験、書類発行、翻訳、審査料、渡航初期費用の順で並べると、どこで止まりやすいかが見える。

求人の年収だけで進めると、出発前の数か月が一番苦しくなることがある。住居の初期費用や現地保険、渡航後の空白期間は求人票に出ないため、先に見積もっておく必要がある。

まずは準備費の項目を十個書き出し、今月すぐ必要なものと後でよいものに分けるとよい。

歯科衛生士が海外求人を進める手順とコツ

海外求人を進める手順を表で整理する

この節では、海外求人を現実的に進める順番を固定する。国ごとに制度は違うが、動く順番はかなり共通している。

登録制度の確認、語学の準備、就労資格の確認を同時に始めると混乱しやすい。だから、国を一つに絞ってから規制当局、移民当局、求人の順に進めると、準備がぶれにくい。

下の表は、海外求人を探し始めてから応募するまでの流れを、止まりやすい点と一緒にまとめたものだ。目安は急がせるためではなく、今どこで詰まっているかを見るために入れている。英語試験や書類発行は時間差が出やすいので、早めに着手するとよい。

手順やること目安時間や回数つまずきやすい点うまくいくコツ
国を一つに絞る規制当局と移民当局を決める1日複数国を同時に追う最初は一か国だけにする
入口を決める現地ライセンス職か日系クリニックか周辺職かを決める1日路線が混ざるいまの本命を一つにする
規制当局を確認するregistration route と scope を読む2日から3日用語が難しい表2の用語で読む
移民当局を確認する就労資格と sponsor 条件を調べる2日免許と混同する別メモに分ける
書類を集める卒業証明と成績証明と免許関連書類を集める2週から8週発行に時間がかかる時間がかかる順に頼む
語学準備を進めるIELTS か OET などを決める1か月から6か月受験日が後ろにずれる先に受験日を押さえる
求人を集める公式と公的と医療求人を併用する毎週2回検索が広がりすぎる検索窓口を三つに固定する
面接する業務範囲とビザ支援と教育体制を確認する1回から3回肩書きで安心する事実を短く聞く
書面で確認するoffer と contract の条件を確認する1回口頭で進める不明点は書面で残す

表の使い方は単純で、いま自分がいる行の次だけを見るとよい。書類と語学は時間がかかるので、求人を待つより先に進めやすい。

焦ると応募から始めたくなるが、海外就業では入口の確認が先だ。今日やることは、表の上から三行だけ終わらせることだ。

履歴書と面接で経験を翻訳する

この節では、日本での歯科衛生士経験を海外で伝わる形に変える。経験が足りないのではなく、相手に伝わる単位で整理できていないことが多い。

米国の NBDHE Guide には patient assessment、dental radiography、infection control、individualized patient education、periodontal disease management などの領域が並び、カナダの occupational profile でも oral health promotion と disease prevention に関わる役割が整理されている。つまり、海外で見られやすいのは、肩書きより、何をどこまで担当し、患者教育と感染管理をどう行っていたかだ。

現場で役立つコツは、業務を患者評価、予防処置、保健指導、感染管理、チーム連携の五つに分けて書くことだ。たとえば、歯周基本治療のどの部分を担当したか、メインテナンスのアポイントは何分だったか、患者教育をどの年齢層に行っていたかを具体にすると伝わりやすい。

ただし、日本で許されていた手技をそのまま現地でできる前提で話すのは危ない。scope of practice は国ごとに違うため、自分の経験は経験として示し、実施可能かは現地規制に従う姿勢を出したほうが安全だ。

まずは日本語で五行だけ職務内容を書き、そのあと英語で短く言い換える練習をするとよい。

よくある失敗と防ぎ方

失敗パターンを早めに見抜く

この節では、海外求人で起きやすい失敗を、最初に出るサインから見抜けるようにする。大きな失敗は、小さな見落としが積み重なって起きる。

海外就業では、求人票と規制当局の情報と移民当局の情報が別々に存在する。そのため、どれか一つだけで判断すると、就労直前で止まることがある。下の表は、歯科衛生士が海外求人でつまずきやすい点を、早い段階で気づくために並べたものだ。自分に関係する行だけ見れば十分だ。

失敗例最初に出るサイン原因防ぎ方確認の言い方
日本の免許だけで応募する規制当局をまだ見ていない入口を分けていない先に registration route を確認する現地登録が必要か先に確認したい
ビザ支援を口頭で信じるsponsor の説明が曖昧移民当局の確認不足sponsor と CoS などを確認する就労資格の支援範囲を書面で確認したい
給与だけで決める内訳と初期費用を見ていない準備費の見落としoffer 前に総額で見る支給条件と初期サポートを確認したい
日系求人なら安全と思う現地法の説明がない職務範囲の確認不足行為範囲を聞く実際に担当する clinical task を確認したい
英語試験を後回しにする受験日を決めていない語学を楽観する先に試験日を取る英語要件の締切を確認したい
面接で質問しない良い雰囲気だけで終わる準備不足と遠慮質問を五つに絞る一日の流れと教育体制を教えてほしい

表は、疑うためではなく、順番を守るための道具だ。とくに sponsor や registration が曖昧なまま進む求人は、入職日だけ決まって制度が追いつかないことがある。

迷ったら、表からいちばん怖い失敗を一つ選び、その確認文だけを次の面接に持っていくとよい。

怪しい求人を避ける

この節では、海外求人で距離を置いたほうがよい募集の見分け方を整理する。海外だから危ないのではなく、条件が曖昧な求人が危ない。

英国の Skilled Worker visa は approved employer と confirmed job offer と certificate of sponsorship を前提にし、GDC は overseas applicant の English language と registration assessment を別に見ている。ニュージーランドも dental hygienist は law により registration が必要な職種として work visa guide に載せている。つまり、きちんとした雇用主なら、どの規制当局とどの就労資格が関係するかを説明できるはずだ。

現場で役立つコツは、肩書きより説明の具体性を見ることだ。規制当局名が出てくるか、ビザ支援の範囲が言えるか、日程や役割が書面に落ちるかを確認する。求人票が魅力的でも、規制名と手順が一切出てこない募集は慎重に見たほうがよい。

ただし、まだ新しく募集を始めたばかりで情報整理が追いついていないケースもある。疑わしいと感じたらすぐに切るのではなく、規制当局と就労資格の担当を誰が説明するかを一問だけ聞くと判断しやすい。

まずは、面接前に regulation と visa と contract の三語が会話に出るかを見るとよい。

海外求人の選び方と比べ方

判断軸をそろえて比較する

この節では、海外求人を比べるときの判断軸を固定する。国も雇用主も違う求人を直感だけで比べると、最後に決めきれなくなるからだ。

次の表は、歯科衛生士が海外求人を比べるときに使いやすい軸を整理したものだ。おすすめになりやすい人と向かない人の列を見ると、自分の優先順位が見えやすい。数字や年収より前に、制度と生活と役割が合うかを見るための表だ。

判断軸おすすめになりやすい人向かない人チェック方法注意点
免許移行の難度長めの準備期間を取れる人すぐ出発したい人規制当局の route を読む国より州差が大きい場合もある
語学要件試験対策に時間を割ける人英語試験が極端に苦手な人IELTS や OET の要件を見る有効期間に注意する
ビザの明確さsponsor 付き求人を優先したい人制度確認が苦手な人移民当局と employer を確認する口頭説明だけにしない
職務範囲の一致予防中心で働きたい人補助中心でも平気な人scope と job description を比べる肩書きと中身がズレることがある
初期費用と時間貯蓄に余裕がある人空白期間に弱い人書類と試験費用を積む現地家賃と保険も入れる
長期性永住や長期就業を考える人短期経験だけ欲しい人visa と career path を見る長期と短期で route が違う

表の使い方は、全部を点数化することではない。自分にとって落とせない軸を二つ決め、その二つを満たす求人だけを残すと比較がかなり楽になる。

海外求人は、条件が良いほど気持ちが先に動く。だからこそ、判断軸を先に紙に書き、求人をその紙に当てはめる順番を守るとよい。

まずは、表の軸から最優先を二つ選び、今見ている求人を丸か三角で分けてみるとよい。

日系クリニックと現地ライセンス職を分ける

この節では、海外求人でよく混ざる二つのルートを分けて考える。日系クリニックの現地採用と、現地で歯科衛生士として登録して働く道は、似て見えて準備が違う。

日本の医療求人サイトには、海外勤務地の歯科衛生士求人掲載例がある。たとえばベトナムの歯科医院で日本人スタッフを含む構成を示す掲載例があり、日本語圏の求人が存在すること自体は確認できる。一方で、豪州、ニュージーランド、英国、カナダ、米国の規制当局は、現地での登録や試験や個別審査の経路を別に持っている。

現場で役立つ見方は、日系クリニック求人なら local law と行為範囲を先に確認し、現地ライセンス職なら registration route と exam を先に確認することだ。前者は比較的早く海外生活に入れる可能性があるが、後者は長期の専門職キャリアにつながりやすい。

ただし、日系クリニックだから現地法が関係ないわけではない。歯科衛生士としてどの clinical act を担うかは現地法と雇用条件に左右されるため、肩書きだけで判断しないほうがよい。

まずは、自分が欲しいのが海外生活の入口なのか、長期の専門職キャリアなのかを一文で決めるとよい。

歯科衛生士が海外で働く場面別の考え方

まず臨床を続けたい場合

この節では、日本での歯科衛生士経験を活かしながら、海外でも臨床を続けたい人の考え方を整理する。最短距離に見える道ほど、登録制度の確認が欠かせない。

米国は州ごとの licensure を前提とし、ADHA は accredited U.S. dental hygiene program 卒業と NBDHE と州または地域試験を示している。カナダ Ontario は国外プログラムの比較審査と NDHCE 等を示し、豪州は recognised qualification か ADC 経路や limited registration の可能性、ニュージーランドは prescribed qualification か NZDHREX か個別審査、英国は DCP の個別審査を用意している。

臨床を続けたい人は、国を一つに絞り、その国の regulator が示す入口だけを追うほうが早い。英語学習も general English ではなく、OET や clinical communication を意識したものに寄せると準備が噛み合いやすい。

気をつけたいのは、国が違うと scope of practice も違うことだ。日本で経験がある処置でも、現地では supervision や追加 training が必要なことがあるため、経験は強みとして示しつつ、現地の基準に合わせる姿勢が必要だ。

まずは、臨床を続けたい国を一つだけ決め、その規制当局の registration page を最初から最後まで読むとよい。

非臨床や周辺職から海外に入る場合

この節では、すぐに現地ライセンス職へ行かず、周辺職から海外に入る考え方を整理する。海外で働く経験を積みたいが、登録や試験の壁が高い人に合いやすい。

臨床行為を伴う仕事は regulator の管理が強い一方で、患者案内、コーディネーター、教育補助、器材や予防商品の説明支援などは、確認すべき制度が別になることがある。つまり、最初から現地の dental hygienist registration に一直線でなくても、海外の歯科現場に近い仕事へ入る道は考えられる。

現場で役立つコツは、臨床経験を周辺職に翻訳することだ。感染管理、患者説明、予約導線、多職種連携、予防提案の経験は、役割が変わっても伝えやすい。英語が不安な人も、いきなり試験職ではなく、環境に慣れる入口として考えやすい。

ただし、肩書きが歯科っぽいだけで、自分の望むキャリアに近いとは限らない。将来どこかで現地ライセンス職に戻りたいなら、その周辺職が語学と制度理解にどうつながるかを見て選んだほうがよい。

まずは、自分の臨床経験を患者対応と教育と運営の三つに分け、周辺職に言い換える練習をするとよい。

歯科衛生士の海外求人でよくある質問に答える

よくある質問を表で整理する

この節では、海外求人を探すときによく出る疑問を先回りして整理する。検索の途中で何度も同じ不安に戻る人ほど、表で見ると動きやすい。

質問は多いが、実際には免許、語学、ビザ、求人の探し方、働き方の五つに集約できる。次の表は、その五つを起点に短い答えと次の行動へ落としたものだ。

質問短い答え理由注意点次の行動
日本の歯科衛生士免許だけで海外で働けるかその前提にはしないほうが安全だ各国に local registration がある日系クリニック求人でも確認は要る規制当局のページを開く
どの国が入りやすいか国より入口で決まる規制と英語とビザの組み合わせが違う米国やカナダは州差も大きい一か国だけ選んで調べる
英語はどの程度必要か会話力だけでなく公式基準を見るNZ や豪州や英国で要件がある試験の有効期間があるIELTS と OET の扱いを調べる
海外求人はどこで探すか規制当局と公的検索と医療求人を併用する情報の偏りを減らせる同じ求人が重複する検索窓口を三つに固定する
日系クリニックなら楽か入口としては使いやすい場合がある日本語対応求人があるclinical act は現地法確認が要る雇用契約と職務範囲を確認する
家族帯同はできるかビザ次第で可能性があるdependants の扱いがある国もある保険と学費も確認が要る家族条件を移民当局で確認する
給与が高い国を狙うべきかまず制度と初期費用を見る移行コストが大きい年収だけで決めない初期費用表を作る
米国は難しいか州ごとに条件が重い傾向があるlicensure と exam が多い州を広げると混乱する州を一つに絞る

表の短い答えは、結論を急がせるためではない。次の行動に落とし、判断材料を増やすために使うと効果が高い。

まずは、いま一番知りたい質問を一つ選び、次の行動だけを今日やってみるとよい。

制度の誤解だけ補う

この節では、よく混ざる制度の誤解を三つだけ補う。全部を一度に理解しようとすると難しいので、混ざりやすいところだけ切り分ける。

第一に、regulator と immigration は別だ。英国は GDC の registration assessment と gov.uk の Skilled Worker visa が別に動き、ニュージーランドも DCNZ の registration と work visa guide が別に存在する。第二に、occupation list や immigration category に職種名があっても、それだけで clinical practice の許可にはならない。豪州の Core Skills Occupation List やカナダの healthcare occupation list は入口情報にはなるが、registration は別に確認が必要だ。

現場で使えるコツは、質問を三種類に分けることだ。規制当局へ聞く質問、移民当局や sponsor に確認する質問、雇用主に聞く質問を分けると混乱が減る。

この三つを一人で全部抱えると、調べても前に進んでいない感じが出やすい。そういうときは、一か国だけに絞り、その国の regulator と immigration page だけを見る日にすると進みやすい。

まずは、規制、ビザ、雇用の三分類で、今の疑問を振り分けることから始めるとよい。

歯科衛生士が海外求人に向けて今からできること

90日で準備する計画

この節では、海外求人に向けて現実的に準備を進めるための90日計画を示す。やることが多いときほど、期間を区切ったほうが焦りに飲まれにくい。

各国の regulator は、登録前に卒業証明、成績証明、good standing、英語試験結果、場合によっては health documentation を求める。つまり、最初の90日は内定を取る期間というより、応募できる状態に近づく期間だと考えると合う。

最初の30日は、国と入口を一つに絞り、規制当局と移民当局のページを読み、必要書類を洗い出す。次の30日は、語学試験の準備と履歴書の翻訳と求人収集にあてる。最後の30日は、見学や面接に進むか、書類待ちの穴を埋めるかを決める。

気をつけたいのは、90日で海外就業が完了しないことも普通だという点だ。とくに試験や credential evaluation がある国は、90日を入口作りの期間として使うほうが現実的である。

まずは、最初の30日でやることを三つだけに絞り、カレンダーに入れるとよい。

今日からやることを3つに絞る

最後の節では、いま読んだ内容を行動に変えるために、今日やることを三つだけに絞る。海外就業は大きな話に見えるが、最初の一歩は小さくてよい。

一つ目は、国を一つと入口を一つ決めることだ。二つ目は、その国の規制当局ページと移民当局ページを保存することだ。三つ目は、自分の経験を五行で書き出すことだ。ここまでできると、求人の見方と面接の質問がかなり変わる。

反対に、今日やらないほうがよいのは、複数国の求人に同時応募することだ。制度が違いすぎるため、準備が散って結局どれも進まない形になりやすい。

海外求人は夢ではなく、制度と準備の積み上げで形になる。今日の三つが終われば、検索して不安になる段階から、確認して前に進む段階へ移れる。

今夜やることは、国と入口を書き、公式ページを二つ保存し、五行の職務メモを作ることだ。