歯科医師臨床研修のマッチングとは?志望動機の書き方のポイントや例文も紹介!
歯科医師臨床研修のマッチングとはどんな制度?
新たに歯科医師免許を取得した人が必ず通るのが「臨床研修」です。歯科医師法第16条の2により、歯科医師となった後は1年以上の臨床研修が義務付けられており、2006年(平成18年)以降すべての歯科医師が研修を受ける必要があります。この臨床研修先を決める代表的な方法が「マッチングプログラム」です。マッチングとは、研修を希望する歯科医師と研修施設(病院や診療所)の希望とをコンピュータで照合し、互いの希望に沿った組み合わせを決定する仕組みを指します。厚生労働省指定の研修プログラムについて、研修医側の志望と施設側の受け入れ枠をアルゴリズムでマッチさせる全国的なシステムとして運用されています。
臨床研修が必修化された背景とマッチング導入の目的
歯科医師の臨床研修は、それまで努力義務でしたが医療の質向上の観点から平成18年度より必修化されました。法律上「診療に従事しようとする歯科医師」は研修を修了しなければ実際の臨床行為ができません。この背景には、新人歯科医師が十分な実践経験を積み、安全で効果的な歯科医療を提供できるようにする狙いがあります。また研修制度の導入と同時に、研修希望者の公正な機会確保のためマッチング方式が採用されました。医科の初期研修で先行していた仕組みを歯科にも取り入れ、全国の研修希望者と研修施設を効率よく結びつけることで、希望に沿った研修先選びを支援する目的があります。厚生労働省の臨床研修制度サイトにも、マッチング協議会へのリンクが掲載され公式に案内されています。
マッチングプログラムの仕組みとスケジュール
歯科医師臨床研修マッチングは毎年、歯学部6年生(および既卒で未研修の人)を対象に夏から秋にかけて実施されます。例えば2025年度の場合、6月中旬にマッチングの参加登録が開始し、7月末までにエントリーを行います。その後、研修希望者は各研修施設の選考(書類提出や面接等)を経て、9月~10月に希望順位を登録し、10月下旬にコンピュータによるマッチング結果が発表されました。このように事前に各研修先の試験を受けた上で希望順位を付ける点が特徴で、希望できる施設数に制限はなく複数の研修先をエントリーできます(人気施設には多くの志願者が集まるため、広く門戸を叩く学生が多いです)。マッチング結果で「内定」となれば、翌年4月からその施設で研修開始となります。ただし不合格(いわゆるアンマッチ)だった場合も、国試合格発表後の3月に「二次募集」として欠員募集が行われる仕組みがあり、諦めずに再チャレンジする道も用意されています。
マッチングで志望動機が重視される理由
マッチングにおける研修先選考では、提出書類の中の「志望動機」が大きな比重を占めると言われます。応募者は大学の成績や適性試験の結果も評価されますが、同程度の学力であれば「なぜこの研修先で学びたいのか」という志望動機の質が合否を左右するケースが多いからです。実際、研修病院の採用担当者からは「病院の特徴をよく理解し、具体的な志望理由を述べられる学生を高く評価する」という声が挙がっており、逆に「志望動機が曖昧な学生」は選考で不利になると指摘されています。そのためマッチングでは志望動機が合否を左右する重要なポイントとなっているのです。
志望動機が合否を左右する重要なポイントとは
研修先を選ぶにあたり、書類選考や面接で必ず問われるのが「志望動機」です。ほぼ全ての研修施設で志望動機の提出欄が設けられており、もし書類で聞かれなくても面接で必ず「どうして当院を志望したのか」を問われます。裏を返せば、それだけ研修医の志望理由から熱意や適性を見極めたいというのが採用側の本音です。特に定員を超える応募がある人気の研修施設では、「なぜ他ではなくこの施設なのか」が明確に語れるかどうかが差別化の決め手になります。ありきたりな動機では「どの病院でもいいのでは?」と思われかねず、研修先ごとの特徴と本人の熱意が結びついた動機でなければ強い印象を与えられません。採用担当者は志望動機から、応募者の価値観が自施設の理念・教育方針に合致しているか、研修への意欲は高いか、将来の目標が描けているか、といった点を見極めています。そのため志望動機は単なる「志望理由」ではなくあなたの人柄や将来ビジョンを示す材料として重視されるのです。
研修先が志望動機から読み取っているもの
研修先の選考担当者は、志望動機の文章から様々な情報を読み取ります。まず第一に「当院で研修したい熱意の有無」です。単に「どこでもいいから研修しなければ」という受け身の姿勢ではなく、「ぜひこの環境で学びたい」という積極性が感じられるかが見られます。次に「病院・施設の特色や理念への理解度」も重要です。応募者がその施設の方針・強みをきちんと調べ、自分なりに共感しているかどうか、つまりマッチング度が問われます。さらに「本人の将来像や目標」も注目点です。研修終了後にどんな歯科医師になりたいか、そのビジョンが志望動機に盛り込まれていれば、面接官は研修後の活躍までイメージしやすくなります。「研修後も見据えて熱心に学んでくれそうだ」と判断されれば評価は上がるでしょう。逆に志望動機が薄かったり画一的だったりすると、「当院でなくてもいいのでは」と思われたり、「熱意が感じられない」と判断されるリスクがあります。このように志望動機はあなたの熱意・適性・将来性を伝えるメッセージですので、マッチングでは非常に重要視されます。
志望動機を書く前に準備しておくこと
効果的な志望動機を書くためには、実際に文章を書き始める前の下準備が肝心です。闇雲に「御院を志望します」と書き連ねても具体性に欠けた内容になってしまいます。そこでまずは志望先の情報収集と自己分析の2つを徹底しましょう。また可能であれば研修施設の見学にも足を運び、生の現場を知ることが有益です。これらの準備によって、志望動機に盛り込むべきエピソードや根拠が明確になり、説得力のある文章を書く土台ができます。
研修先の情報収集を徹底しよう
志望先のリサーチは志望動機を書く第一歩です。希望する研修先の公式ホームページやパンフレットには、その病院・施設の理念、研修プログラムの特色、指導体制、症例数、設備など様々な情報が掲載されています。例えば研修プログラムの内容(各診療科ローテーションの有無、口腔外科のオペ件数、地域歯科医療への取組など)や、教育体制(指導歯科医の人数、カンファレンスの頻度、研修医の受け持ち症例範囲)といったポイントです。さらに最近は研修施設ごとの給与や待遇、勤務条件も公開されていますので、そうした現実的な条件も含め把握しておきます。厚生労働省が運営する「D-REIS」という検索サイトでは、各研修施設が届け出た研修プログラムの情報を閲覧できます。2025年現在このサイトは更新が追いついていない場合もありますが、基本情報の確認に役立ちます。複数の情報源を活用して「その施設ならでは」の特徴リストを作っておくと、あとで志望動機に盛り込みやすくなります。
病院見学や説明会で現場を知るメリット
可能であれば志望先の病院見学やオンライン説明会に参加することを強くおすすめします。実際に足を運ぶことで、ホームページでは得られない現場の雰囲気や研修医・指導医の様子を肌で感じることができます。例えば見学時に研修医同士や上級医とのコミュニケーションが活発であれば「チームワークを大切にする職場だ」と実感できますし、患者さんへの対応を見て「患者中心の医療を実践している」と感じるかもしれません。そうした自分だけの気づきやエピソードは志望動機に盛り込むことで大きな説得力を発揮します。説明会では研修プログラム責任者から直接話を聞いたり質問するチャンスもあります。疑問点を解消するとともに、自分がその施設で学ぶ姿を具体的にイメージする場にもなるでしょう。忙しい中見学の時間を取るのは大変ですが、「百聞は一見に如かず」。現地で得た実体験は文章に説得力とオリジナリティを与えてくれます。
自分のキャリアプランを明確にする自己分析
もう一つ重要な準備が自己分析です。志望動機を書く前に、自分自身が将来どのような歯科医師になりたいのか、研修を通じて何を身につけたいのかを整理しておきましょう。例えば「地域医療に貢献できる歯科医師になりたい」「専門分野(口腔外科や小児歯科など)を極めたい」「研修後は開業を目指したい」など、将来のビジョンを具体的に描いてみます。その上で、あなたの持っている強みやこれまでの経験も洗い出してください。学生時代の実習やボランティア、部活動、研究経験などで培ったスキルや姿勢は何かを考えます。例えば「大学の地域歯科診療実習で在宅訪問診療に感銘を受けた」「部活動で培ったチームワークを生かしたい」などです。それらの自己分析の結果と前段の研修先リサーチを付き合わせることで、「自分の目指す姿」と「研修先の特徴」の接点が見えてきます。志望動機にはまさにこの接点を描くことが重要です。自分の軸が定まっていれば、面接で深掘りされた際も一貫した回答ができるでしょう。したがって志望動機を書く前にじっくり自己分析し、自分の志と研修先の方向性の共通項を探しておくことが成功のカギとなります。
志望動機に盛り込みたいポイント
下準備が整ったら、いよいよ志望動機の文章に落とし込んでいきます。志望動機には盛り込むべき重要なポイントが大きく3つあります。それは、研修先ならではの特徴、自分の経験や強み、そして研修後の目標(将来ビジョン)です。これらをバランスよく織り交ぜることで、読み手に「この人はうちで研修したい明確な理由がある」と感じてもらえる内容になります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
志望先ならではの特徴を具体的に挙げる
まず何より志望先の固有の特徴を志望動機に盛り込むことが大切です。避けたいのは「どの病院でも当てはまる内容」になってしまうこと。例えば「研修医に丁寧に指導してくれそうだから志望しました」だけでは多くの病院に当てはまり差別化できません。そこで、事前に調べた研修プログラムの特色や症例数、設備等の具体的な情報を盛り込みます。例えば「貴院は年間のインプラント埋入件数が非常に多く、先進的なインプラント治療を学べる環境に魅力を感じました」や「口腔外科の症例数が豊富で、研修医でも手術の助手として実践に関われる点に惹かれました」といった具合です。こうした具体的記述は「しっかりその施設を研究している」という印象を与え、熱意の裏付けにもなります。特に見学や説明会で得た生の情報は強力なアピール材料です。「見学時に研修医の先生方が生き生きと働いているのを拝見し、チーム医療が根付いた雰囲気を感じました」など、あなた自身の体験に基づくエピソードは信憑性が高く、採用側も印象に残りやすいでしょう。志望先固有のポイントを盛り込むことで、「なぜ他ではなくこの施設なのか」という問いに対する明確な答えを示すことができます。
自身の経験・強みと研修プログラムを結びつける
次にあなた自身の経験や強みを志望先の研修内容と関連付けて述べましょう。これは「なぜあなたがその研修先にマッチするのか」を示す作業です。例えば学生時代に地域医療の実習を経験して在宅歯科診療に興味を持ったのであれば、「貴院が地域包括ケアの一環として訪問歯科診療に力を入れている点に魅力を感じ、大学で学んだ在宅診療の経験を活かして地域医療に貢献したい」と書くことができます。あるいは部活動でリーダーシップを発揮した経験があるなら、「部活動で培ったチームワークとリーダーシップを、研修現場でも発揮し周囲と協力しながら成長したい。貴院の研修はカンファレンスが活発でチーム医療を重視していると伺い、自分の強みを活かせると感じました」と述べるのも一案です。ポイントは、自分のエピソードが研修先の特徴とどう重なるかを示すことです。こうすることで採用側は「この学生はうちの環境で力を発揮してくれそうだ」「当院の研修でさらに成長しそうだ」と具体的にイメージできます。注意したいのは、経験や強みを誇張しすぎないことです。実際に自分が経験した範囲で正直に伝えましょう。面接で深掘りされたときに辻褄が合わなくなっては元も子もありません。等身大の自分の強みを研修プログラムに結びつけ、「自分ならではの付加価値」を示すことが志望動機に深みを与えます。
研修後の目標やビジョンを示す
三つ目のポイントは研修後の将来ビジョンを志望動機に織り込むことです。研修が終わった後、自分はどのような歯科医師になりたいのか、その目標にこの研修がどう役立つのかを述べることで、志望動機に筋が通ります。例えば「将来は地域密着型の歯科医師として高齢者の口腔ケアに携わりたいと考えています。そのため、地域医療に力を入れる貴院で総合的な診療スキルを身につけたいと志望しました」といった具合です。あるいは「将来は口腔外科専門医を目指しており、豊富な外科症例を持つ○○病院で研修することが目標達成の第一歩になると確信しています」という表現で、自身のキャリアプランと研修先の特徴を結び付けます。将来ビジョンを語るときは、具体的すぎても漠然としすぎても良くありません。例えば「将来は漠然と良い歯科医になりたい」では抽象的すぎますし、「◯年後に開業して年商◯円を達成したい」など詳細すぎる話も志望動機の範囲を超えます。適切なのは「初期研修を経て◯◯の分野に進みたい。そのために貴院の◯◯な研修環境で基礎力を養いたい」というように、研修後のキャリア見通しと研修プログラムを結び付けて述べることです。研修施設側としても、将来を見据えて研修に取り組む意欲的な人材を歓迎する傾向があります。あなたの目標が研修先の提供する機会と合致していれば、互いにとって有意義なマッチングになると評価されるでしょう。
志望動機を書く際に避けたい落とし穴
志望動機を書くときには押さえるべきポイントがある一方で、避けるべき落とし穴もいくつか存在します。せっかく熱意があっても、書き方次第では誤解を招いたり評価を下げてしまう恐れがあります。ここではありがちな失敗例を三つ挙げ、それぞれどう改善すべきか解説します。
どの研修先にも通じる志望理由は説得力がない
最も注意したいのは、汎用的すぎる志望理由を書いてしまうことです。例えば「歯科医療を学び社会に貢献したいから貴院を志望します」のような一文だけでは、極端に言えばどの研修先にも当てはまってしまう内容です。こうした一般論だけでは「なぜうちの施設なのか」が伝わらず、選考者の心に響きません。実際、選考で落ちてしまった人の反省点として「書く内容が思いつかず、結局ありきたりな志望動機になってしまった」という声もあります。志望動機を書く際には、前述したようにその施設ならではの具体的な魅力を必ず盛り込みましょう。また複数の志望先を受ける場合でも、全てにコピペで通用するような内容は避けるべきです。読む側には「どこでもいいのかな?」と見抜かれてしまいます。志望先ごとにカスタマイズした理由を用意するのは手間ですが、説得力を持たせるためには不可欠です。「その施設だけに当てはまる理由」を意識し、汎用的表現に終始しないよう注意しましょう。
誇張や形式的すぎる表現は逆効果
次に避けたいのは、美辞麗句を並べすぎたり嘘に聞こえる誇張をしてしまうことです。例えば「貴院の崇高な理念に心から感銘を受け、生涯の全てを捧げる所存です」といった大げさな表現は、かえって現実味がなくなります。志望動機で大切なのは誠実さと自然さです。自分を良く見せようとあまりに格好をつけた文章にすると、面接で深掘りされた際に矛盾が生じやすくなります。また、自分の経験していないことをさも経験したかのように書くのも厳禁です。採用担当者は多くの応募者を見ていますから、本当の思いと取り繕った話は見抜かれると思ったほうがよいでしょう。例えば見学していないのに「見学で感銘を受けた」と書いたり、知らない分野について「興味があります」と盛り込んだりすると、突っ込まれたときボロが出ます。ありのままの自分の言葉で、等身大の熱意を伝えることが結果的に一番心に残る志望動機になります。敬語や丁寧な言い回しは必要ですが、格式ばりすぎず、自分の率直な気持ちが伝わる表現を心がけましょう。
長すぎる文章や曖昧な表現に注意
志望動機は熱意がこもるあまり、つい盛り込みすぎて冗長な文章になってしまうことがあります。しかし、だらだらと長いだけでは要点が伝わらず逆効果です。研修施設によっては志望動機欄に字数制限(例えば400字程度)がある場合もありますし、仮になくても簡潔にまとめることが大切です。伝えたいことは絞り込み、一つひとつの文章も適度な長さで区切りましょう。また、曖昧な表現にも注意が必要です。「様々な経験を積みたい」「幅広い知識を得たい」という表現は一見意欲的ですが、具体性に欠けます。何をどのように学びたいのか、可能な限り具体的に書くことで説得力が増します。反対に専門用語を詰め込みすぎて読みづらくなるのも避けましょう。採用担当者は忙しい中で多くの書類に目を通します。読みやすく要点の分かりやすい文章であることも評価につながります。長すぎたり曖昧すぎたりしないか、書き終えた後で推敲するときに特にチェックしましょう。
志望動機はどう構成する?文章の組み立て方
志望動機を書く際は、単に思いついたことを綴るのではなく文章全体の構成を意識しましょう。おすすめは「導入」「本論」「結論」の三段構成にすることです。この構成に沿って書くと、読み手に内容が伝わりやすく、論理的な志望動機に仕上がります。また、複数の研修先に応募する場合、それぞれの施設向けに内容を微調整する必要もあります。ここでは文章構成の基本と、応募先ごとに内容を調整するポイントについて説明します。
導入・本論・結論の三段構成を意識する
志望動機の文章は、まず導入部分で志望理由の要旨を手短に述べ、本題である本論部分で具体的なエピソードや根拠を展開し、最後に結論部分で研修への意気込みや将来の展望を締めくくると効果的です。例えば導入では「私が貴院を志望した最大の理由は◯◯です」と簡潔に動機の核を示します。本論ではその理由を支えるエピソードや具体的な魅力を詳述します。先述の三つのポイント(研修先の特徴、自分の経験、将来ビジョン)を織り交ぜながら、なぜその研修先でなければならないのかを論理立てて書きます。結論では「以上の理由から貴院で研修し◯◯を身につけたいと強く願っています」のように、熱意と要約を述べて締めます。本論部分が一番長くなり、導入と結論は手短になりますが、この起承転結がはっきりした構成にすると読み手の理解がスムーズです。また、構成を意識すると内容の抜け漏れ防止にもなります。書き上げた後で各部分がきちんと役割を果たしているかチェックし、伝えたいポイントが網羅できているか確認しましょう。
研修先ごとに内容をカスタマイズする大切さ
複数の研修先に応募する場合でも、志望動機はコピペで使い回さないようにしましょう。先ほど触れたように、志望動機は各施設の特徴に合わせて具体的内容を盛り込む必要があります。同じフォーマットで書くにせよ、研修先ごとに強調点を変えることが大切です。例えばA病院では「口腔外科症例が豊富な点」に惹かれたならその点を主軸に据え、B病院では「地域歯科医療への取組」に共感したならそこを中心に書く、といった具合です。もちろん自分の強みや将来像と結びつける基本スタンスは共通でも構いません。しかし、読み手から見れば自分の病院のために書かれた志望動機かどうかはすぐ分かります。ほんの一文でも「説明会で〇〇と伺い」「◯◯の研修設備に魅力を感じ」と入っていれば、オリジナルの内容になります。逆に施設名だけ差し替えたような志望動機は「汎用的すぎる志望理由」と受け取られかねません。時間はかかりますが、一つひとつの応募先に対し、その施設に特化した志望動機を作成しましょう。それが結果的に合格への近道になります。また各施設の指定書式や字数にも注意してください。Webエントリーで「志望理由〇〇字以内」と指定がある場合は、それに合わせて文章量を調整します。施設ごとに内容をカスタマイズしつつ、基本構成(導入-本論-結論)は崩さないようにすると、伝わりやすい志望動機になります。
志望動機の適切な長さと仕上げのコツ
最後に、志望動機の適切なボリューム感と、仕上げ段階でのポイントについて述べます。文章の内容が良くても、長さや仕上げ方を誤ると印象が損なわれることがあります。ここでは理想的な志望動機の長さと、提出前の推敲・チェック方法について押さえておきましょう。
400~600字を目安に簡潔にまとめる
志望動機の長さは、一般的に400〜600字程度が一つの目安と言われます。この字数であれば、口頭で面接官に説明しても2分以内に収まる分量であり、要点が散漫になりにくいからです。実際に応募先の指定字数が500字前後に設定されていることも多いため、まずはその範囲に収まるよう意識しましょう。字数制限が特に無い場合でも、あまりに長い志望動機は読む側に負担をかけますし、結局何が言いたいのかぼやけてしまいがちです。簡潔にまとめることで、あなたの熱意や考えをクリアに伝えることができます。「もっと書きたいことがある」という場合は、本当に重要なポイントかどうか取捨選択し、削れる部分は思い切って削る勇気も必要です。特に同じ意味の繰り返し表現や、無くても伝わる定型的な前置き表現(「私は~と考えます」など)は省略しましょう。どうしても長くなってしまう場合は、一文が長すぎないかを確認し、適宜句読点で文章を区切って読みやすくする工夫も有効です。応募要項に手書き指定がある場合、小さい字で詰め込もうとせず、所定欄に収まる範囲で書くことも大切です。読みやすさも合否に影響しうることを念頭に、簡潔明瞭な志望動機を心がけましょう。
推敲と第三者のフィードバックで質を高める
志望動機を書き上げたら、必ず推敲(何度も読み直し)を行いましょう。書きっぱなしでは誤字脱字や論理の飛躍に気付けないことがあります。推敲では以下の点をチェックすると効果的です:
冗長な表現や重複がないか
不要な言い回しを削り、同じ内容を繰り返していないか確認します
論理的な構成になっているか
導入→本論→結論の流れで違和感がないか、話が飛んでいないか見直します
読みやすい文章か
一文が極端に長くなっていないか、適度に段落分けされているかをチェックします
言葉遣いは適切か
尊敬語・謙譲語の誤用や、口語表現になっていないか確認します
誤字脱字がないか
細かなミスは印象を下げるので丁寧に見直します
これらを自分で確認した後は、可能であれば第三者のフィードバックをもらうことも質向上に役立ちます。信頼できる友人や先輩、指導教員などに読んでもらい、「理解しづらい部分はないか」「アピールが弱い箇所はないか」率直な意見を聞いてみましょう。自分では気付かなかった長所・短所が見えてきて、さらにブラッシュアップできます。最近ではAIを用いて文章チェックをする人もいますが、一から任せてしまうと自分の言葉でなくなってしまう恐れがあります。まずは自分で考え、推敲した上で、AIの校正機能等を参考程度に使うのは構いませんが、最終的には自分の思いが伝わる文章になっているかを重視してください。完成した志望動機は提出前にもう一度声に出して読んでみるのも有効です。声に出すことで不自然な箇所に気付くことがあります。ここまでしっかり準備・推敲をしておけば、自信を持って志望動機を提出でき、面接で問われた際も落ち着いて答えられるでしょう。
歯科臨床研修の志望動機例文を紹介
最後に、実際の志望動機の例文をいくつかご紹介します。あくまで一例ではありますが、ポイントがどのように盛り込まれているか参考にしてください。ここでは大学病院(歯学部附属病院)を志望するケースと、一般病院・診療所(大学以外の研修施設)を志望するケースの2つの例文を示します。それぞれ異なる志望先ですが、共通して志望先の特徴・自分の経験・将来ビジョンが織り込まれている点に注目してみてください。
大学病院で研修したい場合の志望動機例
「私が○○大学歯学部附属病院を志望する理由は二つあります。第一に、貴院は高度な専門治療に触れられる研修環境に魅力を感じたからです。特にインプラントセンターにおける年間症例数が非常に多く、最新のデジタル技術を用いた治療にも研修医の段階から関われると伺いました。私は学生時代にインプラント治療の研究に携わり、その経験から先進的な治療に強い関心を持っています。貴院でなら最新の技術を直に学び、研究と臨床の双方で成長できると考えました。第二に、附属病院という立場でありながら地域歯科医療にも貢献している点に共感しています。私は将来、大学病院レベルの知見を地域医療にも還元できる歯科医師になりたいと考えています。貴院の研修プログラムでは地域の診療所への派遣研修も実施されており、幅広い臨床経験を積めることに魅力を感じました。以上の理由から、貴院の研修で専門性と地域包括ケアの双方を学び、将来は高度な技術と地域視点を併せ持つ歯科医師になりたいと強く志望いたします。」
一般病院・診療所で研修したい場合の志望動機例
「私が○○総合病院歯科口腔外科を志望した理由は、研修医のうちから多様な症例を実践できる貴院の環境に強く惹かれたためです。見学で拝見した際、研修医の先生が救急で来られた外傷患者の初期対応を任されている場面があり、自分もぜひそうした実践を通じて成長したいと感じました。貴院は大学病院とは異なり地域の中核病院として一般歯科から口腔外科まで幅広い診療を行っており、研修1年目から多彩な症例に関わることで総合力を養えると考えています。私は学生時代、地域の歯科クリニックでアシスタントのアルバイトを経験し、多角的な診療能力の重要性を痛感しました。貴院の研修ならその経験を活かしつつ、より専門的な口腔外科処置も経験してスキルアップできると期待しています。研修終了後は地元で地域医療に貢献する歯科医師になりたいと考えており、総合病院で研修することで得られる幅広い臨床経験は将来必ず糧になると確信しています。御院で研修医として多くのことを学び、将来は地域の頼れる歯科医師として成長したいと心から志望いたします。」
以上、歯科医師臨床研修のマッチング概要から志望動機作成のポイントまで説明しました。マッチングは人生の大きな節目となるイベントですが、しっかり準備をすれば自分に合った研修先で充実した研修医生活を送ることができます。志望動機は自分の思いを言葉にする作業でもあります。時間をかけて練り上げた志望動機は、きっとあなた自身の指針にもなるはずです。この記事の内容を参考に、ぜひ納得のいく志望動機を完成させてください。健闘を祈ります!