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歯科衛生士のクリーニングをやさしく解説!現場で役立つポイントも紹介!

最終更新日

この記事で分かること

この記事の要点

この章では、歯科衛生士が行うクリーニングの全体像と、下手に見えやすいポイントを最短でつかむ。読む前に要点を押さえると、必要な章だけ拾っても迷いにくい。

歯科衛生士の役割は、法律上の予防処置や診療補助、保健指導を土台にしており、クリーニングはその中心に位置づく。公的資料ではPMTCのような専門的歯面清掃も整理されているため、言葉の違いと目的の違いを先に分けると安全である。

次の表は、この記事の結論を項目ごとに並べたものだ。気になる行を選び、右端の行動だけ先に実行すると変化が出やすい。 表1 この記事の要点を整理する表

項目要点根拠の種類注意点今からできること
クリーニングの目的汚れを落とすだけでなく再発を減らす学会資料と公的資料目的が曖昧だと手順が崩れる目的を一文で言えるようにする
用語の整理スケーリングとPMTCとSRPは混同しやすい学会資料似た言葉でも対象が違う自院の呼び方をメモする
仕上がりの基準触知と視野と記録で評価する現場の標準感覚だけに頼るとぶれるチェック項目を3つ決める
痛みの原因炎症や露出根面で痛みは変わる学会資料無理に続けると不信が増える合図と中断ルールを決める
超音波の基本角度と当てる部分で結果が変わるメーカー公式強い圧は傷や痛みにつながるチップの当て方を見直す
下手に見える失敗説明不足と取り残しと研磨のし過ぎ現場の傾向失敗は癖で起きやすい失敗を1つだけ減らす

表は、全部を一気に直すためではなく、今の課題を特定するために使う。気になる行が2つ以上あるときは、患者の痛みと取り残しのどちらが先に起きているかで優先順位が決まる。流れが毎回変わる人や、反応が不安で手が止まりやすい人ほど、この表で課題を一つに絞るとブレが減る。

行動は一つで十分だ。今日の勤務で目的を一文で言い直し、次回の説明の冒頭に入れると改善が始まる。

この記事の読み方

ここでは、歯科衛生士のクリーニングを学ぶときの読み方を決める。読む順番が決まると、忙しい中でも学びが途切れにくい。

歯周病はプラークコントロールが不十分だと再発しやすく、SPTやメインテナンスが欠かせないという考え方が学会資料で示されている。つまり、クリーニングの質は一回の爽快感だけでなく、長期の維持に直結する。

新人であれば、まず用語の章で違いを整理し、次に手順の章で型を作ると伸びが早い。経験者で下手と感じる場合は、失敗の章と判断軸の章を先に読み、原因を絞ると立て直しやすい。

患者の痛みや強い不満が起きている場合は、手技だけで解決しないことがある。歯肉の炎症や知覚過敏の有無、処置範囲の設定、説明の合意がそろっているかを同時に見たほうが安全だ。

まずは目次から今いちばん困る場面を一つ選び、その章だけ読んだうえで明日の改善を一行に書くと進めやすい。

歯科衛生士のクリーニングの基本と誤解しやすい点

用語と前提をそろえる

この章では、歯科衛生士のクリーニングで混ざりやすい言葉を整理する。言葉がそろうと、患者への説明と院内連携が楽になる。

歯科衛生士の予防処置は、付着物や沈着物を機械的に除去することなどが法律上の定義として示されている。歯周治療の資料ではスケーリングやSRPが定義され、PMTCは専門家が選択的にプラークを除去する考え方として整理されている。

次の表は、現場でよく出る用語を短くそろえたものだ。よくある誤解と困る例を読んでから、確認ポイントを一つだけ実行するとズレが減る。 表2 用語と前提をそろえる表

用語かんたんな意味よくある誤解困る例確認ポイント
クリーニング清掃や研磨を含む広い言い方研磨だけのことだ歯石が残ったと言われる何をどこまでやるか説明する
スケーリング歯面のプラークや歯石を除去超音波だけで終わる取り残しが出る触知で確認する
SRP縁下歯石などを除去し根面を整えるいつもの清掃と同じだ痛みと出血が増える適応と回数を歯科医師と確認
PMTC専門家が歯面のプラークを機械的に除去どんな汚れも一回で落ちる期待が過大になる目的と限界を先に伝える
SPT歯周治療後の継続管理の一部検査なしでも良い悪化を見逃す検査とセットにする
メインテナンス病状安定後の健康管理来れば安心だセルフケアが弱いホームケア目標を決める
歯面研磨ペーストで表面を整える強く磨くほど白いしみると言われる研磨条件を見直す
触知器具でざらつきを感じ取る確認目で見れば十分だ歯石の取り残しが続く最後に必ず触って確認する
レスト手指を支える支点なくてもできる手がぶれて痛みが出る支点を作ってから動かす

表は、用語を暗記するためではなく、説明のズレを防ぐために使う。院内で意味が人によって違う職場や、患者に期待を上げ過ぎてしまいがちな人ほど、確認ポイントを一つだけ決めて繰り返すと効果が出やすい。患者向けには難しい言葉を避け、汚れを落とす処置と磨いて整える処置を分けて話すと伝わりやすい。

言葉のズレは、技術より先に不満の種になる。今日のうちに自院で使う言い方を一枚にまとめ、スタッフ間でそろえると明日からの説明が安定する。

クリーニングは何をするかを工程で理解する

この章では、歯科衛生士のクリーニングを工程として分解し、抜けやすい部分を見つける。工程が見えると、下手と感じる原因も特定しやすい。

公的な職業情報では、歯科衛生士が予防処置や診療の補助、歯科保健指導を行うと示され、PMTCは専門家による歯面清掃として説明されている。学会資料でも、プラークコントロールやスケーリングが歯周病の治療と予防の根幹であると整理されている。

工程は、情報収集、口腔内の確認、清掃と除去、仕上げ、説明と次回計画の順に並べると整理しやすい。たとえば初診に近い状態では、歯周組織検査や生活背景の聞き取りを先に行い、必要なら分割して処置するほうが痛みが減りやすい。

短時間で全部を詰め込むと、説明と評価が抜けやすい。逆に、評価と説明があると患者の納得が増え、少し取り残しがあっても次回につなげやすい。

まずは自分のクリーニングの流れを紙に書き、抜けている工程を一つだけ埋めると質が上がる。

クリーニングが不安な人は先に確認したほうがいい条件

患者の状態と予約枠でやり方が変わる

この章では、同じ手技でも結果が変わる条件を確認する。条件を見落とすと、上手い下手の前に無理な処置になる。

歯周病の資料では、プラークが歯肉炎や歯周炎の主要因であり、これを除去して維持することが治療と予防の根幹だと整理されている。さらに、病状安定後もSPTやメインテナンスが不可欠とされ、継続管理の重要性が示されている。

痛みが出やすい条件は、炎症が強い、露出根面が多い、縁下歯石が多い、口が開きにくい、呼吸が苦しいなどが重なったときだ。予約枠が短い日に無理に仕上げようとすると、圧が強くなりやすいので、どこまで行うかを先に決めて説明する。

体調や服薬の情報も見落としやすい。出血傾向や全身疾患の管理が関わるときは、歯科医師と相談しながら処置範囲やタイミングを調整したほうが安心だ。

まずは次の患者で、痛みが出やすい条件を二つ確認し、処置範囲を言葉にしてから始めると落ち着く。

自分の手技と環境を客観的に見る

この章では、下手に見えやすい原因を自分の外側にも探す。環境を整えると、同じ技術でも再現性が上がる。

超音波スケーラーはチップの当て方や角度で効果と歯面への影響が変わることが、メーカーの資料で示されている。たとえばチップ先端から2mmから3mm程度の側面を使い、歯面に対して約15度の角度を目安にするなど、道具の設計に沿った使い方が紹介されている。院内感染対策についても厚生労働省が通知を出しており、器材管理や飛沫対策は日常業務の前提になる。

客観視のコツは、目と手と時間の三つを点検することだ。視野が取れないならミラーの位置やライト、バキュームの位置を直す。手が滑るなら把持とレストを見直す。時間が押すなら工程の順番を固定して、最後の説明時間を最初に確保する。

器材の摩耗や研ぎ具合も影響する。切れない器具は圧を強くしがちで痛みにつながるので、研ぎの習慣と交換の基準を院内で共有したほうがよい。研ぎのマニュアルでは、鈍い刃は刃先に光が反射するという簡単な見分け方も紹介されている。

まずは自分の苦手な部位を一つ選び、視野の取り方とレストの位置だけを先に決めてから触知すると改善しやすい。

歯科衛生士のクリーニングを上達させる手順とコツ

手順を迷わず進めるチェック表

この章では、歯科衛生士のクリーニングを標準化するための手順を示す。型があると、忙しい日でも質を落としにくい。

歯科衛生士の予防処置は法律に基づく枠があり、歯周治療の資料ではスケーリングやSRPなどの位置づけが説明されている。超音波スケーラーのチップ角度や当てる部位についてはメーカー資料に具体的な目安が示されている。

次の表は、初学者でも迷いにくい順番で並べたチェック表だ。目安時間は職場の枠に合わせて調整し、つまずきやすい点を先に潰す使い方が合う。 表4 手順を迷わず進めるチェック表

手順やること目安時間や回数つまずきやすい点うまくいくコツ
1目的と今日の範囲を決める1分目的が曖昧痛みと汚れの優先を決める
2既往歴と口腔内を確認する3分聞き漏れ出血やしみる部位を確認
3視野とレストを整える1分姿勢が崩れる先にライトとバキュームを決める
4縁上の沈着物を除去する10分圧が強いフェザータッチで小刻みに動かす
5必要なら縁下へ進む10分痛みが出る合図と中断を先に共有
6研磨と最終チェックをする5分仕上げが雑触知とミラーで確認
7説明と次回計画を伝える2分時間切れ説明時間を最初に確保

表は、上から順にやるほど迷いが減る構造だ。毎回のやり方が違って疲れている人や、時間内に終わらず焦りやすい人ほど、この順番を守ると手が安定する。目安時間は目安なので、手順1と手順7だけは残し、処置範囲を調整して守るほうが安全である。

型は作って終わりではなく、週に一度だけ更新すると定着する。今日の勤務で表を一枚印刷し、終業後に手順4のつまずきを一つ書き足すと改善が回り始める。

痛みを減らし仕上がりを上げるコツ

この章では、患者が痛いと言いにくい状況でも、痛みを減らしつつ取り残しを減らすコツをまとめる。クリーニングが下手と言われる原因は、痛みと不安が重なったときに増えやすい。

歯周治療の基本的な考え方では、プラークを除去し維持することが根幹であり、スケーリングやSRPがその手段として整理されている。PMTCは専門家が器具とペーストを用いてプラークを機械的に除去する方法として公的資料でも説明されている。

コツは、圧を弱くして回数で取る発想に切り替えることだ。超音波なら歯面に沿わせ、チップ先端から2mmから3mm程度の側面を意識し、歯面に対して約15度の角度を目安にして当てると安定しやすい。手用器具ならレストを確保し、刃が切れる状態を維持し、短いストロークで触知しながら進めると痛みが減りやすい。

痛みが強い場合は、手技だけで押し切らないほうがよい。炎症が強い日や知覚過敏が強い患者は、回数を分ける、先にホームケアを整える、必要なら歯科医師に相談して処置計画を変えるなどの選択肢がある。

まずは次の患者で、合図の取り決めと処置の区切りを先に伝え、圧を半分にしてストローク数を増やす練習をすると変化が出る。

クリーニングが下手だと感じるときの失敗と防ぎ方

失敗パターンと早めに気づくサイン

この章では、下手に見えやすい失敗を先に知り、早めに修正する。失敗は性格ではなく、手順の穴として出やすい。

歯周病はプラークコントロールが不十分だと再発しやすく、SPTやメインテナンスが欠かせないという考え方が学会資料で示されている。つまり、取り残しや説明不足が続くと、短期の満足だけでなく長期の安定にも影響しやすい。

次の表は、現場で起きやすい失敗をサインとセットで整理したものだ。左から順に見て、原因より先に防ぎ方を選ぶと立て直しが早い。 表5 失敗パターンと早めに気づくサインの表

失敗例最初に出るサイン原因防ぎ方確認の言い方
痛いと言われる体がこわばる圧が強い圧を下げ回数で取る痛かったらすぐ合図してほしい
取り残しが多い触るとざらつく触知が不足最終触知を必ず入れる仕上がりを一緒に確認する
出血が増える水が赤い炎症が強い日範囲を区切り分割する今日はここまでにして次回続ける
研磨のし過ぎしみるが増える長時間研磨根面は条件を見直すしみるところは避けて進める
説明が短い不安そうな表情時間切れ説明を二文で固定今日は何をするか先に伝える
時間が足りない焦って手が重い工程が揺れる手順を固定する今日は優先を決めて進める

表は、最初のサインが出たらすぐ防ぎ方へ移るために使う。痛みの訴えが続いて自信が落ちている人や、時間に追われて仕上げが雑になりやすい人ほど役立つので、確認の言い方を自分の言い方に合わせて短く整えるとよい。失敗例が複数当てはまる場合は、説明と時間の行から直すと効果が出やすい。

失敗をゼロにする必要はない。今日の勤務で表のうち一行だけ選び、確認の言い方を実際に口に出してから処置に入ると変化が出やすい。

下手と言われたときのコミュニケーション

この章では、患者にクリーニングが下手と言われたときの受け止め方と次の打ち手を整理する。言い返すより、安心と納得を作るほうが結果が良くなりやすい。

PMTCは専門家が器具とペーストを用いて歯面のプラークを機械的に除去する方法として公的資料でも説明されている。患者にとっては専門家に任せて良くなる期待があるため、痛みや不快があると評価が厳しくなりやすい。

やり方は、まず困っている点を具体化してもらい、次に原因候補を短く共有し、最後に対応案を提示する流れが安定する。たとえば痛いと言われたら、炎症が強い部位は痛みが出やすいことを伝え、今日は範囲を区切る、圧を弱くする、合図で止めるなどを提案する。

すべてを自分の技術不足だと決めつけないほうがよい。強い痛みや出血が続く場合は、歯科医師の診査や処置計画の見直しが必要なこともあるし、患者の言動が攻撃的なときは院内で共有して対応を統一したほうが安全だ。

まずは次のクレーム対応に備えて、合図の取り決めと範囲を区切る説明を二文で用意し、院内で共有すると落ち着いて対応できる。

歯科衛生士のクリーニングを改善する判断軸

判断軸で道具と手順を選ぶ

この章では、歯科衛生士のクリーニングで迷いやすい道具と手順の選び方を整理する。選び方が決まると、下手に見えやすいムラが減る。

歯周治療の資料ではスケーリングとSRPが整理され、PMTCは専門家が機械的にプラークを選択除去する考え方として説明されている。超音波のチップ角度や当てる部位はメーカー資料に目安があり、道具の設計に沿って使うことが前提になる。

次の表は、よくある判断場面を軸にして、合いやすい選択を整理したものだ。おすすめになりやすい人と向かない人を見比べ、チェック方法で現場に落とすと判断がぶれにくい。 表3 選び方や判断軸の表

判断軸おすすめになりやすい人向かない人チェック方法注意点
超音波中心か手用中心か広範囲を効率よく進めたい人強い知覚過敏が多い人痛みの出やすさを記録角度と圧を先に整える
研磨の比重着色が強い患者が多い根面露出が多いしみる訴えの頻度研磨条件を調整する
1回で仕上げるか分割か初診で軽度の沈着炎症と縁下歯石が多い出血と痛みの程度無理に完走しない
染め出しを使うかモチベーションが必要時間が極端に短い予約枠と目的目的が合うときだけ使う
フッ化物の扱いう蝕リスクが高いアレルギーの懸念がある既往歴と歯科医師の指示指示と記録をセットにする
指導の深さ継続が弱い患者が多いすでに自立しているホームケアの達成度押しつけにならない

表は、完璧な選択を探すためではなく、合わない選択を避けるために使う。道具の選び方が揺れて時間が押す人ほど、まず一つの軸だけ決めると判断疲れが減って手が安定する。特に分割の判断と指導の深さは患者満足に直結しやすいので、迷ったらここから決めたい。

選び方は職場の方針にも左右される。今日のうちに自分が迷う判断軸を一つ選び、チェック方法を一週間だけ記録してみると次の改善が見える。

学び直しと評価のしかた

この章では、クリーニングが下手だと感じるときに、学び直しと評価をセットで回す方法をまとめる。学ぶだけでは不安が消えにくいので、評価指標を持つと前に進む。

日本歯科衛生士会は研修や学習機会を案内しており、歯周治療の基本技術などの学びが体系化されている。学会資料でも継続管理の重要性が示されているため、学びは一度で終わらせず反復する前提が合う。

評価は、仕上がり、痛み、時間の三つを見える化するとよい。仕上がりは触知でざらつきが減ったか、痛みは合図が何回出たか、時間は説明時間を確保できたかで測れる。週に一度だけ振り返り、数値でなくても回数で記録すると続きやすい。

守るべき点は、患者情報の扱いである。動画撮影や記録の共有は便利だが、院内ルールと個人情報の配慮が欠かせないため、自己判断で外部へ出さないほうが安全だ。

まずは評価項目を三つに絞り、次の一週間は合図の回数だけ記録してみると改善が追える。

場面別に見る歯科衛生士のクリーニングの考え方

新人がつまずきやすいクリーニング

この章では、新人歯科衛生士がクリーニングでつまずきやすい点を整理する。つまずきは基礎が固まる途中に出るので、順番を守ると抜ける。

公的な職業情報では、歯科衛生士は歯科医師の指導の下で予防処置や診療補助、保健指導を行うとされている。日本歯科衛生士会の活動紹介でも、PMTCやメインテナンスなど予防処置に関わる業務が挙げられている。

新人が伸びやすいコツは、スピードより再現性を優先することだ。まずレストと視野を固定し、次に一歯面ずつ触知して進める。説明は二文で良いので、何をするかと痛かったら止めることを必ず伝える。

焦って範囲を広げると、圧が強くなりやすい。時間が足りないときは、今日の範囲を絞り、次回につなげる説明を入れたほうが患者の信頼は落ちにくい。

まずは今日の業務で、レストの位置と最終触知の有無だけをチェックし、できた回数を数えると成長が見える。

ブランク復帰で差が出るクリーニング

この章では、ブランク復帰の歯科衛生士がつまずきやすい点を整理する。器材や感染対策の変化があると、感覚が合わずに下手だと感じやすい。

厚生労働省は歯科医療機関における院内感染対策の通知をまとめており、業界として対策が更新され続けている。メーカーの資料でも超音波スケーラーのチップ当て方などが具体化されており、器材の世代差が手技に影響する。

復帰のコツは、まず標準化された手順を一つ作り、次に器材のクセを覚えることだ。超音波の設定は出力と注水のバランスから始め、チップの摩耗も確認する。手用器具は研ぎを先に整え、切れる状態で触知の感覚を取り戻すと早い。

体力面の差も出やすい。無理な姿勢で長時間続けると腕や腰を痛めやすいので、予約枠の調整や処置の分割も選択肢として持つと安心だ。

まずは復帰一週目は一日一回だけ振り返りを入れ、うまくいった工程を一つメモすると自信が戻る。

歯周病管理で必要になるクリーニング

この章では、歯周病管理の中でクリーニングがどう位置づくかを整理する。ここが曖昧だと、PMTCとSRPの境目で迷いやすい。

学会の資料では、歯周病は再発の危険が高いためSPTやメインテナンスが不可欠とされている。別の資料ではスケーリングは縁上の沈着物を除去すること、SRPは縁下歯石や病的な根面を除去することとして整理されている。

コツは、検査と処置と再評価をセットにして考えることだ。ポケットの深さや出血が残る場合は、クリーニングで終わらせず、歯科医師と治療計画を共有する。SPTやメインテナンスでは、セルフケアの達成度を見ながら、専門的ケアの頻度や内容を調整する。

深いポケットや根分岐部など、一般的な清掃で改善しにくい部位もある。難しい部位は抱え込まず、院内の得意なスタッフに相談し、必要なら専門的歯周治療につなげる視点が大切だ。

まずは次の歯周病患者で、出血部位とプラーク付着のどちらを優先するかを決め、処置後に一か所だけ再評価すると上達が早い。

よくある質問に先回りして答える

FAQを整理する表

この章では、歯科衛生士のクリーニングでよくある疑問を先に整理する。疑問が言語化できると、相談と学びが短くなる。

歯科衛生士の業務範囲は法律と公的資料で整理され、PMTCは専門家による歯面清掃として説明されている。歯周治療の資料でもスケーリングやSRP、継続管理の考え方が示されており、疑問は用語の違いから生まれやすい。

次の表は、質問と短い答えをセットにしたものだ。短い答えで方向を決め、次の行動で職場の基準に合わせると迷いにくい。 表6 FAQを整理する表

質問短い答え理由注意点次の行動
クリーニングとPMTCは同じか目的と範囲が違うことがある定義が異なる呼び方は医院で違う自院の定義を確認する
超音波だけで十分か症例で変わる触知が必要当て方で差が出る仕上げ触知を入れる
SRPはいつするか適応を歯科医師と確認する縁下の処置が関わる無理に一回で終えない検査と計画を共有する
痛みが強い患者はどうする範囲を区切り合意を取る炎症で痛みが変わる我慢させない合図と中断ルールを作る
研磨でしみると言われる条件を調整する根面は刺激に弱い長時間研磨を避ける研磨手順を見直す
下手と言われたらどうする具体化して対応案を示す不安が混ざる反論しない次回の計画を提案する

表は、質問をそのまま院内の相談に持っていける形にしてある。疑問が多くて学びが散らかっている人ほど、まず一つだけ質問を選び、短い答えで方向を決めたうえで次の行動で確認すると安全である。短い答えで安心しすぎず、必ず職場の基準に合わせることが大切だ。

疑問はため込むほど不安になる。明日の勤務で、表の中から一つ選び、歯科医師に確認する質問を一行にして持っていくと前に進む。

下手に見えやすい誤解をほどく

この章では、患者や自分が抱きやすい誤解をほどき、下手という評価から距離を取る。誤解が減ると、必要な改善がはっきりする。

公的資料ではPMTCが専門家による歯面清掃として説明され、学会資料ではプラークコントロールの継続が歯周病の治療と予防の根幹だと示されている。つまり、一回で完璧にする発想より、継続で改善する設計が現実に合う。

誤解の一つは、痛いなら必ず下手だという思い込みだ。炎症が強い部位や露出根面は痛みが出やすいので、痛みの原因を説明し、合図で止めることを約束すると評価が変わりやすい。別の誤解は、つるつるなら良いという思い込みで、取り残しは触知でしか分からないことがある。

言い訳に聞こえる説明は逆効果になる。原因を並べるより、今日はここまで、次回ここを改善するという計画を短く提示したほうが納得されやすい。

まずは次の患者説明で、痛みが出る理由と中断できることを一文ずつ加え、次回計画まで話すと誤解が減る。

歯科衛生士がクリーニングに向けて今からできること

今日からできる改善の一歩

この章では、歯科衛生士のクリーニングを今日から改善するための最小ステップを示す。大きく変えるより、小さく続けるほうが上達しやすい。

学会資料では、歯周病はプラークコントロールが不十分だと再発しやすく、SPTやメインテナンスが不可欠とされている。つまり、クリーニングは継続の仕組みとして磨くほど価値が出る。

改善の一歩は、説明を固定する、最終触知を固定する、圧を下げるの三つから一つ選ぶとよい。説明は二文で良いので、今日の範囲と合図を伝える。最終触知は全顎でなくても良いので、苦手部位だけでも必ず確認する。圧は半分にし、回数で取る練習をする。

完璧を目指すと疲れやすい。忙しい日は範囲を区切り、説明と評価だけは残すと、患者の納得が上がりやすい。

まずは今日の勤務で一つだけ固定し、終業後にできた回数を数えて次の日に引き継ぐと上達が続く。

一か月の練習計画を作る

この章では、クリーニングが下手だと感じる状態から抜けるために、一か月で取り組む計画を作る。計画があると、反省が次の手に変わる。

日本歯科衛生士会は学習機会を案内しており、歯周治療の基本技術などを学べる枠が用意されている。メーカー資料にも器材ごとの使い方が整理されているため、学びは技術と道具の両方を合わせたほうが早い。

計画は週ごとにテーマを一つに絞ると続きやすい。第一週は説明を二文で固定し、合図の回数を記録する。第二週は視野とレストを固定し、最終触知の回数を増やす。第三週は超音波の当て方を見直し、角度と当てる部位を意識する。第四週は振り返りで失敗を一つだけ減らし、次月の課題を決める。

無理な練習は体を痛めやすい。痛みが出る姿勢や力の入れ方があるなら、短時間で区切り、必要なら先輩に見てもらうほうが安全である。

まずは今日、四週間のテーマを一行ずつ書き、来週までに達成したい回数を一つだけ決めると実行に移せる。