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歯科衛生士の退職理由や転職理由はどう答えればいい?面接時での伝え方やポイントについて、例文もふまえて解説!

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歯科衛生士の転職は珍しくない?データで見る実態

まず大前提として、歯科衛生士が転職することは決して珍しくありません。 実際、公益社団法人日本歯科衛生士会が2025年(令和7年)に公表した勤務実態調査によれば、「勤務先の変更を経験したことがある」と答えた歯科衛生士は全体の約8割にも上りました。前回調査(令和2年)では約76%だったため、年々その割合は増加傾向にあります。つまり歯科衛生士の多くが一度は転職を経験しており、転職自体はごく一般的なキャリアの一部と言えるでしょう。

では、歯科衛生士たちはどのような理由で仕事を辞め、転職に踏み切っているのでしょうか。日本歯科衛生士会の同調査によると、歯科衛生士が勤務先を変えた理由として特に多かったのは「出産・育児」「院長など経営者との人間関係」「結婚」「給与・待遇の面」「勤務形態・勤務時間」といった項目でした。それぞれ複数回答で約30%台の回答率を占めており、その他「仕事内容」「スキルアップのため」といった理由も続いています。つまりライフステージの変化や職場の人間関係、労働条件への不満、キャリア志向など、様々な要因で転職を決意する歯科衛生士が多いのです。

なお背景として、歯科衛生士は99%近くが女性の職業であり、結婚や出産といったライフイベントによる生活環境の変化に直面しやすいことが挙げられます。また歯科医院は一般企業に比べ小規模で院長個人の経営する職場が多いため、人間関係の影響が大きく働きやすい環境です。加えて現在の歯科衛生士求人市場は求人数の方が求職者数より多い「売り手市場」でもあり、より良い条件や環境を求めて前向きに転職を検討しやすい状況もあるでしょう。

面接で退職理由を聞かれるのはなぜ?

転職活動の面接では、前職を辞めた理由・転職しようと考えた理由はほぼ確実に質問されます。「なぜ前の職場を辞めたのですか?」「どうして当院に転職したいのですか?」といった形で尋ねられるこの質問には、採用側の明確な意図があります。面接官が退職理由を確認するのは、「応募者が同じ理由ですぐまた辞めてしまわないか」そして「応募者の叶えたいことが自社(応募先)で実現可能かどうか」を見極めたいからです。

具体的には、短期間での早期離職のリスクがないかを企業側は非常に気にしています。前職の退職理由がネガティブな場合、同じ不満が当院でも生じればこの人はまた辞めてしまうのでは?と判断材料にされかねません。また同時に、その人の価値観や志向が自院の環境とマッチするかも重要なポイントです。応募者が前の職場でやりたかったこと・満たされなかったことが、転職先である自院では実現できる内容であれば「長く活躍してくれそうだ」と期待できます。しかし、求めるものと提供できるものに大きなミスマッチがある場合、たとえ採用しても早期に辞められてしまう恐れがあります。こうした理由から、面接官は退職(転職)理由の質問を通じて「長く続けて貢献してくれそうな人か」「自分の医院の方針や環境に合った人か」を慎重に見極めているのです。

退職理由を面接で伝えるときのポイント

それでは、面接で退職理由・転職理由を答える際にどんな点に気を付ければ良いのでしょうか。基本方針は「正直さ」と「前向きさ」を両立させること」です。具体的には以下のポイントを意識しましょう。

前職への不満はポジティブな表現に言い換える

前職を辞めた理由が人間関係や待遇への不満だった場合でも、その不満をそのままネガティブに伝えるのは避けます。面接の場で前の職場の悪口や愚痴ばかりを述べると、「この応募者は根性がないのか」「また不満があれば辞めてしまうのではないか」という悪印象を与えてしまいがちです。たとえ原因が自分に非のない事柄であっても、単に前職への文句を並べる回答はNGと心得ましょう。

そこで大切なのが、できる限りポジティブな表現に言い換えて伝える工夫です。例えば「院長の態度が厳しかった」「残業が多くて嫌だった」といった本音をそのまま言うのではなく、「より良いコミュニケーションが取れる職場で働きたいと考えた」「業務効率を改善して患者様に向き合う時間を確保したいと思った」といった前向きな言い回しに置き換えます。実際に不満があった点そのものではなく、「それを改善できる環境で自分は何をしたいか」を述べることで、単なる不平ではなく建設的な転職理由として伝えることができます。

退職に至るまでに行った努力も伝える

前職で辛い状況や不満があったとしても、「すぐ投げ出してしまう人」と思われないために、問題解決に向けて自分なりに努力や工夫を試みたこともアピールしましょう。面接官は退職理由そのものだけでなく、その問題に対してあなたがどのように対処しようとしたかも知りたがっています。たとえば人間関係で悩んだ場合は信頼できる同僚に相談した、業務量が多い中でもタイムマネジメントを改善しようと取り組んだ、など具体的な行動を添えると良いでしょう。

こうした姿勢を示すことで、面接官に対して「単に不満があって辞めたのではなく、自分なりに解決に努めた上での前向きな決断である」ことが伝わります。結果的に退職する選択をしたとしても、問題解決に挑戦した経験は次の職場できっと活かせるはずです。努力をした上での退職である旨を伝えることは、あなたの積極性や責任感を示す材料にもなるのです。

退職理由を志望動機につなげて説明する

退職理由を答える際には、そのまま志望動機とも一貫性のあるストーリーにすることが重要です。ただ前職を辞めた理由を述べるだけで終わらせず、「だから御社(応募先)で働きたい」という展開につなげると面接官も納得しやすくなります。実際、面接では退職理由と志望動機はセットで質問されることが多く、内容も密接に関連しています。

具体的には、まず退職(転職)を決意した理由をできるだけ具体的に述べます。そのうえで、「その課題を克服し〇〇が実現できる環境として御社を志望した」という形で志望理由に結び付けましょう。例えば「患者様とじっくり向き合いたいと思い~だから、担当制で診療時間にゆとりのある御院に魅力を感じ志望しました」といった具合に、転職理由と志望先でやりたいことをセットで語るのです。こうすることで回答に一貫性が生まれ、前職を辞めた理由も前向きかつ納得感のあるものとして伝わります。面接官にも「この人は転職によって何を実現したいのか」が明確に伝わり、好印象につながるでしょう。

以上のポイントを踏まえつつ、次章からは具体的なケースごとの伝え方と回答例文を紹介します。ご自身の退職理由に近いケースを参考に、面接でどのように説明すると良いかイメージしてみてください。

結婚や出産が理由ならどう伝える?

結婚や出産、育児などライフイベントに伴う退職理由は、歯科衛生士に非常によくあるケースです。こうした家庭の事情で転職する場合、面接官に伝えるポイントは「家庭と仕事を両立しながら長く働き続けたい」という意欲を示すことです。ライフステージの変化で職場を辞めざるを得なかった人の場合、採用側は「また家庭の事情ですぐ辞めてしまわないか?」という不安を抱きがちです。したがって、「環境が整えば腰を据えて働きたい」という前向きな意思をしっかり伝えることが大切です。

例えば結婚により引っ越しをして通勤が難しくなった、あるいは出産後に現在の勤務形態では育児との両立が難しくなった、といった場合を考えてみましょう。その際は、単に「通勤が大変だから」「両立できないから」ではなく、「家庭と仕事を両立できる職場で長く貢献したい」という方向性で答えます。以下に具体的な例文を示します。

回答例

「結婚を機に前職を退職いたしました。結婚後の転居で職場までの通勤時間が大幅に長くなり、家庭との両立が難しくなったためです。しかし仕事は歯科衛生士として今後も続けていきたいと思っており、家庭と両立しやすい環境で長く働ける職場を探していました。御院は残業が少なく育児中のスタッフも活躍していると伺い、私もここでなら腰を据えて患者様に向き合いながら成長できると感じ志望いたしました。」

解説: 結婚や育児を理由に転職する場合の回答では、「家庭優先で仕事を二の次にしている」と受け取られないよう注意が必要です。この例文では「両立が難しい」という理由を挙げつつも、「それでも歯科衛生士の仕事を続けたい」「長く働きたい」という強い意欲を示しています。また、新しい職場として応募先を選んだ理由に「残業が少ない」「育児中のスタッフも活躍している」といった具体的な魅力を挙げ、家庭と仕事を両立できる環境で貢献したいという前向きな動機につなげています。実際、少人数の歯科医院では産休・育休を取りづらかったり急な休みに対応できなかったりするケースもあり、より体制の整った職場へ転職する歯科衛生士は少なくありません。そのため、「環境さえ整えば自分は長期的に働く意思がある」としっかり伝えることで、面接官の不安を和らげる効果が期待できます。

職場の人間関係が理由ならどう伝える?

「院長や同僚との折り合いが悪かった」「職場の雰囲気が合わなかった」など人間関係の悩みも、歯科衛生士の代表的な退職理由の一つです。実際、歯科医院は狭い空間で少人数が働くため、人間関係がこじれると働きづらさが一気に高まる傾向があります。このような場合、面接での伝え方のポイントは「主観的な不満ではなく、客観的な職場環境の課題として説明し、それを改善できる環境を求めている」という形にすることです。

人間関係トラブルをそのまま話すとどうしても前職の批判になりがちです。そこで例えば、「前職ではスタッフ間の情報共有が不足し、自分の力を十分発揮できないもどかしさがありました。チームワークを重視する職場で患者様により良いケアを提供したいと考え、転職を決意しました。」というように、自分の感じた課題を前向きな希望に言い換えて伝えます。以下に具体的な例を示します。

回答例

「前職の歯科医院ではスタッフ同士で連携を取る機会が少なく、治療方針の共有不足から患者様対応にばらつきが出ることがありました。私自身、もっとチームで協力して患者様を支えたいという思いが強くなり、スタッフ間の連携を大切にする職場で働きたいと考えるようになりました。御院は担当制やカンファレンス等の仕組みが整っているとお聞きし、理想とするチーム医療が実践できると感じ応募いたしました。」

解説: 人間関係が理由の場合、決して「前の院長がひどかった」「同僚と合わなかった」など人格的な批判をしないことが鉄則です。代わりに、この例のように「情報共有の不足」「連携の機会が少ない」といった職場環境上の課題として言及すると角が立ちません。そのうえで「もっと協力して働きたい」「チーム医療を実践したい」という前向きな欲求を述べ、応募先ならそれが実現できると感じた具体的理由(担当制の有無や体制など)に言及しています。こうすることで、単に人間関係の好き嫌いではなく「より良い医療を提供するための環境を求めた転職」というポジティブな印象に転化できます。

もちろん実際には、人間関係の相性は働いてみないと分からない部分もあります。しかし、面接段階ではあなたの協調性や患者志向をアピールするチャンスととらえ、「どんな職場で自分が力を発揮したいと考えているか」を語ることが大切です。その姿勢が伝われば、面接官にも好印象を与えられるでしょう。

スキルアップ・キャリアアップが理由ならどう伝える?

「もっと専門的なスキルを身につけたい」「新しい分野に挑戦したい」といった前向きなキャリア志向も、歯科衛生士の転職理由として珍しくありません。むしろスキルアップ目的の転職はポジティブに受け止められやすい傾向があります。この場合、面接官に伝えるポイントは「具体的な目標」と「現職ではそれが難しい理由」をセットで示すことです。

例えば「〇〇の認定資格を取りたい」「小児歯科や訪問歯科など専門領域の経験を積みたい」といった明確な目標があるなら、それを堂々と伝えましょう。重要なのはその際に、「現職では○○の症例に携わる機会が少ないため難しい」など、今の職場では叶えづらい理由も補足することです。そうすることで、転職の動機に説得力が生まれ、前向きな挑戦であると理解してもらいやすくなります。

回答例

「私は将来的に日本歯周病学会認定歯科衛生士の資格を取得したいと考えております。しかし現在のクリニックでは一般診療が中心で専門分野の実地経験を積む機会が少なく、資格取得に必要な症例や研修の時間を確保することが難しい状況です。そこで、研修制度が充実し専門性を高められる環境を求めて転職を決意しました。御院では歯周病治療に力を入れているとうかがい、ここでなら高度な知識と技術を身につけながら患者様に貢献できると考え志望いたしました。」

解説: スキルアップ・キャリアアップを理由に転職する場合、自分の将来ビジョンがはっきりしていることを示すのがポイントです。この例では「○○の資格を取得したい」という具体的な目標を明言しています。そのうえで「現職では経験を積むのが難しい」という事情を添えることで、なぜ転職という手段が必要なのかを面接官に理解してもらいやすくしています。応募先についても、ただ「御社のほうが成長できそうだから」では説得力に欠けます。例文のように「御院は〇〇に力を入れていると知り、自分もその分野で貢献し成長したい」という形で、志望先で具体的に何を学び何を実現したいかを述べましょう。

なお、スキルアップ目的の退職理由は前向きで好印象を持たれやすい反面、「うちをキャリアの踏み台にするのでは?」と懸念される可能性もあります。「御社で長く働きながら成長したい」という姿勢も忘れず伝え、決して腰掛け的な転職でないことを強調すると良いでしょう。明確な目標と誠意ある姿勢が伝われば、面接官も応援したい気持ちになるはずです。

給与や勤務条件が理由ならどう伝える?

「残業が多くてきつい」「休みが少ない」「給与が低い」といった労働条件への不満も、退職理由として現実には多く聞かれます。歯科衛生士の平均年収は約350~380万円程度とされ、全職種平均より低めで推移しています。そのため「仕事量に見合わない待遇だ」と感じて転職を考える人がいるのも事実です。

しかし面接で待遇面の不満をそのまま伝えるのはリスクがあります。「給与が低いから辞めました」「楽をしたいから残業が少ない所がいいです」では、採用側に「うちでも不満があればまた辞めるのでは」と警戒されかねません。そこで伝え方のポイントは、待遇改善によって実現したい前向きな目的にフォーカスすることです。

例えば残業過多が理由であれば、「より効率的に働き、自己研鑽の時間も確保できる職場で成長したい」という表現にします。給与面が理由であれば、「収入面の安定も図りながら、〇〇のような自費診療スキルを磨きたい」等、単にお金が欲しいのではなく向上心や貢献意欲があることを強調しましょう。

回答例

「前職では1日の来院患者数が非常に多く、毎日終業時間を過ぎても後片付けや記録が残っている状態でした。私なりに業務効率の改善提案も行いましたが大きな改善には至らず、このままでは患者様一人ひとりと十分向き合う時間が取れないと感じました。長く歯科衛生士を続けるためにもワークライフバランスを整えたいと考え、残業が少なく効率的に診療を行っている御院への転職を決意しました。」

解説: この例では「残業が多かった」というネガティブな事実を、そのまま愚痴としてではなく「患者と向き合う時間が取れない」という仕事の質の課題として述べています。また「効率化提案もしたが改善しなかった」というエピソードを入れることで、不満に対し主体的に行動したことをアピールしています。最後に「ワークライフバランスを整えたい」という言葉で、労働条件の改善を求めるのは自分勝手ではなく長く働き続けるために必要な前向きな選択であると示しています。

給与が理由の場合も同様に、「◯◯なスキルを身につけて収入アップを目指したい」など前向きな向上心とセットで語ると印象が良くなります。例えば「給与が安かったから」ではなく「予防歯科の知識を深め、自費診療にも対応できるようになって患者様にも還元し、その結果として収入も上げていきたい」といった具合です。実際、歯科衛生士の給与水準は近年わずかずつ上昇していますが、物価上昇も考慮すると生活水準は大きく変わっていないとの指摘もあります。そのため向上心を持つ衛生士ほど、「より高度なスキルを身につけ待遇も改善したい」と考えるのは自然なことです。面接ではその気持ちを正直に、しかし患者や医院にも貢献したいという文脈の中で伝えるように心がけましょう。そうすれば、「待遇だけが目当て」ではなく「向上心のある人材だ」という前向きな評価につながるはずです。

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