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全国で歯科衛生士の人数は?男女比率や年代での推移をデータで詳しく解説!

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全国の歯科衛生士の人数はどれくらい?

全国で働いている歯科衛生士が何人いるのかは、厚生労働省の統計により定期的に公表されています。最新のデータを確認すると、その数は年々増加傾向にあります。

2024年時点の歯科衛生士就業者数

厚生労働省が公表した令和6年末(2024年末)現在の就業歯科衛生士数は149,579人で、前回調査(令和4年末、2022年末)の145,183人から4,396人増加しています。この約15万人という数字は、全国の歯科医院・病院、保健所や教育機関などで働く歯科衛生士の合計です。働く場別に見ると、約9割の歯科衛生士は歯科診療所で勤務しており、その数は13万5千人以上にのぼります。残りの約1割は保健所や歯科衛生士養成所、企業など診療所以外の職場で活躍しています。これらの数字から、現在日本では約15万人の歯科衛生士が歯科医療現場を支えていることがわかります。

歯科衛生士の男女比率はどのくらい?

続いて、歯科衛生士における男女比率について見てみましょう。歯科衛生士といえば女性が多いイメージですが、実際には男性はほとんどいないのが現状です。

歯科衛生士の大半は女性

厚生労働省の統計によれば、歯科衛生士の99%以上を女性が占めています。つまり歯科衛生士という職種は圧倒的に女性が中心で、男性はごく一部にとどまっています。実数で見ると、令和2年(2020年)頃まで全国の男性歯科衛生士は100人未満でしたが、その後徐々に増え、令和4年(2022年)には男性歯科衛生士が171人となりました。それでも全体に占める割合にすると約0.1%程度に過ぎず、依然として女性がほぼ全てを占める状況です。

男性歯科衛生士が少ない理由

なぜこれほど男性歯科衛生士が少ないのかには、歴史的な経緯があります。実は1955年から長らく歯科衛生士法の定義に「女子」という言葉が使われており、「歯科衛生士=女性の職業」という位置づけが法律上も明確になっていました。男性については附則的に規定されていましたが、定義上は女性限定だったため、社会的にも男性が目指すケースは極めて稀でした。しかし2014年の法改正でこの「女子」という文言が「者」に改められ、法律上も男性が歯科衛生士になれる道が正式に開かれました。こうした法改正以降、徐々に男性の参入も増えてはいるものの、その数はまだわずかです。例えば2025年度に全国の歯科衛生士養成学校に在籍する男子学生は105名ほどで、この10年で約3.2倍に増えたとはいえ依然として少数です。このように男性の歯科衛生士は希少な存在であり、現場でも数えるほどしかいませんが、近年ではその希少性ゆえに活躍を期待される場面も出てきています。

歯科衛生士の人数は年々どう推移している?

歯科衛生士の人数は過去から現在まで一貫して増えてきています。ここ10年ほどの推移をデータで確認し、増加のペースを見てみましょう。

この10年で3万人以上増加した歯科衛生士数

全国の就業歯科衛生士数は調査のたびに増加を続けています。2012年頃には約10.8万人だったのが、2022年には14.5万人程度となり、この10年で約3.7万人も増加しました。増加率にすると約30%以上にもなり、歯科衛生士という職業の需要と人気の高さを裏付けています。要因としては歯科予防医療の重要性が認識されてきたことや、養成学校の定員充足率が向上したことなどが考えられます。

ただし直近の増加ペースはやや緩やかになっています。例えば令和2年末(2020年末)から令和4年末(2022年末)までの2年間では、就業歯科衛生士数は約2,423人の増加にとどまりました。毎年後述するように約7千人の新人が誕生している一方で、退職や一時離職する人も多く、純増は数千人規模にとどまっているのです。このように歯科衛生士数は長期的には増えているものの、直近では増加がやや頭打ちになりつつあることがうかがえます。

歯科衛生士の年齢構成は? 高齢化している?

次に、歯科衛生士の年齢層の分布を見てみましょう。若い人が増えているのか、それともベテラン層が中心になっているのか──年齢構成の推移から、業界の高齢化の状況が見えてきます。

若手歯科衛生士(25歳未満)の推移

厚生労働省の統計データによると、25歳未満の若手歯科衛生士の数は平成30年度(2018年)以降ほぼ横ばいで推移しています。新卒で就職する歯科衛生士は毎年一定数いますが、その後数年で25歳以上の層に移行したり、結婚・出産などで一時的に現場を離れる人もいるため、若年層の人数自体は増えていないと考えられます。つまり、毎年新しく若い歯科衛生士が誕生しているものの、その世代の在職者数は大きく変わらず横ばい状態なのです。

ベテラン層(50歳以上)の歯科衛生士増加

一方で50歳以上のベテラン歯科衛生士の割合は年々増加傾向にあります。令和4年末(2022年末)時点で50歳以上が就業者全体の26%を占め、過去最高となりました。さらに最新の令和6年(2024年)では50歳以上が全体の28.4%に達し、比率が一段と高まっています。具体的な人数の伸びを見ても、2010年を基準に比較すると50~54歳は2.3倍、55~59歳は3.5倍、60~64歳は4.7倍、65歳以上に至っては7.6倍にも増加しています。このように中高年層の歯科衛生士が大幅に増えており、資格を活かして長く働き続ける人が増加していることがうかがえます。若い頃に結婚や育児で一度現場を離れても、子育て後に復職してキャリアを重ねている歯科衛生士も多いと考えられます。その結果、歯科衛生士全体の年齢構成は徐々に高齢化が進み、経験豊富なベテランが占める割合が高まっているのです。

毎年どれくらいの歯科衛生士が誕生している?

ここまで現状の人数や構成を見てきましたが、新たに歯科衛生士になる人は毎年どの程度いるのでしょうか。歯科衛生士になるには養成学校を経て国家試験に合格する必要がありますが、その合格者数の推移を確認します。

年間約7千人が新たに資格取得

歯科衛生士国家試験の合格者数は毎年おおむね一定しており、例年約7,000人前後が新たに国家資格を取得しています。この数字は養成学校の定員数とも大きく関係しており、全国の養成校から毎年それだけの新卒歯科衛生士が供給されていることを意味します。新たな歯科衛生士が毎年7千人も生まれているおかげで、業界全体としては人材の供給が続いており、先述のように総数も長期的には増加傾向を維持しています。

しかし、それ以上に求人のニーズが高いのが現状です。2024年度には新卒歯科衛生士の就職者数が6,680人であったのに対し、求人数は158,320件にも上りました。つまり新人1人に対して平均23件以上の求人がある計算で、就職戦線は「超売り手市場」と言われる状況です。このように新たな歯科衛生士は毎年一定数増え続けていますが、それでもなお現場の求人需要のほうが上回っていることがわかります。

歯科衛生士免許保有者は何人? 就業率はどのくらい?

ここで一つ重要な点として、「免許を持っている人」と「実際に働いている人」の差があります。歯科衛生士の資格を持っていても、結婚や育児、他職種への転職など様々な理由で現場に出ていない人も多く存在します。では、歯科衛生士免許の保有者は何人いて、そのうちどれくらいが働いているのでしょうか。

免許保有者数と就業者数のギャップ

厚生労働省の調査によれば、歯科衛生士免許の登録者数は約31万4千人にのぼりますが、そのうち実際に就業している人は約14万5千人程度しかおらず、有資格者の半数以上が現場で働いていないのが現状です。割合にすると就業率はおよそ46%程度で、裏を返せば約50%以上の歯科衛生士が資格を持ちながら何らかの理由で就業していないことになります。

この大きなギャップは、歯科衛生士の離職率や復職の難しさを物語っています。せっかく資格を取得しても、結婚・出産を機に退職してそのまま復帰しないケースや、職場環境のミスマッチで離職してしまうケースが多いと考えられます。実際、結婚や育児のために一度仕事を離れる女性歯科衛生士も少なくありません。また、長時間労働や給与面への不満、職場の人間関係などから継続勤務を断念する人もいるでしょう。このように有資格者でありながら現場にいない人が多いことが、結果的に歯科衛生士不足を招く一因となっています。

歯科衛生士が不足すると言われるのはなぜ?

歯科衛生士の総数は増加していますが、依然として「人手不足」が叫ばれる業界でもあります。多くの歯科医院で歯科衛生士の求人が埋まらない状況があり、その背景にはいくつかの要因が指摘されています。なぜ歯科衛生士は不足していると言われるのか、その理由を考えてみます。

地域や就業機会に偏りがある現状

まず、地域による偏在の問題があります。全国の70%の都道府県で歯科衛生士が不足しているとの指摘もあり、この不足感は都市部・地方を問わず広範囲に存在しています。特に地方の過疎地域では歯科医院自体が少なく、そもそも歯科衛生士が働く就業先の選択肢が非常に限られているために、潜在的な歯科衛生士がいても職に就けない場合があります。地元に職場がなく泣く泣く別の職に就いたり、都市部へ流出してしまうケースも考えられます。

一方、都市部においても歯科衛生士の需要は旺盛で、求人倍率の高さから常に人材が不足気味です。前述のように新卒者向けの求人倍率が20倍を超えるような状況では、都市部でも慢性的に歯科衛生士が足りない歯科医院が存在します。地域を問わず広い範囲で就業機会と人材のミスマッチが起きていることが、業界全体としての「人手不足感」につながっていると言えるでしょう。

職場環境の問題やキャリアへの不安

もう一つの大きな要因は、職場環境や働き方に起因する離職です。歯科衛生士の仕事内容や待遇は勤務先によって差が大きく、場合によっては本来の業務範囲を超える過剰な仕事や、違法な歯科医行為の代行を求められるケースさえあります。こうした無理な業務を強いられれば、歯科衛生士がやりがいを失って辞めてしまうのも無理はありません。また、労働時間が長い、業務量が多いわりに賃金が低い、といった労働環境の不安定さも離職の一因です。正社員ではなくパートや派遣など非正規で働く場合は収入や雇用の安定性に不安があり、将来に展望が持てず職場を去ってしまう人もいるでしょう。

さらに、歯科衛生士の多くは女性であるため、ライフイベントによるキャリア中断も不足を招く要因です。結婚や出産を機に一度退職し、その後育児に専念して復職しないケースは珍しくありません。家庭と仕事の両立が難しく、優秀な人材であっても家庭の事情で職場に戻れないことがあります。このように職場環境の課題やキャリアへの不安から離職・休職する人が多いことが、結果的に現場での人手不足感につながっているのです。

歯科衛生士の今後の見通しはどうなる?

最後に、歯科衛生士数の今後の見通しについて考えてみましょう。現在まで増加を続けてきた歯科衛生士ですが、今後もこの傾向が続くのか、また人手不足解消のためにどのような対策が求められるのかが注目されます。

歯科衛生士数の増加傾向は今後も続く?

これまで見てきたように、歯科衛生士の数自体は長期的に増えてきました。この増加傾向は今後もしばらく続くとみられます。養成校からは毎年安定して新卒者が輩出されており(年間約7千人)、歯科医療ニーズも高齢化に伴って高まっているためです。高齢社会では高齢者の口腔ケア需要が増大し、歯科衛生士の役割はますます重要になるでしょう。その需要に応えるため、新人の参入は引き続き維持される見込みです。また、近年は男性の歯科衛生士志望者も増加傾向にあり(前述のとおり法改正後に男子学生も徐々に増えている)、微力ながら将来的な人材源の一つとして期待できます。

もっとも、歯科衛生士数が増えてもそれだけで人手不足が解消されるとは限りません。今後は数の確保と同時に、「働き続けてもらう」ための環境整備が重要になります。現在のところ高齢のベテランまで多くの有資格者が現場で活躍していますが、逆に言えば今後10~20年でその世代が引退期を迎える可能性もあります。若い世代の定着率を上げ、潜在的な人材の復職を促す取り組みを進めていかなければ、将来的な需要増に追いつかない懸念もあるでしょう。

長く働ける環境づくりが課題

歯科衛生士の数を将来にわたって確保するためには、長く働ける職場環境づくりが最大の課題となります。日本歯科衛生士会でも、若手歯科衛生士が仕事に定着できるよう支援することや、一度現場を離れた人が復職しやすい体制の整備が必要だと指摘しています。例えば、結婚・出産後も働き続けられるように勤務形態に柔軟性を持たせたり、ブランクのある人向けの再教育研修を充実させることが考えられます。また、給与水準や労働時間など待遇の改善も欠かせません。実際に、将来的には就業機会の拡大や労働環境の改善、女性の働き方支援などが進むことで、もっと多くの歯科衛生士が安心して働き続けられる環境になることが期待されています。有資格者がそのキャリアを長く活かせるような職場づくりを進めていくことが、歯科衛生士不足の解消と歯科医療の質の維持・向上につながっていくでしょう。