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歯科医師20代の平均年収は?地域や年代別の違い、勤務医・開業医・フリーランス等での違いなど解説!

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歯科医師20代の平均年収はどれくらい?

歯科医師は高収入のイメージがありますが、20代の平均年収は実際にはどの程度なのでしょうか。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和4年発表)によれば、歯科医師全体の平均年収は約810万円と報告されています。しかし、この平均にはベテラン世代も含まれるため、20代に絞ると数字は大きく異なります。調査データを年代別に見ると、20~24歳の歯科医師の平均年収は約210万円、25~29歳では約464万円という結果でした。20代後半でも平均で500万円弱程度となっており、同じ医療職の医師(医科)よりも控えめな水準です。ただし、この背景には歯科医師ならではのキャリア初期の事情が関係しています。

研修医の年収はどのくらい?

歯科医師は大学を6年間修了後、国家試験に合格してようやく免許を取得します。さらに卒業後1年間は臨床研修医(いわゆる研修歯科医)として研修を積むことが義務付けられており、この研修医期間中の給与はかなり低く抑えられるのが一般的です。研修医の給料は勤務先の病院や歯科診療所から支給されますが、月額12万~20万円程度と20万円を超えることはほとんどありません。年収にするとおよそ200万円前後に留まり、一般企業の新卒初任給と大差ないか、むしろ下回る水準です。厚生労働省も研修施設に対し「研修歯科医には最低賃金額以上の給与を支払う必要がある」と通知しており、最低賃金程度(年収200万円台)の給与でも法的には問題ないと示されています。実際、多くの研修歯科医は年収200万円台(手取りは月十数万円)で働いており、この1年目が歯科医師人生で最も収入が低い時期となります。研修医の給与は勤務地によって若干異なり、都心の大学病院か地方の研修施設かで差はありますが、大半は厳しい金額です。このように20代前半(24~25歳頃)の歯科医師の年収が低いのは、研修期間ゆえだといえるでしょう。

研修後の20代後半では年収はどうなる?

研修が明けて正式に「勤務医」として働き始めると、歯科医師の収入は2年目以降に大きく増加します。研修期間が終わる25~29歳では平均年収が約460万円となり、1年目に比べ倍増以上の伸びを示します。具体的には研修終了直後の2年目で月給35~40万円程度まで昇給し、賞与(ボーナス)も支給されるようになるため、年収が一気に400~500万円台に乗るケースが多いです。実績として、3年目(27歳前後)で年収500万円を下回ることは少なく、早い人では5年目(28~29歳頃)に年収1000万円以上を提示されるケースも出てきます。もっとも、1000万円クラスの待遇は自由診療の多いクリニックや都市部の高待遇求人など一部であり、20代後半の歯科医師全体では概ね500万~600万円台が現実的な範囲でしょう。歯科医師1年目こそ収入は低いものの、2年目以降は「高収入の専門職」という世間のイメージに近づいていくことになります。この時期は収入よりも経験を重視して職場を選ぶ傾向もあり、給与水準は勤務先の方針や診療内容によって差が出ます。例えば、インプラントなど自費診療の割合が多いクリニックや、夜間診療を行う職場では若手でも比較的高給与になりやすい傾向があります。一方で、大学院に進学して研究に携わりながら非常勤で診療する場合などは年収が抑えられることもあります。いずれにせよ、20代後半になると歯科医師の収入は研修医時代より格段にアップするため、生活にゆとりが出始め将来設計もしやすくなるでしょう。

地域によって歯科医師の年収は違う?

同じ歯科医師でも、働く地域によって年収に差が生じることがあります。一般的に医師などでは都市部のほうが収入が高いケースが多いですが、歯科医師の場合は必ずしも「都会ほど高年収」とは限りません。厚生労働省の賃金統計を都道府県別に見ると、むしろ地方の県が意外な高年収ランキング上位に入ることもあり、地域差は一概に語れないのです。ここでは都道府県別データをもとに、地域ごとの歯科医師年収の違いを見てみましょう。

都道府県別の平均年収ランキング

賃金構造基本統計調査の都道府県別データ(2020年調査)によれば、歯科医師の平均年収が最も高かったのは富山県の1,825万円でした。次いで2位が長野県1,777万円、3位が大分県1,503万円と、上位には必ずしも人口の多い大都市圏ではない地域が並びます。一方、東京は平均626万円、大阪は830万円にとどまり、神奈川県に至っては549万円と上位県に比べるとかなり低い水準でした。このランキングだけを見ると「都市部より地方のほうが歯科医師は稼げるのか?」と思われるかもしれません。確かに、地域によって歯科医師一人あたりの患者数や競争環境が異なるため、収入にも差が出る可能性があります。都市部は歯科医院の数が多く患者の奪い合いになりやすい半面、地方では歯科医師が不足し一人当たりの患者数が多くなる傾向も考えられます。その結果、地方の一部では患者ニーズに対して歯科医師の供給が追いつかず、高い収益を上げている医院があるのかもしれません。

地域差が生まれる背景と注意点

しかし、都道府県別の平均年収データを安易に鵜呑みにするのは禁物です。地域ごとの統計にはサンプル数の偏りや特殊要因が影響しており、「平均年収○○万円」といっても実態を正確に反映していない場合があると指摘されています。例えば、ある地方でごく少数の歯科医師しか調査対象におらず、その中に高収入の開業医が含まれていれば平均値が跳ね上がります。前述の富山県や長野県のように突出した数字が出ているのも、一部の高収入歯科医師の存在が平均を押し上げた可能性があります。反対に、東京都の平均が低めなのは、非常勤で勤務する歯科医師や若手の研修医なども多数含まれ、裾野が広がったためとも考えられます。したがって、「○○県は平均年収が高いから必ず稼げる」と短絡的に判断するのは危険です。実際に就職・転職を検討する際は、その地域の歯科医師の求人倍率や人口あたり歯科医院数、地域の所得水準なども総合的に調べる必要があります。また、地方で高収入を得ているケースの中には、勤務先がへき地医療拠点で行政からの補助金や手当がついている場合もあります。このように、地域別の数字には様々な背景要因があるため、参考程度に捉えつつ、自身のキャリアプランに照らして判断することが重要です。

年齢によって歯科医師の年収はどう変わる?

歯科医師の収入は年齢(経験年数)とともに上昇する傾向があります。20代は研修医を含むため低めですが、経験を積む30代、さらに責任ある立場が増える40代以降では平均年収が大きく伸びます。実際、「40歳を超えると多くの勤務歯科医が年収1,000万円を超える」というデータもあり、年齢と収入には強い相関が見られます。ただし一方で、「歯科医師は年齢を重ねても常に右肩上がり」という単純なものではなく、働き方の変化や開業タイミングによって増減します。この章では20代から中高年まで、年代別の年収の特徴を解説します。

20代の歯科医師の年収が低めな理由

前述のとおり、20代前半~半ばは研修期間も含むため年収が抑えられがちな時期です。ストレートに歯学部を卒業し研修を終えても、20代半ばではまだ臨床経験が浅く、給与水準も控えめです。実際、20代後半(25~29歳)の平均年収は約400万~460万円前後と、同世代の他の医療専門職と比べても突出して高いわけではありません。この背景には、新人期間は収入より経験を優先する勤務医が多いことや、歯科医院側も若手には固定給を中心とした賃金体系を適用することが挙げられます。さらに、歯科医師の場合は大学院進学や研修医延長などで20代後半でも収入が低めに推移する人もいるため、平均値も押し下げられています。以上のように、20代で年収が抑えられるのはキャリア初期の投資期間ともいえるでしょう。しかし裏を返せば、この時期にしっかり臨床スキルを磨き実績を積むことで、後年の収入アップにつなげることが可能です。

30代・40代では年収がどれくらい上がる?

30代に入ると歯科医師の年収は顕著に上昇します。厚労省データの分析によれば、例えば30~34歳では平均約660万円、35~39歳では約850万円と、20代に比べ大幅な増加が見て取れます。この頃になると、一通りの治療経験を積み、診療のスピードや質も上がってくるため、歩合給など成果に応じた報酬部分で収入が増えることが要因です。実際、歯科医院では勤務医に対し数年目から歩合制を取り入れるケースが多く、患者担当数が増える30代では努力が収入に直結しやすくなります。また、30代後半にもなると副院長や分院長など院内で指導的役割を任され、役職手当が付く場合もあります。そうした結果、40代前半では平均して年収1000万円前後に達し、40代後半になると平均1200万円超というデータもあります。特に自分のクリニックを開業するケースが増える40代は、成功すれば一気に年収が跳ね上がるため、この年代が歯科医師収入のピークになりやすい傾向です。ただし、40~50代でも全員が高収入とは限りません。例えば女性の歯科医師の場合、結婚や出産で一時的に常勤を離れ非常勤に切り替える人もおり、その間は年収が下がることがあります。一方で、子育てが一段落した後に勤務時間を延ばして復帰し、再び収入を伸ばすケースも見られます。このように、歯科医師の収入は30代から40代で飛躍的に増えるものの、個人のキャリア選択やライフイベントによって増減の幅がある点にも注意が必要です。

勤務歯科医(勤務医)の年収はどれくらい?

歯科医師の働き方のひとつが、歯科医院や病院に雇用される「勤務歯科医(勤務医)」です。勤務医の場合、その収入は雇用先の給与体系に従うことになります。一般的な傾向として、勤務歯科医の年収は若手で400万~500万円台、中堅で600万~800万円程度が多いとされています。厚生労働省の令和3年(2021年)調査でも、勤務医として働く歯科医師の平均年収は約724万円(平均年齢39歳)という数値が報告されており、勤務医は全体的に見れば高水準ながら年代相応のレンジに収まっています。ここでは、勤務医の収入の目安とその給与形態について解説します。

勤務歯科医の平均年収と給与体系

勤務歯科医の収入は経験年数や勤務先の規模によって幅があります。新人~若手のうちは年収400万~500万円台で推移し、その後経験を積むにつれて徐々に昇給していくケースが一般的です。前述のとおり平均で724万円程度というデータもありますが、これは全国の30代後半を中心とした数値であり、20代ではそれより低く、40代以降では高くなる傾向があります。給与体系に関しては、勤務医の場合「固定給(定期昇給)型」と「最低保証+歩合給型」の2種類が主流です。固定給型では毎年一定額ずつ基本給が上がっていくのに対し、歩合給型では一定の最低保障給に加えて、自分が診療で上げた収益の一部がインセンティブとして支給される仕組みです。多くの歯科医院では勤務2~3年目以降に歩合制を導入しており、例えば「月給40万円+歩合20%」といった形で、患者数や治療内容に応じて収入が伸びていきます。歩合給の割合は医院によりますが、おおむね超過分の20%前後が目安で、25%を超えると高い部類に入ります。この仕組みにより、熱心に患者を診て技術と信頼を得た勤務医は、同じ勤務年数でも他の歯科医師より高収入を得ることも可能です。実際、定期昇給だけのケースでは15年勤めて年収1000万円に届くかどうかですが、歩合制がうまく機能している職場では30代で1000万円に達する例もあります。なお、勤務先の規模による差も存在し、厚労省調査では従業員100~999人規模の医療機関に勤める歯科医師の平均年収は約1,928万円と突出して高い一方、1000人以上の大病院勤務では637万円と低いという結果もあります。これは大学病院など大規模組織の歯科医は給与水準が抑えられ、民間の中規模歯科医院では院長クラスが含まれて高額になっているためで、極端なケースと言えるでしょう。総じて勤務医は安定した高収入が得やすい反面、給与上限は勤務先の方針に左右されるため、自身の目標年収に応じて就職先を選ぶことも大切です。

開業歯科医(開業医)の年収はどれくらい?

歯科医師としてキャリアを積んだ先に選択肢となるのが、自ら歯科医院を経営する「開業歯科医(開業医)」です。開業医は独立採算であるため、収入は経営するクリニックの業績に大きく左右されます。成功すれば勤務医以上の高収入も期待できますが、逆に経営が軌道に乗らなければ収入が伸び悩むリスクもあります。一般に、歯科医師の半数以上(約56%)は最終的に開業に踏み切るとされ、特に50代では約70~80%もの歯科医師が開業医として働いています。ここでは、開業歯科医の平均的な年収と収入の幅について説明します。

開業歯科医の平均年収と経営による差

公的な統計には開業医の収入は直接反映されにくいですが、厚生労働省の医療経済実態調査などから推計すると、歯科の開業医(院長)の平均年収は概ね1,200万~1,400万円程度とされています。この水準は勤務医の平均を大きく上回り、同世代の大学病院勤務の医科医師に匹敵する収入と言えます。実際、「開業医になれば年収1,000万円超えは当たり前」と言われるほどで、現役歯科医師の多くが1,000万円超の高収入を得ていることが統計からもうかがえます。しかし、注意すべきはこの平均はあくまで経営が軌道に乗った開業医の数字だという点です。歯科医院の経営には地域の患者需要や診療報酬点数、設備投資や人件費など様々な要因が関わり、経営手腕によって収入には大きな差が生まれます。1,200万~1,400万円稼ぐ開業医がいる一方で、経営がうまくいかず500万~600万円台にとどまる歯科医師も存在します。特に個人経営の開業医には、働き方や勤務日数が限定的な非常勤歯科医師なども含まれるため平均を下げる要因になっています。結局のところ、「開業すれば必ず高収入」というわけではなく、経営努力次第と言えるでしょう。実際、経営努力を重ねて成功した開業医は年収1,500万円以上を稼ぎ出す一方、経営戦略を誤ったり競合が多い立地で苦戦している開業医は、勤務医時代より収入が落ち込むケースもあります。開業医として高年収を得るには、診療の質に加えて経営感覚やマーケティング、スタッフマネジメントなど総合力が求められるのです。近年は自由診療(保険外診療)を積極的に取り入れて収益を上げるクリニックも増えており、例えばインプラントや審美治療に特化して年収数千万円規模の利益を上げる開業医も出始めています。その反面、保険診療だけに頼った昔ながらの開業スタイルでは収入が伸び悩むこともあり、新時代の開業医は経営努力を怠れません。総括すると、開業歯科医の平均年収は勤務医より高いものの、その内実はピンキリであり、トップクラスは数千万円、下層は数百万円という開きがあります。開業を目指す場合、自身の経営ビジョンとリスク許容度を踏まえて準備することが重要でしょう。

フリーランス歯科医師の年収はどれくらい?

最近では、特定の歯科医院に常勤せず複数の勤務先を掛け持ちする「フリーランス歯科医師」という働き方も注目されています。フリーランスといっても歯科医師の場合、自分で勝手に治療を行うのではなく、非常勤(パートタイム)として様々な医院で診療を行う形態です。では、こうしたフリーランスの歯科医師の収入は常勤勤務医と比べてどの程度違うのでしょうか。結論から言えば、フリーランス歯科医師の年収は働き方次第で大きく変動しますが、効率よく働けば常勤医より高くなることも多いようです。以下では非常勤歯科医師の平均的な収入や時給の相場、そしてフリーランスで働くメリット・注意点について解説します。

非常勤歯科医師の平均収入と時給相場

フリーランス歯科医師の多くは複数の職場で非常勤勤務(週数日やスポット勤務)を行います。収入は働く日数や時間に依存しますが、基準となる時給は1時間あたり5,000~10,000円程度とかなり高めに設定されるのが一般的です。専門スキルや経験が豊富な歯科医師ほど高時給のオファーを得やすく、夜間診療や日曜診療、急募案件など人手が不足しがちな時間帯ではさらに高い時給が提示される場合もあります。厚労省の統計分析によれば、常勤の歯科医師の平均年収がおよそ722万円(平均月160~175時間労働)なのに対し、短時間労働(非常勤)の歯科医師は平均247万円(平均月40~50時間労働)というデータがあります。一見すると常勤の方が年収は高いように見えますが、労働時間あたりで比較すると非常勤歯科医師の方が時間単価は圧倒的に高く、平均で時給4,700円強、年によっては6,000円を超える水準となっています。つまり、短時間勤務でも収入効率が良いため、働き方次第では常勤以上に稼げる可能性があるということです。例えば週2~3日の勤務で年収500万円前後を得ている非常勤歯科医師もいれば、逆に複数の医院で週5~6日フル稼働し、常勤医以上の収入(800~1000万円超)を上げているフリーランス歯科医師も存在します。もっとも、非常勤は収入が高くても勤務日数が少なければ年収総額は抑えられるため、自分の希望する働き方と収入のバランスを考える必要があります。平均的な非常勤歯科医師の年収は300万前後との推計もありますが、これはあくまで週1~2日程度の掛け持ち勤務のケースでしょう。フリーランスで本格的に高収入を狙うなら、高時給の求人を選びつつ稼働日を増やすことがポイントになります。ただし働きすぎると体力的にも負担が大きいため、無理のない範囲で効率良く稼働する工夫が求められます。

フリーランスで働くメリットと注意点

フリーランス歯科医師として働くメリットの一つは、収入アップの可能性が高いことです。前述のように、非常勤を掛け持ちすることで常勤一本より収入が増えるケースは多々あります。特に、自費診療のスキルに長けていたり専門分野を持つ歯科医師であれば、高単価の仕事を選んで効率よく収入を得ることも可能です。また、収入面以外にも多くの医院の治療方針や様々な症例を経験できるというメリットがあります。複数の職場で働くことで、それぞれの医院のやり方や得意分野を学び、歯科医師としてのスキルの幅を広げることができます。例えば、ある医院では訪問歯科に携わり高齢者のケアを学び、別の医院ではインプラント専門の技術を習得するといった具合に、フリーランス勤務は研鑽の場を自ら増やせるという利点があります。さらに、勤務日や時間を自分で調整しやすいため、育児や介護と両立しながら働きたい場合にも適しています。実際に若いうちに様々な医院で経験を積み、将来は独立開業を目指すというキャリアプランでフリーランスを選ぶ人もいます。

一方、フリーランスで働く際の注意点もあります。まず、収入が不安定になりやすいことです。勤務先の都合でシフトが減ったり契約が更新されないこともあり得るため、常勤に比べ将来の収入見通しが立ちにくい面があります。また、雇用ではなく個人事業主扱いになるため社会保険や厚生年金に加入できず、自身で国民健康保険・年金に加入する必要があります(非常勤でも勤務時間によっては雇用保険等に加入できる場合があります)。税制面では、開業医同様に必要経費を計上して節税できるメリットがある反面、確定申告や経理処理などの事務作業は自分で行わねばなりません。さらに、複数の職場で働くことで職場間の情報管理や守秘義務に注意する必要もあります。患者さんの情報を扱う職業ですから、かけ持ち先同士での情報漏洩や利害衝突が起きないよう細心の配慮が求められます。契約面でも、就業規則で副業を禁じている医院もあるため、事前に雇用契約をよく確認することが重要です。まとめると、フリーランス歯科医師は高時給で柔軟に働ける魅力がある一方、安定性や福利厚生の面でデメリットもあります。自分のライフスタイルや目標収入に合った働き方かどうかを見極め、必要に応じて税理士など専門家に相談しながら計画的に進めると良いでしょう。

若いうちに歯科医師の収入を上げるには?

20代・30代のまだ若手のうちに、「少しでも収入を上げたい」「将来のために年収アップを図りたい」と考える歯科医師も多いでしょう。高収入を得ている歯科医師の経歴を見ると、早い段階で一定の工夫や努力をしているケースが見られます。では、具体的に若手歯科医師が収入を上げるためにはどのような方法があるでしょうか。この章では、スキルアップや資格取得、職場選びや給与交渉といった観点から、実務的なアドバイスを紹介します。

専門スキル習得や資格で収入アップは可能?

歯科医師の収入は基本的に臨床業務から得られるものですが、その業務の付加価値を高めることで収入アップが期待できる場合があります。具体的には、専門スキルの習得や認定医・専門医資格の取得が挙げられます。例えば、矯正歯科やインプラント、審美歯科など高度な自費診療分野のスキルを身につければ、患者一人当たりの単価が上がるため、歩合給を採用している職場では直接収入増につながります。事実、近年では矯正・インプラント・審美の需要が拡大しており、これらを取り入れている医院では若手歯科医師でも年収3000万円以上を達成する例が現れ始めています。もちろんこれはごく一部の突出したケースですが、裏を返せば自費診療を任せてもらえる高い技術と信頼を備えた歯科医師は、それだけ高収入のチャンスもあるということです。また、日本歯科医師会や学会が認定する専門医・認定医資格を取得すると、患者や勤務先からの評価が上がり、転職や開業の際にも有利になります。資格自体が給与手当につながる職場は多くありませんが、専門性を証明する肩書きはマーケティング上も強みとなり得ます。ただし、資格取得には臨床経験年数や症例提出、試験合格など時間と労力を要するため、短期的に年収を上げる即効薬ではありません。むしろ若いうちは日々の診療で幅広い症例を経験し、確実な基礎技術と治療スピードを磨くことが先決です。基礎力が高まれば患者からの信頼が厚くなり、リピートや紹介によって担当患者数が増えるため、結果的に収入面にも好影響があります。さらに、学会や勉強会への参加も視野に入れましょう。最新の知見を得て治療の幅を広げれば、それだけ提供できるサービスが増え収入源も太くなります。例えば、スポーツ歯科や在宅歯科、歯科麻酔など、ニッチな分野に強みを持てば希少性が評価されることもあります。まとめると、若手の収入アップには目先の給与額交渉だけでなく、自身の市場価値を高めるスキル習得が近道となります。時間を投資して得た知識・技術は将来的に大きなリターンをもたらす可能性が高いため、長期的視点で自己研鑽に励むことが重要です。

勤務先の選び方や交渉で収入は変わる?

歯科医師の収入は「どこで働くか」によっても大きく変わります。同じ能力を持っていても、勤務先の給与水準や給与体系によって年収は数百万円単位で差がつくこともあるからです。まず、求人情報をよく読み待遇を比較することは基本中の基本です。例えば、都市部の自由診療中心のクリニックでは新人でも月給40~50万円台+歩合という好条件が提示される場合があります。実際、2025年3月時点の新卒向け求人データでは、平均月給約50.2万円(基本給39.7万円+諸手当10.5万円)という高水準の募集も見られました。一方で地方の保険診療メインの医院だと初任給30万円前後からスタートということもあります。募集要項には残業の有無や固定残業代の扱い、賞与実績なども必ず目を通し、総合的に判断しましょう。近年は労働条件の透明化が進み、求人票に給与の内訳や勤務時間を明示することが義務化されています(2024年の法改正で明示項目拡大)。そのため、基本給・手当・歩合のそれぞれがどう設定されているかを確認し、自分の目指す働き方に合致するか検討することが大切です。

また、面接時の交渉や入職後の実績による交渉も収入アップに有効です。歯科医師は売り手市場の側面があり、特に人手不足の医院では給与条件の交渉余地がある場合があります。例えば「◯年目から歩合給に移行してほしい」「週◯日は矯正患者を担当したい」といった希望があるなら、採用前後にしっかり伝えることで、結果的に収入増につながる働き方を実現できるかもしれません。もちろん、言うだけでなく自分が貢献できる強み(〇〇治療が得意等)を示すことが交渉を有利に進めるポイントです。さらに、勤務エリアの選択も考慮しましょう。前述のように、都市部より地方の方が高収入になりやすいケースもあるため、敢えて地方の医療機関に飛び込むのも一つの手です。地方自治体によっては、歯科医師確保のため給与とは別に奨学金返済支援や住居手当を出す制度を設けている所もあります。若手のうちに地方で経験を積み貯金や返済を進め、後に都市部へ戻るという計画を立てる人もいるほどです。ただし、地域によって症例の偏りや設備環境の差もあるため、得たい経験と収入を天秤にかけて判断する必要があります。

最後に、副業・兼業も収入アップの選択肢です。勤務先の許可が必要ですが、休みの日に他院の非常勤バイトに出ることで月数万円~十数万円の副収入を得ている若手歯科医師もいます。副業を行う際は、本業の勤務規則で禁止されていないか確認し、体力的に無理のない範囲で行いましょう。税金面では副業収入が20万円を超えると確定申告が必要になる点にも注意が必要です。以上のように、若いうちの収入アップは「どこで・どう働くか」を主体的に選び、交渉することで現実的に可能です。将来のキャリアパスも見据えつつ、自分に合った働き方でスキルと収入の双方を伸ばしていきましょう。

歯科医師の年収の今後の動向と将来性は?

最後に、歯科医師の収入の将来展望について触れておきます。日本の歯科医師数は長らく「コンビニの数より多い」と言われるほど増加傾向にあり、供給過多から収入が伸びにくい時代が続きました。実際、医科の医師が平均年収1000万~2000万円で推移するのに対し、歯科医師は600万~1500万円程度と低めに安定しているとの指摘もあります。しかしここ数年、その構図に変化の兆しが出ています。団塊の世代に属する高齢の歯科医師が今後一斉に引退することで歯科医師の供給が減少し、一方で超高齢社会に伴い歯科需要は増加し続けているため、「一人当たりの歯科医師の価値(需要)上昇による収入アップ」が期待されているのです。

厚労省のデータを見ても、歯科医師の平均年収は2010年代前半の約650万円から直近では750~800万円程度に回復傾向にあります。これは歯科医院数が横ばいもしくは減少に転じ始めた一方で、高齢者の歯科治療ニーズや予防歯科・審美歯科の市場が拡大したことが背景にあります。つまり、「患者側のニーズ増 × 歯科医師供給減」という構図が生まれつつあり、これからの時代は優れた歯科医師がより高い収入を得られる環境が整う可能性が高まっていると言えるでしょう。特に、自費診療市場の拡大によって経営センスのある歯科医師は医師(医科)以上の高収益モデルを実現しうるとも言われています。実際、矯正歯科やインプラント、審美治療に注力して患者満足度と収益を両立させているクリニックでは、医科の開業医に匹敵する年収を稼ぐ若手歯科医師も出てきています。

もっとも、こうした将来性を享受できるのは時代の変化に対応できる歯科医師でしょう。今後も高収入を維持・実現するためには、確かな臨床技術はもちろん、自由診療を取り入れる発想やマーケティング力、患者とのコミュニケーション力が不可欠とされています。言い換えれば、「治療だけできれば良い」という歯科医師では生き残りが難しく、「経営者マインド」を持った歯科医師が勝ち残る時代になるとも予想されています。また、歯科医師の将来収入には地域偏在の是正策や診療報酬改定、保険制度の動向も影響します。政府が進める働き方改革や医療費抑制策によっては、一時的に収入が伸び悩むこともあり得ます。ただ大局的に見れば、国民の口腔健康志向や高齢社会のニーズを追い風に、歯科医師という職業の社会的価値はむしろ上がっていくと考えられています。その価値が収入に反映される形で、今後は「歯科医師=高収入専門職」という評価がより確固たるものになる可能性は十分にあるでしょう。

以上、歯科医師20代の平均年収から始まり、地域差・年代差、勤務形態別の収入の違い、そして将来の展望まで解説しました。歯科医師の収入は一律ではなく、経験や努力次第で大きく開く世界です。若手のうちは目の前の治療に全力を尽くしつつ、将来像を描きながらキャリアを積んでいくことで、専門職としての充実した報酬とやりがいを手にできるでしょう。

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