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歯科医師会に入会しない場合の嫌がらせはあるのか?についてわかりやすく解説!歯科医師会の入会のメリットやデメリットについても紹介!

最終更新日

歯科医師会とはどんな組織?

歯科医師会とは、全国の歯科医師を会員とする公益法人で、歯科医療の発展や業界の取りまとめを担う団体です。1903年に設立された長い歴史を持ち、当初は歯科医師の地位向上を目的として発足しました。日本歯科医師会(日歯)が全国組織で、その下に都道府県歯科医師会、さらに市区町村レベルの歯科医師会が存在し、各地域で行政との連携や地域医療活動を行っています。例えば、地域住民向けの歯科検診や啓発イベント、学校歯科医の派遣、災害時の歯科医療支援など、地域に根ざした活動も歯科医師会の重要な役割です。

もともと歯科医師会は任意加入の団体であり、弁護士会のように加入が強制される「強制加入団体」ではありません。戦前の一時期には「歯科医師免許を取得したら自動的に歯科医師会に加入する」のが原則だった時代もありましたが、戦後まもなく法律が改正され、現在では加入はあくまで自由意思となっています。したがって、歯科医師であれば誰でも入会できますが、加入しなくても歯科医師としての開業・勤務に法的な支障はありません。

歯科医師会の歴史と役割

明治期に創設された日本歯科医師会は、戦前には一度全員強制加入制となった経緯があります。しかし戦後は任意加入制に移行し、以降は会員の自主的な参加によって運営されてきました。歯科医師会の主な役割は、行政との窓口や調整役です。厚生労働省や地方自治体から歯科保健事業を委託され、地域の歯科検診や保健指導を引き受けることがあります。また業界団体として、歯科医療に関する提言やガイドライン作成、研修会の開催など学術団体的な側面も持っています。ただし学術面に関しては、専門学会ほど活発ではないとの指摘もあり、地域活動や政治連携の色合いが強い組織でもあります。

歯科医師会の組織構成と会員制度

歯科医師会は全国組織の日本歯科医師会(日歯)と都道府県歯科医師会、さらに郡市区歯科医師会という三層構造です。歯科医師が入会する場合、通常は勤務先の所在地の郡市区歯科医師会→都道府県歯科医師会→日歯という形で一括して加入します。その際、正会員(開業医や勤務医など歯科医師本人)と、大学教員・研修医などを対象とした準会員といった区分があります。各レベルの歯科医師会に年会費を納める必要があり、会員には機関誌や研修情報の提供、各種保険制度の案内などが行われます。組織としては会長をトップに、理事や各種委員会が置かれ、地域医療や保健活動、会員同士の親睦など多岐にわたる活動を展開しています。

歯科医師会の加入率はどのくらい?

現在、歯科医師全体のおよそ6割が歯科医師会に加入しており、4割程度は未入会です。厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」などによれば、国内の歯科医師数は約11万人弱(2024年時点)とされますが、そのうち日本歯科医師会の会員数は約6万人と公表されています。この加入率は医師が加入する日本医師会とほぼ同程度で、特別に歯科医師会だけ加入率が低いわけではなく業界全体として一般的な水準といえます。

ただし、地域や世代によって加入率には差があります。都市部では非加入の歯科医師が多い傾向があり、例えば東京では2010年代後半時点で加入率が5割を下回るとのデータもあります。実際に東京など大都市圏では新規開業する歯科医師の多くが入会せずに診療しており、「歯科医師会に入らない歯科医院」が珍しくなくなっています。一方で地方や郡部では加入率が比較的高い傾向が指摘されます。人口の少ない地域ほど開業医同士の付き合いや地域医療連携のしがらみが強く、先輩歯科医師から「入っておいた方が角が立たない」という雰囲気がある場合もあります。そのため地方では未入会だと目立ちやすく、結果的に加入率が高めになるようです。

新規開業歯科医師と若手世代の動向

近年では若手の歯科医師ほど歯科医師会に入らない選択をするケースが増えています。都市部では歯科医院の競争が激しく経営環境が厳しいこともあり、「会費を払ってまで入会するメリットが感じられない」という声もあります。実際、「メリットがなければ入る意味がない」として非加入を選ぶ歯科医師も珍しくないのが現状です。また歯科医師会が政治的活動(国会議員への推薦や資金提供)を行ってきた歴史に対し、不信感を抱く若手も一定数おり、そうした価値観の違いから距離を置く人もいます。こうした傾向から、新規開業時にあえて入会しない歯科医師は増えており、2020年代の現代型歯科医院の多くは未入会で運営するケースも多いとされています。

地域差と加入率のまとめ

以上のように、全国平均では6割程度が加入していますが、その内訳を見ると都市部では非加入が多く、地方ほど加入者が多い構図があります。加入率自体は時代とともに徐々に低下傾向にあり、今後も若手世代を中心に非加入の割合が増える可能性があります。しかし未入会だからといって直ちに不利益を被るものではなく、歯科医師としての活動は問題なく行えています。次章以降では、実際に歯科医師会に入らなくても大丈夫か?嫌がらせなどはないかについて詳しく解説し、さらに入会のメリット・デメリットを整理していきます。

歯科医師会に入会する義務はあるの?

結論から言えば、歯科医師会への入会は法的に義務づけられていません。歯科医師法や医療法といった関連法令にも、歯科医師会への加入義務規定は一切存在しません。戦後の日本では医師会・歯科医師会ともに職能団体への加入は自由意思が原則であり、加入しないことで免許の効力が制限されたり、開業の許可が下りないということはありません。

行政も公式に「加入は任意であり、非加入による不利益はない」との立場を取っています。例えば各地の行政Q&Aやガイドラインでも「歯科医師会へ入る入らないは本人の判断」と明記されており、どちらを選んでも法の下で平等に扱われます。実際、多くの自治体では歯科医師会に属さない歯科医師にも、医療機関として必要な情報提供や指導連絡は行われています。「入っていないと保険医療機関の指定で不利になるのでは?」と心配する声もありますが、健康保険の指定や行政からの許可に加入の有無は関係ありません。

法的に加入は完全に任意

公正取引委員会も、医師会や歯科医師会が入会を強制したり非会員に不利益を与える行為に対して厳しい目を向けています。独占禁止法上の指針では、医師会が新規開業医の入会を拒否したり非会員だからと差別的扱いをすることは違法な行為に該当し得ると明記されています。例えば「非会員には行政委託事業をやらせない」「非会員の保険医指定を妨害する」などは独占禁止法違反となりうる行為です。このように法制度上も、入会しない歯科医師が不利益を受けないよう保護されていると言えます。

なお、医療界では弁護士会とは異なり、入会をしないまま一生を通す医師・歯科医師も少なくありません。歯科医師免許を持っていても歯科医師会員ではない人は4割程度存在する現状からも、入会しない選択は十分に一般的です。国や自治体も非会員を排除するような施策は取れないため、公平に情報提供や検査の案内などを行っています。このため「法律上は加入不要だが、周囲の目が気になる…」という心理面を除けば、制度的には入らなくても困らない仕組みになっています。

歯科医師会に入らないと嫌がらせを受ける?

「歯科医師会に入会しないと開業時に嫌がらせを受ける」といった噂話を耳にすることがあります。特にかつては、地域によっては新しく開業する若い歯科医師に対し、既存の歯科医師会メンバーが圧力をかけるケースがあったと言われます。具体的には開業場所や診療内容に口出しをされたり、広告を制限されたり、取引業者に圧力をかけられるなどの嫌がらせ行為が、一部地域(例:K市やM市といった都市)で昔は見られたという証言があります。

しかし、こうした行為は前述のように独占禁止法に抵触する違法なものであり、現在では表立って行われることは考えにくいでしょう。【公正取引委員会の医師会活動に関する指針】でも、新規開業者に対し入会しないことを理由に妨害する行為は禁止されています。もし仮にそのような圧力を受けた場合、法的には争う余地があり、公正取引委員会や行政に相談すれば適切な対処が期待できます。

過去に囁かれたトラブル事例

昭和の時代から平成初期にかけて、医師会・歯科医師会が地域の医療機関数を調整しようとした事例が報告されています。例えば「この地域にはもう歯科医院が多いから開業は控えてほしい」と暗に圧力をかけたり、入会を条件に場所の調整を図るようなケースです。実際に「優秀な若手歯科医が近所に開業しようとしたら組織的ないじめに遭った」という噂や、暴力的な歯科医師会が新規開業に様々な嫌がらせをしたといった話が一部で伝わっていました。これらはあくまで伝聞的な情報で、公に記録が残るような大事件となった例は多くありません。しかし当時はまだ現在ほどコンプライアンス意識が高くなく、先輩歯科医師が徒弟的な感覚で新人に圧力をかける風土も一部にあったと言われます。

その後、医療業界も時代とともに透明性が求められるようになり、平成以降は公取委の監視も強まって露骨な妨害は減少しました。むしろ現在では歯科医師会自体が「決して新規開業の妨げをする団体ではない」と公式に表明している例もあります。【横浜市青葉区歯科医師会】は「新しい歯科医療機関の開設を拒否する団体ではありません」とウェブサイトで宣言し、過剰な競争を避けつつ協調を図りたいとの姿勢を示しています。このように、現在では公式にはどの歯科医師会も新規開業者いじめを行っていない建前になっています。

現状と万一圧力を受けた場合の対処

2020年代の現状では、歯科医師会に未入会だからといって露骨な嫌がらせを受ける可能性は低いでしょう。特に都市部では入会していない歯科医院も多く、患者さんや取引業者もいちいち加盟状況を気にしません。ただ、地方のごく小さなコミュニティでは「なんとなく仲間外れにされる」程度の圧力や、地域の情報交換から外れてしまうソフトな不利益はゼロとは言い切れません。例えば地域の休日診療当番の輪番や学校検診の委嘱など、普通は歯科医師会を通じて案内が来るものに声がかからない、といったことは起こりえます。しかしこれらは業務上重大な支障になるものではなく、「面倒な役割を頼まれずに済む」と前向きに捉えることもできます。

もし万が一、非会員であることを理由に明確な営業妨害や誹謗中傷などの嫌がらせ行為を受けた場合は、先述のように法的措置を検討できます。証拠を確保した上で、公正取引委員会や弁護士に相談すれば、独禁法違反や業務妨害として是正を求めることが可能です。また都道府県の担当部局(医務課など)に相談し、間に入ってもらうことも考えられます。ただ、現実には多くの地域でそのような深刻な揉め事は起きておらず、歯科医師会に入らないことが直接的なトラブルにつながるケースは稀といえます。適切な法知識を持ちつつ、過度に不安がらずに判断することが大切です。

歯科医師会に入会するメリットは何がある?

歯科医師会に加入することで得られるメリットには、主に以下のようなものがあります。

  • 行政から委託される公的業務への参加:自治体が行う歯科検診事業や、学校歯科医・産業歯科医の委嘱、公休日の救急当番医など、行政関連の仕事を受託しやすくなる傾向があります。会員でないと絶対にできないわけではありませんが、実際には歯科医師会を通じて募集・推薦されることが多いため、地域医療に貢献するチャンスを得やすいでしょう。また地域の保健所や医師会との連携イベントにも参加できます。

  • 各種研修会や情報共有の機会:日本歯科医師会や各地の歯科医師会では、生涯研修セミナーや講習会が定期的に開催されています。会員であれば日歯生涯研修事業に参加でき、最新の歯科医療に関する講演や実習に触れることができます。これにより専門知識・技能のアップデートを図りやすくなります。また会員向けに学術雑誌やガイドラインが配布されたり、同業者同士の人的ネットワークが築けるのもメリットです。先輩歯科医師から経営や臨床のアドバイスをもらえる場面があったり、横のつながりで情報交換ができる点は、特に開業したての若手にとっては心強いでしょう。

  • 福利厚生や保険制度の利用:歯科医師会員になると各種の共済制度に加入できます。代表的なものに日歯年金があります。これは国民年金基金の仕組みを活用した年金制度で、希望すれば加入して将来65歳以降に年金を受け取ることができます。自営業である開業歯科医は会社員の厚生年金がないため、この日歯年金は民間版の厚生年金的な位置づけと言えます。現在8,000人近くの会員が加入し、平均月5万円ほど掛金を納めているとのデータもあります。さらに日歯福祉共済保険も有名です。これは火災や震災で診療所が損壊した場合に復旧費用の給付が受けられたり、院長である歯科医師が死亡・重度障害となった際に保険金が出る制度で、診療所経営のセーフティーネットになっています。多くの会員が加入しており、万一の備えとして機能するものです。このほか、地域によっては歯科医師国保(国民健康保険組合)に加入できるのも福利厚生上のメリットです。一般の国民健康保険よりも手厚い給付が受けられる場合や、家族・スタッフも含めて有利な条件で健康保険に加入できるケースがあり、事業主としては魅力に感じるポイントです。

  • トラブル時の相談・支援:歯科医師会は会員からの相談窓口を設けており、診療トラブルや医事紛争が起きた際に助言や調停をしてくれる場合があります。患者さんとの間でクレームや訴訟問題が発生したとき、歯科医師会の担当者が間に入って調整を図ったり、法律相談のあっせんをしてくれることもあります(もちろん内容によって限界はありますが、基本的には会員の味方として対応してくれます)。また、厚生局から個別指導や監査が入るときに、事前にアドバイスを受けたり立ち会いをお願いできるケースもあります。さらに診療報酬の算定方法について疑義があるときに、経験豊富な会員からコーディングのコツを教えてもらえたり、学術以外の実務面でもサポートを得られる点はメリットでしょう。

このように、歯科医師会に入ることで公的業務への参加機会、研修や情報取得、各種保険制度、トラブル支援など多方面の恩恵が受けられます。特に地域医療に貢献したい、同業者ネットワークを作りたいという場合や、将来的な年金・保険の備えを重視する場合には、会員になるメリットは大きいと言えます。ただし次に述べるように、こうしたメリットと天秤にかけて考えるべきコストやデメリットも存在します。

歯科医師としての研鑽とネットワーク

歯科医師会員になることで得られる学びの機会は無視できません。先述の生涯研修事業では、講演会や症例検討会、ハンズオンセミナーなど様々なプログラムが用意されており、最新の医療技術や知見を吸収できます。とくに開業医は自分から情報収集しないと孤立しがちですが、会に所属していれば定期的に研修案内が届きますし、義務ではないものの受講を重ねてポイントを取得すれば「生涯研修収録証」のような認定を受けることもできます。また地域の歯科医師会の集まりに出れば、先輩・同輩との情報交換や交流ができ、人脈が広がります。日々の臨床で困った際に相談できる同業者ができるのは精神的な支えにもなるでしょう。こうしたスキルアップとネットワーク形成は、特に一人で診療所を切り盛りする開業医にとってプラスに働く要素です。

会員限定の保険制度と経済的メリット

前述した日歯年金や福祉共済など、歯科医師会ならではの制度は経済的メリットがあります。日歯年金は将来の老後資金として心強く、掛金は全額社会保険料控除の対象になるため節税効果もあります。また福祉共済保険は民間で同等の保険に入るより有利な掛金設定の場合が多く、診療所という事業を守る保険としては割安です。さらに地域の歯科医師国保に加入できれば、協会けんぽや国民健康保険より保険料が安い場合もあり、家族やスタッフの福利厚生にもつながります。例えば東京都では歯科医師国保組合があり、歯科医師会会員はそこに加入できます(自治体国保に比べ給付が充実している点が魅力です)。このように、金銭面・保障面でのメリットは長期的には無視できません。ただし後述しますが、若手ほどこれら恩恵を実感しにくい面もあります。

地域医療への貢献と安心感

歯科医師会員でいることは、地域社会から見た信用や安心感につながる場合もあります。患者さん側からすれば、院長先生が歯科医師会に所属しているからといって治療技術が上下するわけではありません。しかし行政主催のイベントに参加していたり、学校歯科医を務めたりして地域に貢献している姿を見れば、「地域密着で頑張っている先生だ」という印象を与えることもあります。歯科医師会としても広報活動を行っており、会員歯科医院の一覧をホームページに掲載したりしています。そうしたリストに載ることで間接的な宣伝効果が得られる場合もあります。さらに、自身も地域医療の一端を担っているという職業的な誇りや連帯感を得られる点も、金銭には代えがたいメリットと言えるでしょう。

歯科医師会に入会するデメリットや注意点は?

一方で、歯科医師会に加入することにはデメリットや負担も存在します。代表的なものを挙げてみます。

  • 経済的負担が大きい:歯科医師会に入るには高額な入会金・年会費がかかります。日本歯科医師会(日歯)そのものの費用は比較的安価(入会金1万円、年会費3.8万円※正会員の場合)ですが、同時に加入する都道府県歯科医師会や郡市区歯科医師会の会費が加算されます。例えば東京23区内で開業する場合、郡市歯科医師会の入会金約20万円・年会費11万5,600円、東京都歯科医師会の入会金15万円・年会費5万6,000円が必要であり、日歯分と合わせると初年度だけで50万円以上の費用負担になります。さらに毎年のランニングコストも合計で20万円前後を納め続ける計算です。この金額は決して小さくなく、開業間もない歯科医院にとって重い負担です。経営状況が厳しいと感じるほど、「ずっと一定額を取られ続けるのは厳しい」と入会を敬遠したくなるのも無理はありません。特にメリットをあまり実感できない若手世代にとっては、会費に見合うリターンが感じにくいという声が強いです。

  • 時間的・労力的な負担(会務・当番など):歯科医師会に入ると、各種会合や地域活動への参加義務が事実上生じます。定例の総会や支部会合、講演会への出席、さらには地域の歯と口の健康週間イベントへの協力や休日急患診療所の当番など、診療以外に費やす時間が増えます。こうした活動は本来ボランティア的な側面もありますが、会員である以上「できるだけ参加してください」という圧力がかかることもあります。忙しい開業医にとって、診療時間外の貴重な時間を取られるこれら会務は負担です。また役職を引き受ければ準備や運営の仕事も増え、雑用に追われるケースもあります。「本業に集中したいのに、会の行事ばかりで煩わしい」と感じて脱会する人がいるほどです。さらに歯科医師会に入ると診療時間や広告表現についても独自の自主規制を求められる場合があります。法律以上に厳しい基準(夜遅くまで診療しない、派手な広告は出さない等)を守るよう指導される地域もあり、自由な経営を志向する人にはデメリットとなりえます。

  • 人間関係・しがらみの問題:どんな団体にも言えることですが、歯科医師会にも独特の人間関係があります。特に地元の歯科医師会では先輩後輩の力関係や派閥のようなものが存在することもあり、対人関係のストレスを感じる場面があるかもしれません。「定年まで地域の長老の顔色をうかがうのは嫌だ」「政治的な付き合いに巻き込まれたくない」という理由で加入しない方もいます。実際、歯科医師会は業界団体として政治活動にも関与しており、過去には会長らが献金問題で逮捕された事件もありました。そうした出来事に嫌気が差し、組織そのものへの不信感から距離を置く歯科医師も一定数います。また会に入ると先輩から設備や経営方針に口出しされるケースもあるようです。「院内のことに干渉されたくない」「自分のやり方で自由にやりたい」というタイプの歯科医師には、組織のルールや先輩の指導は煩わしく感じるでしょう。

  • 若手にとってメリットが薄い場合も:前述の通り、年金や共済などの福利厚生は長期的に見ればメリットですが、若い世代ほど「老後の年金より今の経営」が優先です。実際、日歯年金に加入しているのは全会員の2割弱に過ぎず、多くの会員はそうした制度を活用していない実態もあります。つまり、特に若手会員の場合、高い会費を払っていても利用する福利厚生が限られているケースが多く、「結局ほとんど恩恵を受けていない」と感じやすいのです。研修会についても、最近ではインターネットや民間のスタディーグループで情報収集・勉強する機会が豊富にあります。歯科医師会に入らなくても自己研鑽は可能であるため、「研修目的で入る必要性は薄れた」との指摘もあります。さらに都会の若手ほど、会の行事よりも自院の経営やプライベートを重視する傾向が強く、会合への参加自体を負担に感じます。こうした価値観の違いから、若い世代ほど歯科医師会のデメリットを大きく感じる場合があるのです。

以上のように、経費・時間・人間関係の面で歯科医師会加入にはデメリットがあります。特に「費用に見合う効果が得られない」と思えば、無理に入る必要はないでしょう。ただし、これらデメリットの感じ方は人それぞれであり、会の活動を「社会貢献」と捉えて積極的に楽しむ方もいます。要はメリットとデメリットを天秤にかけ、自分にとってどちらが上回るかを冷静に判断することが大切です。

金銭負担とリターンのバランス

歯科医師会費の負担は決して安くありません。開業したばかりで借入返済や設備投資に追われる時期には、年数十万円の会費は重荷に感じるでしょう。しかも、その支出に見合う直接的な収入増加があるわけではありません。コストパフォーマンスを厳しく見る経営感覚の持ち主ほど、「入会金・会費で○○万円払うなら、そのお金で新しいユニットやデジタル機器を導入したい」「スタッフの待遇改善に充てたい」と考えることもあるはずです。実際、歯科医師会に払う費用を自院の成長投資に回した方が有意義だ、という意見も耳にします。特に、近年は学会や勉強会への参加もオンラインで安価に可能になったため、「会費を払ってまで歯科医師会経由で研修を受けなくても十分やっていける」という声もあります。つまり、費用対効果の観点から入会を見送るケースがあるわけです。

会務負担とプライベートへの影響

歯科医師会の活動に積極的に関わろうとすると、どうしてもプライベートの時間が削られがちです。とくに地方では冠婚葬祭ばりに地域の医師会・歯科医師会行事が重視される風潮もあり、出席しないと角が立つと気に病む人もいます。逆に、そういった会合に顔を出すのが好きな人にとっては良いのですが、苦手な人にはストレスです。人付き合いや会合が負担に感じるのであれば、無理に入って不参加を続けるより最初から入らない方が気楽という考え方も成り立ちます。また、会員になると地域の医療界で一定の義務感や責任が生じ、「診療以外のことで神経を使う場面」が増えるのは避けられません。これをデメリットと感じるか、「自分も地域の一員として当然」と思えるかは、その人の価値観次第でしょう。

歯科医師会との距離感に関する考え方

政治献金の問題や業界団体特有の旧態依然とした体質を嫌い、「自分は一匹狼でいたい」と考える歯科医師もいます。歯科医師会に属すると、どうしても組織の方針にある程度同調せざるを得ない場面もあります。たとえば国会議員選挙で業界推薦の候補者を応援したり、医療制度改革について統一見解を持ったりと、個人の意見より組織の意志が優先される場面も出てきます。そうした時にフットワーク軽く独自路線を取りたい人にとっては、会の存在が束縛と映ることがあります。また、一度入っても合わないと感じれば脱会すること自体は可能ですが、脱会するときに同業者間で噂になったり、気まずさが残る可能性もあります。組織と程よい距離感を保ちたい人は、最初から入らない方が無難と判断する場合もあるでしょう。

歯科医師会に入るべきか迷ったときの判断ポイント

以上のメリット・デメリットを踏まえて、歯科医師会に入会すべきかどうか迷う場合にはいくつか判断のポイントがあります。結論としては、加入は任意なのだから自分の状況に合わせて決めればよいというシンプルなものですが、以下の観点を整理しておくと判断の助けになるでしょう。

  • 地域性を考慮する:自分の開業(勤務)している地域で、歯科医師会がどの程度活動的か、そして非会員でいることにハンデがありそうかを見極めます。都市部で周囲に非会員が多い環境なら、入らなくても孤立する心配は少ないでしょう。一方、地方で歯科医師会の結束が強い土地柄では、入っておいた方が円滑に仕事が進む場面があるかもしれません。例えば、地域の医療連携(病診連携など)で医師会・歯科医師会合同の会議に出る必要があったり、学校歯科医の輪番が回ってくるような所では、非会員だと情報が届かず不便な可能性もあります。地元の先輩歯科医にそれとなく「入っておいた方がいいですか?」と聞いてみるのも有用です。その反応で地域の空気感がつかめるでしょう。

  • メリットが自分に必要か吟味する:歯科医師会のメリットとして挙げた要素が、自分にとってどれだけ重要かを考えます。例えば「行政からの仕事を受けたいか?」「研修会や他院との交流を求めるか?」「将来の年金や保険制度を活用したいか?」などです。地域貢献に情熱があり学校検診も引き受けたいという人なら、入会してその機会を得る価値は大きいでしょう。逆に、診療と経営に専念したいので余計な役割は不要、と割り切れるなら非会員でも問題ありません。また開業医か勤務医かによっても重視点は異なります。勤務医の場合、開業医ほど地域活動への参加機会は多くないですし、年金や共済も個人で無理に入らなくても済むケースがあります。そのため勤務の先生は入会しないことも多いです。一方開業医の場合、医師会からの情報や支援が心強い場面があるので、メリットがじわじわ感じられることもあります。自分のキャリアプランや生活設計に照らし合わせ、メリットがデメリットを上回るかどうか冷静に判断しましょう。

  • コストと時間に余裕があるか:開業直後で資金繰りが厳しかったり、子育て中で時間的制約が大きい場合など、今は余裕がないというタイミングでは無理に加入しなくてもよいでしょう。歯科医師会はいつ入っても歓迎されますし、一度見送ったからといって後から入会できなくなるものではありません(実際、ある程度経営が安定してから入る先生もいます)。逆に、軌道に乗ってきて社会的貢献をしたいと思った時や、スタッフの福利厚生を充実させたくなった時などに入会を検討するのも一つの方法です。入退会は柔軟にできますから、「今はデメリットの方が大きい」と思ううちは無理に入らない選択も全く問題ありません。

  • 周囲の理解と今後の展望:院内スタッフや家族にも、歯科医師会に入ることの意味や費用を説明し理解を得ておきましょう。経営的な負担を共有する意味でも大事です。また将来的に地域医療で果たしたい役割があるなら、早めに入って経験を積むのも良いですし、特にそういう展望が無ければ入らず様子を見るのも一計です。例えば「いずれ地元で医療行政に関わりたい」「歯科医師会の役職について業界を良くしたい」といった志があるなら、早期から参加して人脈を築くメリットがあります。一方、「患者さんに良い治療を提供することに専念したい」というスタンスなら、会務は無理に担う必要はありません。

最後に、歯科医師会への入会はあくまで自主的な選択であり、入っても入らなくても立派に診療を続けている先生方が大勢いることを強調しておきます。歯科医師会に加入していないからといって臨床スキルやモラルが低いわけでは全くなく、むしろ新しい発想でクリニックを運営して成功している例もたくさんあります。患者側から見ても、歯科医師会未加入であること自体は診療内容には関係がなく問題ありません。結局のところ、自身の信念や状況に照らし合わせて決めればよいのです。「こうしなければならない」というプレッシャーを感じる必要はありません。入会によって得られるもの・失うものを総合的に考え、ご自身にとってベストな選択をすることが一番実務的にも有益だと言えるでしょう。

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