日々の診療の中で、歯肉退縮やWSD,NCCLを有する患者さんを目にしない日はないでしょう。
臨床症状がないこともあれば、知覚過敏や審美障害、ブラッシング時の疼痛などの訴えがあることもありますが、 安易に知覚過敏抑制材の塗布やコンポジットレジンでの充填などの対応をしていませんか? また症状がなければ経過観察という対応が多いかもしれませんが、何も行わなかった場合に歯肉退縮は進行してしまわないのでしょうか?
結合組織移植術を用いた歯周形成外科、根面被覆術というのは、外科的な侵襲を伴う処置であり、患者さんが好んで受けたい治療法ではないかもしれませんが、歯肉退縮の根本的な解決という点では非常に有効であるといえます。
もちろん決して簡単な治療法ではありませんし、失敗してしまうとさらに歯肉退縮が悪化してしまうというリスクがあるものの、VISTAテクニックをはじめ、近年のさまざまな術式の考案や、より低侵襲な外科手技の発展によって、その成功率は非常に高くなり、予知性の高い処置となりました。
また高齢化に伴い、根面う蝕が大きな問題となっている現代において、その最たる原因である歯肉退縮に対する正しい対応の理解は欠かせません。高齢期を迎える前に、歯肉退縮が生じにくい歯周組織を確立しておくことがその予防につながるかもしれません。そのため、根面被覆術をひとつの選択肢として自身の臨床の引き出しを増やすことは一般臨床医にも求められています。
本セミナーでは「歯肉退縮に対する処置」をテーマに、歯肉退縮に対するさまざまな対応、根面被覆術の変遷をはじめ、 根面被覆術の中でも、比較的術式の簡便なVISTAテクニックに焦点を当て、その術式の特徴や適応症、根面被覆を成功に導くためのコツを 日本歯周病学会歯周病専門医 福場駿介先生に解説していただきます。
これから歯周形成外科、根面被覆術に取り組みたいと思っている若手の先生は必聴です。
またすでにVISTAテクニックをはじめ、根面被覆術に取り組んでいるものの、なかなか思ったような成果が得られない、たくさんの術式があってその使い分けがわからないなど、 始めてみたことでいろいろな悩みを抱えている先生にもおすすめです。